健康保険法15健康保険法

社労士 健康保険法 問15:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

健康保険における高額介護合算療養費に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 高額介護合算療養費は、同一の世帯において、1か月間の健康保険の自己負担額と介護保険の自己負担額の合計が一定の上限を超えた場合に、その超過分が支給される制度である。
  • 高額介護合算療養費の対象となる自己負担の合算期間は1か月(当月)とされており、高額療養費(月単位の制度)と異なる区分や計算を別途行う必要はない。
  • 高額介護合算療養費を受けるためには、健康保険の被保険者本人の自己負担額のみが合算の対象であり、被扶養者(家族)の自己負担額は合算の対象に含まれない。
  • 高額介護合算療養費の支給申請は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間を計算期間として、その期間の自己負担の合計額をもとに行う。支給額は年間の合計自己負担額から年額上限を控除した額(超過分)である。正答
  • 高額介護合算療養費の年額上限は、世帯の所得区分および年齢にかかわらず全員一律に設定されており、令和8年度現在では年間67万円が上限とされている。
正答:高額介護合算療養費の支給申請は、毎年8月1日から翌年7月31日までの1年間を計算期間として、その期間の自己負担の合計額をもとに行う。支給額は年間の合計自己負担額から年額上限を控除した額(超過分)である。

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正答はエです。

高額介護合算療養費は、1か月ではなく1年間(毎年8月1日〜翌年7月31日)を計算期間として、健康保険の自己負担と介護保険の自己負担を合算し、年額上限を超えた分を支給する制度です(健保法第115条・健保法施行令第43条の3)。エはこの年間計算期間と超過分支給の仕組みを正確に記述しています。

アは「1か月間」としている点が誤り(正しくは「1年間」)。イも同様に月単位という誤り。ウは被扶養者の自己負担も合算の対象に含まれるため誤り。オは「一律67万円」という誤りで、実際には所得区分・年齢区分により異なります(70歳未満の一般区分では年間60万円等)。

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高額介護合算療養費の全体構造:

| 項目 | 高額療養費(月額) | 高額介護合算療養費(年額) |

|---|---|---|

| 計算期間 | 1か月(暦月) | 1年間(8月1日〜翌7月31日) |

| 合算対象 | 健保の自己負担のみ(世帯合算可) | 健保(被保険者+被扶養者)+介護保険の自己負担 |

| 支給額 | 自己負担額−月額上限(超過分) | 年間合算額−年額上限(超過分) |

| 申請先 | 健保(保険者) | 健保(保険者)が介護保険者と連携 |

| 所得区分による上限の差 | あり(70歳未満: ア〜オの5区分) | あり(70歳未満/70歳以上×所得区分) |

年額上限(令和8年度・健保施行令第43条の3・介護合算算定基準額):

| 区分 | 70歳未満の年額上限(概算) |

|---|---|

| 標準報酬83万円以上(区分ア) | 212万円 |

| 標準報酬53〜79万円(区分イ) | 141万円 |

| 標準報酬28〜50万円(区分ウ・一般) | 67万円 |

| 標準報酬26万円以下(区分エ) | 60万円 |

| 住民税非課税(区分オ) | 34万円 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 「1か月間」ではなく「1年間(8月1日〜翌7月31日)」が計算期間。高額療養費(月次)と混同させる典型的な誤肢。
  • イ(誤): 計算期間が「1か月」という誤りに加え、「高額療養費と異なる計算を別途行う必要はない」も誤り。高額介護合算は別途の申請手続き(年1回)が必要で、高額療養費(月次)とは完全に別制度です。
  • ウ(誤): 合算の対象は被保険者本人に限らず、被扶養者(家族)の健保自己負担も合算の対象となります(健保法第115条では「当該世帯」の自己負担を合算)。さらに介護保険も同一世帯の自己負担を合算します。
  • エ(正): 毎年8月1日〜翌7月31日の1年間を計算期間として、健保と介護の自己負担の合計が年額上限を超えた場合に超過分が支給されます。正確な記述。
  • オ(誤): 一律67万円ではなく、所得区分・年齢区分により異なります。67万円は70歳未満の「区分ウ(一般区分・標準報酬月額28〜50万円)」に相当する年額上限の目安値ですが、全区分で一律ではありません。また70歳以上の高齢受給者には別の上限額が設定されています。
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【高額介護合算療養費の設計思想:「2つの保険の壁」を越えた支援】

