社労士 国民年金法 問58:国民年金法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
国民年金の給付に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。 本問は「脱退一時金」(国年法附則)の現行制度および老齢基礎年金・障害基礎年金・遺族基礎年金の「1人1年金の原則と例外」を問うものである。
- ア老齢基礎年金と障害基礎年金の両方の受給権を有する者は、どちらか一方を選択して受給しなければならず、両方を同時に受給することはできない。
- イ老齢基礎年金の受給権者が、新たに障害基礎年金の受給権を取得した場合、その者は老齢基礎年金と障害基礎年金のいずれかを選択して受給することができる。
- ウ65歳以降は、老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時に受給することが認められている。
- エ国民年金の第1号被保険者として保険料を36か月以上納付した者が、老齢基礎年金・障害基礎年金のいずれも受給しないまま死亡した場合、遺族は「死亡一時金」を請求することができる。
- オ国民年金の脱退一時金は、日本国籍を有する者が帰国した際に受け取ることができる制度であり、保険料納付済期間等が6か月以上あれば請求できる。正答
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正答はオです。
「日本国籍を有する者が帰国した際に受け取ることができる」という記述が誤りです。国民年金の脱退一時金は日本国籍を有しない外国人が対象の制度です。日本国籍を有する者は日本の年金制度の受給権が維持されるため、脱退一時金の対象ではありません。
ア・イは1人1年金原則の説明として正しく、老齢基礎年金と障害基礎年金は65歳前後を問わずどちらか一方を選択して受給します(同時受給不可)。ウは「老齢基礎年金と老齢厚生年金を同時受給できる」という記述で、これは1人1年金原則の例外として認められている正しい内容(同一事故系統ではなく制度が異なる)です。エの死亡一時金は36か月以上の納付要件が正確に記されており正しいです。
国民年金の1人1年金の原則と例外の整理:
| 組み合わせ | 65歳未満 | 65歳以上 |
|---|---|---|
| 老齢基礎年金と障害基礎年金 | どちらか一方を選択(1人1年金原則) | どちらか一方を選択(同時受給不可・原則変わらず) |
| 老齢基礎年金と遺族基礎年金 | どちらか選択 | どちらか選択 |
| 老齢基礎年金と老齢厚生年金 | 老齢厚生年金は65歳未満では特別支給のみ | 同時受給可(1人1年金原則の例外・ウ正) |
ウ(正)の意味:老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時受給は認められる:
国民年金の老齢基礎年金と厚生年金の老齢厚生年金はそれぞれ別制度(国民年金法・厚生年金保険法)に基づく給付であり、両者は「1人1年金原則」の適用外として65歳以降に同時受給が認められています。試験では「老齢基礎年金と障害基礎年金の同時受給不可」と「老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時受給可」の区別が頻出論点です。
オの誤り(脱退一時金の対象は外国人のみ):
国民年金法附則の脱退一時金は:
- 対象:日本国籍を有しない者(外国人)
- 帰国後(日本から出国した後)2年以内に請求
- 保険料納付済期間等が6か月以上(この部分は正しい)
オの誤りは「日本国籍を有する者が帰国した際」という主体要件の部分であり、6か月以上という月数は正しいです。
エ(正)の死亡一時金の要件:
死亡一時金は保険料納付済期間等が36か月以上あること。エの記述は正確です(36か月以上=3年以上)。
【国民年金の1人1年金原則の立法趣旨・例外規定の体系・脱退一時金制度の精緻な理解】
国民年金の給付は「老齢・障害・遺族」の3系統に分類され、それぞれ独立した受給権として設計されています。複数の受給権が競合する場合の処理ルールが「1人1年金の原則」(国年法第20条)です。
1人1年金原則の立法趣旨:
「同一の保険事故(老齢・障害・死亡)に対して重複支給しない」という社会保険の基本原則から、同一系統内の給付が競合する場合は選択受給とします。しかし「異なる制度(国民年金と厚生年金)の給付」や「異なる保険事故」については原則の適用外とする例外が設けられています。
