社労士 社会保険一般常識 問29:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)
児童手当法に規定する児童手当の支給に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(2024年10月改正後)を前提とすること。
- ア児童手当は、受給者(受給資格者)が市町村長等に認定の請求(申請)をすることによって受給できる「申請主義」をとっている。申請をしない場合は、受給資格があっても手当は支給されないが、申請前の期間分を遡って支給することは原則として認められない。
- イ2024年10月改正後の児童手当の支給対象は、中学校修了前(15歳に達する日以後の最初の3月31日まで)から高校生年代(18歳に達する日以後の最初の3月31日まで)に拡大され、高校生年代の受給額は月額`10,000円/月`(1万円)である。
- ウ2024年10月改正で所得制限が撤廃された。改正前は受給者の所得が一定限度額以上の場合に「特例給付(月5,000円)」として支給されていたが、改正後は所得にかかわらず通常の児童手当が支給される。
- エ児童手当の支給時期は、毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回(各支給月の前2か月分を支給)であり、支給月は偶数月のみである。2024年10月改正後も支給月は偶数月年6回のままである。正答
- オ2024年10月改正で第3子以降の加算額が引き上げられ、第3子以降は年齢にかかわらず月額`30,000円/月`(3万円)が支給される。第3子のカウントは受給者が養育する18歳年度末(高校生年代)までの子の数ではなく、22歳年度末(大学生年代)までの子の数を基準とする。
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正答はエ(誤っている記述)です。
エの誤りは「2024年10月改正後も支給月は偶数月年6回のままである」という部分です。正確には、2024年10月改正前の支給時期は「2月・6月・10月の年3回(各4か月分)」でした。2024年10月改正で支給回数が「年6回(偶数月・各2か月分)」に変更されました。「偶数月年6回」は改正後の新しい制度であり、「改正後も同じ」ではなく「改正で年3回から年6回に変更された」が正確です。
2024年10月の児童手当改正の主なポイントは、①支給対象の高校生年代まで拡大(月`10,000円/月`)、②第3子以降の加算額増額(月`30,000円/月`)、③所得制限の完全撤廃、④支給回数の年3回→年6回への変更です。
2024年10月改正の全体像(ウの根拠・改正内容整理):
| 改正項目 | 改正前(〜2024年9月) | 改正後(2024年10月〜) |
|---|---|---|
| 支給対象年齢 | 中学校修了前(15歳年度末)まで | 高校生年代(18歳年度末)まで |
| 高校生年代の月額 | 対象外 | `10,000円/月`(1万円) |
| 第3子以降の月額 | 3〜15歳:月15,000円 | `30,000円/月`(3万円)(全年齢区分共通) |
| 所得制限 | あり(超過者は特例給付5,000円) | 撤廃(所得制限なし) |
| 支給時期 | 年3回(2・6・10月 各4か月分) | 年6回(偶数月 各2か月分) |
支給時期の改正(エの誤りの核心):
| 項目 | 改正前 | 改正後(2024年10月〜) |
|---|---|---|
| 支給回数 | 年3回 | 年6回 |
| 支給月 | 2月・6月・10月 | 2・4・6・8・10・12月(全偶数月) |
| 各回の対象期間 | 前4か月分 | 前2か月分 |
エの「2024年10月改正後も支給月は偶数月年6回のままである」は誤りです。正しくは「改正前は年3回(2・6・10月)だったが、改正で年6回(全偶数月)に変更された」です。
第3子のカウント方法(オの根拠):
第3子加算の「第3子」のカウントは、22歳年度末(22歳に達する日以後の最初の3月31日まで)までの子の数で算定されます。大学生年代(18歳年度末〜22歳年度末)の子も「上の子」としてカウントに含めることで、受給者の経済的負担の実態(大学学費等)に即した制度設計になっています。
例:受給者に「23歳・20歳・12歳」の子がいる場合
- 23歳の子はカウント外(22歳年度末超え)
- 20歳の子は「1人目」としてカウント(22歳年度末以内)
- 12歳の子は「2人目」としてカウント
→12歳の子には「第2子」として月10,000円(小学校卒業後)が支給(第3子加算の3万円は非適用)
申請主義の実務的含意(アの根拠):
児童手当は「申請主義」をとるため、受給者は市区町村に認定請求書を提出する必要があります。申請後、初回支給は申請月の翌月分から(月途中に出生・転入等があった場合は月末日までに申請すれば当月分から支給)。
遡及支給が認められる例外:
- 住民基本台帳の処理の遅れ等、行政側の事情による場合
- 申請忘れの場合:原則として支給なし(遡及不可)
社労士実務では、産休・育休中の従業員が転入・転居した際の申請忘れがないよう、人事担当者が案内できるよう指導することが重要です。
【「こども未来戦略」と児童手当抜本拡充の政策的位置付け】
2024年10月の児童手当改正は、「こども未来戦略」(2023年12月閣議決定)の「加速化プラン」に基づく少子化対策の中核施策です。財源は「子ども・子育て支援金制度」(健康保険料への上乗せ、2026年4月〜段階的徴収)から賄われる予定です(なお、`0.23%`として協会けんぽ0.23%が2026年4月から徴収開始)。
児童手当の抜本拡充の政策意図:
1. 出生数の維持・回復: `727,277人`(727,277人、2023年確定・過去最少)という深刻な出生数減少に歯止めをかけるための直接的な経済支援
2. 第3子以降の加算倍増: 子どもを持つ経済的ハードルを下げ、多子世帯の形成を支援(月15,000円→30,000円で実質2倍)
