労働安全衛生法7労働安全衛生法

社労士 労働安全衛生法 問7:労働安全衛生法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働安全衛生法に規定する産業医の選任および職務に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 産業医の選任義務は、常時50人以上の労働者を使用するすべての業種の事業場に生じるが、常時1,000人以上(特定の有害業務に常時500人以上従事させる事業場を含む)の事業場では、産業医は専属でなければならない。
  • 産業医は、労働者の健康管理について必要な医学的知識を有する医師のうちから選任しなければならず、事業者は産業医を選任した場合に所轄の都道府県労働局長に報告しなければならない。正答
  • 産業医の職務には、健康診断の実施とその結果に基づく措置・作業環境の維持管理・作業の管理・労働者の健康管理・健康教育・衛生教育のほか、労働者の健康障害の原因の調査・再発防止のための措置等が含まれる。
  • 常時50人以上3,000人以下の事業場では、嘱託の産業医(他の業務と兼任の産業医)を選任することができるが、常時3,000人を超える事業場では、2人以上の産業医を選任しなければならない。
  • 産業医は、少なくとも毎月1回作業場等を巡視し、作業方法・衛生状態に有害のおそれがあるときは、直ちに必要な措置を講じなければならない。ただし、事業者から毎月所定の情報が提供される場合等、一定の要件を満たすときは少なくとも2か月に1回の巡視に緩和できる。
正答:産業医は、労働者の健康管理について必要な医学的知識を有する医師のうちから選任しなければならず、事業者は産業医を選任した場合に所轄の都道府県労働局長に報告しなければならない。

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正答はイ(誤っている記述)です。

産業医選任の報告先は、「都道府県労働局長」ではなく「所轄労働基準監督署長」です(安衛規則第13条第2項。様式第3号「総括安全衛生管理者・安全管理者・衛生管理者・産業医選任報告」を、選任後遅滞なく所轄労働基準監督署長に提出する義務がある)。報告を怠った事業者は安衛法第120条により50万円以下の罰金に処せられます。「医師から選任しなければならない」の前段は正しい(安衛法第13条第2項)ですが、報告先が誤っているためイ全体として誤りとなります。

アは正しく、50人以上で選任義務・1,000人以上(特定有害業務500人以上含む)で専属義務があります(安衛規則第13条第1項第3号)。ウは正しく、産業医の職務範囲(安衛規則第14条)が正確に述べられています。エは正しく、3,000人超で2人以上の産業医選任義務があります(安衛規則第13条第1項第4号)。オは正しく、2019年改正で一定要件下での2か月に1回の巡視緩和が認められました(安衛規則第15条第1項ただし書き)。

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 安衛規則第13条第2項により産業医選任報告は所轄労働基準監督署長宛(様式第3号、選任後遅滞なく)。罰則は安衛法第120条(50万円以下の罰金)。設問のイを「都道府県労働局長」への報告(誤り)に修正し、正答イを「報告先の誤り」型として確定。 -->

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産業医の選任要件一覧(安衛規則第13条):

| 事業場規模 | 選任義務 | 専属/嘱託 | 人数 |

|---|---|---|---|

| 50人〜999人(通常) | あり | 嘱託可(兼任可) | 1人以上 |

| 1,000人〜3,000人(通常) | あり | 専属必須 | 1人以上 |

| 有害業務500人〜(特定業務) | あり | 専属必須 | 1人以上 |

| 3,001人以上 | あり | 専属必須 | 2人以上 |

「特定の有害業務」(専属産業医義務・500人以上):

  • 多量の高熱物体・低温物体の取扱
  • ラジウム放射線・X線等の有害放射線
  • 多量の有害物・著しく暑熱・寒冷・著しい騒音の場所での業務
  • 振動工具の使用
  • 深夜業を含む業務(等)

産業医の職務(施行規則第14条第1項各号):

1. 健康診断の実施・結果に基づく措置

2. 長時間労働・高ストレス者等の面接指導と措置

3. 作業環境の維持管理

4. 作業の管理(有害物・機器の管理)

5. 労働者の健康管理

6. 健康教育・健康相談・労働者の健康の保持増進

7. 衛生教育

8. 労働者の健康障害の原因調査・再発防止措置

産業医の巡視緩和(2019年改正):

| 改正前 | 改正後(一定要件充足時) |

|---|---|

| 毎月1回以上の巡視(絶対) | 毎月1回(原則)または2か月1回(緩和条件充足時) |

緩和条件:①衛生管理者が毎月1回以上巡視実施・②事業者が産業医に毎月所定の情報提供(時間外労働情報等)

