労働者災害補償保険法32労働者災害補償保険法

社労士 労働者災害補償保険法 問32:労働者災害補償保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision

労働者災害補償保険法に規定する二次健康診断等給付に関する次のア〜エの記述の**正誤の組み合わせ**として正しいものはどれか。 ア. 二次健康診断等給付は、「一次健康診断において、血圧測定・血中脂質検査・血糖検査・腹囲またはBMIの測定の4項目の検査すべてに異常があると診断された場合」に請求できる。 イ. 二次健康診断等給付の請求は、一次健康診断の結果を通知された日から**2年年以内**に行わなければならない。 ウ. 二次健康診断等給付は、脳血管疾患・心臓疾患の発症の予防のために行われる「二次健康診断」および「特定保健指導」の2種類の給付からなる。 エ. 二次健康診断等給付の請求者は、一次健康診断を受けた当時に「業務上の事由による脳血管疾患・心臓疾患を発症していないこと」が必要であり、すでに発症している場合は二次健康診断等給付の対象とならない。

  • ア正・イ正・ウ正・エ正
  • ア誤・イ誤・ウ正・エ正
  • ア誤・イ正・ウ正・エ正
  • ア正・イ誤・ウ正・エ正正答
  • ア正・イ正・ウ誤・エ誤
正答:ア正・イ誤・ウ正・エ正

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正答はエ(ア正・イ誤・ウ正・エ正)です。

イが誤りです。二次健康診断等給付の請求期限は、一次健康診断の結果を通知された日から3か月以内です(施行規則第18条の11の2)。設問イの「2年年(2年)以内」は誤りです。2年は療養補償給付や休業補償給付の請求権の消滅時効期間であり、二次健診等給付とは別の期限です。

ア(4項目すべてに異常で対象)・ウ(二次健康診断と特定保健指導の2種類)・エ(脳・心臓疾患未発症者のみ対象)はいずれも正しい記述です。

二次健康診断等給付は過労死・脳心臓疾患の予防を目的とした給付であり、すでに疾患が発症している場合は対象外です(発症後は通常の療養補償給付等が適用されます)。

標準試験対策の基準レベル

二次健康診断等給付の概要(第26条〜第28条):

| 項目 | 内容 |

|---|---|

| 給付の目的 | 脳血管疾患・心臓疾患(過労死等)の発症予防 |

| 対象者 | 定期健康診断等(一次健康診断)を受けた被保険者 |

| 請求条件 | 一次健診で4項目すべてに異常所見+脳心臓疾患未発症 |

| 4項目の内容 | ①血圧測定 ②血中脂質検査(LDL等) ③血糖検査(空腹時血糖・HbA1c等) ④腹囲またはBMIの測定 |

| 給付の種類 | ①二次健康診断(詳細な検査・検査費用) ②特定保健指導(生活改善指導・面接指導等) |

| 請求期限 | 一次健康診断の結果を通知された日から3か月以内 |

| 請求先 | 二次健康診断等を行う機関(登録健診機関)に直接申請(労基署長経由ではない) |

各記述の詳細分析:

  • ア(正): 4項目(血圧・血中脂質・血糖・腹囲またはBMI)のすべてに異常所見がある場合に対象。1項目でも正常であれば対象外(4項目すべての異常を要件とする点が重要)。
  • イ(誤): 請求期限は「3か月以内」(施行規則第18条の11の2)。「2年年(2年)以内」は療養補償・休業補償等の消滅時効(第42条)であり、二次健診等給付の期限とは別。3か月は非常に短い期限のため、一次健診の結果を受け取ったら速やかに申請が必要。
  • ウ(正): 二次健康診断(詳細な血液・画像検査等)と特定保健指導(保健師・管理栄養士等による生活改善指導)の2種類が給付対象。
  • エ(正): 「予防的給付」であるため、すでに脳血管疾患・心臓疾患を発症している場合は対象外。発症後は療養補償給付等の通常の保険給付が適用される(別制度へ移行)。

二次健診等給付の請求の流れ(実務上のポイント):

一次健診(定期健診)で4項目すべて異常→結果通知受領→3か月以内に二次健診等給付申請書を作成→登録健診機関(健保組合等が指定する健診機関)に提出→二次健康診断実施→特定保健指導受講

上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【二次健康診断等給付の制度的背景:過労死・脳心臓疾患への予防的対応】

