社会保険一般常識9社会保険に関する一般常識(社一)

社労士 社会保険一般常識 問9:社会保険に関する一般常識(社一)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-08

介護保険の保険料に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。なお、令和8年度試験の法令基準日(2026年4月10日)時点の制度を前提とすること。

  • 第1号被保険者(65歳以上)の介護保険料は、市町村が条例で定める額(所得段階別の定額保険料)を直接徴収する。老齢・退職・障害年金が年額18万円以上の者からは年金からの特別徴収が行われ、18万円未満の者は普通徴収(納付書・口座振替)となる。
  • 第2号被保険者(40歳以上65歳未満の医療保険加入者)の介護保険料は、加入する医療保険(健康保険・国民健康保険等)の保険者が徴収する。協会けんぽ加入の第2号被保険者の介護保険料率は令和8年度1.62%であり、健康保険料と同様に労使折半で負担する。
  • 生活保護受給者は介護保険の被保険者とはなれないため、介護サービスが必要な場合は生活保護の「介護扶助」として費用が給付される。ただし、生活保護受給者であっても40歳以上65歳未満であれば、医療保険に加入している限り第2号被保険者となる。正答
  • 第1号被保険者の保険料は、市町村の介護保険財政を賄うための費用のうち、原則として負担割合23%(概数)を担う。このほか、第2号保険料が約27%、公費(国・都道府県・市町村)が約50%の構成となる。
  • 第1号被保険者が属する世帯全員が市町村民税非課税である場合、保険料が軽減される「低所得者保険料軽減措置」の対象となる場合がある。この軽減措置の財源は公費(国・都道府県・市町村)が負担する。
正答:生活保護受給者は介護保険の被保険者とはなれないため、介護サービスが必要な場合は生活保護の「介護扶助」として費用が給付される。ただし、生活保護受給者であっても40歳以上65歳未満であれば、医療保険に加入している限り第2号被保険者となる。

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正答はウ(誤っている記述)です。

ウの前半「生活保護受給者は介護保険の被保険者とはなれない」は第1号被保険者については正しいです。しかし「40歳以上65歳未満であれば医療保険に加入している限り第2号被保険者となる」という後半の記述が誤りです。

正確には、生活保護受給者は医療保険の加入が免除される(医療扶助で医療費が給付されるため)ため、40歳以上65歳未満であっても医療保険に加入していないケースが大半です。医療保険の加入が前提である第2号被保険者にも該当しません。例外として、生活保護受給者が何らかの医療保険(健康保険等)に加入している場合(就労して健保に加入したが保護を受けているケース等)は第2号被保険者となりますが、原則として生活保護受給者は介護保険の被保険者とはなりません。

標準試験対策の基準レベル

生活保護受給者と介護保険の関係(最重要の整理):

| 年齢区分 | 被保険者資格 | 介護サービスの財源 |

|---|---|---|

| 65歳以上の生活保護受給者 | 第1号被保険者とならない(適用除外) | 介護扶助(生活保護法)※ただし65歳以降は介護保険から優先給付(後述) |

| 40〜64歳の生活保護受給者(医療保険なし) | 第2号被保険者とならない(医療保険加入が要件) | 介護扶助(生活保護法) |

| 40〜64歳の生活保護受給者(医療保険あり) | 例外的に第2号被保険者となる場合あり | 介護保険から給付(保険料は介護扶助として支援) |

重要な例外(2000年改正以降の実務):

実際には、生活保護受給者であっても65歳以上は特例として介護保険制度に組み込まれています。具体的には:

  • 介護保険から優先給付(介護サービス利用料の9割・利用者負担1割)
  • 利用者負担の1割分は「介護扶助」として保護費から支給
  • 65歳以上の生活保護受給者の介護保険料は「介護保険料加算」として保護費から支給

この実務的な扱いは条文上の「適用除外」と整合しているように見えないため、試験問題では「被保険者とならない」vs「実質的に介護保険から給付される」という論点の整理が重要です。

第1号被保険者の保険料の仕組み(アの根拠):

  • 65歳以上の第1号被保険者の保険料は市町村が条例で定める(全国一律でない)
  • 所得段階別の保険料額(最低段階〜最高段階に区分)
  • 年金年額18万円以上 → 特別徴収(年金からの天引き)
  • 年金年額18万円未満 → 普通徴収(自ら納付書・口座振替等で納付)

費用負担の構成(エの根拠・概数):

  • 第1号被保険者の保険料: 約23%
  • 第2号被保険者の保険料(介護納付金): 約27%
  • 公費(国25%・都道府県12.5%・市町村12.5%): 約50%

令和8年度の第2号介護保険料率(イの根拠):

