社労士 労働保険料徴収法 問18:労働保険料徴収法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
労働保険料徴収法における建設業の賃金総額の特例算定(徴収法第11条第2項・施行規則第12条)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、平成27年4月1日以後に成立した有期事業を前提とする。
- ア建設業の賃金総額特例において、平成27年4月1日以後に成立した有期事業では、請負金額(消費税込みの金額で計上されている場合は100/108を乗じた額)に労務費率を乗じて賃金総額を算定することとされている。
- イ建設業の賃金総額特例において、平成27年4月1日以後に成立した有期事業では、請負金額が消費税込みの場合も消費税抜きの場合も区別なく、請負金額そのものに労務費率を乗じて賃金総額を算定する。
- ウ建設業の賃金総額特例における労務費率は、建設業全体で一律の率が厚生労働省令に定められており、業種による差異はない。
- エ建設業の一括有期事業において、請負金額(消費税抜き)が180,000,000円円未満かつ概算保険料額が1,600,000円円未満の事業については一括有期事業として処理でき、この場合にも賃金総額の特例(労務費率)が適用される。正答
- オ建設業の賃金総額特例は、賃金総額を正確に算定することが困難な場合に限って適用が認められるものであり、事業主が実際の賃金総額を正確に把握できる場合には、特例率(労務費率)を用いた算定を選択することはできない。
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正答はエです。
建設業の一括有期事業における数値要件として、請負金額(税抜き)が180,000,000円円未満かつ概算保険料額が1,600,000円円未満の二要件を同時に満たす場合に一括有期事業として処理でき、この場合にも賃金総額の特例(労務費率による算定)が適用されます。エはこれを正確に記述しており、正しい記述です。
アは誤りです。「請負金額が消費税込みの場合は100/108を乗じた額」という計算方式は、平成27年3月31日以前に成立した有期事業に適用された暫定措置であり、平成27年4月1日以後に成立した有期事業では廃止されています。現行の原則は「消費税を除く請負金額(税抜き請負金額そのもの)× 労務費率」です。イは誤りで、税込み・税抜きを区別しないわけではなく、税抜き金額を基礎とします。ウは誤りで、労務費率は業種ごとに異なります。オは誤りで、実際の賃金総額を把握できる場合でも特例選択は可能です。
建設業の賃金総額特例の現行規定(平成27年4月1日以後成立の有期事業):
建設業の請負事業は重層的な下請構造により実際の賃金総額の把握が困難なため、「請負金額(消費税抜き)× 労務費率 = 賃金総額(みなし)」とする特例が認められています(徴収法第11条第2項・施行規則第12条)。
消費税の取扱い:平成27年改正のポイント(頻出!):
| 時期 | 計算方法 |
|---|---|
| 平成27年3月31日以前に成立した有期事業(経過措置) | 請負金額(税込み)× 100/108 → その額 × 労務費率 |
| 平成27年4月1日以後に成立した有期事業(現行・原則) | 税抜き請負金額そのもの × 労務費率 |
平成27年4月1日の消費税暫定措置廃止により、「100/108乗算」は過去のルールとなりました。現在は請負契約書が税抜き表示であれば直接、税込み表示であれば当事者間で確認した税抜き額を基礎として労務費率を乗じます。
一括有期事業の二要件(本問の正答根拠):
| 要件 | 数値 |
|---|---|
| 請負金額(消費税抜き) | 180,000,000円円未満 |
| 概算保険料額 | 1,600,000円円未満 |
二要件を同時に満たす事業は一括有期事業として処理。労務費率による賃金総額特例も適用されます。
各選択肢の精査:
- ア(誤): 「100/108を乗じた額」は平成27年3月31日以前の暫定措置。平成27年4月以後の現行規定では廃止済み。
- イ(誤): 税込み・税抜きを「区別なく」はできない。税抜き金額を基礎とする点は変わらない。
- ウ(誤): 労務費率は業種ごとに異なる(土木約19%・建築約23%・設備約25%等)。
- エ(正・正答): 一括有期事業の二要件(180,000,000円円未満・1,600,000円円未満)を正確に記述。
- オ(誤): 実際の賃金総額を正確に把握できる場合でも、特例率(労務費率)を選択することができる。
【平成27年消費税暫定措置廃止の背景と現行規定の意義】
建設業の賃金総額特例における消費税の取扱いは、消費税率の改定に連動して変化してきました。消費税が5%だった時代に設けられた「100/105乗算」の暫定措置は、消費税8%への引き上げ(平成26年4月)を機に「100/108乗算」へと改定されましたが、この「消費税込みの請負金額を特定の換算係数で割り戻す」方式は、「実際の税抜き請負金額を直接確認すれば済む」という合理的な観点から、平成27年4月1日以後に成立する有期事業については廃止されました。現在は「請負契約書に記載された消費税抜きの請負金額をそのまま用いる(税込みの場合は税抜き額を特定する)」という明確な規定に統一されています。社労士試験において「100/108」という数値は平成27年以前の暫定措置の名残であり、現行規定として正解とする問題には注意が必要です。
【労務費率の業種別設計:建設業の多様な工種への対応】
労務費率(施行規則第12条別表)は、各工種の「工事費(請負金額)に占める人件費(賃金)の割合」を統計的に算定した値です。重機・機材費が高い工種は労務費率が低く、職人の手仕事が中心の工種は高くなります。
| 業種区分の例 | 労務費率(目安) |
|---|---|
| 土木工事業(道路・河川) | 約19% |
| 建築工事業(建物の建設) | 約23% |
| 舗装工事業 | 約14% |
| 電気工事業 | 約23% |
| 設備工事業(空調・配管) | 約25% |
(正確な率は施行規則別表参照。試験では「業種によって異なる」ことが重要で、具体的な数値よりも「一律ではない」という知識が問われる)
【一括有期事業の判定要件と元請責任の法的構造】
一括有期事業の二要件(請負金額180,000,000円円未満・概算保険料1,600,000円円未満)は、「規模が比較的小さい工事を一元的に管理する」ことを可能にする制度です。建設業では元請が下請を含めた全労働者の労働保険を一括管理しますが、個別の小規模工事ごとに開始・完了の届出を行うことは実務上の負担が大きいため、一定規模以下の工事を「一括」して処理することが認められています。この一括有期事業においても、賃金総額の把握は元請にとって困難であることから、労務費率による特例算定が引き続き適用されます。社労士として建設業の顧問先を支援する場合、「工事ごとの規模判定(一括か個別か)」「適切な業種コードと労務費率の選択」「下請との保険料負担関係の整理」が実務の基本となります。特に元請・下請の二重計上を防ぐための「建設業一元適用の原則(下請の保険関係は元請に包摂)」を正確に理解することが、労働保険事務の核心です。
根拠: 労働保険料徴収法第11条第2項(賃金総額の特例)・施行規則第12条(労務費率)。厚生労働省「建設業の労働保険について」(確認日2026-04-10)。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険料徴収法第11条第2項(賃金総額の特例)、労働保険料徴収法施行規則第12条(労務費率・建設業の特例)、平成27年厚生労働省令改正(消費税暫定措置廃止) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。