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社労士 健康保険法 問16|不服申立て

問題

社労士 | 健康保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

健康保険法における不服申立て(審査請求・再審査請求)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は ア
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はアです。

社会保険審査官への審査請求は、平成28年4月施行の行政不服審査法改正に伴い、処分を知った日の翌日から3か月以内に行わなければならないと改正されました(社審法第4条第1項。正当な事由により期間内にできなかったことを疎明したときは例外)。アはこの現行ルールに沿った正しい記述です。

ウは「90日以内に決定なし→みなし棄却」とありますが、健保法第189条第2項では審査請求をした日から2月以内に決定がないときに棄却とみなすことができます。また口頭で意見を述べる機会は、審査請求人等の申立てがあったときに与えられるもので(社審法第9条の3)、口頭審理を原則とする規定はありません。よってウは誤りです。

イは「再審査請求は60日以内」も誤りで、正しくは「決定書謄本送付の翌日から2か月以内」(社審法第32条)。エは誤りで、取消しの訴えは社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できません(健保法第192条・審査請求前置)。オも誤り(社会保険審査官・審査会は国年・厚年・船員保険等も担当。雇用保険・労災は別系統=雇用保険審査官・労災保険審査官・労働保険審査会)。なお、保険料等の賦課・徴収の処分への不服は、審査官ではなく社会保険審査会に直接審査請求します(健保法第190条)。

健康保険の不服申立ての手続きフロー:

```

資格・標準報酬・保険給付に関する処分

↓ 知った日の翌日から【3か月以内】(H28.4改正後)

社会保険審査官に審査請求

↓ 決定書謄本送付日の翌日から【2か月以内】

※ 審査請求から2か月以内に決定なし→棄却とみなすことができる(健保法第189条第2項)

社会保険審査会に再審査請求

↓ 裁決

行政事件訴訟(取消訴訟)→ 裁判所

※ 取消訴訟は審査官の決定を経た後なら提起できる(健保法第192条)。審査会の裁決までは要しない

保険料等の賦課・徴収の処分 → 社会保険審査会に審査請求(健保法第190条・1段階)

```

期間の整理(頻出の数字・H28.4改正後の現行ルール):

手続き期限起算点
審査請求(社会保険審査官)3か月以内処分があったことを知った日の翌日
再審査請求(社会保険審査会)2か月以内決定書謄本送付日の翌日
みなし棄却(健保法第189条第2項)審査請求から2か月以内に決定がなければ棄却とみなすことができる審査請求日
取消訴訟(行政事件訴訟法第14条)決定・裁決があったことを知った日から6か月以内決定・裁決があったことを知った日

各選択肢の解説:

  • ア(正・正答): 資格・標準報酬・保険給付に関する処分は社会保険審査官への審査請求の対象です(健保法第189条第1項)。平成28年4月の行政不服審査法改正に伴い、社審法第4条も改正され、審査請求の期間は「処分があったことを知った日の翌日から起算して3月」となりました(改正前は60日以内)。ただし、正当な事由によりこの期間内に審査請求をすることができなかったことを疎明したときは、この限りでありません(同条第1項ただし書)。肢はこのただし書も含めて書いています。なお、資格または標準報酬に関する処分に対する審査請求は、原処分があった日の翌日から起算して2年を経過したときはすることができません(社審法第4条第2項)。保険料の賦課・徴収の処分は審査官ではなく社会保険審査会への審査請求になる点に注意(健保法第190条)。
  • イ(誤): 再審査請求は「決定書の謄本が送付された日の翌日から起算して2か月以内」(社審法第32条)。「60日以内」という記述は誤り(2か月は暦月計算で月によって28〜31日があり、60日とは一致しない)。「謄本が送付された日の翌日」という起算点は正しい。
  • ウ(誤): 口頭で意見を述べる機会は、審査請求人等の申立てがあったときに与えられるもので(社審法第9条の3)、「口頭審理が原則」とする規定はありません。後段の「90日以内に決定がない場合のみなし棄却」も誤りで、健保法第189条第2項は「審査請求をした日から2月以内に決定がないとき」です。
  • エ(誤): 資格・標準報酬・保険給付に関する処分の取消しの訴えは、社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できません(健保法第192条)。審査官への審査請求を経ずに直接提訴することは認められません。なお、審査官の決定後であれば、社会保険審査会の裁決を待たずに提訴することはできます。
  • オ(誤): 社会保険審査官は、健康保険法第189条のほか、船員保険法第138条・厚生年金保険法第90条・国民年金法第101条等による審査請求の事件を取り扱います(社審法第1条第1項)。国民年金・厚生年金保険・船員保険の不服申立ても同じ審査官・審査会が担当するので、「健康保険法上の不服のみを対象」は誤り。なお雇用保険・労災保険の不服申立ては「雇用保険審査官・労働者災害補償保険審査官・労働保険審査会」が担当する別系統です。

【社会保険審査制度の全体像:2段階審査と訴願前置主義】

社会保険の不服申立て制度は「社会保険審査官及び社会保険審査会法」(昭和28年制定)に基づき、行政不服申立ての一般法(行政不服審査法)の特別法として機能します(健保法第191条で行政不服審査法の一部規定の適用を除外)。

審査機関の役割分担:

機関役割設置場所
社会保険審査官第1次審査(1次不服申立て)各地方厚生局(地方厚生支局を含む)(社審法第1条第1項)
社会保険審査会第2次審査(再審査・最終行政判断)厚生労働大臣の所轄の下に置かれる(社審法第19条)

