問題
児童手当に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度(2024年10月施行の改正後制度)を前提とすること。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はオ(誤っている記述)です。
2024年10月施行の改正前は「4か月分×年3回払い(2月・6月・10月)」でしたが、改正後は年6回払い(偶数月:2月・4月・6月・8月・10月・12月)に変更されました。「年3回払い」という記述が誤りです。改正後は受給者への支給頻度が上がり、家計への影響タイミングが改善されています。
ア(所得制限撤廃)・イ(高校生年代まで延長)・ウ(月額・第3子カウントの大学生年代まで)・エ(市町村長等の認定・子ども・子育て拠出金)はいずれも正しい記述です。2024年10月改正は「所得制限撤廃・高校生まで延長・第3子加算の拡充・年3回→年6回払い」の4点が核となります。
2024年10月施行の児童手当改正 4つの核心(必須暗記):
| 改正点 | 改正前(〜2024年9月) | 改正後(2024年10月〜) |
|---|---|---|
| 所得制限 | 所得制限限度額(特例給付5千円)・所得上限限度額(支給なし)の2段階制限あり | 完全撤廃(所得にかかわらず全員支給) |
| 支給対象年齢 | 中学校修了まで(15歳到達後最初の3月31日) | 高校生年代まで(18歳到達後最初の3月31日) |
| 第3子加算カウント | 18歳到達後最初の3月31日まで(高校生年代以下)で計算 | 22歳到達後最初の3月31日まで(大学生年代)も人数にカウント可 |
| 支払頻度 | 年3回払い(2月・6月・10月・各4か月分) | 年6回払い(偶数月:2・4・6・8・10・12月・各2か月分) |
改正後の月額支給額(現行・児童手当法第6条):
| 区分 | 月額 |
|---|---|
| 3歳未満 | 15,000円(第3子以降: 30,000円) |
| 3歳以上小学校修了前 | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |
| 中学生 | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |
| 高校生年代(新設) | 10,000円(第3子以降: 30,000円) |
第3子カウントの仕組み(ウの根拠・重要):
- 「第3子以降」のカウントは、改正前は「18歳到達後最初の3月31日まで」の子に限定だったが、改正後は22歳到達後最初の3月31日まで(大学生年代)の子も人数に算入可能
- ただし22歳年度末までの算入は、受給者が「監護に相当する日常生活上の世話及び必要な保護並びにその生計費の相当部分の負担」をしている者に限られる(児童手当法第6条第2項第2号。こども家庭庁の案内では進学の有無・同別居を問わない)
- 例: 大学生(20歳)・高校生(17歳)・中学生(14歳)の3人兄弟で、大学生の生計費の相当部分を親が負担している場合、中学生は「第3子」として月30,000円の対象になる
認定と費用負担の仕組み(エの根拠):
- 認定: 受給資格者が住所地の市町村長の認定を受ける(第7条)。公務員は所属庁の長が認定・支給(第17条)。勤務先(事業主)を通じて申請する仕組みではない
- 費用: 国・都道府県・市町村の負担のほか、事業主が拠出する子ども・子育て拠出金(子ども・子育て支援法第69条)なども原資となる。たとえば被用者に対する3歳未満児童手当の費用は、その全額を国からの交付金で賄う(児童手当法第18条第1項・第19条)
選択肢オの誤りの核心:
- 「4か月分をまとめて年3回払い」は改正前の制度(〜2024年9月)の記述
- 改正後は年6回払い(偶数月・各2か月分)が正しい
【2024年10月改正の背景:異次元の少子化対策と「こども未来戦略」】
2024年(令和6年)10月の児童手当大幅拡充は、「こども未来戦略(2023年12月閣議決定)」の「加速化プラン」の中核施策として、令和6年法律第47号(子ども・子育て支援法等の一部を改正する法律)により実施されました。背景には、出生数・合計特殊出生率の低下が続く少子化の急速な進行への危機感があります(最新の値は厚生労働省の人口動態統計で確認)。
加速化プランの財源の一部は「子ども・子育て支援金」として2026年度から医療保険料とあわせて徴収されます(協会けんぽ加入者の場合、労使合計0.23%)。これは「現役世代・事業主が少子化対策費用を支える」という新たな財政スキームであり、社労士試験では「給与計算に与える影響(子育て支援金率の徴収)」として重要な実務論点となっています。