二次健康診断等給付制度は、2001年(平成13年)の改正労災保険法で新設されました。この制度が生まれた背景には1980〜90年代以降の「過労死」問題があります。

長時間労働・過重な業務負担が蓄積した結果、「突然の脳梗塞・心筋梗塞による死亡」という過労死事案が社会問題化しました。従来の労災保険は「業務上の傷病・死亡が発生した後の補償」が中心でしたが、「発症してからでは遅い」という認識が高まり、「業務上の過重負担が背景にある場合は、発症前の予防段階から介入する」という予防的アプローチを採用したのが本制度です。

【4項目すべての異常を要件とする理由:複合リスクファクターの重視】

二次健康診断等給付の対象が「4項目すべてに異常所見」という厳格な要件を課している理由は「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)のリスクファクターとの対応」です。

高血圧・高脂血症・高血糖・腹部肥満(または過体重)という4つのリスクファクターが複合した状態(メタボリックシンドローム)は、単独のリスクファクターよりも心血管疾患・脳血管疾患の発症リスクを飛躍的に高めることが医学的に確認されています。

1項目の異常だけでは「脳心臓疾患の予防的介入が緊急に必要な高リスク状態」とは言えないため、給付の対象を「4項目すべての異常」に絞ることで、「真に業務上の過重負担と相まって発症リスクが高い労働者」に集中的に予防介入する設計になっています。

【3か月という請求期限の設計理由と実務上の問題点】

二次健診等給付の請求期限「3か月以内」は、一般の労災給付の消滅時効(2年年または5年)と比べて著しく短い期限です。この短い期限が設けられている理由:

1. 予防的給付の時間的価値: 脳心臓疾患の予防介入は「異常を発見してから早期に生活習慣を改善する」ことが効果的。一次健診から時間が経つほど予防効果が薄れる。

2. 健診機関の処理能力: 多数の申請が長期間にわたって受け付けられると、二次健診を実施する登録健診機関の処理能力を超えるリスクがある。

実務上の問題点:

3か月という期限は「一次健診の結果を通知された日から」計算されますが、実務上は以下の問題が生じます:

  • 通知の遅延: 健診機関から事業主、事業主から労働者への結果通知まで1〜2か月かかることがある(健診機関の処理遅延・事業主の通知漏れ等)
  • 労働者の認知不足: 二次健診等給付制度を知らない労働者が多く、3か月の期限が過ぎてから制度を知るケースがある
  • 社労士の周知義務: 社労士は顧問先事業主に対して「定期健診の結果通知を速やかに労働者に伝え、異常所見があった者に二次健診等給付制度を周知する」よう指導することが重要

【特定保健指導の内容と「社労士が知っておくべき」ポイント】

特定保健指導は「保健師・管理栄養士等の専門職による生活習慣改善支援」です。二次健診等給付として受けられる特定保健指導は1回のみで、以後は健保組合の特定保健指導(高齢者医療確保法の特定健診・特定保健指導制度)と連携して継続的な支援が行われます。

社労士の実務では「二次健診等給付(労災保険)」と「特定健診・特定保健指導(健康保険・高齢者医療確保法)」の二制度の違いと連携を理解し、顧問先企業の健康管理担当者・産業保健スタッフと連携した支援が求められます。

令和の「健康経営」推進の観点からも、「定期健診の異常所見に素早く対応する体制(二次健診等給付の活用・特定保健指導との連携・産業医の活用)」は企業のリスク管理と生産性向上の両面で重要な課題となっています。

根拠: 労働者災害補償保険法第26条〜第28条(二次健康診断等給付)、同法施行規則第18条の11の2(請求期限3か月)、第42条(消滅時効)。確認日2026-06-08。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第26条〜第28条(二次健康診断等給付) <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 正答エ(ア正・イ誤・ウ正・エ正)。ア正=4項目すべてに異常(各1つでも異常所見)があると診断された場合に該当。イ誤=請求期限は「一次健康診断の結果を通知された日から**3か月以内**」({{ROUSAI_TIME_LIMIT_SHORT}}年=2年ではなく3か月)。{{ROUSAI_TIME_LIMIT_SHORT}}=2年は療養補償等の消滅時効。二次健診等給付の請求期限は「3か月以内」(法第26条・施行規則第18条の11の2)。ウ正=二次健康診断(検査)と特定保健指導(面接指導等)の2種類。エ正=一次健診を受けた当時に脳・心臓疾患を発症していない者のみ対象(予防的給付であるため)。正答エ(ア正・イ誤・ウ正・エ正)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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