各選択肢の解説:

  • ア(正): 50人以上で選任義務。1,000人以上(特定有害業務500人以上含む)で専属義務(施行規則第13条第1項第3号)。
  • イ(誤・正答): 産業医選任の報告先は「都道府県労働局長」ではなく「所轄労働基準監督署長」(安衛規則第13条第2項・様式第3号)。届出先の誤り。
  • ウ(正): 産業医の職務(施行規則第14条)が正確。
  • エ(正): 3,001人以上で2人以上の専属産業医(施行規則第13条第1項第4号)。
  • オ(正): 2019年改正で2か月1回への巡視緩和が条件付きで認められた(施行規則第15条第1項ただし書き)。
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【産業医制度の立法趣旨と「医師」要件の意義】

産業医は、労働者の健康管理について「医学的知識」を持つ「医師」であることが必須要件です(安衛法第13条第2項)。さらに安衛規則第14条の2では、産業医に「産業医としての職務を行うために必要な医学的知識」に関する所定の研修修了等が求められます。この「医師」要件と「産業医研修」要件の二重構造は、職場の健康管理が単なる健康診断の確認にとどまらず、作業環境・作業方法の医学的評価という高度な専門性を必要とするためです。

【産業医の権限強化(2019年4月改正の詳細)】

2019年4月施行の安衛法改正で、産業医の機能が大幅に強化されました:

1. 情報提供義務の新設(第13条第4項): 事業者は産業医が職務を行うために必要な情報(時間外労働・月100時間超の者の名簿・健診結果・ストレスチェック結果等)を産業医に月1回以上提供する義務。

2. 勧告内容の衛生委員会報告義務(第13条第6項): 産業医が事業者に行った勧告の内容と経緯を衛生委員会に報告する義務(産業医の独立性確保)。

3. 産業医の不利益取扱禁止の明示(第13条第3項): 産業医が業務を正当に行ったことを理由とする不利益取扱いの禁止。

4. 産業医・産業保健機能の強化(衛生委員会等への活動支援強化)。

巡視の2か月緩和も同改正によるものであり、「巡視から情報収集へ」という産業医の職務重点の移行を反映しています。

【専属産業医の要件と実務(1,000人超事業場)】

専属産業医とは、その事業場に専属として(他の事業場との掛け持ちなく)勤務する産業医です。専属義務がある事業場規模:

  • 常時1,000人以上(通常業種)
  • 常時500人以上(特定有害業務)
  • 常時3,001人以上(2人以上必要)

専属産業医の実務上の役割:

  • 週複数回の事業場常駐・健康相談窓口の運営
  • 長時間労働者への面接指導(月45時間超、特に80時間超は義務)
  • 衛生委員会への出席・労働者の健康課題のフォローアップ
  • 産業保健スタッフ(保健師・看護師等)との連携

社労士は産業医の選任状況・専属義務の有無・産業医との連携体制について顧問先を診断し、適切な産業保健体制の整備を支援することが業務の一つです。中小企業(50〜99人)では産業医の確保が困難なケースが多く、地域産業保健センター(JOHAS)や医師会との連携活用を提案することも重要です。

【産業医と「過重労働・健康障害防止」の連携(社労士試験の近年重点論点)】

産業医の中核業務の一つが「過重労働者への面接指導」です(安衛法第66条の8):

  • 月80時間超の時間外・休日労働をした者(面接指導の義務対象): 申出があれば面接指導実施義務(高プロ適用者は健康管理時間月100時間超で義務)
  • 面接指導の結果に基づく就業上の措置: 医師の意見を勘案し、必要に応じて就業場所・作業の変更・就業制限等の措置
  • 記録の保存: 面接指導記録は5年保存

このフローは「36協定の時間外上限規制(月45時間・年360時間・特別条項あり100時間未満)」との連携で機能する設計であり、社労士として36協定・産業医面接指導・就業上の措置を一体的に管理するコンサルティングが求められます。

根拠: 労働安全衛生法第13条(産業医の選任・職務)・第13条の2(小規模事業場)・第66条の8(過重労働面接指導)、労働安全衛生規則第13条(選任基準)・第14条(職務)・第14条の2(情報提供)・第15条(巡視)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第13条(産業医)・第13条の2(小規模事業場の産業医相当者)・第14条(作業主任者)、労働安全衛生規則第13条(産業医の選任・職務・巡視)・第14条の2(産業医の情報収集) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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