賃管士 賃貸住宅管理業法 問101:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
サブリース(マスターリース)契約における賃貸住宅の維持保全義務に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア特定転貸事業者(サブリース業者)がオーナーから賃貸住宅を借り上げた場合、転借人(入居者)に対する賃貸人としての維持保全義務(民法第606条)は、原則として特定転貸事業者が負う。
- イマスターリース契約において、特定転貸事業者が維持保全を行い、その費用をオーナーが負担する旨を定めることは、特定賃貸借契約の成立時書面(業法第31条)への記載が必要な事項の一つである。
- ウ特定転貸事業者が賃貸住宅の維持保全を行う義務を業法上有しているため、オーナー(賃貸人)は賃貸住宅の修繕に関して一切の義務を負わない。正答
- エ入居者が善管注意義務に違反して建物を損傷させた場合、特定転貸事業者(転貸人)は入居者に対して損害賠償請求をすることができる。
- オオーナーとサブリース業者との間のマスターリース契約で「維持保全費用はサブリース業者が負担する」と定めた場合でも、修繕に関するオーナー・業者間の費用分担は当事者間での問題であり、転借人(入居者)は直接的にはこの取決めの当事者ではない。
AI解説(初心者・標準・上級)
理解度に合わせて3レベルの解説を無料で読めます。根拠条文・国土交通省ガイドラインも明記。
正答(誤っているもの)はウです。
維持保全の義務は民法第606条の賃貸人の義務であり、入居者との直接の賃貸借関係(転貸借)ではサブリース業者が民法第606条に基づく修繕義務を負います。しかしオーナー(賃貸人)も建物所有者として維持保全に完全に無関係ではありません。マスターリース契約の費用負担の取決め(誰が修繕費を負担するか)は当事者間の問題ですが、大規模修繕・建物の基本的な保全については最終的にオーナーの責任が残ります。「一切の義務を負わない」という記述が誤りです。
ア・イ・エ・オは正しい記述です。
サブリース契約における維持保全義務の帰属:
| 当事者 | 対入居者 | 費用負担 |
|---|---|---|
| サブリース業者(転貸人) | 入居者への修繕義務(民法第606条)を直接負う | マスターリース契約の定めによる |
| オーナー(賃貸人) | マスターリース業者(賃借人)への修繕義務(民法第606条) | マスターリース契約の定めによる |
| 費用の最終負担 | 契約書の費用分担規定次第 | 成立時書面(業法第31条)への記載必須 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 転借人との関係では特定転貸事業者(転貸人)が直接の賃貸人として民法第606条の修繕義務を負います。正しい記述です。
- イ(正): 業法第31条・施行規則第47条第8号(維持保全費用の分担)が成立時書面の必須記載事項です。正しい記述です。
- ウ(誤・正答): オーナーも建物所有者・賃貸人として維持保全に対する義務が完全になくなるわけではありません。大規模修繕・法令上の維持義務(建築基準法等)はオーナーが負います。「一切の義務を負わない」は誤りです。
- エ(正): 転貸借契約において転借人が善管注意義務に違反した場合(例:ペット禁止違反・過失による損傷)、転貸人(サブリース業者)は損害賠償を請求できます(民法第415条)。正しい記述です。
- オ(正): マスターリース契約上の費用分担(オーナーとサブリース業者の内部関係)は、入居者(転借人)が直接当事者となる取決めではありません。入居者は転貸借契約の範囲でサブリース業者に対して権利義務を持ちます。正しい記述です。
【維持保全義務の法的構造・民法第606条の修繕義務・サブリース三者関係での帰属・費用分担の設計・大規模修繕の責任・実務での注意点】
民法第606条(修繕義務)の構造(令和2年改正後):
民法第606条(令和2年改正で現行化):
- 第1項: 賃貸人は賃貸物の使用・収益に必要な修繕をする義務を負う(ただし賃借人の責に帰すべき事由がある場合は除く)
- 第2項: 賃貸人が修繕のために必要な行為をしようとする場合、賃借人は拒否できない
この修繕義務は賃貸借契約の本質的な要素であり、特約によって完全に免除することはできません(強行規定的に解釈される部分がある)。
三者関係(オーナー・サブリース業者・入居者)での修繕義務の帰属:
```
オーナー(賃貸人)
↓ マスターリース契約(民法第606条の修繕義務)
サブリース業者(賃借人かつ転貸人)
↓ 転貸借契約(民法第606条の修繕義務)
入居者(転借人)
```
各関係での修繕義務:
1. オーナー → サブリース業者への修繕義務: マスターリース契約上の義務。費用分担の取決めで変更可(ただし無条件免除は不可)。
2. サブリース業者 → 入居者への修繕義務: 転貸借契約上の義務。入居者が請求できる相手はサブリース業者。
費用負担の問題:
実務では「維持保全費用はサブリース業者が全額負担」というマスターリース契約が多いですが、この取決めは「オーナーとサブリース業者の内部費用分担」であり、入居者への関係では常にサブリース業者が修繕義務を負います。
大規模修繕(外壁・屋根・設備更新等)については、建物所有者(オーナー)の責任として費用の最終負担者はオーナーとなる場合が多く、サブリース業者が全額負担するという合意には限界があります。業法第31条(成立時書面)の「維持保全費用の分担」の記載義務は、この不明確な部分を事前に明示させる目的があります。
大規模修繕の責任帰属(実務上の重要論点):
| 修繕の種類 | 負担者(慣行) | 業法上の要求 |
|---|---|---|
| 日常修繕(水漏れ・設備不具合等) | サブリース業者(契約で定める) | 成立時書面に記載必須 |
| 大規模修繕(外壁・屋根・給排水管等) | 原則オーナー | 成立時書面に記載必須 |
| 入居者の善管注意義務違反による損傷 | 入居者(損害賠償)| 転貸借契約で定める |
| 経年劣化(通常損耗) | オーナー(賃貸人負担が原則) | ガイドライン準拠 |
賃管士試験での「維持保全」論点との接続:
賃管士試験では建築・設備科目(給排水・電気・消防等)と管理実務科目(修繕計画・原状回復)の知識がこの維持保全義務と結びつきます。
例えば「共用部の給水管が老朽化して漏水が発生した場合、誰が修繕費用を負担するか?」という問いに対しては:
1. 転借人(入居者)への責任→サブリース業者(転貸人)が修繕義務(民法第606条)
2. サブリース業者とオーナーの費用分担→マスターリース契約の定め(業法第31条記載事項)
3. 建築基準法上の維持管理義務→建物所有者(オーナー)が最終責任者
この三段構造を理解することが賃管士実務の核心です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 民法第606条(令和2年改正後・第1項・第2項)・業法第31条・施行規則第47条第8号 e-Gov突合済。三者関係での修繕義務帰属・費用分担・オーナーの義務が一切なくなる訳ではない点確認。基準日2026-04-01以内。正答ウ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第606条・賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第31条・施行規則第47条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。