  • 協会けんぽ: 1.62%(1.62%・前年1.59%から引上げ・労使折半で各0.81%)
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【介護保険の「保険」としての設計と生活保護受給者の制度的位置づけ】

介護保険は「社会保険」として設計されているため、保険料を支払う能力・意思のある者が被保険者となるのが前提です。生活保護受給者は保険料負担能力がないため、被保険者から原則除外するというのが制度設計の論理です。

ただし、日本の実務では2000年の介護保険制度施行当初から「65歳以上の生活保護受給者の処遇」が問題となりました。解決策として「介護保険優先の原則(生活保護法第4条第2項)」が採用されました: 65歳以上の生活保護受給者は介護保険の適用が優先され、介護保険から9割、残りの1割は介護扶助として保護費から充当されます。保険料については、65歳以上の保護受給者には「介護保険料加算」として保護費に上乗せして支給され、この保険料で第1号被保険者として制度的に組み込まれています。

【第1号被保険者の「所得段階別保険料」制度の深層】

第1号被保険者(65歳以上)の保険料は「所得段階別の定額保険料」ですが、これは「応能負担の変形型」です。通常の社会保険(健保・年金等)は「保険料=標準報酬×保険料率」という「応能負担(収入に比例)」ですが、介護保険の第1号保険料は「基準額(市町村ごとに設定)×所得段階ごとの乗率(0.3〜2.4等)」という仕組みです。

所得段階の設定(厚生労働省の基準段階は9段階・市町村の独自判断で細分化可):

  • 第1段階(最低): 生活保護受給者・世帯全員が市町村民税非課税で老齢福祉年金受給者等 → 基準額×0.3〜0.5
  • 第4・5段階(中位): 世帯の誰かが市町村民税課税 → 基準額×1.0(基準額)
  • 第9段階(最高): 本人の合計所得金額が高額 → 基準額×1.7〜2.4

この所得段階別保険料の「基準額」は市町村ごとに異なり(全国一律ではない)、介護給付費の見込み・地域の財政状況に応じて3年ごとの介護保険事業計画で設定されます。

【低所得者保険料軽減措置(オの根拠)の財源と設計】

2019年10月(消費税10%増税時)に消費税財源を使った「介護保険料の低所得者軽減措置」が強化されました。第1段階の軽減幅が拡大され(基準額×0.5→0.3)、財源は国(1/2)・都道府県(1/4)・市町村(1/4)の公費が充当されます。

この軽減措置は「保険料による賄い分を公費で補完する」という仕組みであり、低所得高齢者の介護保険料負担を軽減しつつ、保険財政の安定を保つ設計です。社労士試験では「軽減措置の財源は保険料ではなく公費」という点が確認事項です。

【第2号被保険者の介護納付金(「加入者割」から「総報酬割」への移行)】

第2号被保険者(40〜64歳)分の介護保険費用は、各医療保険者が「介護納付金」として社会保険診療報酬支払基金に拠出し、市町村に交付金として配分されます。

この介護納付金の算定方式は:

  • 2017年以前: 「加入者割」(保険者の加入者数×一人当たり単価)
  • 2017年度〜2020年度: 段階的に「総報酬割(加入者の報酬総額に比例)」に移行
  • 2020年度以降: 「全面総報酬割」(加入者数ではなく総報酬額に比例して各保険者が拠出)

全面総報酬割への移行により:

  • 大企業健保組合(高報酬加入者が多い)→ 介護納付金の負担増
  • 協会けんぽ(中小企業・低報酬加入者が多い)→ 負担減
  • 国保(自営業者・高齢者が多い)→ 大きな影響なし

【2024年改正と「介護保険の持続可能性問題」との接続】

2024年(令和6年)改正では、介護保険の財政的持続可能性を高めるために「2割負担の対象拡大」が検討されましたが、最終的には先送りとなりました(次期改定・令和9年度以降)。令和8年度試験基準日時点では「現役並み所得者3割・一定以上所得者2割・その他1割」が現行制度です。

第2号介護保険料率(協会けんぽ)は令和8年度1.62%(1.62%・前年比+0.03%)と小幅引上げが続いており、今後の高齢化進行に伴う料率上昇は社労士実務で常に注目すべき論点です。

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 介護保険法第9条(被保険者)・第10条(資格取得)・第11条(資格喪失)・第27条・第129条(保険料)・第135条(特別徴収・普通徴収) 介護保険料率(第2号): KAIGO_RATE={{KAIGO_RATE}}(1.62%・令和8年度・協会けんぽ) 出典: 厚生労働省「介護保険制度の概要」https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/hukushi_kaigo/kaigo_koureisha/gaiyo/index.html 各根拠条文は厚生労働省「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-08)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達は改正されることがあるため、最新の内容は厚生労働省・全国社会保険労務士会連合会の公式情報をご確認ください。

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