労働者災害補償保険法7労働者災害補償保険法

社労士 労働者災害補償保険法 問7:労働者災害補償保険法

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

労働者災害補償保険法における特別加入制度に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 中小事業主等の特別加入(第1種特別加入)は、労働保険事務組合に事務処理を委託している中小事業主およびその事業に従事する家族従事者等が対象となり、申請は当該労働保険事務組合を通じて行う。
  • 一人親方等の特別加入(第2種特別加入)は、個人タクシー業者・大工等の建設業の一人親方・農業者等が対象であり、申請は都道府県労働局長に認可された「一人親方等の団体」(特別加入団体)を通じて行う。
  • 特定作業従事者の特別加入(第3種特別加入)には、家内労働者・農業機械作業従事者・危険有害作業実施者(フリーランスの芸能・ITエンジニア等)が含まれており、芸能従事者・アニメーション制作に係る作業従事者等は2021年4月以降順次追加された。
  • 海外派遣者の特別加入(第4種特別加入)は、国外の事業に労働者として派遣される者が対象であり、海外の現地法人の役員として派遣される者は、日本の中小事業主としての加入(第1種)でも第4種でも加入することができない。正答
  • 特別加入者(いずれの区分も)には業務災害認定において「業務遂行性」の概念が適用されるが、業務の実態に応じて「一般的に就労実態のある業務の範囲」に限定されており、一般労働者と全く同一の認定基準が適用されるわけではない。
正答:海外派遣者の特別加入(第4種特別加入)は、国外の事業に労働者として派遣される者が対象であり、海外の現地法人の役員として派遣される者は、日本の中小事業主としての加入(第1種)でも第4種でも加入することができない。

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正答はエ(誤っている記述)です。

エは「海外の現地法人の役員として派遣される者は第1種でも第4種でも加入できない」としていますが、これは誤りです。海外の事業に役員として派遣される者(中小事業主等)は、第4種特別加入(海外派遣者)として加入することができます(法第33条第6号)。第4種は労働者として派遣される者だけでなく、中小事業主として海外で事業を行う場合も対象となりえます。

アは正しく、第1種特別加入は労働保険事務組合を通じた申請が必要です。イは正しく、第2種は特別加入団体(一人親方等の団体)を通じた申請が必要です。ウは正しく、2021年4月以降に芸能従事者・アニメーション制作従事者・自転車を使用して貨物運送業務を行う者等が第3種に追加されました(いわゆる「ITフリーランス」「フリーランスエンジニア」も含む)。オは正しく、特別加入者には業務遂行性の概念が適用されますが、認定範囲は限定的です。

標準試験対策の基準レベル

特別加入制度の4区分(社労士試験必須整理):

| 区分 | 対象者 | 申請経由 | 保険料負担 |

|---|---|---|---|

| 第1種 (中小事業主等) | 労働保険事務組合に委託する中小事業主・代表者・家族従事者 | 労働保険事務組合 | 事業主(自己負担) |

| 第2種 (一人親方等) | 建設業の一人親方・個人タクシー・漁業者・農業者等 | 特別加入団体(認可が必要) | 個人(自己負担) |

| 第3種 (特定作業従事者) | 家内労働者・農業機械作業従事者・芸能・アニメ・IT等フリーランス | 特別加入団体 | 個人(自己負担) |

| 第4種 (海外派遣者) | 海外の事業に派遣される者・中小事業主として海外で従事する者等 | 中小事業主の場合は事務組合経由も可 | 個人または事業主 |

近年追加された第3種特別加入の対象(2021年4月以降):

| 追加時期 | 追加対象 |

|---|---|

| 2021年4月1日 | 芸能従事者・アニメーション制作に係る作業従事者・ITフリーランス(情報処理作業従事者) |

| 2021年4月1日 | 自転車を使用して貨物運送業務を行う者 |

| 2022年4月1日 | 医師(非雇用形態で診療業務を行う者) |

| 2024年11月1日 | フリーランスの柔道整復師・あん摩マッサージ指圧師・はり師・きゅう師 |

中小事業主等の規模要件(施行規則第46条の16)の代表例:

| 業種 | 労働者数の上限 |

|---|---|

| 金融業・保険業・不動産業・小売業 | 50人以下 |

| 卸売業・サービス業 | 100人以下 |

| その他の業種(製造業・建設業等) | 300人以下 |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 第1種は労働保険事務組合を通じた申請が要件。事務組合に委託していることが加入条件。
  • イ(正): 第2種は都道府県労働局長認可の特別加入団体経由。団体を介さない個人直接申請は不可。
  • ウ(正): 2021年以降の追加で第3種の対象が大幅拡大。ITフリーランス・芸能・アニメが含まれる。
  • エ(誤・正答): 海外派遣者(第4種)は「労働者として派遣される者」だけでなく、中小事業主が海外事業に従事する場合も含まれる。「加入できない」は誤り。
  • オ(正): 特別加入者の業務災害認定は「特別加入者の業務の内容」に基づき、厚生労働省告示で定める範囲に限定される(通勤途上も含むが一般労働者とは範囲が異なる)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【特別加入制度の立法趣旨:「労働者」ではない就業者の保護空白を埋める】