【第3子加算の「大学生年代まで」カウントの実務的意味】
従来は「18歳到達後最初の3月31日(高校生年代)まで」の子しか人数にカウントできなかったため、大学生の上の子がいても実質的に無視されていました。改正後は「22歳到達後最初の3月31日(大学生年代)まで」が計算対象に拡大されたため、子供が大学生・高校生・中学生の家庭では、最年少の子に第3子加算(月30,000円)が適用されます。
この「22歳到達後最初の3月31日」という期限設定は、日本の「標準的な大学在学期間(4年制大学の場合、18歳入学→22歳卒業)」に対応しています。留年・浪人をした場合、22歳の誕生日が属する年度末を超えると算入不可となります。
【年6回払いへの変更と「ベネフィットの可視化」戦略】
年3回払い(各4か月分)から年6回払い(偶数月・各2か月分)への変更は、条文上は「毎年二月、四月、六月、八月、十月及び十二月の六期に、それぞれの前月までの分を支払う」(第8条第4項)と定められています。支払期月以外でも、前支払期月に支払うべきであった分や、支給事由が消滅した場合の分は支払うことができる(同項ただし書)点も押さえておきます。
実務上の注意点(社労士実務):
- 支給は認定請求をした日の属する月の翌月から始まる(第8条第2項)。住所を変更した場合や災害その他やむを得ない理由で請求できなかった場合は、住所変更後またはその理由がやんだ後15日以内に請求すれば、住所変更日等の属する月の翌月から支給される(同条第3項)。請求が遅れると遡って受けられない月が生じる
- 転居・転職(公務員になる・公務員でなくなる)等のライフイベントがある場合、認定を行う者(市町村長か所属庁の長か)が変わるため、認定請求の切替えが必要
- 改正で新たに支給対象となった高校生年代の子のみを養育する者など、改正前に受給していなかった者は、新たに認定請求を行う必要があった
【所得制限撤廃と「普遍主義 vs 選別主義」論争】
児童手当の所得制限撤廃は、社会保障政策の「普遍主義(全員に給付)」vs「選別主義(困窮者に集中)」という根本的な政策対立に関わります。批判論として「高所得者にも税金で手当を配るのは非効率」という意見があります。一方、推進論としては「所得確認コスト(申請・審査・特例給付計算)の削減」「支給漏れ・制度からの脱落者ゼロ」「連帯感・制度への信頼感の醸成」が挙げられます。所得制限の撤廃により、日本の児童手当は所得にかかわらず支給する普遍主義的な設計に転換しました。
社労士試験では「所得制限の有無・支給金額・対象年齢・支払月」という条文値を正確に押さえることが優先ですが、advanced の学習ではこの政策的背景を理解することで、改正の「なぜ」が腹落ちし、類似問題への応用力が高まります。
【児童手当と社労士の実務接続(給与計算・育休手続き)】
社労士が実務で児童手当に関わる場面:
1. 子ども・子育て拠出金率の確認: 事業主が全額負担する拠出金(厚生年金保険料と合わせて徴収)の率を確認
2. 従業員への案内: 認定請求は住所地の市町村(公務員は所属庁)に行うため、出生・転居時に手続を案内する
3. 育児休業取得と児童手当の関係説明: 育休中も受給資格が継続するため、申請忘れが生じないよう案内
4. 高校生年代への支給拡大の周知: 2024年10月改正で新たに支給対象となった高校生年代の子を持つ従業員への周知・申請サポート
- 児童手当法第6条・第18条e-Govで原文を読む
- 子ども・子育て支援法第69条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 児童手当法(令和6年法律第47号による改正・2024年10月施行)第4条(支給要件)・第6条(児童手当の額)・第7条(認定=市町村長)・第8条第4項(支払期月=2・4・6・8・10・12月)・第17条(公務員の特例=所属庁の長)・第18条(費用の負担。子ども・子育て支援法第69条の拠出金等を原資) 出典: こども家庭庁「児童手当について(令和6年10月改正後)」https://www.cfa.go.jp/policies/kokoseido/jidouteate/ 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和9年度(2027年度)試験に向けて2026年10月1日時点の現行法令の数値を反映(令和9年4月の法改正で変わる箇所は試験前に更新・数値確認日 2026-10-01)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

