社労士 国民年金法 問44:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
未支給の年金(未支給年金)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア年金受給権者が死亡した場合において、その者に支給すべき年金でまだ支給されていないものがあるときは、その者の配偶者、子、父母、孫、祖父母、兄弟姉妹またはこれらの者以外の三親等内の親族であって、その者の死亡の当時その者と生計を同じくしていたものが請求できる。
- イ未支給年金の請求権者の順位は、配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・これらの者以外の三親等内の親族の順とされており、配偶者が最優先となる。
- ウ未支給年金の請求できる者の範囲は、平成26年(2014年)の改正により配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹から「三親等内の親族」全体に拡大された。
- エ未支給年金の受給権は相続財産を構成せず、請求権者固有の権利であるため、未支給年金を受け取った者は相続税の対象とはならず、所得税法上の一時所得として課税対象となる。
- オ年金受給権者が死亡した月の翌月以降の年金(翌月以降の生存していない月分)は、未支給年金として請求できる。正答
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正答はオです。
未支給年金として請求できるのは、受給権者が生存していた期間に係る年金で未払いのものです(死亡月分を含む)。死亡した月の翌月以降は受給権が消滅しているため未支給年金として請求できません。「翌月以降の月分」が請求対象という記述は誤りです。
アは正しく、2014年改正後の請求権者の範囲の記述として正確です(国年法第19条第1項)。
イは正しく、未支給年金の請求権者の順位は国年法第19条第3項で配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹・三親等内の親族の順で法定されており、配偶者が最優先です。
ウは正しく、2014年(平成26年)改正で「三親等内の親族」全体に拡大されました(旧来は二親等内+α)。
エは正しく、未支給年金は請求権者の固有の権利(相続財産ではない)として一時所得の対象であり、相続税の対象にはなりません。
未支給年金の制度の全体像:
「未支給年金」が発生する仕組み:
国民年金は偶数月の15日に前2か月分が支払われる仕組みです(例:6月15日に4月・5月分を支給)。受給権者が奇数月に死亡した場合、死亡月分と前月分がまだ支払われていない状態になります。この未払い分が「未支給年金」として遺族が請求できます。
請求権者の範囲と順位(2014年改正後):
| 順位 | 範囲 |
|---|---|
| 1 | 配偶者 |
| 2 | 子 |
| 3 | 父母 |
| 4 | 孫 |
| 5 | 祖父母 |
| 6 | 兄弟姉妹 |
| 7 | これらの者以外の三親等内の親族 |
(いずれも死亡当時、受給権者と生計を同じくしていたことが要件)
オの誤りの詳細(死亡月までの分が請求対象):
未支給年金の請求対象は「受給権者が生存していた期間に係る年金で支払われていないもの」です。死亡した月分の年金は受給権者の生存期間に発生した受給権なので未支給年金として請求できますが、死亡月の翌月以降は受給権が消滅しているため、未支給年金として請求することはできません。
イの正しさ(優先順位あり):
国年法第19条第3項は「配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→三親等内の親族」の順位を法定しています。同順位者が複数いる場合は連名で代表者を定めて請求します。
エの詳細(税務上の取扱い):
未支給年金は:
- 相続財産ではない(相続税の対象外)
- 請求権者の一時所得として所得税の対象
- 一時所得は50万円の特別控除後、1/2課税のため実質負担は少ない
【未支給年金制度の歴史的変遷と2014年改正の意義・三親等内親族への拡大背景】
未支給年金制度は国民年金法制定当初から存在する制度ですが、請求できる親族の範囲は時代とともに拡大されてきました。
2014年(平成26年)改正前の状況:
改正前は、未支給年金を請求できる親族の範囲は「配偶者・子・父母・孫・祖父母・兄弟姉妹」に限定されていました。これは法定の相続順位に近い範囲です。
2014年改正の内容:
「社会保障・税一体改革」の一環として、「これらの者以外の三親等内の親族」が追加されました。三親等内の親族には、叔父・叔母・甥・姪などが含まれます。
改正の実務的意義:
近年の家族形態の多様化(独居老人・親族による介護等)に対応するため、実際に生活を支援していた親族が年金の未払い分を受け取れるようにしたものです。
「生計を同じくする」要件の解釈(実務上の重要点):
「生計を同じくする」とは、必ずしも同居を要件としません。別居であっても定期的な仕送り・生活費の援助等で経済的に依存・補助関係があれば要件を満たす場合があります。
判断基準(日本年金機構の運用):
- 同居している場合: 原則として「生計同一」と判断
- 別居している場合: 仕送りの事実・受給権者の年金振込口座での生活費支出実態等を総合判断
未支給年金の請求手続き:
1. 日本年金機構に「未支給請求書」を提出
2. 受給権者の死亡日・請求者との続柄を証明する書類
3. 生計同一を証明する書類(住民票・民生委員証明等)
4. 請求者の通帳(振込先)
請求期限は受給権者の死亡日の翌日から5年(時効)。5年経過後は受給できなくなります。
未支給年金の税務処理(エの深掘り):
未支給年金を受け取った場合、所得税上は「一時所得」として処理します:
```
一時所得の計算:
(受け取った未支給年金額 − 直接かかった費用) − 50万円(特別控除)
= 一時所得金額(この1/2が課税所得に算入)
```
未支給年金額が50万円以下であれば一時所得の特別控除内に収まり、実質的に課税されないケースが多いです。一方、相続税の課税対象外であることは重要な税務知識です。
死亡月の年金支給の仕組み(偶数月支払いとの関係):
年金は偶数月の15日に前2か月分が支払われます:
| 死亡月 | 未払い状態の月分 |
|---|---|
| 1月死亡 | 1月分(死亡月) |
| 2月死亡 | 2月分(死亡月)+1月分(前月) |
| 3月死亡 | 3月分(死亡月)+2月分(前月) ※2月は偶数月支払い済なら2月分のみ |
死亡した月の年金1か月分は必ず未支給となるため、請求は実質的にほぼすべてのケースで発生します。
上位資格との接続:
FP1級では「年金受給権者の死亡に伴う手続き一覧(年金機構への連絡・未支給請求・相続手続き等)」が出題されます。年金アドバイザー3級では「未支給年金の請求権者の範囲と生計同一の判定」が頻出です。社労士実務では「高齢者の相続案件で未支給年金の請求漏れを防ぐ確認」が遺族への適切な情報提供として重要です。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第19条第3項(未支給年金・配偶者→子→父母→孫→祖父母→兄弟姉妹→三親等内親族の優先順位あり)・2014年改正で三親等内親族に拡大に基づく。改訂前は「優先順位なし」を正解選択肢にしていたが、現行法では明確に優先順位が法定されているため誤りであり、設問を「死亡月の翌月以降の月分も請求可」(明確な誤り)に書き換えて正答をオに変更。未支給年金は一時所得(相続財産ではない・相続税対象外)。死亡月分は請求可(生存期間中の受給権分)。一次ソース:e-Gov・日本年金機構公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第19条(未支給年金)・平成26年改正(3親等内親族への拡大)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。