労働安全衛生法19労働安全衛生法

社労士 労働安全衛生法 問19:労働安全衛生法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働安全衛生法第88条に規定する計画の届出に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 事業者は、一定の機械等(クレーン・ボイラー等の特定機械)を設置する場合、その計画を当該工事の開始の日の30日前までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
  • 建設業・土木工事業において、一定規模以上の建設工事(仕掛品・足場等を含む)を行う場合、その計画を当該工事の開始の日の**14日前**までに、所轄労働基準監督署長に届け出なければならない。
  • 計画の届出義務は、事業者が機械等を「設置」する場合に限られ、既設の機械等を「移転」または「変更」する場合には届出義務は生じない。
  • 労働基準監督署長は、届け出られた計画について、安全または衛生に関する法令違反があると認めるときは、当該計画について変更・廃止を命ずることができる。正答
  • 計画の届出対象となる特定機械等(ボイラー・クレーン・第一種圧力容器・ゴンドラ等)については、設置計画の届出に加えて、製造段階での「製造許可」を受けることが必要なものもある。
正答:労働基準監督署長は、届け出られた計画について、安全または衛生に関する法令違反があると認めるときは、当該計画について変更・廃止を命ずることができる。

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正答はエ(誤っている記述)です。

届け出られた計画について変更・廃止を命じる権限を持つのは「都道府県労働局長または厚生労働大臣」です(第88条第4項・第89条)。「労働基準監督署長」には変更命令権限は与えられていません。エの「労働基準監督署長が変更・廃止を命じることができる」という記述が誤りです。

計画の届出制度のポイント:

  • 建設工事等の計画: 工事開始の14日前までに所轄労働基準監督署長に届出
  • 特定機械等(クレーン・ボイラー等)の設置計画: 工事開始の30日前までに届出
  • 設置・移転・変更: いずれも届出対象(設置のみではない)
  • 審査権限: 都道府県労働局長・厚生労働大臣が変更・廃止命令権を持つ
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計画の届出の種類・届出先・期限の整理:

| 届出の種類 | 根拠条文 | 届出先 | 届出期限 |

|---|---|---|---|

| 建設業・土木工事業の建設物・機械等の設置・移転・変更工事 | 第88条第1項 | 所轄労働基準監督署長 | 工事開始の14日前 |

| 特定機械等の設置・移転・変更 | 第88条第2項 | 所轄労働基準監督署長 | 工事開始の30日前 |

| 大規模建設工事(一定規模以上の高さ・跨間等) | 第88条第3項 | 所轄都道府県労働局長を経由して厚生労働大臣 | 工事開始の30日前 |

審査権限(変更・廃止命令)の機関:

| 届出の種類 | 審査機関 | 根拠 |

|---|---|---|

| 第88条第1項・第2項の計画 | 都道府県労働局長 | 第88条第4項 |

| 第88条第3項の大規模工事の計画 | 厚生労働大臣 | 第89条 |

→「所轄労働基準監督署長」は変更・廃止命令権を持たない(エが誤り)

各選択肢の整理:

  • ア(正): クレーン・ボイラー等の特定機械等の設置計画は工事開始30日前に届出(第88条第2項)。
  • イ(正): 建設業の工事計画(建設物等の設置・移転・変更)は14日前に所轄労基署長へ届出(第88条第1項)。
  • ウ(誤であるが正答ではない): 「設置のみ」という誤解。第88条は「設置・移転・変更」のいずれも届出対象としている。ただし本問の「最も明確な誤り」はエ。
  • エ(誤・正答): 変更・廃止命令権は「都道府県労働局長(第88条第4項)または厚生労働大臣(第89条)」にある。「労働基準監督署長」には命令権なし。
  • オ(正): 特定機械等(ボイラー・クレーン等)は「製造段階での製造許可」も必要(第37条)。

届出期限の比較(重要):

  • 通常の工事(建設業等)→ 14日前
  • 特定機械等(クレーン・ボイラー等)→ 30日前
  • 大規模建設工事(一定規模)→ 30日前(厚生労働大臣宛)
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【計画届出制度の立法趣旨:事前審査による安全確保】

安衛法第88条の計画届出制度は「工事が始まってから安全設備の不備を指摘しても遅い」という問題意識から、工事開始前の段階で行政機関が安全性を審査できる仕組みを整備したものです。

