労働安全衛生法18労働安全衛生法

社労士 労働安全衛生法 問18:労働安全衛生法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働安全衛生法に規定する健康診断の事後措置に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 使用者は、定期健康診断の結果に基づき、医師または歯科医師の意見を聴かなければならず、この意見聴取は健康診断が行われた日から**6月以内**に行わなければならない。
  • 使用者は、健康診断の結果に基づく医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮した上で、就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならない。正答
  • 健康診断の結果に基づき、使用者が就業上の措置(就業制限・配置転換等)を行う場合には、当該労働者の了解を得た上で行わなければならず、労働者が反対した場合は措置を講じることができない。
  • 使用者は、健康診断の結果を当該労働者に通知する義務はなく、本人からの請求があった場合に限り通知すれば足りる。
  • 深夜業に従事する労働者が、自発的に受診した健康診断(自発的健診)の結果を使用者に提出した場合、使用者はその結果について医師から意見を聴く義務はない。
正答:使用者は、健康診断の結果に基づく医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮した上で、就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じなければならない。

AI解説(初心者・標準・上級)

理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。

初心者向けまずはここから。やさしく要点を解説

正答はイ(正しい記述)です。

使用者は、健康診断の結果に基づく医師の意見を勘案し、必要があると認めるときは就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業の回数の減少等の措置を講じなければなりません(第66条の5)。これが「事後措置義務」です。

各誤りのポイント:

  • ア(誤): 意見聴取の期限は「健康診断が行われた日から3月月以内」(安衛則第51条の2第1項)。設問の「6月以内」は誤り。
  • ウ(誤): 就業上の措置は労働者の了解が絶対要件ではない(使用者の安全配慮義務として実施可能)。
  • エ(誤): 健診結果の本人通知は法定義務(第66条の6)であり、本人請求を要件としない。
  • オ(誤): 深夜業従事者の自発的健診結果提出時にも医師意見聴取義務あり(第66条の4第2項)。
標準試験対策の基準レベル

健康診断の事後措置フロー(第66条の4〜66条の8):

| ステップ | 条文 | 内容 | 期限等 |

|---|---|---|---|

| ① 医師等の意見聴取 | 第66条の4 | 健診結果に基づき医師・歯科医師から就業上の措置に関する意見を聴く | 健診実施日から3月月以内 |

| ② 就業上の措置の実施 | 第66条の5 | 医師の意見を勘案し、必要があると認めるときに措置を実施(強制ではないが「必要と認めるとき」の判断は使用者が行う) | なし(速やかに) |

| ③ 措置の内容 | 第66条の5 | 就業場所の変更・作業の転換・労働時間の短縮・深夜業回数の減少・有給付与・治療への配慮等 | — |

| ④ 本人への通知 | 第66条の6 | 健診結果を当該労働者に通知 | 遅滞なく |

| ⑤ 記録の保存 | 安衛則第51条 | 健康診断個人票を作成・保存 | 5年間(一部特殊健診は30年等) |

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 医師意見聴取の期限は健診実施日から3月月以内(安衛則第51条の2第1項)。設問アの「6月以内」は誤り。
  • イ(正): 「医師の意見を勘案して、必要があると認めるときは就業場所変更・作業転換・労働時間短縮・深夜業回数減少等の措置を講じなければならない」(第66条の5第1項)は条文通り正しい記述。
  • ウ(誤): 就業制限・配置転換等の就業上の措置は、使用者が安全配慮義務の観点から実施できる。労働者の了解が「絶対的な前提」とはされていない。ただし不利益取扱い(健診結果を理由とした不当な不利益措置)は禁止(第66条の8の3)。
  • エ(誤): 健診結果の本人通知は法定義務(第66条の6)であり、本人の請求を要件としない。健康診断個人票の5年保存(安衛則第51条)も別途義務。
  • オ(誤): 深夜業従事者の自発的健診結果提出時も、使用者は医師の意見を聴く義務がある(第66条の4第2項)。自発的健診も事後措置の対象。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【健康診断の事後措置:法的義務の範囲と「必要と認めるとき」の解釈】

安衛法第66条の5第1項は「使用者は、前条の規定による医師又は歯科医師の意見を勘案し、その必要があると認めるときは、当該労働者の実情を考慮して、就業場所の変更、作業の転換、労働時間の短縮、深夜業の回数の減少等の措置を講ずるほか、作業環境測定の実施、施設または設備の設置または整備、当該医師又は歯科医師の意見の衛生委員会若しくは安全衛生委員会又は労働時間等設定改善委員会への報告その他の適切な措置を講じなければならない」と規定します。

ここで重要なのは「その必要があると認めるとき」という要件です。この要件は:

1. 医師の意見が「就業制限・配置転換が必要」と言っても、使用者が「必要なし」と判断できる余地があるのか?

