問題
労働安全衛生法に規定する健康診断の事後措置に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はア(正しい記述)です。
事業者は、健康診断の結果に基づく医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません(第66条の5)。これが「事後措置義務」です。
各誤りのポイント:
- イ(誤): 意見聴取の期限は「健康診断が行われた日から3月以内」(安衛則第51条の2第1項)。設問の「6月以内」は誤り。
- ウ(誤): 就業上の措置は労働者の了解が絶対要件ではない(使用者の安全配慮義務として実施可能)。
- エ(誤): 健診結果の本人通知は法定義務(第66条の6)であり、本人請求を要件としない。
- オ(誤): 深夜業従事者の自発的健診(第66条の2)の結果に異常の所見があれば、提出を受けた事業者にも医師意見聴取義務あり(第66条の4)。
健康診断の事後措置フロー(第66条の4〜66条の8):
| ステップ | 条文 | 内容 | 期限等 |
|---|---|---|---|
| ① 医師等の意見聴取 | 第66条の4 | 異常の所見があると診断された労働者について、健診結果に基づき医師・歯科医師から必要な措置に関する意見を聴く | 健診実施日から3月以内 |
| ② 就業上の措置の実施 | 第66条の5 | 医師の意見を勘案し、必要があると認めるときに措置を実施(「必要があると認めるとき」の判断は事業者が行う) | 条文上の期限なし |
| ③ 措置の内容 | 第66条の5 | 就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等のほか、作業環境測定の実施、施設・設備の設置・整備、医師等の意見の衛生委員会等への報告など | — |
| ④ 本人への通知 | 第66条の6 | 健診結果を当該労働者に通知 | 遅滞なく |
| ⑤ 記録の保存 | 安衛則第51条 | 健康診断個人票を作成・保存 | 5年間(一部特殊健診は30年等) |
各選択肢の整理:
- イ(誤): 医師意見聴取の期限は健診実施日から3月以内(安衛則第51条の2第1項)。設問イの「6月以内」は誤り。
- ア(正): 「医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは就業場所変更・作業転換・労働時間短縮・深夜業回数減少等の措置を講じなければならない」(第66条の5第1項)は条文通り正しい記述。
- ウ(誤): 第66条の5第1項は、医師の意見を勘案し「当該労働者の実情を考慮して」措置を講じることを求めており、労働者の了解を措置の要件とはしていない。
- エ(誤): 健診結果の本人通知は法定義務(第66条の6)であり、本人の請求を要件としない。健康診断個人票の5年保存(安衛則第51条)も別途義務。
- オ(誤): 第66条の4は、第66条の2の自発的健診の結果(異常の所見があると診断された労働者に係るもの)についても、事業者に医師の意見を聴くことを義務付けている。期限は結果を証明する書面が提出された日から2月以内(安衛則第51条の2第2項第1号)。自発的健診も事後措置の対象。
【健康診断の事後措置:法的義務の範囲と「必要と認めるとき」の解釈】
安衛法第66条の5第1項は「事業者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置または整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」と規定します。
ここで重要なのは「その必要があると認めるとき」という要件です。この要件は:
1. 医師の意見が「就業制限・配置転換が必要」と言っても、事業者が「必要なし」と判断できる余地があるのか?
2. 「必要と認めるとき」の判断基準は何か?
という解釈問題を生じさせます。条文上、措置の要否は、事業者が医師の意見を「勘案」して判断する構造になっており、医師の意見がそのまま措置の内容を決めるわけではありません。ただし、医師意見を無視して何も措置を講じず、その後労働者が健康障害を発症した場合には「安全配慮義務違反(民法第415条・労働契約法第5条)」として民事損害賠償責任が生じます。
【意見聴取期限(3月以内)の起算点の問題】
安衛則第51条の2第1項第1号は、意見聴取を「健康診断が行われた日(労働者が他の医師の健康診断を受けて結果を証明する書面を提出した場合は、その書面を提出した日)から3月以内」に行うこととしています。起算点は原則として「健康診断が行われた日」です。
例えば、外部の健診機関に委託した健診で、健診実施日(10月1日)から結果の通知(11月15日)まで時間がかかっても、意見聴取の3月は「10月1日(健診実施日)」から数えます。
深夜業従事者の自発的健診については「健康診断の結果を証明する書面が事業者に提出された日から2月以内」という別の期限が設けられています(安衛則第51条の2第2項第1号)。
【就業上の措置と労働者への配慮】
就業上の措置は労働者の了解を法律上の要件とはしていませんが、第66条の5第1項は「当該労働者の実情を考慮して」措置を講じることを求めています。健康診断の結果を理由とした不当な解雇・降格は、解雇権濫用(労働契約法第16条)等の問題になり得ます。なお第66条の8の3は労働時間の状況の把握の規定であり、健康診断を理由とする不利益取扱いを定めた規定ではありません(ストレスチェック後の面接指導の申出を理由とする不利益取扱いの禁止は第66条の10第3項後段)。
【社労士の実務:健診後措置の設計と記録管理】
社労士の健診事後措置支援業務の主な内容:
1. 意見聴取スケジュール管理: 健診実施後3月以内の医師意見聴取のスケジュール化・産業医との連携
2. 就業制限の法的リスク評価: 医師意見と事業上の必要性のバランスを踏まえた就業制限設計
3. 個人情報管理: 健康診断個人票の適切な保管・アクセス管理(健康情報は個人情報保護法の要配慮個人情報)
4. 衛生委員会への報告: 健診結果の統計的情報(個人が特定されない形で)を衛生委員会に報告する体制の整備
5. 保存期間管理: 一般健診5年(安衛則第51条)・特別規則による長期保存(石綿健診40年等)の保存期間別管理
根拠: 労働安全衛生法第66条の2・第66条の4・第66条の5・第66条の6、労働安全衛生規則第51条・第51条の2。
- 労働安全衛生法第66条の5・第66条の2e-Govで原文を読む
- 労働安全衛生規則第51条の2・第51条e-Govで原文を読む
- 民法第415条e-Govで原文を読む
- 労働契約法第5条・第16条e-Govで原文を読む
- 個人情報の保護に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条の2(自発的健康診断)・第66条の4(医師等からの意見聴取)・第66条の5(就業上の措置)・第66条の6(結果の通知)、安衛則第51条(健康診断個人票)・第51条の2(意見聴取の期限) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