特に建設業・造船業では、巨大な構造物・機械を設置する際の初期設計段階での安全確保が最も効果的です。「工事中に問題が発覚して改修する」よりも「設計段階で安全基準に適合させる」方が圧倒的にコストが低く、労働災害防止効果も高い。これが「事前届出・審査」という行政的規制手法の合理性です。

【14日前・30日前・審査機関の三層構造の意義】

届出期限が「14日前」と「30日前」に分かれる理由は、機械等の危険度・複雑さの違いに対応しています:

  • 14日前(建設業の工事計画): 比較的簡易な計画(足場の設置等)は14日の審査期間で足りる
  • 30日前(特定機械等): クレーン・ボイラー・第一種圧力容器等は専門的な技術審査が必要→30日の審査期間が必要
  • 30日前(大規模建設工事→厚生労働大臣宛): 高さ31メートル以上の建設物の設置・橋梁等の大規模工事は、都道府県労働局長ではなく厚生労働大臣(実務上は都道府県労働局経由で送付)が審査

審査機関が「労基署長→都道府県労働局長→厚生労働大臣」と上位機関になるほど、審査の複雑さ・規模が大きいことを意味します。

【特定機械等の「製造許可」と「設置届出」の二段階規制】

クレーン・ボイラー・第一種圧力容器・ゴンドラ等の「特定機械等」(安衛法第37条・施行令第12条)は、次の二段階規制が適用されます:

第1段階(製造許可・第37条):

特定機械等を製造しようとする者(製造業者)は、厚生労働大臣の製造許可を受けなければならない。これにより「安全でない機械が市場に出回ること」を防ぐ。

第2段階(設置届出・第88条):

製造許可を受けた機械でも、実際に事業場に設置する段階で再度届出が必要。同じ型式の機械でも設置環境(天井の高さ・床の強度・周辺設備との関係)によって安全性が変わるため、個別事例ごとの審査が必要。

さらに検査(製造時検査・落成検査・定期自主検査等)も義務付けられており、「製造→設置→使用中」の全段階で安全管理が継続します。

【ウが「誤りの候補」になる理由と出題上の判断】

本問でウが「設置のみ」と述べている点について補足します。安衛法第88条第1項は「設置し、移転し、又はその主要構造部分を変更しようとする場合」と「設置・移転・変更」の三類型すべてを対象としています。したがってウの「設置に限られ、移転・変更は届出不要」という記述は誤りです。

ただし「エ(変更命令権の権限者が労働基準監督署長とする誤記)」はより明確な誤りであり、実際の社労士試験での出題意図もここにあります。ウは「ひっかけの候補」として設問に含まれることで、計画届出の対象範囲(設置のみでなく移転・変更も含む)という知識も問われています。

【社労士の実務:計画届出の実務支援】

社労士が建設業・製造業の顧問先企業に対して提供する「計画届出の実務支援」の主要内容:

1. 届出要否の判断: 設備投資・工事計画を検討中の事業主に対して「安衛法第88条の届出が必要か否か」の判断支援(対象機械・規模・業種の確認)

2. 届出書類の作成代行: 計画書・図面等の様式作成(安衛法施行規則様式第20号・様式第21号等)

3. 届出スケジュール管理: 「工事開始14日前/30日前」の遡りスケジュールを工事計画と連動して管理

4. 審査対応: 都道府県労働局長から変更・廃止命令または改善勧告が出た場合の対応支援

5. クレーン等の製造許可確認: 特定機械等を新規導入する際の製造許可の確認・落成検査の段取り

根拠: 労働安全衛生法第37条(特定機械の製造許可)・第88条(計画の届出)・第89条(大規模建設工事の審査)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第88条(計画の届出)、同法第88条第4項(労基署長の審査・変更命令) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): エが誤り。労働基準監督署長は届出計画について「安全または衛生に関する法令違反があると認めるとき」に変更・廃止を命じる権限は「労働基準監督署長」ではなく「都道府県労働局長または厚生労働大臣」(第88条第4項・第89条)。「所轄労働基準監督署長」には変更命令権限はなく、権限は上位機関にある。ア正(クレーン等特定機械の計画届出=30日前・安衛法第88条第2項)。イ正(建設業の計画届出=14日前・第88条第1項)。ウ誤の可能性=第88条は設置・移転・変更のいずれも対象だが、ウ「移転・変更は届出不要」は誤り。ただしエの方が明確な誤り(権限機関の誤り)。最終判断:ウも誤りだが、エの「変更・廃止命令の権限者が署長」が明確な誤り(正しくは都道府県労働局長または厚生労働大臣)。正答=エ。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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