社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働安全衛生法 問7|産業医の選任・職務

問題

社労士 | 労働安全衛生法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働安全衛生法に規定する産業医の選任および職務に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は イ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はイ(誤っている記述)です。

産業医選任の報告先は、「都道府県労働局長」ではなく「所轄労働基準監督署長」です(安衛規則第13条第2項。選任後遅滞なく、電子情報処理組織を使用して、所轄労働基準監督署長に報告する)。「必要な医学的知識を有する医師から選任しなければならない」の前段は正しい(安衛法第13条第2項・安衛規則第14条第2項)ですが、報告先が誤っているためイ全体として誤りとなります。

アは正しく、50人以上で選任義務・1,000人以上(特定有害業務500人以上含む)で専属義務があります(安衛規則第13条第1項第3号)。ウは正しく、産業医の職務範囲(安衛規則第14条)が正確に述べられています。エは正しく、嘱託の産業医で足りるのは専属義務(1,000人以上または有害業務500人以上)のない事業場で、3,000人超では2人以上の産業医選任義務があります(安衛規則第13条第1項第3号・第4号)。オは正しく、事業者から毎月1回以上所定の情報提供を受け、事業者の同意を得ているときは、少なくとも2か月に1回の巡視とすることができます(安衛規則第15条第1項)。

産業医の選任要件一覧(安衛規則第13条):

事業場規模選任義務専属/嘱託人数
50人〜999人(通常)あり嘱託可(兼任可)1人以上
1,000人〜3,000人(通常)あり専属必須1人以上
有害業務500人〜(特定業務)あり専属必須1人以上
3,001人以上あり専属必須2人以上

「特定の有害業務」(専属産業医義務・500人以上):

  • 多量の高熱物体・低温物体の取扱
  • ラジウム放射線・X線等の有害放射線
  • 多量の有害物・著しく暑熱・寒冷・著しい騒音の場所での業務
  • 振動工具の使用
  • 深夜業を含む業務(等)

産業医の職務(施行規則第14条第1項各号):

1. 健康診断の実施・結果に基づく措置

2. 長時間労働者等の面接指導・第66条の9の措置と、その結果に基づく措置

3. ストレスチェックの実施・面接指導と、その結果に基づく措置

4. 作業環境の維持管理

5. 作業の管理

6. 前各号のほか、労働者の健康管理

7. 健康教育・健康相談その他労働者の健康の保持増進を図るための措置

8. 衛生教育

9. 労働者の健康障害の原因の調査・再発防止のための措置

産業医の巡視緩和:

原則一定要件充足時
少なくとも毎月1回少なくとも2か月に1回

緩和条件:事業者から毎月1回以上、①衛生管理者が行う巡視の結果、②衛生委員会等の調査審議を経て事業者が提供することとした情報の提供を受けており、かつ事業者の同意を得ていること(安衛規則第15条第1項)

各選択肢の解説:

  • ア(正): 50人以上で選任義務。1,000人以上(特定有害業務500人以上含む)で専属義務(施行規則第13条第1項第3号)。
  • イ(誤・正答): 産業医選任の報告先は「都道府県労働局長」ではなく「所轄労働基準監督署長」(安衛規則第13条第2項。遅滞なく、電子情報処理組織を使用して報告)。報告先の誤り。
  • ウ(正): 産業医の職務(施行規則第14条)が正確。
  • エ(正): 専属義務(1,000人以上・有害業務500人以上)のない事業場は嘱託で可。3,000人を超える事業場では2人以上(施行規則第13条第1項第3号・第4号)。
  • オ(正): 所定の情報提供と事業者の同意があれば2か月1回の巡視が認められる(施行規則第15条第1項)。

【産業医制度の立法趣旨と「医師」要件の意義】

産業医は、労働者の健康管理について「医学的知識」を持つ「医師」であることが必須要件です(安衛法第13条第2項)。さらに安衛規則第14条第2項では、産業医の要件として、厚生労働大臣の指定する者が行う研修の修了等が定められています。この「医師」要件と「産業医研修」要件の二重構造は、職場の健康管理が単なる健康診断の確認にとどまらず、作業環境・作業方法の医学的評価という高度な専門性を必要とするためです。

