社労士 労働者災害補償保険法 問10:労働者災害補償保険法
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
労働者災害補償保険法における介護補償給付(業務災害)および介護給付(通勤災害)に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア介護補償給付は、傷病補償年金または障害補償年金を受ける権利を有する労働者が、現に介護を受けている場合に支給されるが、介護保険法による介護サービスの給付を受けている場合であっても、介護補償給付と介護保険給付を同時に受けることができる。
- イ介護補償給付の支給額は、「常時介護が必要な状態(常時介護)」と「随時介護が必要な状態(随時介護)」の2区分があり、区分ごとに月額の上限額が設定されているが、親族等による無償の介護が行われた場合でも、その月に要した費用の実費に関係なく、区分に応じた定額の最低保障額が支給される。
- ウ介護補償給付は、社会復帰促進等事業(法第29条)の一環として支給される特別支給金であり、本体の保険給付(傷病補償年金・障害補償年金)とは性質が異なる。
- エ常時介護が必要な状態に該当するためには、障害等級第1級の年金受給者全員が自動的に該当し、障害等級第2級以上でなければ常時介護の認定を受けることができない。
- オ介護補償給付の請求権の消滅時効は、2年年である。正答
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正答はオ(正しい記述)です。
介護補償給付の請求権の消滅時効は、療養補償給付・休業補償給付等と同じく2年年です(労災法第42条)。労災保険給付の消滅時効は原則2年(2年年)であり、障害補償給付・遺族補償給付の5年(5年年)と区別して覚える必要があります。
アは誤りで、同一の事由について労災(介護補償給付)が支給されている場合は介護保険からは重ねて支給されません(労災が優先・介護保険法第20条)。「同時に受けることができる」は誤りです。ウは誤りで、介護補償給付は「保険給付」(法第12条の8第4項)であり、特別支給金ではありません。エは誤りで、障害等級第1級全員が常時介護に該当するわけではなく、一定の障害の種類(両眼失明・神経系統の機能・精神の障害等の特定の状態)を有する者に限られます。イは正しい記述です。
介護補償給付の支給要件と支給額(施行規則第18条の3の4):
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| 支給対象者 | ①傷病補償年金(傷病等級1・2級)または②障害補償年金(障害等級1・2級の一定の障害)の受給権者 |
| 状態要件 | 現に常時または随時介護を受けていること |
| 居宅要件 | 病院・診療所・介護保険施設等に入院・入所していないこと |
支給額の2区分(常時介護・随時介護):
| 区分 | 月額上限(最高限度額) | 最低保障額(親族介護等・費用が少ない場合) |
|---|---|---|
| 常時介護 | 186,050円/月(令和7年8月1日改定・186,050円) | 85,490円/月(令和7年4月1日改定・85,490円) |
| 随時介護 | 92,980円/月(令和7年8月1日改定・92,980円) | 42,700円/月(令和7年4月1日改定・42,700円) |
※最高限度額は毎年8月1日改定(労働者の賃金水準に連動)、最低保障額は4月1日改定。試験基準日2026-04-10時点では令和7年改定値が現行値。
「常時介護」の該当者(施行規則第18条の3の4第1項第1号):
- 障害等級第1級の年金受給者のうち、次のいずれかに該当する者:①神経系統の機能または精神に障害を残し常時介護を要する状態、②胸腹部臓器の機能に障害を残し常時介護を要する状態
- 傷病等級第1級または第2級のうち、上記と同様の常時介護を要する状態
介護保険との調整(重要):
介護補償給付と介護保険の関係は「労災が優先」(介護保険法第20条):
- 同一の事由について労災保険(介護補償給付)が支給される場合、介護保険から重ねて支給されない(介護保険給付は不支給)
- 労災保険の介護補償給付の月額上限(常時186,050円・随時92,980円/令和7年8月1日改定)を超える介護費用については、自己負担となる
- 「業務外の傷病による介護」については、労災保険ではなく介護保険が適用される
各選択肢の解説:
- ア(誤): 同一事由について労災保険(介護補償給付)が支給されるときは、介護保険からは重ねて支給されない(労災が優先・介護保険法第20条)。「同時に受けることができる」は誤り。
- イ(正): 2区分(常時・随時)、上限額設定、最低保障額の存在は条文どおりの正しい記述。
- ウ(誤): 介護補償給付は「保険給付」(法第12条の8第4項)であり特別支給金ではない。
- エ(誤): 障害等級第1級全員ではなく、一定の障害(神経・精神・胸腹部臓器等)を有する者のみが常時介護の対象。等級だけで一律判定されるわけではない。
- オ(正): 2年年の消滅時効は条文第42条本文に明記(療養補償・休業補償・介護補償等は2年)。
【介護補償給付の制度創設背景:1995年改正と高齢化対応】
介護補償給付は1995年(平成7年)の労災保険法改正で新設されました。制度創設の背景には①高齢化の進展により重篤な労働災害の被災者が長期生存するケースの増加、②介護保険制度(2000年施行)の整備前段階での労災被災者の介護保護の空白を埋める必要性があります。
