社労士 労働保険料徴収法 問16:労働保険料徴収法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働保険料徴収法における一括有期事業に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア一括有期事業の制度は、建設業と立木の伐採業の2業種にのみ適用される制度であり、それ以外の業種の有期事業を一括して扱うことはできない。
- イ建設業における一括有期事業の要件は、1工事の請負金額(消費税抜き)が180,000,000円未満であり、かつ当該1工事に係る概算保険料の額が1,600,000円未満であることの2要件を同時に満たす必要がある。
- ウ立木の伐採業における一括有期事業の要件は、素材の見込生産量が5,000立方メートル未満であることが必要である。
- エ建設業において一括有期事業の要件を超える規模の工事(例:請負金額が1.8億円以上の工事)は、当該工事ごとに独立して保険関係を成立させ、工事単位での申告・納付が必要となる。
- オ建設業の一括有期事業において、1年間に行ったすべての有期事業の請負金額の合計が180,000,000円を超えた場合は、当該年度の一括処理は認められず、すべての工事を個別有期事業として再申告しなければならない。正答
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・通達も明記。
正答はオです。
一括有期事業の「1億8,000万円未満」・「概算保険料160万円未満」の要件は1工事ごとに判断するものであり、「年間合計の請負金額」が基準ではありません。各工事が要件を満たしていれば、その工事は一括有期事業として処理されます。年間合計が1億8,000万円を超えてもそれを理由に全工事を個別有期事業に再申告する義務はありません(オは誤り)。
アは正しく、一括有期事業は建設業と立木の伐採業の2業種のみに適用されます。イは正しく、建設業は「請負金額180,000,000円未満かつ概算保険料1,600,000円未満」の2要件です。ウは正しく、立木の伐採業は「素材見込生産量5,000立方メートル未満」が要件です。エは正しく、要件を超える工事は個別有期事業として処理します。
一括有期事業の2業種・要件の対比:
| 業種 | 一括有期事業の要件 | 根拠 |
|---|---|---|
| 建設業 | 1工事の請負金額(消費税抜き)が180,000,000円未満<br>かつ当該工事の概算保険料が1,600,000円未満 | 施行規則第6条第1号 |
| 立木の伐採業 | 素材の見込生産量が5,000立方メートル未満 | 施行規則第6条第2号 |
要件の「1工事ごと」判断の重要性(オの誤り):
一括有期事業の1億8,000万円・160万円の要件は「各工事1件ごと」に判断します。年間を通じた複数工事の合計額が基準ではありません。1工事が要件内であればその工事を一括処理でき、要件超過の工事のみ個別有期事業として別途保険関係を成立させます。オの記述「年間合計が基準」は誤りであり、一括処理と個別処理の判断基準の最も重要な誤解ポイントです。
一括有期事業の事務処理フロー:
1. 各工事の開始時に「一括有期事業報告書」に工事情報を記載
2. 年度更新時に「一括有期事業総括表」を作成し確定保険料を申告
3. 要件超過工事は当初から個別有期事業として別処理
建設業の二重保険料問題(元請と下請の関係):
建設業の労災保険は「元請事業主が下請・孫請の労働者を含めた保険料を一括して申告・納付する」という特別な仕組みです(法第8条)。下請が独自に労災保険に加入しているように見えても、現場作業に関する労災は元請の保険から給付されます。
【一括有期事業制度の創設意義:建設業の多数・小規模工事への対応】
建設業は1年間に数十〜数百件の小規模工事(道路補修・外壁塗装・小さなリフォーム等)を継続的に受注するケースが多く、これら全てを「工事ごとに独立した有期事業」として保険関係を成立・消滅・申告させると事業主の事務負担が膨大になります。一括有期事業制度は「一定規模未満の工事については、年間まとめて処理する」という事務簡素化の仕組みです。1億8,000万円・160万円という要件は「中・大規模工事は個別管理、小規模工事は一括管理」という線引きを意味します。
【1億8,000万円の要件の歴史的経緯:2015年の引下げ改正】
一括有期事業の建設業請負金額要件は、2015年4月1日改正以前は1億9,000万円でしたが、消費税率8%→10%への対応として180,000,000円(1億8,000万円)に引き下げられました。「消費税込みで考えると以前と実質同水準」という趣旨です(volatile_master.json記載: CHOUSHUU_IKKATSU_YUKI_UKEOI = 1億8,000万円、2015-04-01施行)。社労士試験では「1億9,000万円か1億8,000万円か」という数字の出題があり、現行値(1億8,000万円)を正確に記憶することが必要です。
【立木の伐採業の5,000m3要件:建設業との判断軸の違い】
建設業が「金額(請負金額+概算保険料)」で要件を判断するのに対し、立木の伐採業は「素材の見込生産量(5,000立方メートル未満)」という物量ベースで判断します。これは伐採業の収益が木材の量(m3)に直結することと、伐採量から労災リスク規模を把握しやすいという特性に対応しています。5,000m3以上の大規模伐採事業は個別有期事業として管理が必要です。
【元請一括適用と一括有期事業の混同注意】
建設業では「元請一括適用(法第8条:元請が下請含む現場全体の保険料を負担)」という別の制度があります。一括有期事業(複数の小規模工事を年度まとめで申告)と「元請が下請の保険料も負担する元請一括」は、別の法律論点です。試験では「一括」という言葉の付く制度(一括有期事業・元請一括・一括適用)の使い分けが頻出混同ポイントです。
【社労士実務での一括有期事業の活用:建設業顧問先への年度更新サポート】
建設業の顧問先を持つ社労士にとって、一括有期事業の管理(工事台帳の整備・年間総括表の作成)は年度更新業務の核心です。工事件数が多い顧問先では工事台帳の記録漏れ・金額誤りが保険料の過少申告につながるリスクがあり、社労士として「工事ごとの記録と年度更新申告の突合作業」を徹底することが重要です。特に要件ギリギリの工事(請負金額が1億7,000万円台等)については「個別有期か一括有期か」の判断を慎重に行う必要があります。
根拠: 労働保険料徴収法施行規則第6条。数値: 180,000,000円(1億8,000万円・2015-04-01施行)、1,600,000円(160万円)。厚生労働省「一括有期事業について(建設業)」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険料徴収法施行規則第6条(一括有期事業の要件) 数値根拠: {{CHOUSHUU_IKKATSU_YUKI_UKEOI}}(1億8,000万円)、{{CHOUSHUU_IKKATSU_YUKI_GAISAN}}(160万円) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。