【産業医の権限強化(2019年4月改正の詳細)】

2019年4月施行の安衛法改正で、産業医の機能が大幅に強化されました:

1. 情報提供義務の新設(第13条第4項・施行規則第14条の2): 事業者は、労働時間に関する情報その他産業医が労働者の健康管理等を適切に行うために必要な情報を産業医に提供する義務。

2. 勧告内容の衛生委員会報告義務(第13条第6項): 産業医の勧告を受けた事業者は、その内容等を衛生委員会等に報告する義務(産業医の独立性確保)。

3. 産業医の不利益取扱いの防止(施行規則第14条第4項): 産業医が勧告・指導・助言をしたことを理由とする解任その他不利益な取扱いをしないようにする義務(なお第13条第3項は、産業医が誠実にその職務を行わなければならないとする規定)。

4. 健康相談の体制整備(第13条の3): 産業医等が労働者からの健康相談に応じ、適切に対応するために必要な体制の整備等に努める(努力義務)。

巡視の2か月緩和(安衛規則第15条第1項括弧書)も、事業者からの情報提供を前提に巡視頻度を調整する仕組みであり、産業医の職務が情報に基づく健康管理を重視していることを示しています。

【専属産業医の要件と実務(1,000人超事業場)】

専属産業医とは、その事業場に専属として(他の事業場との掛け持ちなく)勤務する産業医です。専属義務がある事業場規模:

  • 常時1,000人以上(通常業種)
  • 常時500人以上(特定有害業務)
  • 常時3,001人以上(2人以上必要)

専属産業医の実務上の役割:

  • 事業場に専属して勤務し、健康相談に対応
  • 長時間労働者への面接指導(休憩時間を除き週40時間を超えて労働させた時間が月80時間を超え、疲労の蓄積が認められる者が申し出た場合は事業者の義務)
  • 衛生委員会への出席・労働者の健康課題のフォローアップ
  • 産業保健スタッフ(保健師・看護師等)との連携

社労士は産業医の選任状況・専属義務の有無・産業医との連携体制について顧問先を診断し、適切な産業保健体制の整備を支援することが業務の一つです。なお産業医の選任義務がない常時50人未満の事業場でも、医師等に労働者の健康管理等を行わせるよう努めなければならず(第13条の2・努力義務)、地域の産業保健の支援機関の活用を提案することも考えられます。

【産業医と「過重労働・健康障害防止」の連携(社労士試験の近年重点論点)】

産業医の中核業務の一つが「過重労働者への面接指導」です(安衛法第66条の8):

  • 週40時間を超えた時間が月80時間超で疲労の蓄積が認められる者(面接指導の義務対象): 申出があれば面接指導実施義務(高プロ適用者は週40時間を超えた健康管理時間が月100時間超で、申出がなくても義務)
  • 面接指導の結果に基づく就業上の措置: 医師の意見を勘案し、必要に応じて就業場所・作業の変更・就業制限等の措置
  • 記録の保存: 面接指導記録は5年保存

このフローは「36協定の時間外上限規制(月45時間・年360時間・特別条項あり100時間未満)」と並んで長時間労働対策の両輪となっており、社労士として36協定・産業医面接指導・就業上の措置を一体的に管理するコンサルティングが求められます。

根拠: 労働安全衛生法第13条(産業医の選任・職務)・第13条の2(小規模事業場)・第66条の8(過重労働面接指導)、労働安全衛生規則第13条(選任基準)・第14条(職務・要件・不利益取扱いの防止)・第14条の2(情報提供)・第15条(巡視)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働安全衛生法第13条(産業医)・第13条の2(小規模事業場の健康管理)、労働安全衛生規則第13条(第1項=産業医の選任、第2項=所轄労働基準監督署長への選任報告)・第14条(産業医の職務等)・第14条の2(産業医への情報提供)・第15条(巡視) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 産業医の選任・職務(事業場規模別・嘱託/専属
  • 頻出度A

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