問題
労働保険料徴収法における増加概算保険料(法第16条)に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(誤っている記述)です。
法第16条は、増加概算保険料の対象を「賃金総額の見込額」だけでなく、第13条(第一種特別加入保険料)・第14条第1項(第二種特別加入保険料)・第14条の2第1項(第三種特別加入保険料)の算定基礎となる額の見込額が増加した場合も含めて定めています。ウは対象を賃金総額の増加に限定しており誤りです。
ア・イ・エは法第16条・同法施行規則第25条の要件(2倍超かつ13万円以上・該当日から30日以内・差額の算定方法)どおりで正しく、オも法第18条・同法施行規則第30条により延納が認められうる点で正しい記述です。
増加概算保険料の申告義務の対象(法第16条・ウの誤りの核心):
法第16条は、次の4つの見込額のいずれかが増加した場合に増加概算保険料の申告義務が生じると定めています。
| 対象の見込額 | 根拠条文 |
|---|---|
| 賃金総額の見込額(一般保険料) | 法第15条第1項・第2項 |
| 第一種特別加入保険料の算定基礎額の見込額 | 法第13条 |
| 第二種特別加入保険料の算定基礎額の見込額 | 法第14条第1項 |
| 第三種特別加入保険料の算定基礎額の見込額 | 法第14条の2第1項 |
ウのように「賃金総額の増加に限られる」とするのは条文の対象範囲を不当に狭めており誤りです。
要件・期限・延納(ア・イ・エ・オの確認):
- 要件(施行規則第25条第1項): 増加後の見込額が増加前の見込額の100分の200を超え、かつ、増加後の見込額に基づく概算保険料の額と既納付額との差額が13万円以上(AND条件)。
- 期限(法第16条): 要件に該当するに至った日から30日以内に差額を申告・納付。
- 増加概算保険料の額(法第16条): 増加後の見込額に基づく労働保険料の額 − 既に納付した労働保険料の額。
- 延納(法第18条・施行規則第30条): 増加概算保険料についても、事業主の申請により、保険料算定基礎額の見込額が増加した日以後の期に分けて分割納付できる場合がある。
【増加概算保険料の対象を賃金総額に限定してはならない理由(ウの誤りの詳細)】
概算保険料は、一般保険料(賃金総額×一般保険料率)だけでなく、第一種・第二種・第三種の特別加入保険料(法第13条・第14条・第14条の2)も含めて年度当初に見込額で申告・納付されます(法第15条)。年度途中にこれらの算定基礎額(特別加入者数の増加・給付基礎日額の見直し等)が大幅に増加した場合も、一般保険料の賃金総額が増加した場合と同じ理由(当初見込みとの乖離を放置すると年度末の確定申告時に精算額が大きくなりすぎる)で、増加概算保険料の申告義務の対象とされています。法第16条が「賃金総額の見込額」に加えて「第十三条の…額の総額の見込額」「第十四条第一項の…額の総額の見込額」「第十四条の二第一項の…額の総額の見込額」を並列で規定しているのはこのためです。ウのように対象を賃金総額のみに限定すると、特別加入者を多数抱える事業(建設業の一人親方特別加入団体等)で増加概算保険料の申告漏れが生じかねません。
「2倍超かつ13万円以上」という閾値の設計意図(アの補足)
この2要件は施行規則第25条第1項に定められており、「AND条件」である点が重要です。「2倍を超える」という比率要件は、軽微な増加(残業の増加等)で逐次的な追加申告を求める事務負担を避けるための閾値です。「13万円以上」という絶対額要件は、増加分の概算保険料が小さければ追加申告・納付を求めても事務コストに見合わないという実務的な配慮です。いずれか一方のみを満たす場合には申告義務は生じません。
申告期限の起算点(イの補足)
法第16条は「その日から三十日以内」と定めており、起算点は「要件に該当するに至った日」そのものです。実務上は賃金総額等の見込額が確定的に増加したと認められる日を起点に30日以内に申告・納付する必要があります。
延納(オの補足)
増加概算保険料についても、当初の概算保険料を延納している事業主(施行規則第27条〜第29条)が、増加概算保険料の申告書を提出する際に法第18条の延納の申請をした場合には、施行規則第30条第1項により、保険料算定基礎額の見込額が増加した日以後の各期(4月〜7月・8月〜11月・12月〜3月)に分けて分割納付することができます。ただし最初の期分は、見込額が増加した日の翌日から起算して30日以内に納付しなければなりません(同条第2項)。オが「認められる場合がある」としているのは、この前提(当初の概算保険料を延納していること)があるためです。
社労士実務での留意点
特別加入者数が多い建設業等の顧問先では、賃金総額だけでなく特別加入者の増減も定期的に確認し、増加概算保険料の申告漏れを防ぐことが実務上重要です。
- 労働保険の保険料の徴収等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働保険の保険料の徴収等に関する法律第16条(増加概算保険料の納付)・第18条(概算保険料の延納)、同法施行規則第25条(概算保険料の増額等)・第30条(増加概算保険料の延納の方法) 一次ソース: e-Gov 法令検索 https://laws.e-gov.go.jp/law/344AC0000000084#Mp-At_16 (法令API v2で全文取得・確認日2026-09-30) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