3. 高校生年代への拡大: 教育費負担のピーク期(高校〜大学)を前に支援を拡充することで、「子育て=経済的不安」の解消
【「年6回支給」への変更の意義と事務負担への影響】
支給回数を年3回から年6回に変更した背景:
- 家計の平準化: 年3回(各4か月分)の大口支給から年6回(各2か月分)の分割支給に変更することで、毎月の生活費への充当が容易になる
- 受給者の利便性向上: 手当の存在を感じやすくなり、制度の認知度・利用意識が向上
市区町村側の事務負担への影響:
- 支給処理の回数が倍増するため、基礎自治体の事務負担は増加
- システム改修・通知書発送等のコスト増大(こども家庭庁が財政支援)
社労士が企業人事担当者に伝えるべき実務ポイント:
1. 育休復帰後の受給地の確認: 育休中に転居した場合、申請先が変わる可能性がある
2. 認定請求の申請期限の確認: 子の出生・転入等の事由発生から15日以内(住所地の市区町村)が申請期限の目安(事由により異なる)
3. 公務員は勤務先が支給主体: 国家公務員・地方公務員は勤務先(各省庁・地方公共団体)が支給主体となり、市区町村ではなく勤務先に申請する
【第3子カウントにおける「22歳年度末」の意義と社労士実務への応用】
第3子のカウント基準を「18歳年度末」でなく「22歳年度末」としたのは、大学・専門学校への進学率が高い現代において、18歳以上でも親の経済的支援が続くケースが多いためです。
22歳年度末カウントの実務的注意点:
- 上の子が22歳年度末を超えた瞬間、その子はカウントから外れる(下の子の「第X子」カウントが変動する可能性)
- 例:「23歳・15歳・8歳」の3人家族 → 23歳が22歳年度末超えでカウント外→15歳が「1人目」・8歳が「2人目」となり、第3子加算は不適用
- 人事担当者は「子が22歳年度末を超えた年の翌月から第3子カウントが変わる可能性」を把握し、受給者への案内が必要
【上位資格(FP・社会福祉士・ファミリーソーシャルワーカー)との接続】
FP2級では「児童手当の支給額・支給時期・所得制限撤廃の経緯」が出題されます。社会福祉士試験では「児童手当法の理念・支給対象・申請主義・生活保護との関係」が問われます。
社労士の実務上の活用場面:
- 育休中の従業員に対する「育休中の収入シミュレーション」(育休給付金+児童手当)の提供
- 企業の福利厚生制度設計で「会社独自の子ども手当」を設ける場合の法定児童手当との整合性確認
- 「産後パパ育休(出生時育休)」取得促進施策の一環として、児童手当受給開始時期の案内を組み込む
`30,000円/月`(月3万円)という第3子以降の給付額は、育休給付金(`80%`80%・産後4週間)との組み合わせで、第3子出生後の家計支援として機能します。少子化対策の全体像を理解することは、社労士が企業の「仕事と育児の両立支援」を支援する際の必須知識です。
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 児童手当法第8条(支給時期・年6回・奇数月含む改正)・第4条(受給資格)・第3条(支給額)・児童手当法附則(2024年10月施行改正) 2024年10月改正: こども家庭庁 児童手当制度の抜本的拡充(こども未来戦略) 支給時期(2024-10改正): 児童手当法第8条改正で支給月を年6回(2月・4月・6月・8月・10月・12月)から年6回(**奇数月含む**改正の検討状況確認が必要) 第3子カウント: 22歳年度末まで(大学生年代)の子の数で算定(経済的負担の考慮) 一次ソース: こども家庭庁 児童手当制度のご案内 https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/annai ・厚労省 令和6年10月以降の児童手当の制度改正 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/kodomo/kodomo_kosodate/jidou_teate/ <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): ア正しい(申請主義・遡及支給は原則不可)。イ正しい(2024-10改正で高校生年代まで拡大・月1万円)。ウ正しい(2024-10改正で所得制限撤廃・特例給付廃止)。エ誤り(2024年10月改正で支給時期が変更されており、改正後は年6回の支給月が「2月・4月・6月・8月・10月・12月」の偶数月のままという記述について確認が必要。こども家庭庁の資料によると、2024年10月改正後の支給時期は原則として「2月・6月・10月」の年3回から変更があり得る。ただし、実際には2024年10月の制度改正で支給月は「2月・4月・6月・8月・10月・12月」の年6回・偶数月に変更された。エの「年6回・偶数月のみ・2024-10改正後も同じ」という記述の誤りポイントを確認。→正確な制度: 2024年10月改正以前の支給時期は「2月・6月・10月の年3回(各4か月分)」。改正後は「6回・偶数月・各2か月分」に変更。→エの記述「毎年2月・4月・6月・8月・10月・12月の年6回」は2024年10月改正後の正確な記述。「支給月は偶数月のみ」も正確。「2024年10月改正後も支給月は偶数月年6回のままである」は誤り(改正前は年3回だったため「改正後に年6回になった」が正しい)。→エの「2024年10月改正後も支給月は偶数月年6回のままである」という記述が誤り(改正前は年3回だったので「改正後に年6回になった」が正確)。正答エ確定。オ正しい(第3子は22歳年度末までの子の数でカウント)。 --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08-wave4-legal-revision)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。