同時受給が認められる組み合わせと認められない組み合わせ(精緻な整理):
| 組み合わせ | 同時受給 | 根拠 |
|---|---|---|
| 老齢基礎年金 + 老齢厚生年金(65歳以上) | 可 | 国民年金法と厚生年金保険法の別制度 |
| 老齢基礎年金 + 障害基礎年金 | 不可(選択) | 国年法第20条・同一制度内競合 |
| 障害基礎年金 + 障害厚生年金(同一傷病・65歳以上) | 可 | 65歳以上の特例 |
| 老齢基礎年金 + 遺族基礎年金 | 不可(選択) | 国年法第20条 |
| 障害基礎年金 + 遺族基礎年金 | 不可(選択) | 国年法第20条 |
65歳以上になると「障害基礎年金と障害厚生年金の同時受給」が認められる特例(厚年法別規定)があり、混同しやすい点です。国年法の1人1年金原則は65歳以降も変わらず適用されますが、厚年法との組み合わせで制度横断的な「同時受給可」パターンが存在します。
脱退一時金(国年法附則)の精緻な理解:
| 項目 | 国民年金 脱退一時金 |
|---|---|
| 対象者 | 日本国籍を有しない者 |
| 要件 | 第1号被保険者として保険料納付済期間等が6か月以上 |
| 請求期限 | 出国日の翌日から2年以内 |
| 支給額 | 納付月数に応じた額(上限60か月分・令和3年4月改正で厚年と統一) |
| 老齢基礎年金との関係 | 脱退一時金を受給すると、その期間に係る被保険者期間は受給資格期間から除外 |
厚生年金の脱退一時金との比較(横断理解):
| 比較項目 | 国民年金 脱退一時金 | 厚生年金 脱退一時金 |
|---|---|---|
| 対象者 | 日本国籍なし・外国人 | 日本国籍なし・外国人 |
| 最大支給期間 | 60か月(5年) | 60か月(5年)・2021年4月改正 |
| 請求期限 | 出国後2年以内 | 出国後2年以内 |
| 保険料納付要件 | 6か月以上 | 6か月以上 |
両者とも「6か月以上の保険料納付」と「出国後2年以内の請求」という要件は共通です。オの「6か月以上」という月数部分は正しく、誤りは「日本国籍を有する者」という主体要件の部分のみです。
死亡一時金と脱退一時金の比較(混同防止):
| 比較項目 | 死亡一時金 | 脱退一時金 |
|---|---|---|
| 受給者 | 遺族(配偶者・子・父母等) | 被保険者本人(外国人) |
| 前提 | 被保険者が死亡 | 被保険者が出国 |
| 保険料要件 | 納付済等が36か月以上 | 納付済等が6か月以上 |
| 老齢年金との関係 | 老齢・障害年金を受給しないまま死亡が前提 | 老齢・障害・遺族年金受給権なしが前提 |
社労士実務との接続:
外国人労働者の増加に伴い、脱退一時金の案内は社労士実務でも重要性が増しています。特に帰国を検討している外国人労働者への年金相談では「脱退一時金を受けると受給資格期間から除外される→日本に再入国した場合に受給資格の再積算が必要」という重要事項の説明が求められます。また「老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時受給可」という正確な知識は年金相談の基本中の基本であり、「同時受給できない組み合わせ(障害・遺族との併給)」との区別を明確に説明できることが実務の基礎です。
<!-- 監修確定 2026-06-08 差し戻し修正版(legal-reviser): 選択肢ウを「老齢基礎年金と障害基礎年金の同時受給」(誤)から「老齢基礎年金と老齢厚生年金の同時受給」(正)に差し替え。これによりウは正しい記述となり、誤りはオのみ(正答=オ)が確定。解説の整合性を全レベルで修正済み。国年法第20条・附則脱退一時金規定に基づく。一次ソース:e-Gov国年法公式確認済。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 国民年金法第20条・第52条の2〜第52条の6・附則(脱退一時金)(https://laws.e-gov.go.jp/law/334AC0000000141) 確認日: 2026-06-08 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。