労災保険は「労働者」(使用従属関係がある者)を保護対象とする制度です。しかし実態として、労働者と同様に危険業務に従事しながら法的には「事業主」「自営業者」に分類される者(一人親方・フリーランス・中小事業主本人等)が存在します。特別加入制度は、これらの者が任意で加入できる例外的な制度として、労働者との保護格差を縮小する目的で設けられました(1965年・昭和40年の制度開始)。

【第3種特別加入の近年拡大の背景:ギグエコノミーとフリーランス保護】

2021年以降の第3種対象拡大は、いわゆる「ギグエコノミー」(プラットフォームを通じた単発業務)の普及に対応したものです。個人タクシー・フードデリバリー・ITフリーランス・芸能従事者等は、労働者でないため従来の労災保険の対象外でしたが、業務中の事故や職業病リスクは労働者と変わらない実態があります。2021年の拡大は「働き方の多様化」「フリーランス保護政策」の一環であり、社労士試験では毎年追加された対象業種の暗記が求められます。

【特別加入者の保険料と給付基礎日額の設計】

特別加入者の保険料は、本人が選択した「給付基礎日額」(3,500円〜25,000円の範囲で任意選択)に保険料率を乗じた額です。実際の賃金が根拠にならない(自営業者に「賃金」がないため)ため、自己申告の給付基礎日額で保険料と給付額が決まります。これは特別加入制度の重要な特徴であり、「過去の賃金実績から算定する給付基礎日額」(一般労働者)との根本的な違いです。

【海外派遣者(第4種)の対象範囲と実務的論点】

第4種特別加入の対象者(法第33条第6号・第7号):

1. 海外派遣者(労働者): 日本国内の事業に雇用され、その使用者から海外の事業(支店・工場等)に派遣される労働者

2. 中小事業主として海外事業に従事する者: 日本の中小事業主等(第1種加入資格者)が海外の事業にも従事する場合

問題のエが誤りである根拠は②です。海外現地法人の役員として派遣される者(日本国内では中小事業主)は、第4種として加入する道があります。「役員だから加入できない」という誤解は実務・試験の双方で見られます。

【特別加入者の業務災害認定の特則:「業務の範囲」の限定】

一般労働者の業務災害は「業務遂行性+業務起因性」の2要件で認定されますが、特別加入者の場合は「当該特別加入者が行う業務の内容(厚生労働省告示で具体的に列挙)に限定」されます。例えば中小事業主の場合、「事業主本人がその事業に実際に従事している時間中の傷病」が対象であり、事業と無関係の個人的行為中は対象外です。一人親方の場合も「その者が通常行う業務」の遂行中が対象となります。

社労士実務では、フリーランス・一人親方からの「特別加入したいがどこで加入できるか」という相談が増加しており、対応する特別加入団体(業種別・地域別)の紹介と加入手続き支援が新たな業務領域となっています。2023年のフリーランス保護法(特定受託事業者に係る取引の適正化等に関する法律)の施行とあわせ、フリーランスの社会保険・労災保険の整備は社労士が最前線で携わる重要政策分野です。

根拠: 労働者災害補償保険法第33条〜第36条(特別加入)、同法施行規則第46条の16〜第46条の24、厚生労働省「特別加入制度のしおり」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/rousai/kanyu.html(確認日2026-04-10)。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 労働者災害補償保険法第33条〜第36条(特別加入)、同法施行規則第46条の16〜第46条の24、厚生労働省「特別加入制度のしおり」 数値根拠: 芸能・アニメ等の追加は2021年4月1日施行(条文施行日のため直書き可)。 <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): 結果=正答エ維持・修正なし。労災法第33条第6号・第7号により、海外派遣者の特別加入(第4種)は「日本国内の事業主から海外の事業に派遣される労働者」だけでなく、「中小事業主等が海外の事業に従事する者(例:海外現地法人の役員)」も対象。エの「第1種でも第4種でも加入できない」は明確な誤り=正答エ。アは事務組合経由(法第33条第1号)、イは特別加入団体経由(同第3号)、ウは2021-04-01告示改正で追加対象に芸能/アニメ/ITフリーランス/自転車配達等が追加で正しい、オは告示・行政解釈で限定的認定が正しい。参照: 労災法第33条/施行規則第46条の16〜24、厚労省「特別加入制度のしおり」。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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