高齢化の進展により、同一世帯で医療費(健保)と介護費(介護保険)の両方を支出するケースが増加しました。高額療養費(月次)だけでは医療費の負担軽減のみで、介護費との合計が家庭を圧迫する問題があり、2008年(平成20年)の後期高齢者医療制度発足と同時に「高額介護合算療養費」制度が創設されました。

制度のポイント:

  • 1年間(8月〜翌7月)を通算期間とすることで、長期療養・介護の複合負担に対応
  • 健保(世帯の被保険者+被扶養者)と介護保険(世帯の第1号・第2号被保険者)の自己負担を世帯単位で合算
  • 合算の順序: まず各制度内での「高額療養費」「高額介護サービス費」を適用し、残った自己負担額を合算 → 年額上限を超えた分を支給

合算の計算の具体的な流れ:

1. 1年間の月ごとに高額療養費を適用(月額限度額超過分を給付)

2. 同じく1年間の介護保険の高額介護サービス費を適用(月額上限超過分を給付)

3. 上記適用後の残余自己負担額を健保・介護で合算

4. 合算額が年額上限を超えた場合、健保保険者と介護保険者が按分して支給

【年額上限(区分別)の詳細と「一般区分67万円」の根拠】

年額上限は健康保険の所得区分に連動していますが、70歳以上(高齢受給者)の上限は70歳未満と異なる低い設定になっています:

| 区分 | 70歳未満 | 70〜74歳(一般・現役並み所得) | 70〜74歳(一般・住民税非課税等) |

|---|---|---|---|

| 標準報酬83万円以上(区分ア・現役並みIII) | 212万円 | 212万円 | — |

| 標準報酬53〜79万円(区分イ・現役並みII) | 141万円 | 141万円 | — |

| 標準報酬28〜50万円(区分ウ・現役並みI) | 67万円 | 67万円 | — |

| 標準報酬26万円以下(区分エ・一般) | 60万円 | 56万円 | — |

| 住民税非課税(区分オ・低所得II) | 34万円 | — | 31万円 |

| 低所得I(70歳以上のみ) | — | — | 19万円 |

70歳以上は高額療養費の月額上限自体が低くなる(現役並みでない一般区分は月額57,600円→18,000円等)ため、年額合算上限も相対的に低くなります。「67万円が一律」という誤りは、区分ウ(一般区分・70歳未満)の値を全区分に当てはめたものです。

【申請手続きの実務と社労士への接続】

高額介護合算療養費の支給申請の流れ:

1. 基準日(7月31日)の翌日(8月1日)から申請が可能

2. 健保保険者と介護保険者(市区町村)の両方に申請(「世帯自己負担額証明書」を介護保険者から取得して健保に提出するのが一般的)

3. 健保保険者が合計額を確認し、超過分を按分計算(健保分・介護分の負担比率で按分)

4. 按分された超過分が各保険者から支給

社労士実務では、高齢の家族を抱えた従業員から「医療費と介護費の合計が大変」という相談を受けた際に、この高額介護合算療養費制度の申請手続きをアドバイスすることが重要です。特に70歳以上の家族が要介護状態で、かつ複数の慢性疾患で頻繁に医療機関を受診している世帯では、制度の適用により年間数十万円の還付を受けられる場合があります。

【後期高齢者医療制度との関係(社一・社会保険一般常識との横断)】

75歳以上は後期高齢者医療制度の被保険者となり(健保から離脱)、後期高齢者医療にも同様の「高額介護合算療養費」制度があります(後期高齢者医療広域連合が支給)。世帯内に健保被保険者(74歳以下)と後期高齢者医療被保険者(75歳以上)が混在する場合は、それぞれ別の計算となり合算できないため、世帯構成によって制度適用が変わることを理解しておく必要があります。

この点は社一(後期高齢者医療確保法)の後期高齢者医療制度との横断論点として令和8年度試験でも頻出です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第115条(高額介護合算療養費)・健康保険法施行令第43条の3(介護合算算定基準額・年額限度額)・介護保険法第51条の2 確認日2026-06-08 出典: 厚生労働省 高額介護合算療養費制度 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kenkou_iryou/iryouhoken/juuyou/kougakuiryou/index.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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