2. 「必要と認めるとき」の判断基準は何か?

という解釈問題を生じさせます。行政解釈・判例の蓄積から、「医師の意見を尊重する義務はあるが、医師の意見がそのまま法的拘束力を持つわけではなく、使用者が合理的な理由(別の医師の意見、事業上の理由等)を踏まえて異なる判断をすることが完全に禁じられるわけではない」という立場が基本です。ただし、医師意見を無視して何も措置を講じず、その後労働者が健康障害を発症した場合には「安全配慮義務違反(民法第415条・労働契約法第5条)」として民事損害賠償責任が生じます。

【意見聴取期限(3月月以内)の起算点の問題】

安衛則第51条の2第1項は「法第66条の4の規定による意見聴取は、健康診断が行われた日(当該健康診断の結果の記録が作成された日)から3月以内に行わなければならない」と定めます。起算点は「健康診断の実施日」ではなく「健康診断結果の記録(健康診断個人票)が作成された日」という点に注意が必要です。

例えば、外部の健診機関に委託した健診の場合、健診実施日(10月1日)から健診機関が結果を通知してくる日(11月15日)まで時間がかかることがあります。この場合、意見聴取の3月月のカウントは「11月15日(記録作成日)」から始まることになります。

深夜業従事者の自発的健診については「健診結果を使用者に提出した日から2月以内」という別の期限が設けられています(安衛則第51条の2第2項)。

【不利益取扱い禁止(第66条の8の3)の意義と限界】

2019年改正で追加された第66条の8の3は「事業者は、労働者が健康診断等を受けたこと、ストレスチェックを受けたこと、面接指導を申し出たこと等を理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはならない」と定めます。

この規定の実務上の意義は「健康診断で異常を発見された労働者が『解雇されるかも』という恐れから診断受診を避ける」という逆インセンティブを除去することです。特に定期健康診断は使用者に受診させる義務があるため、受診の結果が不利益につながるなら労働者は受診を拒否する合理的インセンティブを持つことになります。

ただし「不利益取扱いの禁止」は「就業制限・配置転換が一切禁止される」という意味ではありません。医師の意見に基づく正当な就業制限は許されます。問題になるのは「健康診断で病気が発覚したことを理由とした不当解雇・降格」等です。

【社労士の実務:健診後措置の設計と記録管理】

社労士の健診事後措置支援業務の主な内容:

1. 意見聴取スケジュール管理: 健診実施後3月月以内の医師意見聴取のスケジュール化・産業医との連携

2. 就業制限の法的リスク評価: 医師意見と事業上の必要性のバランスを踏まえた就業制限設計

3. 個人情報管理: 健康診断個人票の適切な保管・アクセス管理(健康情報は個人情報保護法の要配慮個人情報)

4. 衛生委員会への報告: 健診結果の統計的情報(個人が特定されない形で)を衛生委員会に報告する体制の整備

5. 保存期間管理: 一般健診5年・特定化学物質健診30年等の保存期間別管理

根拠: 労働安全衛生法第66条の4・第66条の5・第66条の6・第66条の8の3、労働安全衛生規則第51条・第51条の2・第51条の3。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第66条の4〜第66条の8(健康診断の事後措置)、安衛則第51条の2・第51条の3 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): イが正しい。ア誤り=意見聴取期限は健康診断が行われた日から「3月以内」(安衛則第51条の2第1項)。設問の「6月以内」は誤り。イ正=第66条の5第1項の条文通りの正しい記述(医師意見を勘案し必要があるときは就業場所変更等の措置を講じる義務)。ウ誤り=労働者の了解は法律上の絶対要件ではない。使用者は安全配慮義務として就業制限等の措置を実施できる(不利益取扱い禁止=第66条の8の3は別論点)。エ誤り=健康診断結果の本人通知は法定義務(第66条の6・本人の請求を要件としない)。オ誤り=深夜業従事者の自発的健診結果提出時も医師意見聴取義務あり(第66条の4第2項)。よってイのみ正=正答イ(プラン正答位置通り)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

健康診断結果に基づく事後措置(医師意見聴取・就業上の措置頻出度A

労働安全衛生法の他の問題

1
労働安全衛生法
2
労働安全衛生法
3
労働安全衛生法
4
労働安全衛生法
5
労働安全衛生法
6
労働安全衛生法
労働安全衛生法の一覧

科目別に解いて、社労士に合格

10科目のオリジナル問題。各問に根拠条文とAI解説(3レベル)付き・閲覧無料。