国民年金法60国民年金法

社労士 国民年金法 問60:国民年金法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

国民年金の年金額の改定に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 老齢基礎年金の年金額は毎年4月に改定されるが、その改定率は名目賃金変動率のみに基づいて算出されるため、物価変動率は考慮されない。
  • マクロ経済スライドは、現役世代の被保険者数の減少や平均余命の伸びを反映して、名目賃金変動率または物価変動率から一定の調整率を差し引く制度であり、令和8年度(2026年4月)は発動された。
  • 令和8年度の老齢基礎年金の改定率は1.9%%(プラス)であり、令和8年4月分から老齢基礎年金の満額(昭和31年4月2日以後生まれ)は月額70,608円/月円となった。
  • マクロ経済スライドによる調整の結果、年金の名目額(受け取る円の金額)が前年度より減少することはなく、調整率がマイナスになる場合は翌年度以降に繰り越して発動される仕組みがある。
  • 老齢基礎年金の年金額の改定率は、名目賃金変動率と物価変動率のうち低い方を基準とし、そこからマクロ経済スライド調整率を差し引いた最終改定率で決定される。正答
正答:老齢基礎年金の年金額の改定率は、名目賃金変動率と物価変動率のうち低い方を基準とし、そこからマクロ経済スライド調整率を差し引いた最終改定率で決定される。

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正答はオです。

老齢基礎年金の改定率は「名目賃金変動率と物価変動率のうち低い方」を基準とし、そこからマクロ経済スライド調整率を差し引いた最終値が改定率となります(国年法第27条の2〜第27条の4)。令和8年度は名目賃金変動率+2.1%・物価変動率+2.7%のうち賃金変動率+2.1%を選択し、マクロ経済スライド調整率0.2%を差し引いた1.9%%が最終改定率です。

アは誤り(物価変動率も考慮)。イは「令和8年度は発動された」部分は正しいが、「名目賃金変動率または物価変動率から差し引く」という表現が不正確です。ウは数字は正しいですが正答は一つなのでオが正解。エは「名目額が減少しない」の部分が誤り(デフレ期は名目額が減少することがある)。

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年金改定率の計算ロジック(令和8年度の具体例):

| ステップ | 計算要素 | 令和8年度の値 |

|---|---|---|

| ① 名目賃金変動率 | 実質賃金変動率×物価変動率 | +2.1% |

| ② 物価変動率 | 消費者物価指数の変動率 | +2.7% |

| ③ 選択基準 | 名目賃金変動率と物価変動率の低い方 | +2.1%(賃金を選択) |

| ④ マクロ経済スライド調整率 | 公的年金被保険者数の変動率+平均余命変化 | −0.2% |

| ⑤ 最終改定率 | ③−④ | +1.9%% |

「低い方を選択する」理由(オの正の根拠):

名目賃金が物価より低ければ、年金受給者の生活が現役世代より苦しくならないよう賃金に連動。物価が賃金より低ければ、現役世代の負担増を防ぐため物価に連動。「低い方」を採用することで双方の利益を調整します。

エの誤り(名目額が減少する場合):

マクロ経済スライドは「名目額が絶対に下がらない」保証ではありません。物価がマイナス(デフレ)の場合は名目額が下がることがあります。「キャリーオーバー(繰越)」制度は存在しますが(発動できない調整分を翌年以降に繰り越す)、それは「名目額が下がらない保証」ではなく「調整余力の蓄積」です。

令和8年度の意義(hot_topic):

令和8年度はマクロ経済スライドが発動された年度です(調整率0.2%)。賃金上昇(+2.1%)が物価(+2.7%)を下回り、かつマクロ調整を発動したため実質的な年金購買力は維持されたと評価されています。

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【マクロ経済スライドの制度設計・発動条件・2050年問題との接続】

マクロ経済スライドは平成16年(2004年)の年金大改革で導入された「自動安定化装置」です。少子高齢化による年金財政の悪化を、給付水準を自動的に抑制することで対応する仕組みです。

マクロ経済スライドの制度設計(精緻な理解):

マクロ経済スライド調整率の計算:

  • 公的年金被保険者数の変動率(約−0.1〜−0.4%/年):少子化で現役世代が減るほど調整率が大きくなる
  • 平均余命の伸び率(約+0.1%/年固定):長寿化により支給期間が伸びる分を調整

令和8年度の調整率:被保険者数変動率(約−0.1%)+ 平均余命変化(+0.1%)≒ −0.2%

発動条件(なぜ毎年発動されないのか):

マクロ経済スライドは「名目額が前年度を下回らない」という歯止めがあるため(ただしデフレ局面では名目額減少もあり得る・令和元年以前の制度では歯止め優先でスライドが発動できなかった)、物価・賃金がプラスの年にしか発動できません。

令和2年〜令和4年のデフレ・低インフレ局面では発動できず、未発動分が「キャリーオーバー」として蓄積されました。令和5年以降の賃金・物価上昇局面でようやくキャリーオーバー分を含む大きな調整が可能になり、令和6年度・7年度・8年度は連続発動されています。

キャリーオーバー(繰越)制度(平成30年改正・エの誤りの詳細):

平成30年(2018年)改正でキャリーオーバー制度が正式化されました:

  • 未発動のマクロ経済スライド調整分を翌年度以降に繰り越す
  • 翌年度に名目額を下げない範囲で追加調整する

これにより「デフレ局面で発動できなかった分の調整」が将来年度に実施されます。ただしキャリーオーバーは「調整余力の繰越」であり、「名目額が下がらない保証」ではありません。エの「名目額が前年度より減少することはない」は誤りです。特に1990年代のデフレ局面では実際に年金の名目額が削減された歴史があります(当時はマクロ経済スライドなし・特別の法改正で削減)。

「低い方を選択する」理由の政策的深掘り(オの正の立法趣旨):

名目賃金変動率と物価変動率のうち「低い方」を選択する理由:

賃金<物価のとき(令和8年度がこのケース):

→ 物価は上がったが賃金がそれほど上がっていない

→ 現役世代の実質賃金が低下中

→ 年金額を賃金上昇率に連動させる(物価ほど上げない)ことで年金財政を守りつつ、現役世代の負担と給付のバランスを維持

物価<賃金のとき(高度経済成長期的状況):

→ 物価上昇率が低く、賃金が大きく上昇

→ 年金額を物価上昇分だけ上げれば十分(賃金連動は過剰)

→ 物価連動で抑制し、財政的な安定を確保

この「低い方を選択」により、年金の実質購買力が急激に上下しない「安定した改定」が設計されています。

2050年問題・所得代替率との接続:

マクロ経済スライドの最終目標は「所得代替率50%の維持」です(国民年金法第4条・財政検証の基準)。現役世代の平均手取り収入に対して夫婦の年金合計が50%を下回らないように制度を運営することが法律上求められています。令和6年財政検証(5年に1度・令和11年が次回)での推計では現行の仕組みで所得代替率50%超は維持できると試算されています。

試験での重要確認ポイント(令和8年度):

  • 改定率:+1.9%%(マクロ経済スライド発動)
  • 老齢基礎年金満額(昭和31年4月2日以後生まれ):月額70,608円/月円
  • 算式:名目賃金+2.1% − マクロ調整0.2% = +1.9%%

<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 国年法第27条の2〜第27条の5に基づく。改定率は「賃金・物価の低い方−マクロ調整率」(オ正)。令和8年度改定率+1.9%%・満額70,608円/月円。エ誤(名目額減少あり得る)。アは物価も考慮するため誤り。一次ソース:厚労省・e-Gov公式確認済。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第27条の2〜第27条の5(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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