問題
労働保険料徴収法における確定保険料申告後の過納額の処理(還付・充当)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(誤っている記述)です。
法第41条第1項は「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利は、これらを行使することができる時から2年を経過したときは、時効によつて消滅する」と定めています。労働基準法上の賃金債権の消滅時効(5年・当面3年)とは根拠も期間も異なるため、エは誤りです。
ア・イ・ウ・オはいずれも法第19条第6項・第34条・第41条第1項、同法施行規則第36条・第37条の条文どおりの正しい記述です。
過納額の処理の全体像(法第19条第6項・同法施行規則第36条・第37条):
| 場面 | 内容 | 根拠 |
|---|---|---|
| 還付請求があるとき | 官署支出官または所轄都道府県労働局資金前渡官吏が超過額を還付する | 施行規則第36条第1項 |
| 還付請求の時期 | 確定保険料申告書を提出する際、または認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内 | 施行規則第36条第1項 |
| 還付請求がないとき | 所轄都道府県労働局歳入徴収官が、超過額を次の保険年度の概算保険料もしくは未納の労働保険料その他徴収金に充当し、その旨を事業主に通知する | 施行規則第37条 |
| 還付請求権の時効 | 2年(法律の規定による徴収金の徴収・還付いずれも共通) | 法第41条第1項 |
| 事務組合委託時の還付 | 政府は労働保険事務組合に対して還付でき、事務組合への還付は事業主への還付とみなされる | 法第34条 |
エが誤りである根拠:
徴収法上の還付請求権の消滅時効は法第41条第1項により一律2年です。「5年(当面3年)」は労働基準法第115条が定める賃金債権等の消滅時効期間であり、労働保険料の還付請求権とは根拠条文も期間も異なります。エのようにこれらを同一視するのは誤りです。
各選択肢の精査:
- ア(正): 還付請求があった場合の還付事務は施行規則第36条第1項どおり。
- イ(正): 還付請求がない場合の充当・通知は施行規則第37条どおり。
- ウ(正): 還付請求は確定保険料申告書の提出の際、または認定決定の通知を受けた日の翌日から起算して10日以内(施行規則第36条第1項)。
- エ(誤・正答): 「5年(当面3年)」は誤り。徴収法上の時効は一律2年。
- オ(正): 労働保険事務組合を通じた還付の扱いは法第34条どおり。
【還付を受ける権利の消滅時効が「2年」で統一されている理由(エの誤りの核心)】
法第41条第1項は「労働保険料その他この法律の規定による徴収金を徴収し、又はその還付を受ける権利」について、行使することができる時から2年で時効消滅すると定めています。この条文は「政府が保険料を徴収する権利」と「事業主が過納額の還付を受ける権利」の両方を同じ2年という期間で定めています。なお、政府が行う徴収の告知や督促は時効の更新の効力を生じます(同条第2項)。
これに対し、労働基準法第115条が定める賃金・退職手当等の請求権の消滅時効(5年、ただし当面の間は経過措置により3年)は、労働者の生活保障という異なる政策目的に基づく別の制度です。エのように「労働保険料の還付を受ける権利の時効は労基法の賃金債権と同じ5年(当面3年)」とするのは、根拠条文(徴収法第41条第1項と労基法第115条)を混同した誤りであり、試験でも頻出の引っ掛けポイントです。
還付請求がある場合とない場合の処理の違い(ア・イの補足)
確定保険料の申告の結果、納付済みの概算保険料が確定保険料を超える場合(過納)、事業主が還付を請求したときは、官署支出官または所轄都道府県労働局資金前渡官吏がその超過額を還付します(同法施行規則第36条第1項)。請求は確定保険料申告書を提出する際に行うのが基本で、政府の認定決定(法第19条第4項)の通知を受けた場合は、通知を受けた日の翌日から起算して10日以内に請求できます(ウ)。事業主が還付を請求しない場合は、所轄都道府県労働局歳入徴収官が超過額を「次の保険年度の概算保険料若しくは未納の労働保険料その他法の規定による徴収金又は未納の一般拠出金」等に充当し、その旨を事業主に通知します(同法施行規則第37条)。この条文は充当先を列挙していますが、どれを優先するかという明文の順序規定は置かれていません。
労働保険事務組合を通じた還付(オの補足)
労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託している事業主に対する還付金の還付について、法第34条は「政府は…労働保険事務組合に対してすべき労働保険関係法令の規定による労働保険料の納入の告知その他の通知及び還付金の還付については、これを労働保険事務組合に対してすることができる」と定め、「労働保険事務組合に対してした…還付金の還付は、当該事業主に対してしたものとみなす」としています。したがって、事務組合を経由した還付も法律上は事業主への還付として扱われます。
社労士実務での留意点
顧問先の年度更新事務で過納額が生じた場合、社労士は還付請求の手続(施行規則第36条の請求書の記載事項)を案内するとともに、請求を行わない場合には自動的に翌年度概算保険料等への充当が行われることを説明できることが実務的な価値になります。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第41条e-Govで原文を読む
- 労働基準法第115条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第19条第6項(確定保険料の過納額の還付・充当)・第34条(労働保険事務組合に対する通知等)・第41条第1項(時効)、同法施行規則第36条(労働保険料の還付)・第37条(労働保険料の充当) 一次ソース: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084#Mp-At_41 、同施行規則 https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000008#Mp-At_37 (法令API v2で全文取得・確認日2026-09-30) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

