労働一般常識9労務管理その他労働に関する一般常識(労一)

社労士 労働一般常識 問9:労務管理その他労働に関する一般常識(労一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

障害者の雇用の促進等に関する法律(障害者雇用促進法)に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(法定雇用率2.5%適用中)を前提とすること。

  • 障害者の法定雇用率は、令和8年度試験基準日(2026年4月10日)時点において、一般事業主(民間企業)は2.5%、国・地方公共団体は2.8%、都道府県等の教育委員会は2.7%である。
  • 一般事業主(民間企業)の法定雇用率2.5%の適用対象となる事業主は、常時雇用する労働者数が40人以上の事業主である(2.5%の場合: 1÷0.025=40人)。法定雇用率の引上げによって、雇用義務対象となる事業主の規模閾値が変化する。
  • 法定雇用率を達成していない事業主(常時雇用100人超)は、不足する障害者1人あたり月額50,000円の「障害者雇用納付金」を支払わなければならない。一方、法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業主(常時雇用100人超)は、超過1人あたり月額27,000円の「障害者雇用調整金」を受け取ることができる(令和6年4月以降は引上げにより29,000円)。正答
  • 「除外率制度」とは、業務の性質上、障害者の雇用が困難な業種(船員を使用する事業・建設業・警備業等)において、雇用する労働者数の計算から一定割合を除外する制度である。除外率は2004年の廃止に向けた段階的縮小が続いており、廃止されてはいないが継続的に引き下げられている。
  • 障害者雇用促進法は、精神障害者(精神障害者保健福祉手帳を取得している者)も雇用義務の対象としており、実雇用率の算定において精神障害者1人を1人分(短時間労働者は0.5人分)としてカウントする。
正答:法定雇用率を達成していない事業主(常時雇用100人超)は、不足する障害者1人あたり月額50,000円の「障害者雇用納付金」を支払わなければならない。一方、法定雇用率を超えて障害者を雇用している事業主(常時雇用100人超)は、超過1人あたり月額27,000円の「障害者雇用調整金」を受け取ることができる(令和6年4月以降は引上げにより29,000円)。

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正答はウ(誤っている記述)です。

ウの誤りは障害者雇用調整金の月額です。令和6年4月の改正により、調整金の月額は従来の27,000円から29,000円に引き上げられました(令和8年度試験基準日2026年4月10日時点で29,000円)。「超過1人あたり月額27,000円」という記述は改正前の旧額であり、現行値では誤りです。

なお、納付金(不足数1人あたり月額50,000円)・対象事業主の規模要件(常時雇用100人超)の記述は正しい内容です。

ア(民間2.5%・国等2.8%・教育委員会2.7%)・イ(規模閾値40人)・エ(除外率の段階的縮小)・オ(精神障害者の実雇用率算定)はいずれも正しい記述です。

標準試験対策の基準レベル

障害者雇用促進法の法定雇用率(令和8年度試験基準日時点・ アの根拠):

| 対象 | 令和8年度(2026年4月10日時点) | 令和6年4月〜 | 次期引上げ(2026年7月予定) |

|---|---|---|---|

| 一般事業主(民間企業) | 2.5% | 2.3%→2.5% | 2.7%予定 |

| 国・地方公共団体 | 2.8% | 2.6%→2.8% | 3.0%予定 |

| 教育委員会 | 2.7% | 2.5%→2.7% | 2.9%予定 |

2024年4月1日に民間企業2.3%→2.5%、国等2.6%→2.8%、教育委員会2.5%→2.7%への引上げが実施済み。

雇用義務発生の規模閾値(イの根拠):

  • 法定雇用率2.5%の場合: 雇用義務が発生する最小雇用者数 = 1÷0.025 = 40人以上
  • 法定雇用率が2.7%に引き上げられると: 1÷0.027 ≒ 37.0人 → 37.5人以上(端数切捨で38人以上)
  • 法定雇用率引上げ → 雇用義務対象の規模閾値が下がる(より多くの事業主が対象に)

障害者雇用納付金・調整金・報奨金の仕組み(ウの根拠・令和8年度確定値):

| 種別 | 対象 | 内容 | 月額(令和8年度・JEED公表値) |

|---|---|---|---|

| 障害者雇用納付金 | 常時雇用100人超で法定雇用率未達成 | 不足数1人あたり月額 | 50,000円 |

| 障害者雇用調整金 | 常時雇用100人超で法定雇用率超過達成 | 超過数1人あたり月額 | 29,000円(令和6年4月改正で27,000→29,000に引上げ) |

| 報奨金 | 常時雇用100人以下で月平均4人超の超過達成 | 超過数1人あたり月額 | 21,000円 |

ウの誤りの核心: 「超過1人あたり月額27,000円」は改正前(〜2024年3月)の旧額であり、令和6年4月改正以降は29,000円が正しい。令和8年度試験基準日2026年4月10日時点では29,000円が有効値。

令和6年改正のもう一つの重要点(参考): 調整金・報奨金の支給対象人数に上限が設けられ、年度間支給対象人数が10人を超える場合、超過分の支給単価が「調整金23,000円・報奨金16,000円」に逓減する仕組みが導入された(社労士試験では細部問われる可能性あり)。

除外率制度(エの根拠):

  • 除外率対象業種(主要なもの): 林業・漁業・船員使用事業・採石業・建設業・警備業など(業務の性質上、障害者の雇用が困難な業種)
  • 除外率は事業規模閾値の計算から一定割合の労働者を除外することを認める制度
  • 2004年10月から段階的縮小(廃止を目指した段階的引下げ)・完全廃止には至っていない
  • 例: 除外率が10%の業種では「100人雇用していても90人相当として法定雇用率を計算」
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【障害者雇用率制度の変遷と「2024年4月改正」の背景】

