社労士 国民年金法 問18:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
国民年金の保険料免除期間に係る追納に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア保険料の全額免除・一部免除(4分の3免除・半額免除・4分の1免除)・納付猶予・学生納付特例のいずれも、承認を受けた月の翌月から起算して10年以内であれば追納を行うことができる。
- イ追納する保険料の額は、追納する時期によって加算される場合があり、承認を受けた年度の翌々年度以後に追納する場合は、当時の保険料月額に政令で定める加算率を乗じた額となる。
- ウ追納を行うと、当該追納月数に相当する期間が保険料納付済期間として老齢基礎年金の額の計算に算入され、年金額は全額免除期間の未追納月と比較して増額する。
- エ全額免除期間のうち追納をしなかった期間(保険料免除期間)は、老齢基礎年金の額の計算において、平成21年(2009年)4月以後の期間も含めて一律に保険料納付済期間の3分の1として算入される。正答
- オ保険料免除・猶予を承認された者が保険料を追納する場合、古い年度(承認年度が古い月)から順に行わなければならず、新しい年度の保険料を先に追納することはできない。
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正答はエ(誤っている記述)です。
エの誤りは「平成21年(2009年)4月以後の期間も含めて一律に3分の1として算入される」という部分です。
老齢基礎年金の計算において、全額免除期間(未追納)の算入割合は基礎年金の国庫負担割合の変更に連動して変化しました。平成21年(2009年)3月以前の全額免除期間は3分の1、4月以後は2分の1が正しい区分です(国庫負担割合が3分の1から2分の1に引き上げられたため)。「一律3分の1」は旧法のままという誤誘導で、現行制度では誤りです。
アはいずれの免除・猶予も10年以内の追納が可能(正しい)、イは翌々年度以後の追納には加算率が乗じられる(正しい)、ウは追納で年金額が増額される(正しい)、オは古い年度から順に追納(正しい)。
追納と免除期間の年金額反映の計算構造(必須整理):
| 期間区分 | 老齢基礎年金額への反映割合 | 追納後の扱い |
|---|---|---|
| 保険料納付済期間 | 満額(480分の1×満額) | — |
| 全額免除期間(未追納) | 480分の1×満額×1/2 | 追納で満額(1/2が1に変わる) |
| 一部免除(4/3・半額・1/4)未追納 | 残余部分に応じた割合 | 追納で満額相当に |
| 納付猶予・学生納付特例(未追納) | 算入されない(ゼロ) | 追納で満額(受給資格期間には算入) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 全額・一部免除・納付猶予・学生納付特例のいずれも「承認月の翌月から10年以内」に追納可能(国民年金法第94条第1項)。
- イ(正): 承認を受けた年度の翌々年度以後に追納する場合は、当時の保険料額に加算率(政令で規定・利息相当)を乗じた額が追納額となります。翌年度以内の追納は加算なし。
- ウ(正): 追納により保険料納付済期間となり、年金額が増加します。全額免除(未追納)の1/2算入から納付済の1/1算入へ変わります。
- エ(誤・正答): 全額免除期間(未追納)の老齢基礎年金算入割合は、平成21年(2009年)4月以後は2分の1、3月以前は3分の1です(国庫負担割合の引上げに連動)。エの「平成21年4月以後も含めて一律3分の1」は明確な誤りで、現行制度では2009年4月以後は2分の1が正しい数値です。
- オ(正): 追納は古い年度から順に行う規定があります(国民年金法第94条第4項)。新しい年度の保険料を先に追納することはできません。
【免除期間の年金額算入割合の歴史的変遷(2009年改正の重要性)】
全額免除期間の老齢基礎年金算入割合は、制度の歴史の中で変化してきました:
| 期間 | 全額免除期間の算入割合 | 算入割合の根拠 |
|---|---|---|
| 〜2009年3月(平成21年3月) | 基礎年金の満額の3分の1 | 国庫負担割合が3分の1だったため |
| 2009年4月以後 | 基礎年金の満額の2分の1 | 国庫負担割合が2分の1に引き上げられたため |
