電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和5年度上期 理論 問7|直流回路(抵抗温度特性)

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

図の回路において,スイッチSを閉じ,直流電源から金属製の抵抗に電流を流したとき,発熱により抵抗の温度が120℃になった。スイッチSを閉じた直後に回路を流れる電流に比べ,抵抗の温度が120℃になったときに回路を流れる電流は,どのように変化するか。最も近いものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 ただし,スイッチSを閉じた直後の抵抗の温度は20℃とし,抵抗の温度係数は一定で0.005℃⁻¹とする。また,直流電源の起電力の大きさは温度によらず一定とし,直流電源の内部抵抗は無視できるものとする。 (図:直流電源,スイッチS,抵抗1個を直列に接続した回路。)

問題の図(出典: 令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問7/電気技術者試験センター)

図の出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問7

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正解は 3
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解説

金属の抵抗が温度で増えることから,電流の変化を求める問題です(令和5年度上期 問7)。

金属の抵抗は温度が上がると大きくなります。20℃のときの抵抗をRとすると,温度係数0.005℃⁻¹で100℃上がるので,120℃では

R×(1+0.005×100)=1.5R

になります。電源の電圧は一定なので,電流は抵抗に反比例して1/1.5≒0.667倍です。もとの電流から約33%減ります。正答は(3)です。

【抵抗の温度変化】

20℃の抵抗をR₂₀,温度係数をα=0.005℃⁻¹とすると,t[℃]での抵抗は

R_t=R₂₀{1+α(t-20)}

120℃では

R₁₂₀=R₂₀(1+0.005×100)=1.5R₂₀

【電流の変化】

電源の起電力Eは一定で内部抵抗は無視できるので,回路の抵抗は金属抵抗だけです。

閉じた直後:I₂₀=E/R₂₀

120℃のとき:I₁₂₀=E/(1.5R₂₀)=0.667×I₂₀

変化率は (0.667-1)×100≒-33%,つまり約33%の減少です。

消費電力 E²/R も抵抗に反比例するので,同じく約33%減ります。

【誤りの選択肢】

(2)50%増加は,抵抗の増加率50%をそのまま電流の増加と取り違えたものです。(4)50%減少は,抵抗が1.5倍になったことを電流の50%減と読み替えたものです。電流は抵抗に反比例するので,増加率の50%がそのまま減少率にはなりません。(1)は温度による抵抗変化を無視したもの,(5)は増減の向きを逆にしたものです。

正答は(3)です。

【温度係数の意味】

抵抗の温度係数αは,基準温度での抵抗に対して1℃あたり何倍の割合で抵抗が変わるかを表します。本問はα=0.005℃⁻¹が20℃基準で一定とされているので,R_t=R₂₀{1+α(t-20)} の一次式がそのまま使えます。金属は温度が上がると格子振動が激しくなり,自由電子が散乱されやすくなるため,αが正になります。

【反比例の変化率を正しく扱う】

抵抗が(1+x)倍になると,電流は1/(1+x)倍です。変化率は

1/(1+x)-1=-x/(1+x)

で,x=0.5を代入すると -0.5/1.5≒-0.333 です。xが小さいときは -x に近くなりますが,本問のようにxが0.5と大きいと,「抵抗50%増なら電流50%減」という近似は大きく外れます。(4)はこの近似で選んでしまう誤りです。

【消費電力の変化】

電圧一定の回路では,消費電力P=E²/Rも抵抗に反比例します。120℃では電力もはじめの1/1.5,約67%に下がります。金属抵抗は温度が上がると電流と電力が自然に減る方向に働くため,白熱電球では点灯直後に大きな突入電流が流れ,その後に安定します。

【基準温度が異なる場合】

温度係数は基準温度によって値が変わります。基準温度t₁での係数をα₁とすると,別の温度t₂を基準にした係数は α₂=α₁/{1+α₁(t₂-t₁)} です。問題で「温度係数は一定」とされているときは,与えられた基準温度での一次式で計算します。

【逆算する形の出題】

同じ条件を逆にたどり,「電流がはじめの2/3になったときの抵抗の温度は何℃か」と問われることもあります。抵抗が1.5倍になったので 1+0.005×Δt=1.5,Δt=0.5/0.005=100℃,温度は 20+100=120℃ と求めます。

【関連する出題パターン】

・二つの温度での抵抗値から温度係数を求める問題

・温度上昇後の消費電力の変化を求める問題

・抵抗率と長さ・断面積から抵抗を求め,温度補正を加える問題

いずれも R_t=R₀{1+α(t-t₀)} と,電圧一定なら電流は抵抗に反比例することの組合せで解けます。

この問題の根拠出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和5年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。