問題
男性の育児休業取得率および公表義務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度・統計を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はア(正しい記述)です。
厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」(令和6年7月公表)によれば、男性の育児休業取得率は30.1%と過去最高を更新しました(前年度令和4年度17.13%から大幅上昇)。
イ(公表義務は2025年4月から300人超に拡大)・ウ(公表は「育児休業取得率または育休に関する取得に関する情報」の公表であり男性のみでも可)・エ(インターネット限定は誤り・複数の方法が認められる)・オ(30.1%では政府目標50%(2025年)は未達成)はいずれも誤りです。
男性育児休業取得率の推移と令和5年度の意義(アの根拠):
| 年度 | 男性育休取得率 | 特記事項 |
|---|---|---|
| 令和2年度(2020) | 12.65% | — |
| 令和3年度(2021) | 13.97% | — |
| 令和4年度(2022) | 17.13% | 育介法改正(出生時育休創設)施行前 |
| 令和5年度(2023) | 30.1% | 過去最高・公表義務対象期間に初めて30%台到達 |
注: 令和5年度の急上昇の要因として「2022年10月施行の産後パパ育休(出生時育児休業)の普及」が大きいとされています。
育児休業取得率の公表義務(育介法第22条の2)の詳細(イの根拠・正誤):
| 義務化年 | 対象事業主 | 根拠 |
|---|---|---|
| 2023年4月(令和5年4月)〜 | 常時雇用1,000人超 | 育介法改正(令和3年) |
| 2025年4月(令和7年4月)〜 | 常時雇用300人超に拡大 | 育介法改正(令和6年・2025年4月施行) |
イの誤りの核心: 「令和8年度試験基準日(2026年4月10日)時点で1,000人超のままである」は誤り。2025年4月以降は300人超に拡大されており、令和8年度試験基準日(2026年4月10日)時点では既に300人超が義務対象。
ウの正誤(公表する「育児休業取得率」の対象):
- 育介法は「育児休業の取得の状況に関する情報」として「育児休業等の取得率」の公表を義務づけている
- 公表する内容は、育介法第22条の2の「厚生労働省令で定めるもの」(男性労働者の育児休業等の取得割合等)
- 「男性のみでも可」「女性のみの公表はNG・男性が含まれる必要あり」という構造
- ウの「男性・女性それぞれを公表しなければならない」という記述は誤り(男性が含まれていれば足りる)
エの正誤(公表方法):
- インターネット(自社ウェブサイト・両立支援のひろば等)が主な方法
- 「インターネットに限られる」ではなく、厚労省のポータルサイト「両立支援のひろば」への掲載も推奨
- 職場掲示・書面配布も禁止されていない(インターネット掲載が原則だが他方法を排除する規定なし)
オの正誤(政府目標との対比):
- 政府目標: 「2025年に男性育休取得率50%・2030年に85%」
- 令和5年度取得率30.1%は過去最高だが、2025年50%目標は未達成(現時点で目標との乖離は依然大きい)
【男性育休取得率「30.1%」の分析:「取得あり」の実態と「形式取得」問題】
令和5年度の男性育休取得率30.1%は過去最高を記録した数字ですが、この数字の内実を理解することが社労士試験の「労一」科目および実務上の重要な視点です。
取得率の算出方法(雇用均等基本調査):
取得率 = 「令和5年度中に配偶者が出産した男性労働者のうち育休を取得した者の数」÷「令和5年4月〜令和6年3月末までに配偶者が出産した男性労働者の数」
この計算式では「1日でも育休を取得した」場合に取得ありとカウントされます。このため短期間の取得も含まれます。
取得率30%超という数字の一方で「取得日数の短期化(数日〜1週間の形式取得)」が問題として指摘されており、「取得率だけでなく取得日数・取得期間の充実」が政策的な課題として認識されています。
【2025年4月改正の「300人超への公表義務拡大」と「男性育休情報の可視化」戦略】
公表義務が300人超に拡大された背景:
- 2023年4月〜の1,000人超義務化によって大企業の男性育休取得率が公開され、取得率の底上げに効果があったと評価
- 中規模企業(300〜1,000人)では取得率が低い傾向があり、公表義務化により取得促進を図る
- 「両立支援のひろば(厚生労働省ポータル)」への掲載が推奨され、求職者が企業を選ぶ際の参考情報として機能
社労士実務への影響:
- 対象企業(300人超)は毎事業年度の男性育休取得率(または取得に関する情報)を把握・公表する体制を整備する必要がある
- 就業規則・育児休業規程の整備・従業員への周知が社労士の1号・2号業務対象
- 「育休取得率が公開されることで、取得しにくい社内文化が改善されるか」を継続的にモニタリングするHRコンサルティング(3号業務)の需要が増加
【政府目標「2025年に50%・2030年に85%」と達成見通し】
政府の数値目標:
- 2025年: 男性育休取得率50%
- 2030年: 男性育休取得率85%
令和5年度実績30.1%(過去最高)は2025年目標(50%)の6割程度に留まっています。目標達成に向けた主な政策パッケージ:
1. 出生時育児休業(産後パパ育休)の創設(2022年10月施行): 子の出生後8週間以内に最大28日間、分割2回まで取得可能
2. 育休取得率の公表義務化(1,000人超→300人超): 情報公開による企業間競争・求職者選択圧力
3. 出生後休業支援給付金(2025年4月施行): 育休給付率の67%に上乗せ13%(合計80%)→ 手取りほぼ100%を実現し取得のインセンティブ向上
【「令和6年度(2024年度)」取得率の動向と令和8年度試験への影響】
令和5年度30.1%の次の値は「令和6年度雇用均等基本調査」(令和7年に公表)で、令和8年度試験基準日(2026年4月10日)時点ではこちらが最新の値です。本問のアは「令和5年度調査によれば」と調査年度を特定した記述なので、令和5年度の値として正しいかどうかで判断します。
このような「統計の公表スケジュールと試験基準日の関係」は労一科目の統計問題を解く際の重要な前提知識です。
社労士試験の労一科目では「統計の数値そのもの」と「その数値が示すトレンド(前年比の方向)」の両方が問われます。男性育休取得率については「過去最高(30.1%)→ さらに上昇傾向か下降か」という方向性も確認しておくことが重要です。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:統計: 厚生労働省「令和5年度雇用均等基本調査」(令和6年7月31日公表)https://www.mhlw.go.jp/toukei/list/dl/71-r05/02.pdf 参照した数値: 男性育児休業取得率(令和5年度・過去最高):30.1% 根拠: 育児・介護休業法第22条の2(育児休業取得率の公表義務)・厚生労働省令(公表方法) 出典: 厚生労働省「育児休業取得状況の公表について」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/jigyoushu_kouhyou.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

