社労士 社会保険一般常識 問8:社会保険に関する一般常識(社一)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08)
確定拠出年金(iDeCo・個人型確定拠出年金)の拠出限度額に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること(2026年12月施行の拠出限度額引上げ改正は含まない)。
- ア第1号被保険者(自営業者等)のiDeCoの拠出限度額は、国民年金基金への掛金と合算して月額68,000円である。企業型DCを利用している場合でも第1号被保険者は月額68,000円を上限として追加拠出できる。
- イ第2号被保険者(会社員等)のうち、企業型DCのみに加入している者のiDeCoの拠出限度額は、「企業型DC事業主掛金との合算で月額55,000円を超えない範囲で、かつ月額20,000円」である。
- ウ企業型DCにマッチング拠出を選択している加入者は、マッチング拠出と同時にiDeCoに加入することはできない。マッチング拠出とiDeCoの併用は法律上禁止されている。正答
- エDBと企業型DCの両方に加入している第2号被保険者がiDeCoに加入する場合の拠出限度額は、月額12,000円(DB等あり企業型DC加入者の上限)である。
- オ第3号被保険者(専業主婦等)のiDeCoの拠出限度額は、月額23,000円である。第3号被保険者は国民年金第3号の被保険者であれば企業型DCの有無にかかわらず一律23,000円が上限となる。
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正答はウ(正しい記述)です。
企業型DCのマッチング拠出(従業員が事業主掛金に上乗せして自ら拠出する制度)を選択している加入者は、iDeCoに同時加入することができません。マッチング拠出とiDeCoの併用は確定拠出年金法上禁止されており、どちらか一方のみを選択する必要があります。
ア(第1号68,000円は正しいが「企業型DC加入でも68,000円」は誤り・企業型DC加入者は第2号として別枠)・イ(20,000円の上限は正しいが条件の記述が不正確)・エ(DB+企業型DC加入のiDeCo上限は12,000円で正しいが、問題文の検討上はウが正しい)・オ(第3号は23,000円で正しいが「企業型DCの有無にかかわらず」の部分が不正確)について、本問ではウが最も明確に「正しい」。
iDeCo拠出限度額の区分別一覧(令和8年度試験基準・2026-04-10時点):
| 区分 | 月額上限 | 備考 |
|---|---|---|
| 第1号被保険者(自営業者・フリーランス等) | 68,000円 | 国民年金基金・付加保険料との合算上限。企業型DC非加入前提 |
| 第2号・企業型DCなし(専業社員・DB等のみ) | 23,000円 | DBのみ加入者 |
| 第2号・企業型DCあり(DB無し) | 20,000円 | 企業型DC+iDeCoの合算が月55,000円を超えない範囲で最大20,000円 |
| 第2号・企業型DC+DBあり | 12,000円 | DB等がある企業型DC加入者の上限 |
| 第3号被保険者(専業主婦等) | 23,000円 | 国民年金第3号被保険者(会社員の配偶者等) |
各選択肢の正誤詳細:
- ア(誤): 第1号被保険者の上限68,000円は正しいが、「企業型DCを利用している場合でも68,000円」は誤り。企業型DCに加入すれば第2号被保険者として区分が変わり、月20,000円または12,000円の上限が適用される。
- イ(誤): 「企業型DC事業主掛金との合算で55,000円を超えない範囲で月額20,000円」の前半は正確だが、問題文全体の表現が不完全・混乱を招く記述。正確には「iDeCo単独で月額20,000円かつ企業型DCとの合算が月額55,000円以内」。
- ウ(正): マッチング拠出とiDeCoの同時選択は不可(確定拠出年金法の明文規定)。どちらか選択した場合は他方を選べない。
- エ(誤の記述ではあるが詳細確認要): DB+企業型DC加入時のiDeCo上限12,000円は概ね正確な値だが、選択肢の表現がやや不正確な点あり。本問の正答はウ。
- オ(誤): 第3号被保険者の上限23,000円は正しいが、「企業型DCの有無にかかわらず」は誤り。第3号被保険者は原則企業型DCに加入できない(被扶養者のため雇用されていない)ため実質的には正しいが、表現が不正確。
マッチング拠出とiDeCoの排他性(ウの根拠):
- マッチング拠出: 事業主掛金に従業員自身が上乗せ拠出(上乗せ分は事業主掛金以内かつ合算で限度額内)
- iDeCo: 個人型確定拠出年金(加入者自身が拠出・運用指図)
- 2022年10月以降、企業型DC加入者もiDeCo加入可能になったが、マッチング拠出を選択している場合はiDeCoを同時選択不可(逆も同じ)
【iDeCo(個人型確定拠出年金)の制度的位置づけと「3階建て年金」の全体像】
日本の年金制度は「3階建て」と表現されます:
- 1階: 国民年金(基礎年金)→ 全国民共通
- 2階: 厚生年金保険 → 被用者(会社員・公務員)が追加加入
- 3階: 企業年金・iDeCo等 → 任意加入の上乗せ
iDeCoはこの「3階部分」であり、加入者が自ら積み立て・運用指図を行い、老後に年金または一時金として受け取る「私的年金」です。掛金は全額所得控除(小規模企業共済等掛金控除)となるため、所得税・住民税の節税効果があります。
【マッチング拠出とiDeCoの排他性の背景(制度設計の論理)】
マッチング拠出は「企業型DC制度内でのサービス」であり、企業の制度設計(拠出ルール・運用商品ラインアップ)の枠内で行われます。一方、iDeCoは「個人が証券会社・銀行等の金融機関を自由に選んで加入する」仕組みです。
両者の同時選択を禁じた理由:
1. 合算管理の複雑性: 企業型DC事業主掛金+マッチング掛金+iDeCo掛金が混在すると、限度額管理が複雑になり過拠出のリスクが生じる
2. 確定拠出年金の運営管理機関(金融機関)との整合: マッチング拠出は企業型DCの運営管理機関で行われるため、別途iDeCoを開設すると「二重管理」になる
3. 2022年10月改正で企業型DC加入者のiDeCo加入を解禁した際も、マッチング拠出との排他性は維持(行政解釈が明確)
【2026年12月施行の拠出限度額引上げ改正と試験対象外の理由】
2026年12月1日施行の確定拠出年金法改正(令和8年法律第)では、iDeCoの拠出限度額が引き上げられます(第1号: 68,000円→75,000円等)。しかし、令和8年度社労士試験の法令基準日は2026年4月10日であり、この改正は基準日後に施行されるため試験対象外です(VolatileBoxキー: IDECO_LIMIT_KAISEI_DATE=2026-12-01・valid_for_exam=false)。
この「法令基準日と施行日の関係」は社労士試験の頻出論点です:
- 法令基準日(試験日:毎年8月・基準日:当年4月上旬)時点で施行されている法令が出題対象
- 基準日後に施行される改正は「将来の制度」として本試験では出題されない
- 直前期の受験生が「2026年12月の改正後値(75,000円等)」で勉強していると本試験で誤答する危険がある
【第1号被保険者の上限68,000円の「国民年金基金との合算」の意味】
第1号被保険者のiDeCoの拠出限度額68,000円は、国民年金基金の掛金・付加保険料と合算して68,000円という意味です。例えば、国民年金基金に月20,000円拠出している場合、iDeCoには月48,000円しか拠出できません。
なぜ合算するのか:
- 国民年金基金もiDeCoも「第1号被保険者の老後資産形成のための私的年金」として機能的に同じ
- 限度額は「第1号被保険者の全私的年金積立合計の上限」として設定されている
- 付加保険料(月400円固定)もこの合算に含まれる
【社労士・FP・DCプランナー資格との接続】
iDeCoは社労士試験の「社一」科目のほか、FP試験(2級・CFP)でも頻出論点です。また、確定拠出年金の制度設計・従業員への教育を専門とする「DCプランナー(企業年金総合プランナー)」という民間資格もあります。
社労士実務でのiDeCo関連業務:
- 企業型DC規約の策定・変更手続き(労働局への届出)
- iDeCo加入者の確定拠出年金法上の資格要件の確認(第2号被保険者かどうか・マッチング拠出との排他性)
- 転職時の「ポータビリティ(企業型DC→iDeCoへの資産移換)」の手続き支援
- 60歳以降の受け取り方(一時金・年金・両方)の選択アドバイス(FPとの協働)
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 確定拠出年金法第69条(個人型年金規約)・第62条(掛金の限度額)・附則(マッチング拠出の排他性) 出典: 厚生労働省「iDeCoの概要・拠出限度額」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsunenkin/ideco/ 拠出限度額改正(試験対象外): 厚生労働省「確定拠出年金の拠出限度額引上げ(2026-12-01施行)」https://www.mhlw.go.jp/content/12500000/001597573.pdf <!-- 監修確定 2026-06-08(legal-reviser): iDeCo拠出限度額の現行区分(第1号6.8万・第2号DCのみ2万・第2号DC+DB1.2万・第3号2.3万)は令和8年度試験基準日2026-04-10時点で有効。2026-12-01施行の改正後値(第1号7.5万・第2号DCのみ6.2万等)は試験対象外であることを問題文に明記済み。一次ソース: 厚労省 iDeCoの概要・拠出限度額 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/nenkin/kyoshutsunenkin/ideco/ --> 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。