社会保険一般常識7社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問7:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

児童手当に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(2024年10月施行の改正後制度)を前提とすること。

  • 2024年10月施行の児童手当法改正により、従来の所得制限(所得制限限度額・所得上限限度額)が完全に撤廃された。改正後は、受給者の所得に関わらず、支給要件を満たす全員が児童手当を受給できる。
  • 2024年10月施行の改正後は、支給対象年齢が「中学校修了まで(15歳到達後最初の3月31日まで)」から「高校生年代まで(18歳到達後最初の3月31日まで)」に延長された。
  • 2024年10月施行の改正後の月額支給額は、3歳未満が1万5千円、3歳以上小学校修了前が1万円(第3子以降は3万円)、中学生が1万円、高校生年代が1万円である(第3子以降は一律3万円)。第3子加算の「第3子以降」のカウントは、進学・同別居を問わず親等の経済的負担がある場合に限り、22歳到達後最初の3月31日まで(大学生年代)を人数に含めることができる。
  • 児童手当は、受給者(主に生計維持者)が勤務先(事業主)を通じて申請する。被用者(会社員・公務員等)は事業主経由で申請し、費用の一部を事業主が拠出する「事業主拠出金」の仕組みがある。
  • 2024年10月施行の改正では、月1回払いから「4か月分をまとめて年3回払い」に変更された。支払月は2月・6月・10月の年3回であり、それぞれ前4か月分が支払われる。正答
正答:2024年10月施行の改正では、月1回払いから「4か月分をまとめて年3回払い」に変更された。支払月は2月・6月・10月の年3回であり、それぞれ前4か月分が支払われる。

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正答はオ(誤っている記述)です。

2024年10月施行の改正前は「4か月分×年3回払い(2月・6月・10月)」でしたが、改正後は年6回払い(偶数月:2月・4月・6月・8月・10月・12月)に変更されました。「年3回払い」という記述が誤りです。改正後は受給者への支給頻度が上がり、家計への影響タイミングが改善されています。

ア(所得制限撤廃)・イ(高校生年代まで延長)・ウ(月額・第3子カウントの大学生年代まで)・エ(事業主拠出金)はいずれも正しい記述です。2024年10月改正は「所得制限撤廃・高校生まで延長・第3子加算の拡充・年3回→年6回払い」の4点が核となります。

標準試験対策の基準レベル

2024年10月施行の児童手当改正 4つの核心(必須暗記):

| 改正点 | 改正前(〜2024年9月) | 改正後(2024年10月〜) |

|---|---|---|

| 所得制限 | 所得制限限度額(特例給付5千円)・所得上限限度額(支給なし)の2段階制限あり | 完全撤廃(所得にかかわらず全員支給) |

| 支給対象年齢 | 中学校修了まで(15歳到達後最初の3月31日) | 高校生年代まで(18歳到達後最初の3月31日) |

| 第3子加算カウント | 18歳到達後最初の3月31日まで(高校生年代以下)で計算 | 22歳到達後最初の3月31日まで(大学生年代)も人数にカウント可 |

| 支払頻度 | 年3回払い(2月・6月・10月・各4か月分) | 年6回払い(偶数月:2・4・6・8・10・12月・各2か月分) |

改正後の月額支給額(現行・こども家庭庁告示):

| 区分 | 月額 |

|---|---|

| 3歳未満 | 15,000円(第3子以降: 30,000円) |

| 3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |

| 中学生 | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |

| 高校生年代(新設) | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |

第3子カウントの仕組み(ウの根拠・重要):

  • 「第3子以降」のカウントは、改正前は「18歳到達後最初の3月31日まで」の子に限定だったが、改正後は22歳到達後最初の3月31日まで(大学生年代)の子も人数に算入可能
  • ただし22歳年度末までの算入は、進学/同別居を問わず親等の経済的負担がある場合に限定(こども家庭庁告示)
  • 例: 大学1年生(21歳)・高校生(17歳)・中学生(14歳)の3人兄弟で大学生を親が扶養している場合、中学生は「第3子」として月30,000円の加算対象になる

費用負担の仕組み(エの根拠):

  • 被用者(国家公務員・地方公務員を除く): 事業主が「子ども・子育て拠出金」を拠出し国が支出(雇用主負担あり)
  • 非被用者・国家公務員: 国・地方公共団体が費用を負担

選択肢オの誤りの核心:

  • 「4か月分をまとめて年3回払い」は改正前の制度(〜2024年9月)の記述
  • 改正後は年6回払い(偶数月・各2か月分)が正しい
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【2024年10月改正の背景:異次元の少子化対策と「こども未来戦略」】

