電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和7年度上期 機械 問10|パワーエレクトロニクス

問題

電験三種 | 機械 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

図のような直流チョッパがある。 直流電源電圧 E=400 V,平滑リアクトル L=1 mH,負荷抵抗 R=10 Ω,スイッチ S の動作周波数 f=10 kHz,通流率 d=0.6 で回路が定常状態になっている。D はダイオードである。このとき負荷抵抗に流れる電流の平均値[A]として最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。

問題の図(出典: 令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械 問10/電気技術者試験センター)

図の出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械 問10

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答え合わせ

正解は 2
  • 1
  • 2
  • 3
  • 4
  • 5

自信の3択

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解説

電験三種「機械」の「パワーエレクトロニクス」からの出題(令和7年度上期 問10)。正答は(2)です。

図の回路は、スイッチ S、ダイオード D、リアクトル L からなる降圧チョッパです。S がオンの間だけ電源電圧 E がかかるので、L の左側の電圧の平均値は通流率 d を掛けた dE になります。

定常状態ではリアクトルの電圧の平均は0なので、負荷抵抗にかかる電圧の平均も dE=0.6×400=240 V です。電流の平均値は 240÷10=24.0 A となり、正答は(2)です。

【回路の動作】

・S オン(1周期 T のうち dT の間):電流は E → S → L → R → E と流れる。D には逆電圧がかかり導通しない。

・S オフ(残りの (1-d)T の間):L が電流を流し続けようとするので、電流は L → R → D → L と還流する。

このため、D の両端(L と R の直列回路の入口)の電圧は、オンの間は E、オフの間は 0 になります。

【平均電圧と平均電流】

D の両端の電圧の平均値:V_d=dE=0.6×400=240 V

定常状態では、リアクトルの電圧の1周期の平均は0(電流が周期ごとに同じ値に戻るため)なので、抵抗の電圧の平均も 240 V です。

 I_R(平均)=240/10=24.0 A → 正答(2)

L と f は平均値の計算には使いません(電流の脈動の大きさに関係する値です)。

【誤りの選択肢】

・(1)40.0:E/R=400/10。通流率を掛けずに計算した値。

・(3)16.0:(1-d)E/R=0.4×400/10。オンとオフの時間を逆にした値。

・(4)3.8、(5)2.5:リアクトルのリアクタンス 2πfL=2π×10×10³×1×10⁻³≒62.8 Ω を使い、0.6×400/62.8≒3.8、0.4×400/62.8≒2.5 と計算した値。直流の平均値を求めるのに交流のリアクタンスは使えません。

【なぜリアクトルの平均電圧が0になるのか】

リアクトルの電圧は v_L=L di/dt です。1周期にわたって積分すると L{i(T)-i(0)} になり、定常状態では周期の初めと終わりで電流が同じ値なので0になります。したがって

 (L と R の入口の平均電圧)=(L の平均電圧)+(R の平均電圧)=0+R×I_R(平均)

となり、I_R(平均)=dE/R が得られます。L の値や周波数によらず、平均電流は通流率と E、R だけで決まります。これが、本問で L=1 mH、f=10 kHz が与えられていても平均値の計算に使わない理由です。

【平滑リアクトルの役割】

S がオン・オフを繰り返すので、入口の電圧は 0 と 400 V を行き来する方形波です。リアクトルは電流の急な変化を妨げるので、負荷抵抗の電流は平均値 24 A のまわりで脈動するだけになります。本問の値では時定数 L/R=1×10⁻³/10=100 μs が周期 T=1/f=100 μs と同じ程度なので、脈動は小さくはありません。オンとオフの区間でそれぞれ指数関数的に変化する電流を周期的定常状態として解くと、電流はおよそ 19 A から 29 A の間を行き来し、平均は 24 A になります。脈動の大きさは L を大きくするか f を高くすると小さくなりますが、平均値は変わりません。

【ダイオードの働き】

D は還流ダイオード(フリーホイーリングダイオード)と呼ばれます。S がオフになった瞬間に D がなければ、リアクトルの電流の行き場がなくなり、L di/dt によって S の両端に大きな電圧が生じます。D があることで電流は L → R → D の経路で流れ続け、S を保護すると同時に負荷電流を連続させます。

【昇圧チョッパとの区別】

降圧チョッパの出力電圧の平均は dE(d は 0~1 なので E 以下)です。スイッチとリアクトルの位置を入れ替えた昇圧チョッパでは E/(1-d) となり、E 以上の電圧が得られます。回路図のスイッチ・ダイオード・リアクトルの位置から、どちらのチョッパかをまず見分けることが大切です。

【関連する出題】

電験三種の機械では、降圧・昇圧・昇降圧チョッパの出力電圧の式、各区間での電流の経路、還流ダイオードの役割、電流波形の読み取りが繰り返し出題されています。「リアクトルの平均電圧は0」「コンデンサの平均電流は0」という定常状態の考え方を使えば、どのチョッパの式も自分で導けます。

この問題の根拠出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和7年度上期 第三種電気主任技術者試験 機械(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。