社労士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

社労士 労働者災害補償保険法 問10|介護補償給付

問題

社労士 | 労働者災害補償保険法 | 令和9年度(2027年度)試験対応・数値確認日 2026-10-01

労働者災害補償保険法における介護補償給付(業務災害)および介護給付(通勤災害)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオ(正しい記述)です。

介護補償給付の請求権の消滅時効は、療養補償給付・休業補償給付等と同じく2年です(労災法第42条)。労災保険給付の消滅時効は原則2年(2年)であり、障害補償給付・遺族補償給付の5年(5年)と区別して覚える必要があります。

アは誤りで、同一の事由について労災(介護補償給付)が支給されている場合は介護保険からは重ねて支給されません(労災が優先・介護保険法第20条)。「同時に受けることができる」は誤りです。ウは誤りで、介護補償給付は「保険給付」(労災保険法第12条の8第1項第7号)であり、特別支給金ではありません。エは誤りで、障害等級第1級全員が常時介護に該当するわけではなく、一定の障害の状態にある者に限られます。イは誤りで、親族等による介護を受けた場合は、介護費用を支出していなくても区分に応じた最低保障額(常時介護90,790円/月・随時介護45,400円/月)が支給されます。

介護補償給付の支給要件と支給額(施行規則第18条の3の4):

要件内容
支給対象者①傷病補償年金または②障害補償年金を受ける権利を有する労働者で、障害が省令で定める程度(施行規則別表第三=実質的に1級・2級の一定の障害)のもの
状態要件常時または随時介護を要する状態にあり、かつ、現に常時または随時介護を受けていること
除外障害者支援施設に入所して生活介護を受けている間、これに準ずる施設として厚生労働大臣が定めるものに入所している間、病院又は診療所に入院している間(法第12条の8第4項各号)

支給額の2区分(常時介護・随時介護):

区分月額上限(最高限度額)最低保障額(親族介護等・費用が少ない場合)
常時介護186,050円/月90,790円/月
随時介護92,980円/月45,400円/月

※金額は施行規則第18条の3の4で定められ、改正により改定される。

「常時介護を要する状態」の該当者(施行規則別表第三):

  • 神経系統の機能若しくは精神に著しい障害を残し(有し)、常に介護を要するもの(障害等級第1級第3号・傷病等級第1級第1号)
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し(有し)、常に介護を要するもの(障害等級第1級第4号・傷病等級第1級第2号)
  • その他障害等級・傷病等級が第1級で、上の2つと同程度の介護を要する状態にあるもの

介護保険との調整(重要):

介護補償給付と介護保険の関係は「労災が優先」(介護保険法第20条・同法施行令第11条):

  • 同一の要介護状態について労災保険の介護補償給付を受けることができるときは、その限度(介護に要する費用を支出して介護を受けた部分)で介護保険の給付は行われない
  • 「業務外の傷病による介護」については、労災保険ではなく介護保険が適用される

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 同一事由について労災保険(介護補償給付)が支給されるときは、介護保険からは重ねて支給されない(労災が優先・介護保険法第20条)。「同時に受けることができる」は誤り。
  • イ(誤): 親族等による介護を受けた月は、費用を支出していなくても最低保障額が支給される(施行規則第18条の3の4第1項第2号。ただし支給すべき事由が生じた月は支出額が基準)。「支給されない」と一般化するのは誤り。
  • ウ(誤): 介護補償給付は「保険給付」(法第12条の8第4項)であり特別支給金ではない。
  • エ(誤): 障害等級第1級全員ではなく、一定の障害(神経・精神・胸腹部臓器等)を有する者のみが常時介護の対象。等級だけで一律判定されるわけではない。
  • オ(正): 2年の消滅時効は条文第42条本文に明記(療養補償・休業補償・介護補償等は2年)。

【介護補償給付の位置付け:月単位の保険給付】

介護補償給付は、労災保険法第12条の8第1項第7号に列挙された保険給付で、月を単位として支給されます(法第19条の2)。重い障害(脊髄損傷・重篤な頭部外傷等)を負った労働者が、退院後に自宅等で介護を受ける場合の介護費用を補填する給付で、療養補償給付・休業補償給付とは目的が異なります。病院・診療所に入院している間や、障害者支援施設に入所して生活介護を受けている間などは支給されません(法第12条の8第4項各号)。

【常時介護vs随時介護:判断基準の詳細(施行規則別表第三)】

「常時介護」と「随時介護」の区別は、実務上も試験上も重要な論点です。

常時介護を要する状態(第1級のみ):