2024年(令和6年)10月の児童手当大幅拡充は、岸田政権の「こども未来戦略(2023年12月閣議決定)」の中核施策として実施されました。日本の合計特殊出生率が2023年に1.20(過去最低・VolatileBoxキー: GOUKEI_SHUSSEI_RITSU)を記録し、出生数も約72.7万人(過去最少・SHUSSEI_SUU)と急落したことへの危機感が直接のきっかけです。

改正の財源は「子ども・子育て支援金」として2026年4月から健康保険料に上乗せして徴収されます(協会けんぽ加入者の場合、労使合計0.23%・VolatileBoxキー: KODOMO_SHIEN_RATE)。これは「現役世代・事業主が少子化対策費用を支える」という新たな財政スキームであり、社労士試験では「給与計算に与える影響(子育て支援金率の徴収)」として重要な実務論点となっています。

【第3子加算の「大学生年代まで」カウントの実務的意味】

従来は「18歳到達後最初の3月31日(高校生年代)まで」の子しか人数にカウントできなかったため、大学生の上の子がいても実質的に無視されていました。改正後は「22歳到達後最初の3月31日(大学生年代)まで」が計算対象に拡大されたため、子供が大学生・高校生・中学生の家庭では、最年少の子に第3子加算(月30,000円)が適用されます。

この「22歳到達後最初の3月31日」という期限設定は、日本の「標準的な大学在学期間(4年制大学の場合、18歳入学→22歳卒業)」に対応しています。留年・浪人をした場合、22歳の誕生日が属する年度末を超えると算入不可となります。

【年6回払いへの変更と「ベネフィットの可視化」戦略】

年3回払い(各4か月分)から年6回払い(偶数月・各2か月分)への変更は、給付の「受け取りやすさ・家計への影響の実感」を高めるための設計変更です。政策学的には「ベネフィットの可視化(salience)」と呼ばれ、受給者が定期的に手当を受け取ることで制度への認知・満足度が高まるとされます。

実務上の注意点(社労士実務):

  • 2024年10月1日を境に「改正前の4か月分をまとめた3回払い」と「改正後の2か月分の6回払い」が混在する時期がある
  • 転居・転職・出生等のライフイベントがある場合、認定請求の切替タイミングと支払月の関係を正確に把握する必要がある
  • 改正後の高校生年代加算は「2024年10月以降、対象年齢の子を持つ親」が新たに認定請求を行う必要がある(自動移行はされない場合がある)

【所得制限撤廃と「普遍主義 vs 選別主義」論争】

児童手当の所得制限撤廃は、社会保障政策の「普遍主義(全員に給付)」vs「選別主義(困窮者に集中)」という根本的な政策対立に関わります。批判論として「高所得者にも税金で手当を配るのは非効率」という意見があります。一方、推進論としては「所得確認コスト(申請・審査・特例給付計算)の削減」「支給漏れ・制度からの脱落者ゼロ」「連帯感・制度への信頼感の醸成」が挙げられます。日本の児童手当の所得制限撤廃は、欧州の普遍的児童手当(フランス・ドイツ等)に近い設計への転換と評価されています。

社労士試験では「所得制限の有無・支給金額・対象年齢・支払月」という条文値を正確に押さえることが優先ですが、advanced の学習ではこの政策的背景を理解することで、改正の「なぜ」が腹落ちし、類似問題への応用力が高まります。

【児童手当と社労士の実務接続(給与計算・育休手続き)】

社労士が実務で児童手当に関わる場面:

1. 子ども・子育て拠出金率の確認: 毎年変更される拠出金率を給与計算システムに反映(令和8年度: 厚生年金保険料と一体で料率告示)

2. 従業員の認定請求書の確認・取りまとめ: 被用者は事業主経由で申請するため、人事部門が窓口になる

3. 育児休業取得と児童手当の関係説明: 育休中も受給資格が継続するため、申請忘れが生じないよう案内

4. 高校生年代加算の新規認定申請支援: 2024年10月改正で新たに対象となった高校生の子を持つ従業員への周知・申請サポート

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 児童手当法(令和6年法律第47号による改正・2024年10月施行)第4条(支給要件)・第5条(手当の月額)・第7条(認定・支払)・第13条(費用) 出典: こども家庭庁「児童手当について(令和6年10月改正後)」https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/ 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

関連論点

児童手当(2024年10月拡充・所得制限撤廃・高校生まで延長頻出度A

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