対象となる法律(横断知識):

社会保険審査官・審査会が扱う不服申立てには:

  • 健康保険法(健保)
  • 厚生年金保険法(厚年)
  • 国民年金法(国年)
  • 船員保険法

国民健康保険の処分は国民健康保険審査会(都道府県に設置・国保法第91条・第92条)、雇用保険の処分は雇用保険審査官・労働保険審査会(労働保険審査官及び労働保険審査会法)が扱い、社会保険審査官・審査会の対象ではありません。

重要な誤りポイント(試験の頻出混同):

```

健保・年金系 → 社会保険審査官 → 社会保険審査会

雇用保険 → 雇用保険審査官 → 労働保険審査会

労災保険 → 労働者災害補償保険審査官 → 労働保険審査会

国民健康保険 → 国民健康保険審査会(都道府県)

```

オの「社会保険審査官・審査会が健保だけを扱う」という誤りと、「雇用保険は別機関」という点が試験での誤肢作成に使われます。実際には、雇用保険の不服申立ては「雇用保険審査官(都道府県労働局設置)」が第1次審査、「労働保険審査会(厚生労働省)」が第2次審査を行い、社会保険審査官・審査会(地方厚生局・厚生労働省)とは別系統です。

【期間の詳細:3か月・2か月の使い分け(H28.4改正後・現行法)】

手続き期限条文注意点
審査請求3か月以内社審法第4条行政不服審査法改正(H28.4)で「60日→3か月」に延長
再審査請求2か月以内社審法第32条「60日ではなく2か月」(月により日数が異なる)
みなし棄却審査請求から2か月以内に決定なしで棄却とみなせる健保法第189条第2項「90日」ではなく「2月」
訴訟提起(取消訴訟)裁決から6か月以内行政事件訴訟法第14条審査会裁決後の出訴期間

【2016年(平成28年)4月改正の重要ポイント】

行政不服審査法の全面改正に伴い、社会保険審査官及び社会保険審査会法も同時に改正されました。主な改正点:

1. 審査請求期間: 60日以内 → 3月以内(請求人の救済機会拡大)

2. 再審査請求期間: 2月以内(社審法第32条)

3. 取消訴訟の前置: 審査官の決定を経れば提訴できる(健保法第192条)

この改正以前の問題集や受験テキストでは「60日以内」と記載されている場合がありますが、令和8年度試験では改正後の数値(審査請求3月・みなし棄却2月・再審査請求2月)が正解です。試験では「60日以内」「90日以内」という旧法時代の数字を使った誤肢が頻出するため、正確な現行ルールの暗記が必須です。

【みなし棄却(健保法第189条第2項)の趣旨と実務上の対処】

「みなし棄却」は、審査機関が2か月以内に決定を下さない場合に、申立人が「棄却があったものとみなして」次の手続きに進める制度です。趣旨は:

  • 行政機関が決定を先延ばしにすることで申立人の権利実現が妨げられることを防ぐ
  • 適時に次の不服申立て・訴訟に移行できる権利を保障

実務では、医療費・保険料等の紛争で迅速な解決が必要な場面(傷病手当金の不支給決定等)において、みなし棄却を利用して社会保険審査会への再審査請求または行政訴訟に移行することがあります。

【訴願前置主義と取消訴訟:社労士実務の最終段階】

健保の資格・標準報酬・保険給付に関する処分に対する取消訴訟は、社会保険審査官の決定を経た後でなければ提起できません(審査請求前置・健保法第192条)。審査会の裁決を待つ必要はありません。社労士(特定社労士)が関与する個別労使紛争は労働委員会・あっせん手続きが中心ですが、社会保険に関する不服申立てでは:

1. 審査請求(社会保険審査官・3か月以内)→ 決定(審査請求から2か月以内に決定がなければ棄却とみなすことができる・健保法第189条第2項)

2. 再審査請求(社会保険審査会・決定書の謄本が送付された日の翌日から2か月以内)→ 裁決

3. 取消訴訟(地方裁判所・決定または裁決を知った日から6か月以内)→ 判決

なお、審査請求・再審査請求は、時効の完成猶予及び更新に関しては裁判上の請求とみなされます(健保法第189条第3項)。また、資格または標準報酬に関する処分が確定したときは、その処分への不服を、それに基づく保険給付の処分への不服の理由にすることはできません(同条第4項)。

という手続き(2の再審査請求を経ずに1の決定後に提訴することも可能)があり、この全体像を依頼者に説明・アドバイスする能力が社労士に求められます。特に傷病手当金や障害年金の不支給決定に対する不服申立ては、申請者が日々の生活に困窮している状況で行われることが多く、迅速かつ的確な対応が重要です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第189条(第1項 審査請求・再審査請求、第2項 みなし棄却「2月」)・第190条(保険料等の賦課・徴収の処分は社会保険審査会に審査請求)・第192条(審査官の決定を経た後でなければ取消訴訟を提起できない)・社会保険審査官及び社会保険審査会法第4条(審査請求期間「3月」)・第32条(再審査請求期間「2月」) 確認日2026-06-08 出典: 厚生労働省 社会保険審査請求制度 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/sinsa/ 近畿厚生局 審査請求FAQ https://kouseikyoku.mhlw.go.jp/kinki/faq/shinsakan_00001.html e-Gov 社会保険審査官及び社会保険審査会法 https://laws.e-gov.go.jp/law/328AC0000000206 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 不服申立て(社会保険審査官・社会保険審査会・3か月/2か月
  • 頻出度B

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