電験三種
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

電験三種 令和4年度上期 理論 問11|電子回路(トランジスタ・増幅)

問題

電験三種 | 理論 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-29

次の文章は,電界効果トランジスタ(FET)に関する記述である。 図は,nチャネル接合形FETの断面を示した模式図である。ドレーン(D)電極に電圧V_DSを加え,ソース(S)電極を接地すると,nチャネルの (ア) キャリヤが移動してドレーン電流I_Dが流れる。ゲート(G)電極に逆方向電圧V_GSを加えると,pn接合付近に空乏層が形成されてnチャネルの幅が (イ) し,ドレーン電流I_Dが (ウ) する。このことからFETは (エ) 制御形の素子である。 上記の記述中の空白箇所(ア)~(エ)に当てはまる組合せとして,正しいものを次の(1)~(5)のうちから一つ選べ。 (図:n形半導体の上下にp形のゲート領域を設け,両側にソースS電極とドレーンD電極を付けたnチャネル接合形FETの断面。ゲートG-ソースS間に電圧V_GS,ドレーンD-ソースS間に電圧V_DSを加え,ドレーン電流I_Dがドレーンに流れ込む向きに描かれている。)

問題の図(出典: 令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問11/電気技術者試験センター)

図の出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論 問11

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正解は 5
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解説

nチャネル接合形FETの動作原理を問う穴埋め問題です(令和4年度上期 問11)。

nチャネルを流れるのはn形半導体の多数キャリヤである電子です(ア:多数)。

ゲートに逆方向電圧を加えるとpn接合の空乏層が広がり,電流の通り道であるチャネルが狭くなります(イ:減少)。通り道が狭くなるのでドレーン電流も減ります(ウ:減少)。

ゲートには逆方向電圧がかかっていて電流はほとんど流れず,ゲートの電圧だけでドレーン電流を操作するので,FETは電圧制御形の素子です(エ:電圧)。正答は(5)です。

【(ア) 多数】

nチャネルはn形半導体なので,多数キャリヤは電子,少数キャリヤは正孔です。V_DSを加えるとソースからドレーンへ電子が移動し,ドレーン電流I_D(電子の流れと逆向き,図ではドレーンに流れ込む向き)が流れます。FETは多数キャリヤだけで動作するので,ユニポーラトランジスタと呼ばれます。

【(イ) 減少】

ゲートのp形とチャネルのn形でpn接合ができています。ゲートに逆方向電圧(p側を負)をかけると,接合付近のキャリヤが追い払われて空乏層が広がります。空乏層には自由に動けるキャリヤがほとんどないので,電流が流れるnチャネルの幅は狭くなります。

【(ウ) 減少】

チャネルが狭くなると抵抗が大きくなり,同じV_DSでもドレーン電流I_Dは減少します。逆方向電圧をさらに大きくするとチャネルがふさがり,I_Dはほぼ0になります(ピンチオフ)。

【(エ) 電圧】

ゲートの接合は逆バイアスなのでゲート電流はほとんど流れず,ゲート-ソース間の電圧V_GSでI_Dを制御します。ベース電流でコレクタ電流を制御するバイポーラトランジスタ(電流制御形)と対照的です。

【誤りの選択肢】

(1)(2)は(ア)を少数としていて誤りです。(2)(3)はチャネル幅が増加するとしていて,空乏層が広がる向きと逆です。(1)はチャネルが狭くなるのに電流が増加するとしていて矛盾します。(4)は(エ)を電流制御形としていて誤りです。正答は(5)です。

【ユニポーラとバイポーラ】

バイポーラトランジスタは,エミッタからベースへ注入された少数キャリヤがベースを通り抜けることで動作するため,電子と正孔の両方が関わります。これに対しFETは,チャネルの多数キャリヤだけが電流を運びます。(ア)の「少数」は,バイポーラトランジスタの動作原理と取り違えると選んでしまう誤りです。

【空乏層とチャネル幅】

接合形FETでは,ゲートのp形とチャネルのn形のpn接合に逆方向電圧をかけて使います。逆方向電圧が大きいほど空乏層は厚くなり,チャネル側へ食い込みます。空乏層は自由に動けるキャリヤがほとんどない絶縁体に近い領域なので,電流が流れる断面積が減り,チャネルの抵抗が増えてI_Dが減ります。チャネルが完全にふさがるときのゲート電圧をピンチオフ電圧といいます。V_GS=0のときにI_Dが最大となり,逆方向電圧で電流を絞っていく動作です。

【電圧制御形と高い入力インピーダンス】

ゲートは逆バイアスのpn接合なので,流れるのはごくわずかな漏れ電流だけです。そのため入力インピーダンスが非常に高く,信号源からほとんど電流を取らずに増幅できます。増幅の能力はベース電流に対する電流増幅率ではなく,相互コンダクタンス g_m=ΔI_D/ΔV_GS[S]で表します。ドレーン電流の変化を電圧の変化で割った量であることも,電圧制御形であることを示しています。

【MOSFETとの比較】

MOSFETはゲートとチャネルの間に薄い酸化膜(絶縁膜)があり,ゲート電流は接合形FETよりさらに小さくなります。nチャネルのエンハンスメント形では,ゲートに正の電圧を加えてチャネルを誘起してから電流を流すので,「逆方向電圧でチャネルを狭める」接合形とは動作の向きが逆です。どちらも多数キャリヤで動作する電圧制御形の素子である点は共通です。

【関連する出題パターン】

・pチャネル接合形FETで,キャリヤが正孔になり電圧の極性が逆になる形

・MOSFETのエンハンスメント形とデプレション形の違い

・バイポーラトランジスタ(電流制御形・少数キャリヤの注入)との比較

・FETの図記号から,nチャネル・pチャネル,接合形・MOS形を見分ける問題

この問題の根拠出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター)
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は電気技術者試験センター公表の過去問題を出典明記の上で引用しています。同センターは公式サイトの「よくあるご質問」で、教育目的など試験制度の意義に反しない限り、公表された過去問題を問題集やテキストに使用する際の許諾および使用料は不要としています。 根拠・出典:出典:令和4年度上期 第三種電気主任技術者試験 理論(一般財団法人 電気技術者試験センター) 各根拠条文・規定は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令・基準の数値を反映(数値確認日 2026-10-29)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・基準は改正されることがあるため、最新の内容は一般財団法人 電気技術者試験センター・経済産業省の公式情報をご確認ください。本サイトは電気技術者試験センターと一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。電気事業法・電気工事士法・電気用品安全法・電気設備技術基準・内線規程の根拠条文に基づき、段差のある3段階の解説(初心者・標準・上級)を作成しています。