労働一般常識13労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)

社労士 労働一般常識 問13:労務管理その他の労働に関する一般常識(労一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

高年齢者等の雇用の安定等に関する法律(高年齢者雇用安定法)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 定年を定めている事業主は、定年年齢を60歳未満とすることができない。60歳定年を設けている事業主は、定年退職者を希望に応じて再雇用する「継続雇用制度」を設けるか、定年を65歳に引き上げる措置を講じることで高年齢者雇用確保措置を実現できる。なお、定年の廃止は高年齢者雇用確保措置の1つには含まれない。
  • 65歳未満の定年を定めている事業主に対して、高年齢者雇用安定法は次の3つのいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることを義務付けている。①65歳までの定年の引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入(希望者全員)、③定年の廃止。正答
  • 2021年4月1日から施行された改正法により、事業主は70歳までの就業機会を確保する措置を講じることが努力義務とされた。この「70歳就業確保措置」には、70歳までの雇用の継続(雇用形態を問わない)のみが認められ、70歳まで継続して業務委託契約で就業の機会を与えることは「措置」として認められない。
  • 高年齢者雇用安定法の高年齢者雇用確保措置(65歳までの措置)に違反した事業主は、ハローワーク(公共職業安定所)の所長による勧告・企業名公表の対象となる。勧告に従わない場合は10万円以下の罰則が科される。
  • 継続雇用制度を導入している事業主は、60歳以上の高年齢者が継続雇用を希望する場合、原則としてその全員を65歳まで継続雇用しなければならない(希望者全員の再雇用)。ただし労使協定で「心身の故障のため業務に堪えられないと認められる者」等の基準を設けることができる。
正答:65歳未満の定年を定めている事業主に対して、高年齢者雇用安定法は次の3つのいずれかの措置(高年齢者雇用確保措置)を講じることを義務付けている。①65歳までの定年の引上げ、②65歳までの継続雇用制度の導入(希望者全員)、③定年の廃止。

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正答はイ(正しい記述)です。

高年齢者雇用安定法第9条は「65歳未満の定年を定めている事業主」に対し、①65歳までの定年引上げ、②65歳までの継続雇用制度(希望者全員)、③定年の廃止の3つのいずれかの措置を講じることを義務付けています。この3択の選択が高年齢者雇用確保措置の核心です。

アは誤りで、「定年の廃止は高年齢者雇用確保措置に含まれない」が誤りです(廃止も措置の1つ)。ウは誤りで、70歳就業確保措置には業務委託契約による就業機会の提供(フリーランス型の契約)も含まれます。エは勧告・公表については概ね正しいですが、罰則の有無は確認が必要です。オは「労使協定で継続雇用基準を設けられる」という旧制度の記述であり、現行では原則として「希望者全員」が対象(労使協定による基準設定は廃止済み)です。

標準試験対策の基準レベル

高年齢者雇用安定法の2段階の措置(重要整理):

| 措置 | 対象年齢 | 法的性質 | 内容 |

|---|---|---|---|

| 高年齢者雇用確保措置 | 65歳まで | 義務(第9条) | ①定年65歳引上げ ②継続雇用制度(希望者全員) ③定年廃止 の3択 |

| 70歳就業確保措置 | 70歳まで | 努力義務(第10条の2・2021年4月〜) | 下記5択の措置 |

70歳就業確保措置の5つの選択肢(ウの正誤の核心):

1. 70歳までの定年引上げ

2. 70歳までの継続雇用制度の導入

3. 定年廃止

4. 70歳まで継続して業務委託契約による就業機会の提供(創業支援等措置)

5. 70歳まで社会貢献活動に従事できる制度の導入

選択肢ウの「業務委託契約での就業機会提供は認められない」は誤り。業務委託・フリーランス型の就業機会提供も「創業支援等措置」として70歳就業確保措置に含まれます(第10条の2第1項第4号)。

「継続雇用の希望者全員」原則(オの誤りの解説):

2013年(平成25年)4月の法改正で、「継続雇用対象者を限定する労使協定による基準設定」が廃止されました。現行では原則として60歳定年退職者で希望する者は全員が65歳まで継続雇用の対象となります。ただし「就業規則上の解雇・退職事由に相当する者(健康上の問題・懲戒事由等)」は継続雇用対象外とすることができます。

定年60歳未満禁止と定年廃止(アの誤りの解説):

  • 定年60歳未満は禁止(第8条)
  • 定年廃止は高年齢者雇用確保措置の1つ(アの「含まれない」は誤り)
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【70歳就業確保措置の「努力義務」が持つ政策的意味と今後の展望】

2021年4月施行の改正で導入された70歳就業確保措置(第10条の2)は「努力義務」です。これは65歳までの「義務」と対比して、より広い企業裁量を認める設計です。なぜ「義務」ではなく「努力義務」とされたのかには、以下の政策的背景があります。

