問題
国民年金法の給付に関する通則についての次のア〜オの記述のうち、正しいものはいくつあるか。 - ア. 給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押さえることができないが、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む。)により差し押さえる場合は、この限りでない。 - イ. 租税その他の公課は、給付として支給を受けた金銭を標準として課することができないが、老齢基礎年金及び付加年金については、この限りでない。 - ウ. 障害基礎年金を受ける権利は、老齢基礎年金を受ける権利と同様に、国税滞納処分により差し押さえることができる。 - エ. 政府は、障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となった事故が第三者の行為によって生じた場合において、給付をしたときは、その給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。 - オ. 偽りその他不正の手段により給付を受けた者があるときは、厚生労働大臣は、受給額に相当する金額に加え、その2倍に相当する金額以下の金額を加算して、その者から徴収することができる。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(3個)です。
正しいのはア・イ・エの3つです。
ア(正): 給付を受ける権利は、譲渡・担保提供・差押えが禁止されています。ただし、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合は例外です(第24条)。
イ(正): 給付として支給を受けた金銭を標準として租税その他の公課を課することはできませんが、老齢基礎年金と付加年金は例外です(第25条)。
ウ(誤): 国税滞納処分による差押えの例外は、老齢基礎年金と付加年金を受ける権利に限られます(第24条ただし書)。障害基礎年金を受ける権利は差し押さえることができません。
エ(正): 第三者の行為による事故で給付をしたときは、政府はその給付の価額の限度で、受給権者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得します(第22条第1項)。
オ(誤): 不正利得の徴収は「受給額に相当する金額の全部又は一部」を徴収するもので(第23条)、受給額の2倍以下の金額を加算する規定は国民年金法にはありません。
給付の通則の整理:
| 条 | 内容 | 例外・付随 |
|---|---|---|
| 第22条 | 第三者行為による障害・死亡で給付したとき、政府は給付の価額の限度で受給権者の損害賠償請求権を取得(第1項) | 受給権者が先に第三者から同一事由の損害賠償を受けたときは、その価額の限度で給付の責めを免れる(第2項) |
| 第23条 | 偽りその他不正の手段で給付を受けた者から、受給額相当額の全部又は一部を徴収できる | 加算金の規定はない(刑事罰は第111条) |
| 第24条 | 給付を受ける権利の譲渡・担保提供・差押えの禁止 | 老齢基礎年金・付加年金を受ける権利は国税滞納処分(その例による処分を含む)による差押えが可能 |
| 第25条 | 給付として支給を受けた金銭を標準とする公課の禁止 | 老齢基礎年金・付加年金には課税できる |
ア・イ・ウの読み分け:
第24条ただし書と第25条ただし書は、いずれも例外を「老齢基礎年金」と「付加年金」に限っています。障害基礎年金・遺族基礎年金・寡婦年金・死亡一時金などは、差押えも課税もされません。ウは、この例外を障害基礎年金に広げている点が誤りです。
エの正の詳細(第22条):
政府が先に給付したときは、給付の価額の限度で損害賠償請求権を取得し(第1項)、受給権者が先に第三者から損害賠償を受けたときは、その価額の限度で給付を行う責めを免れます(第2項)。同じ損害が二重に填補されないよう調整する仕組みです。
オの誤りの詳細(第23条):
第23条は「受給額に相当する金額の全部又は一部をその者から徴収することができる」と定めるだけで、受給額に上乗せする加算の規定はありません。不正受給の刑事責任は別に第111条(3年以下の拘禁刑又は100万円以下の罰金。刑法に正条があるときは刑法)で問われます。
【給付の通則(第22条〜第25条)の構造】
国民年金法は、各給付の章とは別に、すべての給付に共通するルールを「通則」として置いています。第22条〜第25条は、給付を受ける権利と給付の金銭が、第三者・不正受給者・債権者・課税当局との関係でどう扱われるかを定めた条文群です。
受給権の保護(第24条):
給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、差し押さえることができません。例外は、老齢基礎年金又は付加年金を受ける権利を国税滞納処分(その例による処分を含む)により差し押さえる場合だけです。一般の債権者による差押えは、老齢基礎年金であっても認められません。例外が「国税滞納処分」に限られている点と、対象が「老齢基礎年金・付加年金」に限られている点の2つを押さえます。
公課の禁止(第25条):
給付として支給を受けた金銭を標準として、租税その他の公課を課することはできません。ただし、老齢基礎年金と付加年金は例外です。第24条ただし書と例外の範囲がそろっているため、2つの条をセットで覚えると誤りにくくなります。なお、年金生活者支援給付金にも同様の公課の禁止(年金生活者支援給付金の支給に関する法律第33条)がありますが、こちらには老齢の例外はありません。
損害賠償請求権(第22条):
対象は「障害若しくは死亡又はこれらの直接の原因となつた事故が第三者の行為によつて生じた場合」です。政府が先に給付したときは給付の価額の限度で損害賠償請求権を取得し(第1項)、受給権者が先に第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、政府はその価額の限度で給付の責めを免れます(第2項)。
不正利得の徴収(第23条)と罰則(第111条):
第23条は行政上の返還の仕組みで、徴収できるのは受給額相当額の全部又は一部です。不正受給には別に刑事罰(第111条)があり、両者は並行して問題になりえます。
社労士実務との接続:
年金受給者から「税金の滞納で年金が差し押さえられるのか」「年金に税金はかかるのか」と相談された場合、社労士は、老齢基礎年金・付加年金は国税滞納処分による差押えと課税の対象になるが、障害基礎年金・遺族基礎年金はいずれの対象にもならないことを条文に基づいて説明できる必要があります。
- 国民年金法e-Govで原文を読む
- 刑法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第22条(損害賠償請求権)・第23条(不正利得の徴収)・第24条(受給権の保護)・第25条(公課の禁止)・第111条(罰則)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) e-Gov 法令API v2 で全文照合 確認日: 2026-09-30 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

