問題
労働安全衛生法に規定する安全衛生改善計画(第79条)及び特別安全衛生改善計画(第78条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
キーボード:1〜5で選択
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
安全衛生改善計画(第79条)に第78条第2項・第3項の規定を準用する際、第79条第2項は「同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする」と明記しています(「同項」は遵守義務を定めた第78条第3項の「第一項の事業者及びその労働者は」の部分)。つまり「第一項」は第78条第1項のままではなく、第79条第1項(次条第1項)に読み替えられます。「読み替えは行われない」とするオが誤りです。
ア〜エはいずれも正しい記述です。安全衛生改善計画は都道府県労働局長の指示(第79条第1項)、特別安全衛生改善計画は厚生労働大臣の指示(第78条第1項)で、労働者の意見聴取義務(同条第2項)・遵守義務(同条第3項)・是正されない場合の勧告・公表(同条第5項・第6項)が定められています。
安全衛生改善計画(第79条)と特別安全衛生改善計画(第78条)の対比:
| 項目 | 特別安全衛生改善計画(第78条) | 安全衛生改善計画(第79条) |
|---|---|---|
| 指示権者 | 厚生労働大臣 | 都道府県労働局長 |
| 指示要件 | 重大な労働災害(厚生労働省令で定めるもの)が発生し、再発防止のため厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるとき | 事業場の施設その他の事項について総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(第78条第1項の場合を除く) |
| 提出先 | 厚生労働大臣 | (第79条に提出先の明文なし。指示は都道府県労働局長) |
| 意見聴取義務 | 第78条第2項(労働者過半数組合又は過半数代表者の意見) | 第78条第2項を準用(第79条第2項) |
| 遵守義務 | 第78条第3項 | 第78条第3項を準用(第79条第2項) |
| 変更指示・勧告・公表 | 第78条第4項〜第6項(厚生労働大臣) | 明文の準用規定なし |
各選択肢の精査:
- ア(正): 第79条第1項のとおり、都道府県労働局長が指示権者。
- イ(正): 第78条第1項のとおり、厚生労働大臣が指示権者。
- ウ(正): 第78条第2項のとおり。
- エ(正): 第78条第5項・第6項のとおり。
- オ(誤・正答): 第79条第2項は準用にあたり「同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする」と定めており、読み替えが行われる。
【条番号の対応を最初に固める】
条番号の対応は「第78条=特別安全衛生改善計画(厚生労働大臣が指示)」「第79条=安全衛生改善計画(都道府県労働局長が指示)」である。「第78条の2」という条は存在しない。条番号が若い第78条のほうが重い(重大な労働災害を契機とする)制度である点が、取り違えやすいポイントになる。
【特別安全衛生改善計画(第78条)の指示要件と手続】
第78条第1項は「厚生労働大臣は、重大な労働災害として厚生労働省令で定めるものが発生した場合において、重大な労働災害の再発を防止するため必要がある場合として厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときは……事業者に対し、その事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「特別安全衛生改善計画」という。)を作成し、これを厚生労働大臣に提出すべきことを指示することができる」と定める。重大な労働災害の発生を契機として、中央行政機関である厚生労働大臣が直接関与する制度である。第2項は事業者が特別安全衛生改善計画を作成しようとする場合、当該事業場の労働者の過半数で組織する労働組合(ないときは過半数代表者)の意見を聴く義務を課す。第3項は事業者及びその労働者に計画の遵守義務を課す。第4項は厚生労働大臣が計画の内容を不適切と認めるときの変更指示権限を、第5項は指示違反・計画不遵守の場合の必要な措置の勧告権限を、第6項は勧告に従わなかった場合の公表権限を、それぞれ定める。
【安全衛生改善計画(第79条)の指示要件と準用の仕組み】
第79条第1項は「都道府県労働局長は、事業場の施設その他の事項について、労働災害の防止を図るため総合的な改善措置を講ずる必要があると認めるとき(前条第一項の規定により厚生労働大臣が同項の厚生労働省令で定める場合に該当すると認めるときを除く。)は……事業者に対し、当該事業場の安全又は衛生に関する改善計画(以下「安全衛生改善計画」という。)を作成すべきことを指示することができる」と定める。括弧書きで、第78条第1項により厚生労働大臣が重大災害の再発防止のため特別安全衛生改善計画の指示を行うべき場合は除外されており、両制度が重複して発動しない仕組みになっている。
第79条第2項は「前条第二項及び第三項の規定は、安全衛生改善計画について準用する。この場合において、同項中「第一項」とあるのは、「次条第一項」と読み替えるものとする」と定める。ここでの「次条」とは第79条自体を指す(第78条から見た「次の条」が第79条であるため)。つまり、第78条第2項・第3項をそのまま安全衛生改善計画に当てはめる際、条文中の「第一項」(本来は第78条第1項を指す)を「次条第一項」=第79条第1項に読み替えることで、安全衛生改善計画の作成手続にも意見聴取義務・遵守義務が及ぶようにしている。この読み替え規定を正確に理解しないと、「意見聴取義務や遵守義務は特別安全衛生改善計画だけの制度」と誤解しやすい。
【安全衛生診断の勧奨(第80条)との関係】
第80条第1項は、厚生労働大臣が第78条第1項又は第4項の指示をした場合に、専門的な助言を必要とすると認めるときは、事業者に対し、労働安全コンサルタント又は労働衛生コンサルタントによる診断を受け、特別安全衛生改善計画の作成又は変更についてこれらの者の意見を聴くべきことを勧奨できると定める。第2項はこれを都道府県労働局長が第79条第1項の指示をした場合に準用し、「作成又は変更」を「作成」と読み替える。安全衛生改善計画には第78条第4項のような変更指示の規定が準用されていないため、読み替え後は「作成」だけが対象になる。
【都道府県労働局長と厚生労働大臣の役割分担】
一般的な事業場の安全衛生状況の改善は都道府県労働局長(現場に近い機関)が、重大な労働災害を契機とする全国的な影響を持つ事案は厚生労働大臣(中央機関)が、それぞれ指示権者となる役割分担は、行政資源の効率的配分と重大事案への迅速な対応を両立させる制度設計といえる。
根拠: 労働安全衛生法第78条・第79条。e-Gov法令検索(https://laws.e-gov.go.jp/law/347AC0000000057 )で2026-09-30時点の条文を確認。
- 労働安全衛生法第78条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第78条(特別安全衛生改善計画)・第79条(安全衛生改善計画)。e-Gov法令検索で2026-09-30時点の現行条文を確認。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