この変更は「基礎年金の国庫負担割合の引上げ」(消費税収入を活用した財源確保)に連動したものです。社労士試験では「3分の1か2分の1か」という問いが頻出で、「2009年4月以後の全額免除期間は2分の1」が正しい知識です。
試験問題では「全額免除期間(未追納)は3分の1として算入される」という旧ルールを正しいと誤認させる引っかけ、または「2分の1」という現行ルールを誤りと思わせる設計が多く出題されます。
【追納額の計算メカニズムと「加算率」の設計】
追納する保険料額は、追納するタイミングによって異なります:
```
追納額の計算:
翌年度以内の追納(加算なし):当時の保険料月額(免除・猶予が承認された当時の額)
翌々年度以後の追納(加算あり):当時の保険料月額 × 加算率
```
「加算率」は政令(国民年金法施行令第6条の9)で定める利率相当のもので、単利で加算されます。実際には免除を受けた年度から数年後に一括追納する場合、加算率が累積して追納額が増えます。
令和8年度(2026年)に令和6年度(2024年)の全額免除期間を追納する場合の加算率例(利率1.7%/年・政令値・実際の値は政令で毎年改定):
```
当時の保険料額(令和6年度概算)≒17,510円 × (1 + 0.017 × 2年)= 約18,105円
```
このように、早く追納するほど加算が少ない(追納コストが低い)ため、免除・猶予承認後は早めの追納が有利です。「翌々年度以後に加算が始まる」という節目を理解することが重要です。
【追納の優先順位と戦略的な追納計画】
追納は「古い年度から」という順序規定がありますが、全ての免除期間をまとめて追納する必要はありません。部分的な追納(一部の月のみ追納)も可能です。
社労士実務での追納相談における戦略的視点:
1. 費用対効果の試算: 1か月分の追納コスト(17,920円/月前後)と、それにより増える老齢基礎年金額(満額の1/480≒約1,765円/月)の回収期間を計算。追納から回収まで約8〜9年(≒追納額÷増加年金額)という目安があります。
2. 加算率が発生する前の追納を優先: 翌々年度に入る前(2年以内)に追納することで加算率コストを避けられます。
3. 受給資格期間(10年)の確保を最優先: 受給資格に影響する期間(10年に足りない月数分)を先に追納し、その後に年金額増加のための追納を計画します。
4. 税制優遇の活用: 追納した保険料は「社会保険料控除」として全額所得控除の対象になります(確定申告または年末調整で申告)。高所得年(退職前後の最終年等)に集中して追納することで節税効果が高まります。
【通常の追納(第94条)と第3号被保険者の特例追納(附則第9条の4の4)の比較】
通常の追納(第94条)と、第3号被保険者の不整合期間に係る特例追納(附則第9条の4の4)の違いを整理:
| 項目 | 通常の追納(第94条) | 特例追納(附則9条の4の4) |
|---|---|---|
| 対象 | 全額/一部免除・猶予・特例 | 第3号被保険者の不整合期間 |
| 追納申出期限 | 承認月翌月から10年以内 | 特定期間該当届の日から2年以内 |
| 事前手続き | 免除/猶予の承認のみ | 特定期間該当届の提出が必須 |
| 加算率 | 翌々年度以後の追納に適用 | 同様に適用 |
この区別が「10年(通常)vs 2年(特例)」という数字の混同問題の核心であり、試験での引っかけポイントです。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 全額免除期間の年金算入割合(2009年4月以後=2分の1/3月以前=3分の1)は国民年金法第27条で確認済。追納可能期間10年・古い年度順は第94条で確認。設問エを「一律3分の1」誤誘導に修正し、正答エ(誤り)確定。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第94条(追納)・第27条(老齢基礎年金の額の計算)・同法施行令第6条の9(追納額の加算) 数値参照: KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY={{KOKUNEN_HOKENRYO_MONTHLY}}(追納保険料の計算基礎・令和8年度)・追納可能期間10年=条文値 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。