社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 厚生年金保険法 問17|受給権者の届出義務

問題

社労士 | 厚生年金保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

厚生年金保険の受給権者が負う届出義務に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエ(誤っている記述)です。

エの誤りは「マイナンバーが収録されている場合であっても省略することはできない」という部分です。現行の運用では、受給権者のマイナンバー(個人番号)が日本年金機構に収録されている場合、住民基本台帳ネットワークとの連動によって死亡情報が機構に通知されるため、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出を原則として省略することができます(日本年金機構の公式運用)。「省略することはできない」とするエは誤りです。

ア(マイナ収録者は住所変更届省略可・住基ネット連動)、イ(離婚は届出必要/配偶者65歳到達は自動改定で届出不要)、ウ(現況届の原則廃止)、オ(障害状態確認届)はいずれも現行制度の正確な記述です。なお、未支給年金を併せて請求する場合は「年金受給権者死亡届(報告書)兼 未支給年金・未支払給付金請求書」の提出が必要であり、この場合は省略できない点に注意が必要です。

受給権者の届出義務一覧(厚年法第98条・日本年金機構運用):

届出事由届出内容マイナンバー収録時の省略
住所変更変更後の住所を届出可(住基ネット連動で原則不要)
氏名変更変更後の氏名を届出可(住基ネット連動)
加給年金の対象者変動(離婚・対象者死亡等)加算額・加給年金額対象者不該当届を提出(施行規則第32条)不可(届出が必要)
配偶者の65歳到達(加給年金停止事由)届出不要(自動改定)―
受給権者の死亡遺族が死亡届を提出可(マイナ収録者は原則省略可。ただし未支給年金請求を併せる場合は不可)
現況届(生存確認)生存を届出原則廃止(住基ネット連動で原則不要・海外居住者等は要提出)

各選択肢の解説:

  • ア(正): 受給権者の住所変更は原則として住所変更届の提出が必要だが、マイナンバーが日本年金機構に収録され基礎年金番号と紐付いている受給権者については、住基ネットの異動情報活用により提出が原則不要とされる(日本年金機構公式運用)。アは「原則必要だがマイナ収録者は省略可」という現行運用を正確に記述している。
  • イ(正): 配偶者と離婚した場合は「加算額・加給年金額対象者不該当届」の提出が必要(届出漏れは過払い・返還リスク)。一方、配偶者が65歳に到達した場合は加給年金が加算されなくなるが、年金額の改定は日本年金機構が自動で行うため届出は不要(日本年金機構公式・全国市町村職員共済組合連合会FAQで明示)。イは両方の場合分けを正確に記述している。
  • ウ(正): 現況届(誕生月の生存確認書類)はマイナンバーを活用した住民基本台帳との連動整備により、マイナンバー収録者の大部分について提出が原則不要となった。ただし海外居住者・マイナ未収録者は引き続き提出が必要。
  • エ(誤・正答): 受給権者のマイナンバーが日本年金機構に収録されている場合、住基ネット連動により死亡情報が機構に通知されるため、「年金受給権者死亡届(報告書)」の提出を原則として省略できる(日本年金機構公式)。「省略できない」は誤り。なお、未支給年金を併せて請求する場合は「死亡届兼未支給年金請求書」の提出が必要で、この場合は省略できないが、これは未支給年金請求の手続きが省略できないだけであり、「死亡届そのものをマイナ収録者でも省略できない」とするエの記述は誤りで変わらない。
  • オ(正): 障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した受給権者は、指定年の指定日までに、指定日前3月以内に作成された医師の診断書を添えて「障害状態確認届」を提出する義務を負う(施行規則第51条の4)。障害の程度が変わったときに本人が随時届け出る仕組みではない。等級の見直し・支給停止・失権の判断に使われる。

【マイナンバー活用による届出省略の法的根拠と実務上の限界】

日本年金機構は、住民基本台帳ネットワークシステムの情報で受給権者の生存・住所・氏名を確認しています。この仕組みの前提となるのは次の2点です:

1. 厚生年金保険法第98条のただし書: 受給権者の死亡の届出(第4項:戸籍法の死亡の届出義務者が10日以内に届け出る)には「厚生労働省令で定める場合は、この限りでない」というただし書があり、届出を要しない場合を省令で定められる

2. 番号法(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律): マイナンバーを年金事務に利用し、住民基本台帳の情報と照合する根拠(厚生年金保険法自体にマイナンバー利用の条は置かれていない。番号法の条・号は本解説では特定しない)

省略できる届出 vs 省略できない届出(マイナンバー収録時・日本年金機構公式運用):

届出省略可否理由
現況届(生存確認)可(原則廃止)住基ネット照合で生存確認が可能(海外居住者等は提出継続)
死亡届(年金受給権者死亡届)可(マイナ収録者)住民票の死亡情報が住基ネット経由で機構に通知
住所変更届可(マイナ収録者)住基ネットの異動情報活用で原則不要(成年後見・住民票と異なる居所の場合は要提出)
氏名変更届可(マイナ収録者)住基ネット連動
加給年金額対象者不該当届(離婚・対象者死亡等)不可(届出が必要)施行規則第32条が、法第44条第4項各号(第4号・第8号・第10号を除く)に該当したときの届出を求めている
加給年金(配偶者65歳到達で加算終了)届出不要法第44条第4項第4号は施行規則第32条の届出の対象から除かれている

