賃管士 賃貸住宅管理業法 問59:賃貸住宅管理業法(管理受託契約)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
管理受託契約に基づく管理業者の権限と入居者(賃借人)との関係に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。
- ア管理業者は管理受託契約に基づいてオーナーの代理として管理業務を行うが、賃貸借契約を入居者と締結する(代理として新規契約を締結する)権限を有するかどうかは、個別の管理受託契約の内容(代理権授与の有無)による。
- イ管理業者は管理受託契約に基づく管理業務の一環として、入居者からの修繕要求・クレームに対応する権限を有する場合が多いが、賃貸借契約上の権利義務の変更(家賃の減額合意等)は原則として管理業者単独では行えない。
- ウ管理業者が管理受託契約に反して入居者に対して違法な督促行為(自力救済・プライバシー侵害等)を行った場合、当該管理業者はオーナーの使用者責任(民法第715条)により損害賠償責任を問われ、管理業者自身は責任を免れる。正答
- エ管理業者は、入居者と直接の契約関係にはない(管理受託契約はオーナー・管理業者間の契約)が、管理業務上入居者の個人情報を取り扱うため、個人情報保護法上の義務を負う。
- オ管理業者が入居者の家賃を受領した場合、これは管理受託契約に基づくオーナーへの代理受領であり、管理業者は受領した家賃をオーナーに送金する(精算する)義務を負う。
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正答はウ(誤っている記述)です。
管理業者の従業者が違法な督促行為を行った場合、管理業者自身が「使用者」として民法第715条(使用者責任)の責任を負います。管理業者が「オーナーの使用者責任により管理業者自身は免れる」という記述は誤りです。
管理業者とオーナーの関係では:
- オーナーが管理業者(法人)に管理業務を委託→管理業者が受任者
- 管理業者(法人)がその従業者を使って業務を行う→管理業者が従業者(被用者)に対する使用者
- 従業者の不法行為→管理業者(使用者)が使用者責任(民法第715条)を負う
管理業者の権限と責任の整理:
| 論点 | 内容 |
|---|---|
| 賃貸借契約の締結権限 | 管理受託契約に代理権授与の定めがある場合のみ(代理権は当然には生じない) |
| 修繕・クレーム対応 | 管理受託契約の業務範囲に含まれれば対応権限あり(日常的管理業務) |
| 賃貸借条件の変更 | 原則として管理業者単独では行えない(オーナーの同意・代理権が必要) |
| 使用者責任 | 管理業者の従業者の不法行為→管理業者が使用者として責任(民法第715条) |
| 個人情報の取扱い | 入居者の個人情報を取り扱う立場として個人情報保護法の義務を負う |
各選択肢の整理:
- ア(正): 賃貸借契約の締結代理権は管理受託契約で個別に授与される(当然には生じない)。
- イ(正): クレーム対応は業務範囲内で可能。家賃減額等の権利義務変更は原則として代理権授与が必要。
- ウ(誤): 管理業者自身が自社の従業者に対する使用者として責任を負う(民法第715条)。オーナーが使用者責任を負う場合(管理業者自体がオーナーの被用者的立場の場合)は別論だが、通常の独立した管理業者はこれに当たらない。
- エ(正): 管理業者は入居者の個人情報(氏名・住所・連絡先等)を取り扱うため、個人情報保護法の義務(安全管理措置・目的外利用禁止等)を負う。
- オ(正): 家賃の代理受領→オーナーへの送金精算義務(委任契約の受任者の義務・分別管理義務と連動)。
【管理業者の法的地位:「オーナーの代理人」vs「独立した事業者」の二面性】
管理業者は法的に二つの側面を持ちます:
オーナーの代理人・受任者としての側面:
管理受託契約に基づき、オーナーの名において(または代理人として)入居者への対応・施設管理を行います。家賃の代理受領・入居者へのクレーム対応・修繕の手配等がこれに当たります。この側面では「管理業者の行為がオーナーの行為として帰属する」という代理効果が生じます(授権の範囲内で)。
独立した事業主体としての側面:
管理業者は独立した法人・個人であり、自社の従業者を使って業務を行います。この側面では「管理業者自身が使用者であり、従業者の不法行為について使用者責任(民法第715条)を負う」という独立した責任主体としての面があります。
「オーナーが使用者責任を負うか」という問題:
オーナーが直接管理業者(個人・法人)に対して使用者責任を問われるかは、「管理業者がオーナーの『被用者(社員・労働者)』に当たるか」による問題です。独立した管理業者(業法上の登録事業者)は原則としてオーナーの「被用者」ではなく「請負人・委任者」であるため、管理業者の行為についてオーナーが使用者責任を負わないのが原則です(ただし実態として指揮命令関係がある場合は別)。
したがって、管理業者の従業者が違法行為を行った場合の責任関係:
1. 管理業者→従業者に対する使用者責任(民法第715条): 管理業者が一次的に責任を負う
2. オーナー→管理業者に対する債務不履行責任(民法第415条): 管理業者がオーナーとの管理受託契約に違反した(不適切な管理を行った)として、オーナーが損害を被った場合
3. 入居者→管理業者・オーナー双方への直接請求: 入居者が被害を受けた場合、管理業者(不法行為責任・使用者責任)とオーナー(管理受託契約に基づく管理義務の担保責任・または共同不法行為)の双方に請求可能な場合がある
「自力救済禁止」の観点(督促行為の違法性):
入居者への家賃督促において「部屋の鍵を無断で替える」「荷物を無断で撤去する」「深夜・早朝に繰り返し訪問する」等の行為は「自力救済(実力行使)」として民事・刑事上違法です。管理業者が違法な督促行為を従業者に行わせた場合、管理業者は使用者責任(民法第715条)を負い、個別の従業者も不法行為責任(民法第709条)を負います。管理業法上も業務改善命令・業務停止命令の対象となります。
家賃代理受領と分別管理の連動:
管理業者がオーナーを代理して入居者から家賃を受領する場合、受領した家賃は「オーナーの財産として管理業者が預かっている金銭」です。業法第16条の分別管理義務(自己財産との分別)はこの「預かり金」に適用されます。受領した家賃は速やかにオーナーに送金(精算)する義務があり、「管理業者が家賃を流用する」ことは横領罪(刑法第253条)に当たりえます。
確認日: 2026-06-10。出典: 賃貸住宅管理業法第16条(e-Gov)、民法第715条(e-Gov)、個人情報保護法(e-Gov)。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser・追加精読): 管理業者の権限・使用者責任(民法715条)・代理権・自力救済禁止・代理受領と分別管理の整理に条文体系の誤りなし。横領罪(刑法253条)への言及は別法令で適切。罰則条文への言及(業法41-46条)なし。設計矛盾なし。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第715条(使用者責任)・管理業法(管理業者の義務)・個人情報保護法 <!-- 作問独自性ログ 2026-06-10: 「使用者(オーナー)が使用者責任を負い、管理業者(被用者の立場)は免責される」という誤解を設問。民法715条の使用者はオーナーだが管理業者は自社従業者の行為について自らが使用者として責任を負う。ウを誤りとして設計。 --> 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。