問題
労働保険料徴収法における雇用保険印紙に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
キーボード:1〜5で選択・Enterで次へ
答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はアです。
日雇労働被保険者の雇用保険料(印紙保険料)は、事業主が雇用保険印紙を日雇労働被保険者手帳に貼付・消印することで納付します。このとき事業主は労働者負担分の印紙保険料を賃金から控除した上で印紙を貼付し、事業主負担分と合わせて納付します(アが正しい)。
イは誤りで、雇用保険印紙は郵便局でも購入可能です(都道府県労働局限定ではない)。ウは誤りで、未使用印紙の払戻しは原則として年度末(3月31日)から一定期間内に申請するもので、任意のタイミングで請求できるわけではありません。エは誤りで、雇用保険印紙は賃金水準に応じて3種類(1級・2級・3級)があります。オは誤りで、徴収法に「過怠税」の制度はありません。印紙保険料の納付を怠った場合は、政府が納付すべき印紙保険料の額を決定し、正当な理由がなければ決定額の100分の25の追徴金を徴収します(徴収法第25条)。
雇用保険印紙の仕組み(徴収法第22条〜第25条):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 用途 | 日雇労働被保険者の印紙保険料の納付手段 |
| 種類 | 3種類(1級・2級・3級)(賃金水準に応じて使い分け) |
| 貼付義務者 | 日雇労働者に賃金を支払う事業主 |
| 購入場所 | 都道府県労働局・郵便局等(郵便局での購入可) |
| 未使用の払戻し | 年度更新の際等に国(政府)への払戻し請求が可能(手続き要) |
| 納付を怠った場合 | 政府が印紙保険料の額を決定・通知し、正当な理由がなければ決定額の100分の25の追徴金(第25条。納付を怠った額が1,000円未満なら徴収しない) |
各選択肢の精査:
- ア(正・正答): 事業主が日雇労働被保険者手帳に印紙を貼付・消印する方法で印紙保険料を納付。労働者負担分は賃金控除。
- イ(誤): 郵便局でも購入可。「都道府県労働局限定」は誤り。
- ウ(誤): 払戻しは年度末等の定められた手続き内。「任意のタイミング」「手数料なし」は不正確(実務上は手数料的な処理なしで行われるが「任意タイミング」は誤り)。
- エ(誤): 3種類(1級〜3級)。賃金日額の区分に応じて適用種類が変わる。
- オ(誤): 徴収法に過怠税の制度はない。印紙保険料の納付を怠った場合は決定額の100分の25の追徴金(第25条第2項)。
雇用保険印紙と通常の月例保険料との違い:
一般・高年齢被保険者の雇用保険料は賃金総額に料率を掛けた月例徴収ですが、日雇労働被保険者は就労1日ごとに印紙を使って納付する仕組みです。この「印紙方式」は日雇い労働の性格(雇用関係が1日単位で完結する)に対応した設計です。
【雇用保険印紙制度の歴史的背景と現代的意義】
雇用保険印紙制度は1975年の雇用保険法制定時に設けられた制度で、日雇労働者(主として建設・港湾・短期農業労働者)の雇用保険料を「就労の都度」確実に徴収するための仕組みです。通常の月額保険料徴収では「雇用関係が1日で終わる日雇い労働者の保険料をどう管理するか」という問題に対応できず、印紙方式という独自の徴収制度が選択されました。現代では「日雇い労働」の形態はアルバイト・ギグワーク等に変化していますが、雇用保険印紙を利用する対象は依然として建設業の日雇い労働者等に限定されており、制度利用者は減少傾向にあります。
【3種類の印紙と賃金水準区分の判定】
雇用保険印紙は1級・2級・3級に分類されます。1級は賃金が一定額以上の高い日雇い労働者向け(保険料額も高い)、3級は低賃金の日雇い労働者向けです。実務では「その日の賃金日額が何円以上か」という判定を行い、対応する等級の印紙を日雇労働被保険者手帳に貼付・消印します。消印をしないと貼付したと認められないため、賃金支払時に必ず消印を行うことが必要です。
【印紙保険料の決定と追徴金(100分の25)】
事業主が印紙保険料の納付を怠った場合、政府は納付すべき印紙保険料の額を決定して事業主に通知します(第25条第1項)。正当な理由がないのに納付を怠ったときは、決定された額の100分の25の追徴金が徴収されます(同条第2項。1,000円未満の場合は徴収しない)。確定保険料の認定決定に係る追徴金(100分の10)より率が高い点が試験で問われます。「過怠税(3倍)」は印紙税法の制度で、徴収法にはありません。
【日雇労働求職者給付金と印紙貼付実績の連動:日雇い労働者の権利保護】
日雇労働被保険者が失業した場合に受給できる「日雇労働求職者給付金」の受給要件には「失業の日の属する月の前2月間に印紙保険料が通算26日分以上納付されていること」があり(雇用保険法第45条)、日額の等級も納付された印紙の等級・日数で決まります(同法第48条)。事業主が印紙を貼付しなかった(または不適切な等級の印紙を使用した)場合、日雇労働者は受給要件を満たせず給付を受けられなくなります。このことから「印紙の適正な貼付・消印は日雇労働者の社会保障権を守るための義務」という側面があります。社労士として日雇い労働者を雇用する事業主に対し、印紙の適正管理と日雇労働被保険者手帳の確認を指導することは法令遵守の観点から重要な業務です。
根拠: 労働保険料徴収法第22条〜第25条・第31条・第32条。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第25条・第22条e-Govで原文を読む
- 雇用保険法第45条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険料徴収法第22条(印紙保険料の額・3段階)、第23条(印紙保険料の納付:賃金を支払う都度、日雇労働被保険者手帳に雇用保険印紙をはり消印/印紙保険料納付計器)、第25条(印紙保険料の決定及び追徴金:決定額の100分の25)、第31条・第32条(負担・賃金からの控除)。雇用保険印紙の販売・買戻しは同法施行規則による 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