高齢者の「就業意欲・健康状態の個人差の大きさ」:

65歳を超えると個人の健康状態・就業意欲・職種適合性の差が急速に広がります。「70歳まで一律に雇用する義務」を課すことは、特定の職種(肉体労働・特殊技術職)での実務的困難や、現役世代とのポスト競合問題を招く恐れがあります。このため、まず「努力義務」として企業に自主的な対応を促し、状況を見ながら義務化を検討するという段階的アプローチが採用されました。

「業務委託・社会貢献活動」という非雇用型の選択肢の意義:

70歳就業確保措置には「業務委託(創業支援等措置)」「社会貢献活動」という、雇用関係によらない就業機会提供も含まれています。これは「働く高齢者の多様性(フリーランス希望・ボランティア希望等)」に対応した設計であり、従来の「正社員→再雇用契約社員」という二択から「業務委託者・社会起業家・NPO活動者」まで幅広く就業継続を支援するものです。

ただし、業務委託型の措置を実施する場合には「過半数組合または過半数代表者の同意」が要件となります(高年法第10条の2第2項)。これは雇用から非雇用への転換が「脱法的な賃金削減」に使われることを防ぐための手続き的歯止めです。

高年齢雇用継続給付との連動(厚年法との接続):

厚生年金保険法では在職老齢年金と高年齢雇用継続給付の調整制度があります(厚年法第38条の2・雇保法第61条)。令和7年4月施行の改正で、高年齢雇用継続基本給付金の支給率上限が15%→10%(令和7年4月以降60歳到達者から適用・10%%)に引き下げられました。これは「高年齢雇用継続給付の縮小→廃止に向けた段階的移行」の一環であり、将来的には65歳までの雇用継続が「給付なしで当然のこと(当初から65歳まで賃金水準を維持する雇用慣行の定着)」となることを目指す政策です。

社労士実務における65歳→70歳対応のポイント:

1. 就業規則・再雇用規程の整備: 65歳以降の雇用形態(嘱託・契約社員・業務委託)の条件設計。70歳就業確保措置の選択と規程への反映。

2. 継続雇用後の賃金・処遇設計: 同一労働同一賃金(パート有期法)の適用を受けながら、高齢社員の職務内容に応じた適正な処遇を設計する。無期転換ルール(労働契約法第18条)の適用除外(第二種特例・定年後の再雇用者)の活用。

3. 高年齢雇用継続給付の申請手続き: 支給率の改正を踏まえた申請タイミングと在老との調整計算。

4. 行政指導・紛争予防: 65歳雇用確保措置の不履行による行政指導(第11条)を受けないための制度整備チェックリスト作成。

これらの業務は社労士の1号(届出代行)・2号(規程作成)・3号(相談指導)の全業務区分にまたがる総合的な実務です。高年齢者雇用分野は「少子高齢化×人手不足×年金支給開始年齢の後倒し」というマクロ要因から今後も実務ニーズが増大する領域です。FP試験では「65歳・70歳以降も働く場合の年金・給付金の計算」として接続します。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 高年齢者等の雇用の安定等に関する法律第9条(高年齢者雇用確保措置・3つの選択肢)・第10条の2(70歳就業確保措置・努力義務・創業支援等措置5択)・第8条(定年60歳未満禁止)・第10条(指導・勧告・公表)・2012年改正附則(継続雇用基準の労使協定特例の廃止・2025年3月末で完全廃止) 施行日: 65歳雇用確保措置義務化=2013年4月1日/70歳就業確保措置努力義務=2021年4月1日 一次ソース: e-Gov 高年齢者雇用安定法 https://laws.e-gov.go.jp/law/346AC0000000068 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 一次ソース突合。①定年60歳未満禁止(第8条)+定年廃止も雇用確保措置の1つ(第9条第1項第3号)→ア「定年廃止は含まれない」誤り。②高年齢者雇用確保措置=①65歳までの定年引上げ②65歳までの継続雇用制度③定年の廃止の3択(第9条)→イ正解。③70歳就業確保措置は努力義務(第10条の2)・5択(70歳定年引上げ/70歳継続雇用/定年廃止/業務委託契約による創業支援等措置/社会貢献活動)→ウ「業務委託は措置として認められない」は誤り。④高年齢者雇用確保措置違反は厚労大臣の助言・指導・勧告(第10条)、勧告に従わない場合の企業名公表だが直接罰則は条文上明示なし→エ「10万円以下の罰則」は誤り。⑤継続雇用基準の労使協定による限定は2013年改正附則で経過措置として残ったが**2025年3月31日で完全終了**→令和8年度試験基準日2026-04-10時点では「希望者全員」が完全原則化(オ「労使協定で基準設定可」は誤り)。正答イで確定。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

高年齢者雇用安定法(65歳までの雇用確保義務・70歳までの就業機会確保努力義務頻出度A

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