障害者雇用促進法の法定雇用率は、社会の変化・障害者就労支援の充実・国際的な障害者権利条約(UN障害者権利条約・日本は2014年批准)への対応として段階的に引き上げられてきました。

主な法定雇用率の変遷(一般事業主):

  • 1998年〜: 1.8%
  • 2013年4月: 2.0%(精神障害者の雇用義務化(努力義務)同時施行)
  • 2018年4月: 2.2%(精神障害者の実雇用率算定義務化)
  • 2021年3月: 2.3%
  • 2024年4月: 2.5%
  • 2026年7月予定: 2.7%(令和8年度試験基準日2026年4月10日時点では未施行)

2024年4月改正の背景には:

1. 精神障害者の雇用実績の向上(実雇用率計算への算入義務化が定着)

2. 障害者の就労支援サービス(就労移行支援・就労継続支援)の充実

3. DX推進・テレワーク普及による「障害の種類によらない雇用機会の拡大」

4. UN障害者権利条約が求める「インクルーシブな雇用環境」への対応

【精神障害者の実雇用率算定の変遷と「ダブルカウント」廃止】

精神障害者(精神障害者保健福祉手帳取得者)の雇用義務・算定の変遷:

  • 2006年以前: 実雇用率の算定対象外
  • 2006年4月: 実雇用率の算定対象に追加(1人1人分・努力義務)
  • 2018年4月: 雇用義務の対象に追加(1人1人分・短時間0.5人分)
  • 2023年3月まで: 新規雇入れの場合に「1人2人分(倍計算・ダブルカウント)」の特例あり
  • 2023年4月以降: ダブルカウント特例廃止(通常通り1人1人分)

精神障害者の実雇用率算定の現行(オの根拠・正しい内容):

  • 精神障害者1人 = 実雇用率計算上1人分(フルタイム)
  • 週20時間以上30時間未満の短時間労働者 = 0.5人分
  • 週10時間以上20時間未満の重度障害者・精神障害者(特例: 一定要件で0.5人分)

【除外率制度の「段階的縮小」と完全廃止論争】

除外率制度(エの根拠)は、「業務の性質上障害者の雇用が困難」な業種の事業主に対して、雇用義務算定から一定割合の労働者を除外する特例です。2004年の廃止方針決定後、5年ごとに5〜10%ずつ引き下げられており、令和8年度時点でも完全廃止には至っていません。

除外率縮小の論拠:

  • テレワーク・バリアフリー・補助器具の普及により「業務の性質上困難」な範囲が縮小
  • 除外率を認めることで「業種差別(障害者を雇用しなくてよい業種)」という認識が生じる
  • インクルーシブ雇用の観点から全業種・全企業が障害者雇用の責任を持つべき

除外率維持の論拠:

  • 現場作業(建設・林業・漁業・船員等)は本質的に身体機能が必要な業務があり、雇用形態の多様化にも限界がある
  • 中小事業主(これらの業種は中小が多い)への過度な負担

【障害者雇用納付金・調整金制度の全体像と「均等機会インセンティブ」の仕組み】

障害者雇用促進法の纸付金・調整金制度は「ポジティブ・ネガティブの双方向インセンティブ」として機能します:

ネガティブインセンティブ(義務未達成への制裁):

  • 障害者雇用納付金: 常時雇用100人超で法定雇用率未達成 → 不足数×月50,000円を独立行政法人 高齢・障害・求職者雇用支援機構(JEED)に納付
  • 「罰金」ではなく「納付金」であり、行政罰(刑事罰)ではないが財政的負担として機能

ポジティブインセンティブ(超過達成への報奨):

  • 障害者雇用調整金: 常時雇用100人超で法定雇用率超過 → 超過数×月29,000円(令和6年4月改正・令和8年度有効値)をJEEDから受領
  • 報奨金: 常時雇用100人以下で月平均4人超の障害者を雇用している中小企業 → 超過数×月21,000円をJEEDから受領

JEEDは納付金を財源として「障害者就労支援(職業訓練・ジョブコーチ等)」および「雇用調整金・報奨金の支給」を行います。このプール型の財政設計により、積極雇用事業主への補填と未達成事業主への費用負担の均等化が図られています。

【社労士実務と障害者雇用】

社労士が企業の障害者雇用コンサルティングで行う主な業務:

1. 法定雇用率達成計画の策定: 不足数の把握・採用計画・特例子会社設立の検討

2. 実雇用率算定の事務支援: 対象労働者(障害者手帳保有者)の把握・実雇用率の正確な計算

3. 納付金申告書の作成・提出: 毎年4月(4月1日〜6月15日)のJEED申告手続きが社労士の1号業務

4. 障害者雇用助成金の活用支援: 特定求職者雇用開発助成金(特定就職困難者コース)等の活用

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 障害者の雇用の促進等に関する法律第43条(雇用義務)・第50条(除外率)・第53条(障害者雇用納付金)・第50条(調整金・報奨金) 納付金・調整金額: 厚生労働省「令和8年度の障害者雇用納付金・調整金の月額」 出典: 厚生労働省「障害者雇用促進法の概要」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/koyou/shougaishakoyou/ 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

障害者雇用促進法(法定雇用率2.5%→2.7%・除外率・納付金・調整金頻出度A

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