問題
労働保険料徴収法における賃金総額の特例算定(法第11条第3項・同法施行規則第12条〜第15条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイ(誤っている記述)です。
同法施行規則第15条は、造林の事業・水産動植物の採捕または養殖の事業(施行規則第12条第3号・第4号の事業)の賃金総額について、「労働基準法第12条第8項に基づき厚生労働大臣が定める平均賃金に相当する額に、それぞれの労働者の使用期間の総日数を乗じて得た額の合算額」とすると定めています。「請負金額に労務費率を乗じる」という建設の事業の算定方法(施行規則第13条)とは異なる方式であり、イは誤りです。
ア・ウ・エ・オはいずれも施行規則第12条〜第14条、第4条第1項第6号の条文どおりの正しい記述です。
賃金総額の特例(法第11条第3項・同法施行規則第12条〜第15条)の全体像:
| 対象事業 | 算定方法 | 根拠 |
|---|---|---|
| 請負による建設の事業 | 請負金額(税抜き)× 労務費率(事業の種類ごとの率) | 施行規則第13条 |
| 立木の伐採の事業 | 素材1立方メートルを生産するために必要な労務費の額 × 生産するすべての素材の材積 | 施行規則第14条 |
| 造林の事業・木炭または薪を生産する事業その他の林業の事業(伐採を除く)・水産動植物の採捕または養殖の事業 | 平均賃金相当額 × 使用期間の総日数の合算額 | 施行規則第15条 |
イが誤りである根拠:
「請負金額×労務費率」という算定方式は施行規則第13条により建設の事業に限られた方式です。造林の事業・水産動植物の採捕または養殖の事業は施行規則第15条により「平均賃金相当額×使用日数」という別方式で算定されます。イのように両者を同じ方式とするのは誤りです。
各選択肢の精査:
- ア(正): 賃金総額の特例の対象4類型は施行規則第12条どおり。
- イ(誤・正答): 造林・水産業は「平均賃金×使用日数」方式(施行規則第15条)であり「請負金額×労務費率」ではない。
- ウ(正): 建設の事業の算定方法は施行規則第13条どおり。
- エ(正): 請負金額は消費税等相当額を除いた額(施行規則第4条第1項第6号)。
- オ(正): 伐採の事業の算定方法は施行規則第14条どおり。
【賃金総額の特例が対象事業ごとに異なる算定方式を採る理由】
賃金総額の特例は、実際の賃金総額を正確に把握することが困難な事業について、代替的な指標を用いて賃金総額を推計する制度です(法第11条第3項・施行規則第12条)。対象となる4類型の事業は、いずれも「実際の賃金を追うことが困難」という共通点を持ちますが、その困難さの性質が異なるため、算定方式も事業類型ごとに使い分けられています。
建設の事業(請負による)は、重層下請構造のもとで工事現場ごとに労働者が流動し、個々の作業員の賃金を元請事業主が正確に把握することが実務上極めて困難です。そこで、請負金額という「事業の規模を表す客観的な指標」に、業種ごとの統計的な労務費の割合(労務費率)を乗じることで賃金総額を推計します(施行規則第13条)。
立木の伐採の事業も同様に、素材(丸太等)の生産に要した労務費を個別に追うことが難しいため、素材1立方メートルあたりの標準的な労務費の額に、実際に生産した素材の材積を乗じて賃金総額を推計します(施行規則第14条)。
これに対し、造林の事業・林業の事業(伐採を除く)・水産動植物の採捕または養殖の事業は、請負金額や生産量という指標になじみにくい業態(自ら山林を育てる、漁を行う等)であるため、労働基準法上の平均賃金に相当する額(日額ベースの標準的な賃金水準)に、労働者が実際に使用された期間の総日数を乗じて賃金総額を推計する方式(施行規則第15条)が採られています。イのように建設業と同じ「請負金額×労務費率」方式を造林・水産業にも適用すると誤りになるのは、この算定方式の対象範囲の違いによるものです。
請負金額の消費税の扱い(エの補足)
建設の事業の賃金総額特例算定に用いる「請負金額」は、施行規則第4条第1項第6号の定義により、あらかじめ消費税および地方消費税に相当する額(消費税等相当額)を除いた額とされています。したがって請負契約書が税込み表示の場合は、税抜き額を確認したうえで労務費率を乗じる必要があります。
社労士実務での留意点
建設業・林業・水産業の顧問先を持つ社労士は、事業の実態(建設の請負事業か、造林・養殖等の労務提供型の事業か)を正確に見極め、施行規則第13条の方式(請負金額×労務費率)と第15条の方式(平均賃金×使用日数)のどちらが適用されるかを取り違えないことが、確定保険料の算定を誤らないための実務上の要点です。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律e-Govで原文を読む
- 労働基準法第12条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第11条第3項(賃金総額の特例)、同法施行規則第12条(賃金総額の特例の対象事業)・第13条(建設の事業の算定方法)・第14条(立木の伐採の事業の算定方法)・第15条(造林・水産動植物の採捕又は養殖の事業等の算定方法)・第4条第1項第6号(請負金額の定義・消費税等相当額を除く) 一次ソース: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084#Mp-At_11 、同施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000008#Mp-At_15 (法令API v2で全文取得・確認日2026-09-30) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

