問題
短時間労働者及び有期雇用労働者の雇用管理の改善等に関する法律(パートタイム・有期雇用労働法)の説明義務・紛争解決援助に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエ(正しい記述)です。
パートタイム・有期雇用労働法第24条は、事業主が講ずる措置の内容等の説明(第14条)に関する紛争について、都道府県労働局長が当事者の双方又は一方から解決の援助を求められた場合に、必要な助言・指導・勧告をすることができると定めています。
アは誤りで、雇入れ時の説明(第14条第1項)は労働者からの求めの有無にかかわらず事業主が自発的に行う義務です。イは誤りで、第14条第2項の説明の対象には、待遇の相違の内容・理由に加えて、第6条から第13条までの措置に関する決定をするに当たって考慮した事項も含まれます。ウは誤りで、第14条第3項は「解雇その他不利益な取扱い」を禁止しており、解雇に限定していません。オは誤りで、調停を行わせる先は労働委員会ではなく紛争調整委員会です。
パート有期法の説明義務・紛争解決の条文どおりの整理:
| 条文 | 内容 | タイミング |
|---|---|---|
| 第14条第1項 | 講ずることとしている措置の内容の説明 | 雇入れ時(事業主が自発的に) |
| 第14条第2項 | 待遇の相違の内容及び理由、決定にあたって考慮した事項の説明 | 労働者から求めがあったとき |
| 第14条第3項 | 説明を求めたことを理由とする不利益取扱いの禁止 | 解雇その他不利益取扱い全般が対象 |
| 第24条 | 都道府県労働局長による助言・指導・勧告 | 当事者の双方又は一方から援助を求められた場合 |
| 第25条 | 個別労働関係紛争解決促進法第6条第1項の紛争調整委員会への調停の委任 | 当事者から調停の申請があり、必要があると認めるとき |
各選択肢の正誤:
- ア(誤): 14条1項は「求めがあった場合に限り」ではなく雇入れ時に自発的に説明する義務。
- イ(誤): 14条2項は「待遇の相違の内容及び理由並びに第六条から前条までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項」の説明を求めている。
- ウ(誤): 14条3項は解雇に限定せず「その他不利益な取扱い」全般を禁止。
- エ(正): 24条どおり。
- オ(誤): 25条は「個別労働関係紛争の解決の促進に関する法律第六条第一項の紛争調整委員会に調停を行わせるものとする」と定め、調停先は紛争調整委員会。
14条1項と2項の違い: 1項は「雇入れ時に事業主が自ら説明する義務」、2項は「労働者から求められたときに待遇差の理由を説明する義務」という、義務が発生するタイミングと内容が異なる別個の規定です。
【14条の3段構造と実務上の説明対応】
14条は、事業主の説明義務を3つの段階に分けて規定しています。
1. 第1項(雇入れ時の説明義務): 事業主は、短時間・有期雇用労働者を雇い入れたときは、速やかに、第8条から前条(第13条)までの規定により措置を講ずべきこととされている事項(労働基準法第15条第1項に規定する厚生労働省令で定める事項及び特定事項を除く)に関し、講ずることとしている措置の内容について、当該労働者に説明しなければなりません。これは労働者からの求めの有無を問わず、事業主が自発的に行うべき義務です。
2. 第2項(求めに応じた説明義務): 事業主は、その雇用する短時間・有期雇用労働者から求めがあったときは、当該労働者と通常の労働者との間の待遇の相違の内容及び理由、並びに第6条から前条(第13条)までの規定により措置を講ずべきこととされている事項に関する決定をするに当たって考慮した事項について、当該労働者に説明しなければなりません。
3. 第3項(不利益取扱いの禁止): 事業主は、労働者が第2項の求めをしたことを理由として、当該労働者に対して解雇その他不利益な取扱いをしてはなりません。
第2項の説明の対象は、「待遇の相違の内容及び理由」と「第6条から第13条までの措置に関する決定をするに当たって考慮した事項」の2つです。前者は通常の労働者との待遇差そのものについての説明、後者は賃金の決定方法・教育訓練・福利厚生施設・通常の労働者への転換推進措置などを決めるときに何を考慮したかの説明であり、いずれも労働者から求めがあれば説明しなければなりません。
【24条・25条の紛争解決援助の全体構造】
パート有期法22条に掲げる事項(6条1項・8条・9条・11条1項・12条〜14条)についての紛争には、個別労働関係紛争解決促進法の助言・指導(4条)・あっせん(5条)等は適用されず、パート有期法独自の援助と調停の手続によります(23条)。
- 24条(紛争の解決の援助): 都道府県労働局長が、当事者の双方又は一方からの求めに応じて、必要な助言、指導又は勧告を行う(行政ADRの第一段階)。第2項は、労働者が援助を求めたことを理由とする不利益取扱いを禁止しています。
- 25条(調停の委任): 24条の助言等で解決に至らない場合等、当事者から調停の申請があり、都道府県労働局長が解決のために必要があると認めるときは、個別労働関係紛争解決促進法第6条第1項の紛争調整委員会に調停を行わせます。調停先が「労働委員会」ではなく「紛争調整委員会」である点は、労働組合法上の不当労働行為の審査を行う労働委員会と混同しやすいため、条文の文言で正確に区別する必要があります。
【社労士とパート有期法の説明義務対応】
社労士は、事業主に対して短時間・有期雇用労働者への説明資料(雇用管理の改善措置一覧・待遇差の説明シート等)の整備を支援し、労働者から説明を求められた際の対応フロー(誰が・何を・どう説明するか)の策定を支援します。14条の説明義務違反自体には罰則も過料もありません(過料は、18条1項の報告をしない・虚偽の報告をした場合の20万円以下(30条)と、6条1項の労働条件の文書交付等に違反した場合の10万円以下(31条)だけです)。ただし、14条違反は報告徴収・助言・指導・勧告(18条1項)の対象となり、勧告に従わない場合は厚生労働大臣がその旨を公表することができます(18条2項は公表の対象に12条から14条までの違反を明記)。
- 労働基準法第15条e-Govで原文を読む
- 労働組合法e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: パートタイム・有期雇用労働法第14条第1項(雇入れ時の説明義務・自発的)・第2項(求めに応じた説明義務・待遇の相違の内容及び理由並びに決定に当たって考慮した事項)・第3項(不利益取扱いの禁止)・第18条(報告の徴収・助言・指導・勧告・公表)・第22条・第23条(紛争の範囲と個別労働関係紛争解決促進法の特例)・第24条(紛争の解決の援助)・第25条(調停の委任・紛争調整委員会)・第30条・第31条(過料) 一次ソース: e-Gov 法令API v2 `law_data/405AC0000000076`(パートタイム・有期雇用労働法)を2026-04-01時点(asof 指定)で取得し、14条・18条・22条〜26条・30条・31条の条文全文で正誤と罰則・過料の有無を確認した。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

