問題
職業安定法に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(正しい記述)です。
職業安定法第44条は「何人も…労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない」と定め、労働者供給事業を原則禁止しています。ただし第45条は「労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる」と例外を認めています。
アは誤りで、有料職業紹介事業は届出制ではなく厚生労働大臣の許可制(第30条)です。イは誤りで、港湾運送業務・建設業務に就く職業等は有料職業紹介事業者が紹介することを禁止されています(第32条の11)。ウは誤りで、労働組合等が厚生労働大臣の許可を受ければ無料の労働者供給事業を行うことができます(第45条)。エは誤りで、法令違反の求人・著しく不適当な労働条件の求人・暴力団関係者からの求人等は受理しないことができます(第5条の6)。
職業安定法の許可・禁止・例外の整理:
| 制度 | 条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 有料職業紹介事業 | 第30条 | 厚生労働大臣の許可制(届出制ではない) |
| 取扱職業の範囲制限 | 第32条の11 | 有料職業紹介事業者は、港湾運送業務・建設業務に就く職業その他厚生労働省令で定める職業を求職者に紹介してはならない |
| 労働者供給事業の禁止 | 第44条 | 何人も行うことができない(原則禁止) |
| 労働者供給事業の例外 | 第45条 | 労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けた場合、無料の労働者供給事業を行うことができる |
| 求人の受理義務と例外 | 第5条の6 | 原則すべて受理。ただし法令違反・著しく不適当な労働条件・暴力団関係者からの求人等は受理しないことができる |
各選択肢の正誤:
- ア(誤): 届出制ではなく厚生労働大臣の許可制。
- イ(誤): 港湾運送業務・建設業務に就く職業は紹介禁止(32条の11)。
- ウ(誤): 45条の例外により、労働組合等・厚生労働大臣の許可・無料の3条件が揃えば行うことができる。
- エ(誤): 5条の6は例外(法令違反・暴力団排除等)を明記しており「いかなる場合であっても」拒否できないわけではない。
- オ(正): 44条・45条どおり。
44条と45条の関係: 44条が原則禁止、45条が「労働組合等・厚生労働大臣の許可・無料」という3条件を満たす場合の例外、という「原則と例外」の構造を正確に押さえることが本問の核心です。
【労働者供給事業の禁止(44条)の趣旨】
労働者供給事業の原則禁止は、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令の下で働かせる仲介形態が、労働者の中間搾取や強制労働の温床になりやすいことから置かれている規定です。「何人も」という文言は、営利・非営利を問わず、また労働組合であっても許可なく労働者供給事業を行えないことを意味します。44条は、供給事業を行う側だけでなく、供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させる側(供給を受ける側)も禁止の対象にしている点も押さえておきましょう。
【45条の例外が労働組合にのみ認められる理由】
45条が労働組合等に限って例外を認めているのは、労働組合が組合員の利益のために活動する団体であり、営利目的の中間搾取のおそれが低いと考えられているためです。ただし、労働組合が無料の労働者供給事業を行うには、厚生労働大臣の許可が必要であり、無条件に認められるわけではありません。労働者派遣事業(労働者派遣法)との違いは、労働者供給事業が「供給元と供給先の間に指揮命令関係の移転を伴う人貸し」である点で類似しますが、職業安定法は労働者派遣法に規定する「労働者派遣」に該当するものを「労働者供給」の定義から除外し(職業安定法4条8項)、別の法律(労働者派遣法)で独自に規制する仕組みを採用しています。
【32条の11の取扱職業制限の趣旨】
32条の11第1項は、港湾運送業務に就く職業、建設業務に就く職業のほか、「有料の職業紹介事業においてその職業のあつせんを行うことが当該職業に就く労働者の保護に支障を及ぼすおそれがあるもの」として厚生労働省令で定める職業を、有料職業紹介事業者が紹介してはならない職業としています。つまり、禁止の理由は条文上「労働者の保護に支障を及ぼすおそれ」であり、これらの職業については有料職業紹介事業者に求人・求職の申込みの全件受理義務(5条の6第1項・5条の7第1項)も適用されません(32条の11第2項)。
【5条の6の求人不受理事由と暴力団排除】
5条の6第1項各号は、公共職業安定所等が求人の申込みを受理しないことができる場合を列挙しています。特に5号は、暴力団員による不当な行為の防止等に関する法律に規定する暴力団員からの求人、暴力団員が役員である法人からの求人、暴力団員が事業活動を支配する者からの求人を不受理事由として明記しており、労働市場からの反社会的勢力の排除を目的としています。また6号は、公共職業安定所等からの報告要求に正当な理由なく応じない求人者からの求人も不受理事由としており、求人情報の適正性を担保する仕組みとなっています。
【社労士試験での位置づけ】
労一科目における職業安定法の出題は、労働者派遣法・労働施策総合推進法(職業紹介事業者の責務等)との比較・混同を狙った問題が多く、「許可制か届出制か」「主体(厚生労働大臣・都道府県労働局長)」「原則と例外の要件」を条文の文言どおりに正確に押さえることが得点に直結します。
- 労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律e-Govで原文を読む
- 労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 職業安定法第30条(有料職業紹介事業の許可・厚生労働大臣)・第32条の11(取扱職業の範囲・港湾運送業務等の紹介禁止)・第44条(労働者供給事業の禁止)・第45条(労働組合等が厚生労働大臣の許可を受けた場合の無料の労働者供給事業)・第5条の6(求人の申込みの原則受理と例外) 一次ソース: e-Gov 法令API v2 `law_data/322AC0000000141`(職業安定法)を2026-04-01時点(asof 指定)で取得し、4条・5条の6・30条・32条の11・44条・45条の条文全文で正誤を確認した。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

