問題
労働者災害補償保険法第12条の2の2に規定する保険給付の支給制限に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウ(誤っている記述)です。
第12条の2の2第2項は、正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより症状の程度を増進させた場合等について「政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる」と定めています。「全て打ち切らなければならない」という義務を定めているわけではありません。ウはこの点を取り違えており、誤りです。
ア・イ・エ・オは条文どおりで正しい記述です。条文には、故意(第1項・一律に「行わない」)と、故意の犯罪行為・重大な過失・療養指示違反(第2項・「全部又は一部を行わないことができる」)の2つの類型があり、いずれも給付の種類を限定する文言はありません。
第12条の2の2の2つの項の構造:
| 項 | 要件 | 効果 |
|---|---|---|
| 第1項 | 労働者が故意に負傷、疾病、障害若しくは死亡又はその直接の原因となった事故を生じさせたとき | 政府は保険給付を行わない(一律不支給) |
| 第2項 | 労働者が①故意の犯罪行為若しくは重大な過失により、又は②正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより、負傷等若しくはこれらの原因となった事故を生じさせ、又は負傷等の程度を増進させ若しくはその回復を妨げたとき | 政府は保険給付の全部又は一部を行わないことができる(裁量的な不支給) |
各選択肢の解説:
- ア(正): 第1項の文言どおり。
- イ(正): 第2項のうち「故意の犯罪行為若しくは重大な過失により…事故を生じさせ」の部分の文言どおり。
- ウ(誤・正答): 第2項の効果は「全部又は一部を行わないことができる」であり、「全て打ち切らなければならない」という義務ではない。
- エ(正): 第1項(一律不支給)と第2項(全部又は一部を行わないことができる)の構造の違いを正しく述べている。
- オ(正): 第2項には保険給付の種類を限定する文言がなく、条文上は保険給付一般が対象になる。
【第1項の「故意」と第2項の「故意の犯罪行為」の書き分け】
第12条の2の2は、第1項で「故意に」負傷等又はその直接の原因となった事故を生じさせた場合、第2項で「故意の犯罪行為若しくは重大な過失により」又は「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないことにより」負傷等を生じさせた場合等を、別の項に分けて定めています。条文の文言上、第1項で「故意に」がかかるのは負傷等やその直接の原因となった事故を生じさせることで、効果は「保険給付を行わない」です。第2項で「故意の」がかかるのは犯罪行為で、その犯罪行為により負傷等を生じさせた場合の効果は「全部又は一部を行わないことができる」です。同じ「故意」という語が入っていても、どちらの項に当たるかで効果が大きく違う点が出題のポイントです。
【「行わない」と「行わないことができる」の違い】
第1項の「政府は、保険給付を行わない。」は、要件に当たれば保険給付をしないとする規定です。これに対し第2項の「政府は、保険給付の全部又は一部を行わないことができる。」は、全部を行わないか、一部を行わないかを政府が選べる書き方で、要件に当たっても必ず全部が不支給になるわけではありません。ウの「全て打ち切らなければならない」は、この第2項の効果を「必ず全部」に書き換えた誤りです。
【第2項の要件の組み立て:原因3つ×結果2つ】
第2項は、原因として「故意の犯罪行為」「重大な過失」「正当な理由がなくて療養に関する指示に従わないこと」の3つを、結果として「負傷、疾病、障害若しくは死亡若しくはこれらの原因となつた事故を生じさせ」と「負傷、疾病若しくは障害の程度を増進させ、若しくはその回復を妨げた」の2つを並べています。条文は原因と結果を「により」「ことにより」でつないでおり、原因となる行為があっただけではなく、その行為によって結果が生じたことが要件です。たとえば療養の指示に従わなかった事実があっても、それによって程度の増進や回復の妨げが生じていなければ、第2項の要件には当たりません。
【給付の種類が限定されていないこと(オ)と特別支給金への準用】
第12条の2の2の第1項・第2項のいずれも、支給制限の対象となる保険給付の種類(療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付等)を限定する文言を含んでいません。条文の文言上は保険給付一般が対象であり、具体的にどの給付をどの程度制限するかは条文には定められていません(条文から決まるのは「全部又は一部を行わないことができる」という枠組みまでです)。また、労働者災害補償保険特別支給金支給規則第20条は、法第12条の2の2を特別支給金について準用しており、支給制限の枠組みは特別支給金にも及びます。
根拠: 労働者災害補償保険法第12条の2の2、労働者災害補償保険特別支給金支給規則第20条(e-Gov 法令API v2・2026-09-30時点の現行条文で全文確認)。
- 労働者災害補償保険法第12条の2e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第12条の2の2、労働者災害補償保険特別支給金支給規則第20条 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

