問題
管理受託契約の法的性質と管理業者の注意義務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
えらぶと、この端末に記録します(登録はいりません)
解説
正答はエです。
民法第644条は「受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う。」と定めています。管理受託契約は、委託を受けて管理業務を行うという構造を持ち(委任・準委任〈第656条〉)、受任者にあたる管理業者にはこの善管注意義務が及びます。
アは誤りです。民法第643条は「相手方がこれを承諾することによって」効力を生ずると定めており、承諾が要件です。イは誤りです(業務管理者の選任義務と善管注意義務は別個の義務で、選任していれば足りるという規定はありません)。ウ・オは誤りです(644条に報酬の有無・登録の有無による適用除外の定めはありません)。
民法第643条・第644条の条文構造:
| 条 | 内容 |
|---|---|
| 第643条 | 委任は、当事者の一方が法律行為をすることを相手方に委託し、相手方がこれを承諾することによって、その効力を生ずる |
| 第644条 | 受任者は、委任の本旨に従い、善良な管理者の注意をもって、委任事務を処理する義務を負う |
各選択肢の整理:
- ア(誤): 第643条は「相手方がこれを承諾することによって」効力を生ずるとし、承諾は不可欠の要件。
- イ(誤): 業法第12条の業務管理者選任義務は組織体制上の義務、善管注意義務は個々の事務処理における注意の程度に関する義務で、両者を同一視する規定はない。
- ウ(誤): 第644条の文言に報酬の有無による区別はない(報酬は特約がなければ請求できない〈第648条第1項〉が、注意義務の程度は変わらない)。
- エ(正): 第644条のとおり。
- オ(誤): 第644条は民法上の一般規定であり、業法上の登録の有無を要件としない。
【管理受託契約と民法の委任規定との関係】
業法第12条第1項は、管理受託契約を「管理業務の委託を受けることを内容とする契約」と定義しています。管理業務には維持保全(点検・清掃・修繕)や金銭の管理という事実行為が含まれるため、法律行為の委託を内容とする民法上の「委任」(第643条)そのものではなく、事実行為の委託を含む「準委任」としての性質を併せ持ちますが、民法第656条は「この節の規定は、法律行為でない事務の委託について準用する。」と定めているため、いずれにせよ委任の節の規定(第644条の善管注意義務を含む)が適用ないし準用される関係にあります。
善管注意義務(第644条)の内容:
「善良な管理者の注意」とは、委任事務を処理する者の職業・専門性・社会的地位等に応じて通常期待される注意の程度をいい、自己の財産に対する注意(自己のためにする注意)よりも高い水準が求められます。管理業者は、委託を受けた賃貸住宅の維持保全や金銭管理を行うにあたり、専門の管理事業者として通常期待される注意をもって業務を処理する義務を負います。
業法上の義務との関係:
業法第12条の業務管理者選任義務は、管理業者内部の組織体制(誰が監督するか)を規律する制度上の義務であり、民法第644条の善管注意義務は、個々の委任事務の処理における注意の程度を定める一般的な義務です。両者は目的・性質が異なり、業務管理者を選任したことをもって当然に善管注意義務を尽くしたことにはなりません。実際の業務処理(維持保全の実施方法の妥当性等)において注意を怠れば、業務管理者の選任の有無にかかわらず、善管注意義務違反として債務不履行責任(民法第415条)の問題が生じ得ます。
確認日: 2026-09-30。出典: 民法第643条・第644条、賃貸住宅管理業法第12条(e-Gov 法令API v2)。
- 民法第643条・第644条・第656条・第415条e-Govで原文を読む
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第12条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第643条・第644条・第656条、賃貸住宅管理業法第12条第1項(e-Gov 現行) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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