特に重大な業務上の傷病(脊髄損傷・重篤な頭部外傷・神経難病等)で重度障害を負った労働者が、退院後に自宅や施設で介護サービスを受ける実態に対応するため、療養補償・休業補償とは別に「介護コストの補填」を目的とした給付が整備されました。
【常時介護vs随時介護:判断基準の詳細】
「常時介護」と「随時介護」の区別は、実務上も試験上も重要な論点です。
常時介護(施行規則第18条の3の4第1項第1号):
- 24時間体制での介護が必要な状態
- 神経系統・精神の障害(高次脳機能障害・重篤な精神障害等)
- 胸腹部臓器の機能の著しい障害(人工呼吸器・在宅酸素等)
- 対象: 傷病等級1〜2級または障害等級1〜2級の特定状態
随時介護(同第1項第2号):
- 必要時に介護を受ければ足りる状態(24時間でなく随時)
- 両眼失明・上肢・下肢の欠損または機能の著しい障害等の特定障害
- 対象: 傷病等級1〜2級または障害等級1〜2級の特定状態(常時よりも軽い状態)
「障害等級1級全員が常時介護に該当するわけではない」理由:
障害等級1級(第1〜3系列)には、「両眼失明」「両上肢・両下肢の欠損」「神経系統の著しい障害」等多様な状態が含まれます。この中で介護補償給付の常時介護の要件は「神経・精神・胸腹部臓器の特定状態」に限定されており、例えば「両上肢の欠損(1級)」であっても精神状態は正常であれば常時介護対象外となる場合があります。
【介護保険との調整の詳細:労災優先の原則】
介護補償給付と介護保険の調整は「労災が優先」(介護保険法第20条)です。同一の事由(業務上または通勤途上の傷病)について労災保険から介護補償給付が支給されている場合、介護保険からは重ねて給付されません。
整理:
- 業務上・通勤途上の傷病による介護: 労災(介護補償給付)が優先・介護保険からは不支給
- 業務外の私傷病による介護: 労災対象外・介護保険が適用
- 65歳以上で要介護認定を受けている労災被災者の場合も、業務災害に起因する介護費用部分は労災が優先する
労災の介護補償給付の月額上限(常時186,050円・随時92,980円/令和7年8月1日改定)を超える介護費用は自己負担となるが、この超過部分について介護保険で補完されるわけではない(介護保険法第20条により併給調整される)。
【消滅時効2年の計算と実務的意義】
介護補償給付の2年年の時効(法第42条)は「各月分の介護費用を請求できる権利が毎月発生し、その月から2年で時効」という運用になります。継続的に支給されるケースでは毎月の申請(請求)が必要であり、申請を怠ると過去分の時効消滅リスクがあります。社労士の実務では、重篤な後遺症を持つ被災者の親族から「毎月の介護補償給付の申請代行」を受任することが定期業務となることがあります。
根拠: 労働者災害補償保険法第12条の8第4項(介護補償給付)・第42条(消滅時効)、同法施行規則第18条の3の4〜第18条の3の6、介護保険法第20条(労災優先)、確認日2026-06-08(監修日)/法令基準日2026-04-10。消滅時効2年年はVolatileBoxキー参照。月額上限は令和7年8月1日施行(厚労省告示)で常時186,050円・随時92,980円、最低保障額は令和7年4月1日施行で常時85,490円・随時42,700円。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第12条の8第4項(介護補償給付)・第42条(消滅時効)、同法施行規則第18条の3の4〜第18条の3の6(介護補償給付の要件・支給額) 数値根拠: 消滅時効{{ROUSAI_TIME_LIMIT_SHORT}}年はVolatileBoxキー参照(条文値・労災法第42条)。介護補償給付の月額上限は {{KAIGO_HOSHO_KYUFU_JOUGEN_JOJI}}(常時=186,050円){{KAIGO_HOSHO_KYUFU_JOUGEN_ZUIJI}}(随時=92,980円)として参照(令和7年8月1日改定値・試験基準日2026-04-10時点で現行)。最低保障額 {{KAIGO_HOSHO_KYUFU_HOSHO_JOJI}}(常時=85,490円){{KAIGO_HOSHO_KYUFU_HOSHO_ZUIJI}}(随時=42,700円)は令和7年4月1日改定値。 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 結果=正答オ維持。(1)エ「障害等級第1級全員が自動的に常時介護に該当」は誤り。常時介護の要件は労災則第18条の3の4第1項第1号「精神神経・胸腹部臓器の障害により常時介護を要する状態」で、障害等級1級でも該当しない者がいる(両眼失明等)。(2)ア「介護保険給付と同時に受けられる」は明確な誤り。介護保険法第20条で「労災が優先(労災が支給される場合は介護保険から支給しない)」と規定(労災優先の原則)。standardの「介護保険優先」表現は事実誤認のため本監修で修正。(3)上限額は令和7年8月1日施行で常時186,050円・随時92,980円(試験基準日2026-04-10で施行済)→volatile_master.jsonに新キーKAIGO_HOSHO_KYUFU_JOUGEN_JOJI/ZUIJIで追加投入要。参照: 労災法第12条の8第4項、労災則第18条の3の4、介護保険法第20条、厚労省「介護(補償)等給付の最高限度額の改定」(令和7年8月施行)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。