健康保険法50健康保険法

社労士 健康保険法 問50:健康保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

健康保険の産前産後休業期間における保険料免除に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 産前産後休業期間中の保険料免除は、被保険者負担分のみが免除され、事業主負担分は免除されない。事業主は産前産後休業期間中も引き続き事業主負担分の健康保険料を納付する義務がある。
  • 産前産後休業期間中の健康保険料の免除は、被保険者が出産後に申出を行うことによって適用される遡及的な免除制度である。産前の休業期間中はいったん保険料が発生し、出産後に申出を行った場合にはじめて産前分の保険料が還付される。
  • 産前産後休業期間中の保険料免除は、健康保険のみの制度であり、厚生年金保険には同様の規定が設けられていない。厚生年金保険では産前産後休業期間中の保険料免除は育児休業の保険料免除とは異なり、別途の仕組みが存在しない。
  • 産前産後休業期間中の保険料免除は、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除され、免除期間は標準報酬月額の計算において保険料を納付したものとみなして年金給付額に反映される。これは厚生年金においても同様の仕組みがとられている。正答
  • 産前産後休業期間中の保険料免除は、産前42日(多胎の場合98日)から産後56日までの期間のうち、実際に労務に服さなかった期間のみが免除対象となる。産前42日の期間内に一部でも就労した日がある場合、その就労日については保険料の免除が適用されない。
正答:産前産後休業期間中の保険料免除は、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除され、免除期間は標準報酬月額の計算において保険料を納付したものとみなして年金給付額に反映される。これは厚生年金においても同様の仕組みがとられている。

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正答はエです。

産前産後休業期間中の健康保険料の免除は、被保険者負担分・事業主負担分ともに免除されます(健保法第159条の3)。また、免除期間は標準報酬月額の計算において保険料を納付したものとみなされるため、将来の給付(傷病手当金等の計算基礎)に影響しません。厚生年金保険でも同様の規定が設けられています(厚年法第81条の2の2)。エが正しい記述です。

アは誤りです。事業主負担分も免除されます。

イは誤りです。申出は事業主が行い、産前から適用される制度であり、出産後に遡及して申出する仕組みではありません。

ウは誤りです。厚生年金保険にも同様の産前産後休業期間中の保険料免除規定があります。

オは誤りです。産前産後休業期間は就労の有無ではなく、産休の期間全体が免除対象です。

標準試験対策の基準レベル

産前産後休業期間の保険料免除制度の体系:

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 根拠条文(健保) | 健康保険法第159条の3 |

| 根拠条文(厚年) | 厚生年金保険法第81条の2の2 |

| 施行日 | 平成26年(2014年)4月1日 |

| 免除対象 | 被保険者負担分・事業主負担分の双方 |

| 免除期間 | 産前42日(多胎98日)〜産後56日 |

| 申出主体 | 事業主が年金事務所または健保組合に申出 |

| みなし納付 | 免除期間は「保険料を納付したものとみなす」(給付額の計算に反映) |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 産前産後休業の保険料免除は被保険者負担分・事業主負担分の双方が免除されます。「事業主は引き続き負担する」は誤りです。育児休業中の免除(健保法第159条)と同様に、双方免除が原則です。
  • イ(誤): 申出は事業主が行い、産前から適用される制度です。「出産後に被保険者が申出→遡及免除」ではありません。事業主が産前産後休業の取得を確認した後、年金事務所等に届け出ます。
  • ウ(誤): 厚生年金保険法第81条の2の2に同様の規定があり、厚生年金保険料も産前産後休業期間中は被保険者・事業主ともに免除されます。「健保のみの制度」は誤りです。
  • エ(正): 被保険者・事業主ともに免除・みなし納付・厚生年金も同様の仕組みという3点がいずれも正確です。
  • オ(誤): 産前産後休業期間の保険料免除は、「実際に労務に服さなかった日のみ」ではなく、産前42日(多胎98日)〜産後56日の期間全体が免除対象です。期間内に一部就労した日があっても免除は適用されます(出産手当金の「労務に服さなかった日のみ支給」という要件とは異なる)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【産前産後休業期間の保険料免除の立法経緯・育児休業免除との比較・みなし納付の意義・厚生年金との完全対比・出産手当金の「労務不能要件」との混同防止】

産前産後休業期間の保険料免除の立法経緯:

産前産後休業期間の保険料免除制度(健保法第159条の3・厚年法第81条の2の2)は平成26年(2014年)4月1日に施行されました。育児休業中の保険料免除(平成7年・1995年施行)から約20年遅れて導入された制度です。

立法の目的: 「妊娠・出産・育休にかかる費用の連続的な軽減」を通じて女性の継続就業・職場復帰を促進するための少子化対策として導入されました。産前産後休業中の保険料免除により、育児休業中の保険料免除と合わせると、出産前後の連続した期間(産前42日〜育休終了まで)の保険料が免除される設計となっています。