【現況届廃止の「原則」と「例外」の整理】

現況届が「原則廃止」とされているにもかかわらず、以下の対象者は引き続き現況届の提出が必要です:

1. 住民基本台帳ネットワークの情報で確認できない者: 日本年金機構は「住民基本台帳ネットワークの情報で確認できない方は誕生月に現況届の届出が必要」と案内しています(海外居住で住民票がない方など)

2. 別の届出が残る者: 現況届が不要でも、加給年金額の対象者がいる方や障害年金を受けている方などは、誕生月などに生計維持や障害の状態に関する書類の提出を求められる場合があります

社労士実務では、高齢の受給権者(特に海外赴任歴のある方・帰国後に住民票未登録の方)について現況届の要否を確認することが重要です。

【加給年金の届出義務と「支給停止・失権」の実務リスク】

加給年金(厚年法第44条)は、老齢厚生年金の受給権者に生計維持している配偶者・子がいる場合に加算されますが、支給停止・失権事由が発生した際には事由ごとに届出要否が分かれます。

事由ごとの届出要否(日本年金機構公式運用):

事由届出根拠
配偶者が65歳到達(加算終了。要件を満たせば配偶者の老齢基礎年金に振替加算)不要法第44条第4項第4号は施行規則第32条の届出対象外
配偶者と離婚必要(加算額・加給年金額対象者不該当届)法第44条第4項第3号・施行規則第32条
配偶者・子の死亡必要(同上)法第44条第4項第1号・施行規則第32条
配偶者が老齢厚生年金等(被保険者期間20年以上)・障害年金を受けられるようになった届出が必要となる場合がある(日本年金機構の案内)加算額の支給停止(法第46条第6項)。加算の終了(第44条第4項)とは別の仕組み

届出が必要なのに漏れた場合のリスク:

届出漏れのケース生じるリスク
配偶者と離婚したのに未届加給年金の停止漏れ(過払い分の返還義務)
配偶者が20年以上の厚生年金期間を持つ年金の受給権を取得したのに未届加給年金の停止漏れ(過払い分の返還)
配偶者・子の死亡を未届(住基ネット未連携の場合)失権後も加給年金を受け続ける(返還義務)

なお、令和4年4月からは、配偶者が被保険者期間20年以上の老齢厚生年金などを実際に受け取っていなくても、受け取る権利がある場合(在職により支給停止となっている場合等)は配偶者加給年金額が支給停止されます(法第46条第6項・日本年金機構。一定の要件を満たす方には経過措置あり)。この点も社労士実務で重要です。

社労士として事業主・受給権者に加給年金の届出義務を周知徹底することは、後日の返還トラブル防止につながる重要な実務指導です。

【障害状態確認届の詳細と等級変更の実務】

障害厚生年金の受給権者のうち、障害の程度の診査が必要であると認めて厚生労働大臣が指定した者は、指定された年の指定日までに、指定日前3月以内に作成された医師の診断書を添えて「障害状態確認届」を提出します(施行規則第51条の4)。実施機関はこれを基に障害の程度を診査し、その結果:

  • 程度が軽くなった: 下位の等級への改定、障害等級に該当しなくなれば支給停止
  • 程度が重くなった: 上位の等級への改定(実施機関の診査による改定・法第52条第1項)
  • 等級が変わらない: 継続支給

提出の要否と時期は、障害の状態に応じて指定されます。社労士として障害年金受給者の支援を行う場合、この指定日の管理と医療機関との連携サポートが実務上の重要業務です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 厚生年金保険法第98条(届出等。受給権者の届出は第3項、死亡の届出は第4項)・同法施行規則第32条(加給年金額対象者の不該当の届出。法第44条第4項第4号・第8号・第10号を除く)・第51条の4(障害の現状に関する届出)、行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(マイナンバー法)に基づく住基ネット情報連携、日本年金機構の事務処理運用 参照した数値: マイナンバー収録時の死亡届・住所変更届・現況届の省略運用、配偶者65歳到達時の自動改定運用(条文・公式運用) 確認日: 2026-06-08 出典URL: - e-Gov 厚生年金保険法 https://laws.e-gov.go.jp/law/329AC0000000115 - 日本年金機構「マイナンバーが収録されている場合に省略できる届出は何ですか」 https://www.nenkin.go.jp/faq/seidozenpan/mynumber/myna_shoryaku.html - 日本年金機構「年金を受けている方が亡くなったとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140731-01.html - 日本年金機構「年金を受けている方が誕生月を迎えたとき(現況届)」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140421-11.html - 日本年金機構「年金を受けている方が年金の受取機関や住所を変更するとき」 https://www.nenkin.go.jp/service/jukyu/tetsuduki/kyotsu/jukyu/20140421-13.html - 全国市町村職員共済組合連合会「加給年金と加給年金額対象者に係る届出について」 https://ssl.shichousonren.or.jp/pensioner/qa05.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 受給権者の届出義務(住所変更・加給年金の対象者変動・現況届廃止・マイナンバー
  • 頻出度B

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