社労士 雇用保険法 問7:雇用保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
雇用保険における高年齢求職者給付金に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア高年齢求職者給付金は、65歳以上の高年齢被保険者が失業した場合に支給される一時金であり、基本手当と同様に所定給付日数分が継続的に支給される。
- イ高年齢求職者給付金を受給するためには、離職の日以前2年間に被保険者期間が通算して6か月以上あることが必要であり、被保険者期間の計算方法は基本手当の場合と同様である。
- ウ高年齢求職者給付金の支給日数は、被保険者期間が1年以上の場合は基本手当日額の50日分、1年未満の場合は30日分であるが、基本手当と同様に算定基礎期間に応じた所定給付日数の特例がある。
- エ高年齢求職者給付金は一時金として支給されるが、受給後に再就職した場合は就業促進手当(再就職手当)の対象となり、残日数相当分の給付を受けることができる。
- オ高年齢求職者給付金の支給を受けた高年齢被保険者が再び就職し、同一の事業主のもとで引き続き高年齢被保険者の要件を満たして雇用されたとしても、再離職した場合には前回の受給実績に関係なく改めて受給資格を取得することができる。正答
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正答はオ(正しい記述)です。
高年齢求職者給付金を受給した後に再就職し、再度高年齢被保険者の資格を取得・喪失した場合は、前回の受給歴に関係なく改めて受給資格を取得できます(雇用保険法第37条の2)。
アは誤りで、高年齢求職者給付金は継続給付ではなく一時金(まとめて一括支給)です。基本手当のように毎月の失業認定を繰り返して受け取るものではありません。
イは誤りで、受給要件の基準期間は「1年間に6か月以上」です。「2年間に6か月以上」というのは誤りです(一般被保険者の基本手当受給要件「2年間に12か月以上」との混同に注意)。ウは誤りで、「算定基礎期間に応じた特例」はなく、支給日数は被保険者期間1年以上/未満の2区分のみです。エは誤りで、一時金のため残日数が発生せず再就職手当の対象外です。
高年齢求職者給付金の全体像(必須整理):
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象者 | 65歳以上の高年齢被保険者が離職・失業した場合 |
| 受給要件 | 離職の日以前1年間に被保険者期間が通算6か月以上 |
| 給付の性格 | 一時金(所定の日数分を一括支給。継続支給ではない) |
| 支給日数(1年以上) | 基本手当日額 × 50日分 |
| 支給日数(1年未満) | 基本手当日額 × 30日分 |
| 基本手当日額の計算 | 基本手当と同様の計算式(賃金日額に給付率を乗じる) |
基本手当との主な違い:
| 比較項目 | 基本手当(65歳未満) | 高年齢求職者給付金(65歳以上) |
|---|---|---|
| 給付形態 | 継続支給(失業認定ごと) | 一時金(一括支給) |
| 受給要件 | 2年間に12か月(一般)or 1年間に6か月(特定) | 1年間に6か月以上(一種類のみ) |
| 所定給付日数 | 算定基礎期間・年齢・理由で最大330日など | 50日 or 30日(2区分のみ) |
| 再就職手当 | 残日数に応じて受給可能 | 対象外(一時金のため残日数が存在しない) |
| 算定基礎期間の特例 | なし(受給資格計算に使用) | なし(支給日数は被保険者期間のみで2区分) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 継続支給ではなく一時金(まとめて一括支給)。失業認定を繰り返す基本手当方式ではない。
- イ(誤): 受給要件の基準期間は「1年間に6か月以上」。「2年間に6か月以上」は誤り。一般受給資格者(基本手当)の「2年間に12か月以上」と基準期間の「2年間」を混同した誤り肢。
- ウ(誤): 高年齢求職者給付金には算定基礎期間に応じた所定給付日数の特例は存在しない。被保険者期間1年以上=50日分、1年未満=30日分の2区分のみで決まる(雇用保険法第37条の3第2項・確認日2026-06-08)。
- エ(誤): 一時金のため残日数が発生せず、再就職手当(就業促進手当)の対象外。
- オ(正): 再受給が可能。高年齢被保険者の資格を一旦喪失し、再度取得・喪失した場合は新たに受給資格を取得できる。