  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し(有し)、常に介護を要するもの(障害等級1級3号・傷病等級1級1号)
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し(有し)、常に介護を要するもの(障害等級1級4号・傷病等級1級2号)
  • 障害等級・傷病等級が第1級であって、上の2つと同程度の介護を要する状態にあるもの

随時介護を要する状態:

  • 神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し(有し)、随時介護を要するもの(障害等級2級2号の2・傷病等級2級1号)
  • 胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し(有し)、随時介護を要するもの(障害等級2級2号の3・傷病等級2級2号)
  • 障害等級・傷病等級が第1級であって、上の2つと同程度の介護を要する状態にあるもの

「障害等級1級全員が常時介護に該当するわけではない」理由:

障害等級1級には、神経・精神、胸腹部臓器の障害のほか、両眼の失明や両上肢・両下肢の障害など多様な状態が含まれます。別表第三は、神経・精神・胸腹部臓器の障害以外の1級については「前二号に定めるものと同程度の介護を要する状態にあるものに限る」としているため、1級であることだけで常時介護に当たるわけではなく、介護の必要の程度によっては随時介護に当たる、または介護補償給付の対象にならないことがあります。

【支給額の決まり方と最初の月の例外(施行規則第18条の3の4)】

常時介護の場合、介護費用を支出した月はその支出額(上限186,050円/月)、支出額が90,790円/月に満たない月や、費用を支出せず親族等の介護を受けた月は90,790円/月が支給されます。ただし、支給すべき事由が生じた月は、最低保障額ではなく実際に支出した額が基準になります(第1項第2号括弧書)。随時介護は同じ仕組みで金額が92,980円/月・45,400円/月に読み替えられます(第2項)。

【介護保険との調整の詳細:労災優先の原則】

介護補償給付と介護保険の調整は「労災が優先」です。介護保険法第20条は、要介護状態等につき労災保険法の給付であって政令で定めるものを受けることができるときは、政令で定める限度で介護保険の給付を行わないとし、同法施行令第11条がその給付に介護補償給付を挙げ、限度を「介護に要する費用を支出して介護を受けた部分」としています。

整理:

  • 業務上・通勤による傷病による介護: 労災(介護補償給付)が優先し、その限度で介護保険の給付は行われない
  • 業務外の私傷病による介護: 労災対象外・介護保険が適用
  • 65歳以上で要介護認定を受けている労災被災者の場合も、業務災害に起因する介護のうち介護補償給付を受けられる部分は労災が優先する

介護補償給付の上限を超える介護費用を介護保険でどう扱うかは、上記の政令の「限度」の読み方と個別の給付の内容によるため、具体的な事案では保険者・労働基準監督署に確認するのが実務です。

【消滅時効2年の計算と実務的意義】

介護補償給付の2年の時効(法第42条)は「各月分の介護費用を請求できる権利が毎月発生し、その月から2年で時効」という運用になります。継続的に支給されるケースでは毎月の申請(請求)が必要であり、申請を怠ると過去分の時効消滅リスクがあります。社労士の実務では、重篤な後遺症を持つ被災者の親族から「毎月の介護補償給付の申請代行」を受任することが定期業務となることがあります。

根拠: 労働者災害補償保険法第12条の8第1項第7号・第4項(介護補償給付)・第19条の2・第42条(消滅時効)、同法施行規則第18条の3の2・別表第三・第18条の3の4、介護保険法第20条・同法施行令第11条(労災優先)、確認日2026-06-08(監修日)・2026-09-30(e-Gov 条文照合)/法令基準日は令和8年4月10日。消滅時効は2年。月額上限・最低保障額は施行規則第18条の3の4で定められている(e-Gov 2026-09-30確認:最高限度額 常時186,050円・随時92,980円、最低保障額 常時90,790円・随時45,400円)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第12条の8第1項第7号・第4項(介護補償給付)・第19条の2(月額)・第42条(消滅時効)、同法施行規則第18条の3の2・別表第三(要介護障害程度区分)・第18条の3の4(介護補償給付の額)、介護保険法第20条・同法施行令第11条(労災の介護補償給付との調整) 数値: 消滅時効2年(労災法第42条)。介護補償給付の月額上限は 186,050円/月(常時=186,050円)92,980円/月(随時=92,980円)、最低保障額 90,790円/月(常時=90,790円)45,400円/月(随時=45,400円)(施行規則第18条の3の4の現行額)。 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

この問題の関連トピック

  • 介護補償給付(要介護状態区分・支給上限・支給要件
  • 頻出度A

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