育児休業免除との比較(健保法第159条・第159条の3):

| 比較項目 | 育児休業期間の免除(第159条) | 産前産後休業期間の免除(第159条の3) |

|---|---|---|

| 施行年 | 平成7年(1995年)4月 | 平成26年(2014年)4月 |

| 免除対象 | 被保険者・事業主ともに | 被保険者・事業主ともに |

| 申出主体 | 事業主 | 事業主 |

| 免除期間(起点) | 育休開始月 | 産前42日(多胎98日) |

| 免除期間(終点) | 育休終了月の前月(終了日が月末は終了月) | 産後56日(産休終了月の翌月前まで) |

| みなし納付 | あり | あり |

厚生年金保険との完全対比:

| 比較項目 | 健康保険 | 厚生年金保険 |

|---|---|---|

| 根拠条文(育休) | 第159条 | 厚年法第81条の2 |

| 根拠条文(産休) | 第159条の3 | 厚年法第81条の2の2 |

| 免除の範囲 | 被保険者・事業主ともに免除 | 被保険者・事業主ともに免除 |

| みなし納付 | あり(給付計算に反映) | あり(年金額の計算に反映) |

| 申出主体 | 事業主 | 事業主(健保と共通の届出書) |

健保と厚年は完全に同じ設計であり、「健保のみの制度」(ウが誤りである理由)は制度の実態と異なります。

「みなし納付」の意義(給付への影響):

産前産後休業中の保険料免除期間は、健保・厚年ともに「保険料を納付したものとみなす」という規定が設けられています。これが「みなし納付」であり、以下の効果があります:

1. 健保側: 傷病手当金等の算定基礎となる標準報酬月額の計算に影響なし(免除期間も納付期間として扱われる)

2. 厚年側: 老齢年金等の計算基礎となる被保険者期間・標準報酬に影響なし(免除期間も保険料納付済期間として算入)

つまり「産休で保険料を払わなかったために将来の年金が減る」という事態は生じません。

出産手当金の「労務に服さなかった期間」との混同防止(オが誤りである理由の詳細):

産前産後休業期間の保険料免除は、「労務に服さなかった日のみが免除対象」ではありません。産前42日(多胎98日)〜産後56日の期間全体が免除対象の期間です。

一方、出産手当金(健保法第102条)は「産前42日〜産後56日の期間のうち、労務に服さなかった期間のみ支給」という要件があります(就労した日は手当金が支給されない)。

| 制度 | 就労した日の取扱い |

|---|---|

| 産前産後休業の保険料免除 | 産休期間内の就労の有無を問わず期間全体が免除対象 |

| 出産手当金 | 就労した日は支給されない(労務不能の日のみ) |

この2つの制度の「就労の有無への取扱い」の違いは社労士試験で混同させるための出題パターンとして頻出です(オが誤りである理由はここにあります)。

産前産後休業期間の保険料免除の対象期間の具体的な計算:

| 出産の状況 | 免除開始日 | 免除終了日(前日) |

|---|---|---|

| 予定日どおり | 出産日前42日(多胎98日) | 産後56日の翌日(産後57日目から保険料発生) |

| 予定日より早い | 実際の出産日前42日(多胎98日) | 産後56日の翌日 |

| 予定日より遅い | 出産予定日前42日(多胎98日) | 実際の出産日の産後56日の翌日(産前延長分も免除) |

育休に移行する場合は育児休業の保険料免除(第159条)が引き続き適用されるため、産後56日終了後も育休中は継続して免除されます。

社労士試験での頻出パターン(まとめ):

| よくある誤答パターン | 正しい答え |

|---|---|

| 「産前産後休業は被保険者のみ免除・事業主は負担」 | 被保険者・事業主ともに免除 |

| 「産前産後休業は被保険者の申出で遡及免除」 | 事業主が申出(産前から自動適用) |

| 「健保のみの制度・厚年に同様の規定はない」 | 厚年法第81条の2の2で同様の免除規定あり |

| 「就労した日は免除対象外」 | 産休期間全体が免除対象(就労の有無を問わない) |

| 「みなし納付がないため年金が減る」 | みなし納付あり(給付計算に影響しない) |

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 健保法第159条の3(産前産後休業期間保険料免除・平成26年4月施行・事業主が申出・被保険者・事業主ともに免除・期間全体免除・みなし納付あり)・厚年法第81条の2の2(同様の規定・健保と完全対比)一次ソース突合済。「事業主のみ負担」「出産後遡及申出」「健保のみの制度」「就労日は免除対象外」はいずれも誤り。出産手当金の「労務不能日のみ支給」との混同防止を確認。基準日2026-04-10内で改正混入なし。正答エ維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 健康保険法第159条の3(産前産後休業期間中の保険料免除)・厚生年金保険法第81条の2の2(同上)・平成26年4月1日施行 確認日: 2026-06-08 出典: e-Gov 健康保険法第159条の3 https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=211AC0000000070 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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