<!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 高年齢求職者給付金の本則(雇用保険法第37条の3)に基づき正答「オ」の妥当性を確認。選択肢ウの解説を「相対比較」表現を排除し明確な誤り根拠に統一。 -->
【高年齢被保険者制度の沿革と65歳超雇用の政策的背景】
高年齢求職者給付金は、かつて「65歳以上は雇用保険の適用除外」だった時代の名残を受けながら、高齢者就労促進の政策的要請により段階的に整備されてきた給付です。
年表:
- 平成29年(2017年)1月1日: 64歳以上に対する雇用保険の適用(高年齢被保険者の制度化)が本格始動。65歳以上でも新たに雇用される者が高年齢被保険者として加入可能に
- 従来: 65歳以上で新たに採用された者は適用除外(既に65歳前から継続雇用されている者のみ高年齢継続被保険者として加入)
- 制度目的: 65歳以降も就業継続・失業保護のセーフティネットを確保し、人生100年時代の就労環境を整備
【高年齢被保険者と「短期雇用特例被保険者」「日雇労働被保険者」との三者比較】
社労士試験では65歳以上の給付体系を3種の被保険者区分として整理することが不可欠です:
| 被保険者区分 | 主な対象 | 失業時の給付 | 給付形態 |
|---|---|---|---|
| 高年齢被保険者 | 65歳以上で週20時間以上雇用 | 高年齢求職者給付金 | 一時金(50日 or 30日) |
| 短期雇用特例被保険者 | 季節的に雇用・1年未満の短期雇用(65歳未満) | 特例一時金(40日分・暫定30日) | 一時金 |
| 日雇労働被保険者 | 日々または30日以内の契約(雇用保険印紙) | 日雇労働求職者給付金(日額) | 認定日単位 |
| 一般被保険者 | 65歳未満の通常の雇用 | 基本手当 | 継続給付(失業認定ごと) |
【「1年以上/未満」の被保険者期間判定の実務上の注意点】
高年齢求職者給付金の50日/30日区分の判定基準は「離職の日以前1年間に被保険者期間6か月以上」ではなく、「高年齢被保険者としての被保険者期間が1年以上か1年未満か」です。
具体例:
- 70歳のAが65歳時から就業・高年齢被保険者として4年2か月加入後に離職→被保険者期間1年以上→50日分
- 67歳のBが65歳時から就業・8か月で離職→被保険者期間1年未満→30日分
受給要件(6か月以上)と支給日数(1年以上/未満)は別の判定軸であることに注意が必要です。
【再受給が可能な理由(オの正答根拠)】
基本手当では、受給資格を取得・受給した後に再就職し再び被保険者になった場合、「前の受給歴」が新たな受給資格の計算に影響します(被保険者期間のリセット)。
しかし高年齢求職者給付金は一時金(非継続型)であるため、受給後の被保険者期間が新たに6か月以上蓄積すれば、独立した新たな受給資格が発生します。前回の受給実績は障害になりません。
これは高齢者の「働いては失業→また働く」というフレキシブルな就労パターンを支援する制度設計として重要です。
【令和8年度試験で問われやすい数値・ポイント整理】
| 論点 | 数値・内容 |
|---|---|
| 対象年齢 | 65歳以上 |
| 受給要件・被保険者期間 | 離職日以前1年間に6か月以上 |
| 50日分の条件 | 被保険者期間1年以上 |
| 30日分の条件 | 被保険者期間1年未満 |
| 給付形態 | 一時金(継続支給なし) |
| 再就職手当との関係 | 対象外(残日数なし) |
| 求職活動要件 | 基本手当と同様(失業の認定が必要) |
| 年金との併給 | 可能(65歳以上の老齢年金との併給制限なし) |
特に「基本手当との違い」(継続vs一時金・受給要件の差)と「50日/30日の2区分のみ(算定基礎期間・特定受給資格者等の特例なし)」は頻出の出題ポイントです。上位資格(年金アドバイザー・FP)への接続においては、高齢就労者の「雇用保険と年金の同時受給」が可能である点(基本手当と異なり老齢年金との調整なし)も把握しておくと実務・相談業務で役立ちます。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 雇用保険法第37条の2(高年齢求職者給付金)・第37条の3(高年齢被保険者の定義)・第14条(被保険者期間の計算) 出典一次ソース: 厚生労働省「高年齢求職者給付金のご案内」https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000695108.pdf(確認日2026-06-08) 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。