賃管士 賃貸住宅管理業法 問75:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
賃貸住宅管理業法第29条の不当勧誘の禁止に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- ア特定転貸事業者が、特定賃貸借契約の勧誘において、将来の家賃収入について「必ず一定額が保証される」と断定的な判断を示した場合、不当勧誘として禁止される。正答
- イ不当勧誘の禁止に違反した特定転貸事業者との間で締結された特定賃貸借契約は、当然に無効となる。
- ウ特定転貸事業者は、特定賃貸借契約の締結後に解約・家賃減額のリスクを説明する義務を負うが、契約締結前の勧誘段階においては告知義務はない。
- エ特定転貸事業者が賃貸人に対して将来の家賃収入の見通しを説明する際、根拠のない楽観的な予測を示すことは、断定的判断の提供には当たらない。
- オ勧誘員が賃貸人の「もう検討したくない」という意思を無視して繰り返し勧誘を行った場合、業法第29条の不当勧誘には該当しない。
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正答はアです。
業法第29条は、特定転貸事業者が勧誘の際に行ってはならない行為として「断定的判断の提供」を列挙しています。家賃収入が「必ず一定額保証される」という説明は、不確実な将来の事象について断定的に伝えるものであり、断定的判断の提供として禁止されます。
イは誤りです。不当勧誘禁止に違反したとしても、契約は当然に無効にはなりません。ただし、取消権が発生する場合があります。
ウは誤りです。故意の不告知(重要事項を意図的に伝えない行為)も禁止されており、契約前の勧誘段階から告知義務があります。
エは誤りです。根拠のない楽観的な予測は「断定的判断の提供」に該当するおそれがあります。
オは誤りです。「不要」の意思表示後の繰り返し勧誘は困惑させる行為として第29条で禁止されています。
不当勧誘禁止(第29条)の4類型:
| 類型 | 内容 | 具体例 |
|---|---|---|
| 不実告知 | 重要な事項について事実と異なることを告げること | 「家賃は一切減らない」(減額条項がある場合)、「解約は自由にできる」(解約制限がある場合) |
| 故意の不告知 | 重要な事項について故意に事実を告げないこと | 家賃改定条項・解約条件の存在を意図的に説明しない |
| 断定的判断の提供 | 不確実な事項を確実であると告げること | 「必ず家賃は保証される」「空室が出ても絶対に家賃は入る」 |
| 困惑させる行為 | 不要の意思表示後の再勧誘・威迫等 | 「結構です」と断ったのに電話をかけ続ける |
各選択肢の解説:
- ア(正): 「必ず一定額が保証される」は不確実な将来の家賃収入について断定的に告げるものであり、断定的判断の提供(第29条第3号)として禁止されます。正答です。
- イ(誤): 不当勧誘違反があった場合、契約は「当然に無効」にはなりません。ただし、勧誘者の行為が消費者契約法の取消事由(不実告知・断定的判断提供等)に該当する場合は取消権が発生し、取消しにより無効と同様の効果が生じます。
- ウ(誤): 第29条第2号の「故意の不告知」は勧誘段階から適用されます。契約前の勧誘において重要事項(家賃減額リスク・解約条項等)を故意に隠すことは禁止されています。
- エ(誤): 根拠のない楽観的な予測(「値上がりが見込まれる」「収益性は高い」等)は、不確実な事項について確実であるかのように示す行為として断定的判断の提供(第3号)に該当しうます。
- オ(誤): 第29条第4号は「相手方が特定賃貸借契約を締結しない旨の意思を表示したにもかかわらず」勧誘を継続する行為(困惑させる行為)を禁止しています。繰り返し勧誘は明確に該当します。
【不当勧誘禁止の立法趣旨・消費者契約法との関係・取消権・証明責任・国交省ガイドラインの運用】
立法趣旨——被害の構造的解決:
第29条の不当勧誘禁止は、消費者契約法の勧誘規制(取消権)を参照しつつも、賃貸住宅管理業法固有の行政規制として設計されています。消費者契約法では「消費者」が相手方ですが、業法第29条は賃貸人(オーナー)への保護に特化しており、相手方が宅建業者や管理業者であっても適用されます(事業者間取引にも適用する行政規制)。
第29条の4類型の詳細分析:
1. 不実告知(第1号)
「重要事項について事実と異なることを告げること」。重要事項とは、①将来における賃料の額の変動、②特定賃貸借契約の解除に関する事項、③賃貸住宅の維持保全の実施方法等です(国交省ガイドライン参照)。
「家賃は30年間一切変わらない」「解約は認めない」等の事実と異なる説明がこれに当たります。問題は「事実と異なる」の認定基準ですが、ガイドラインは「契約の条文と告知内容が矛盾する場合は原則として不実告知と推定される」との運用を示しています。
2. 故意の不告知(第2号)
「重要事項について故意に事実を告げないこと」。単なる説明不足ではなく「故意」が必要です。しかし実務では、重要事項(家賃改定条項・解約要件等)が契約書に明記されているにもかかわらず営業段階で一切説明されなかった場合、故意の推定が働きやすい運用となっています。
3. 断定的判断の提供(第3号)
「不確実な事項について確実であると告げること」。将来の家賃収入・空室率・建物の経済的価値等は本質的に不確実です。「必ず家賃が入る」「絶対に損しない」等の表現は断定的判断の提供として最も問題になりやすい類型です。
国交省ガイドラインは「将来の収支シミュレーションを示す場合は、楽観・中立・悲観の複数シナリオを示し、減額・解約リスクを明示することが望ましい」との指針を示しています。
4. 困惑させる行為(第4号)
「相手方が締結しない旨の意思を示したにもかかわらず、勧誘を継続すること」。電話・訪問・メール等の媒体を問いません。消費者契約法の不退去・退去妨害類似の保護ですが、業法版は「意思表示後の継続」という行為類型で規定しています。
消費者契約法との競合と取消権:
| 比較 | 賃貸住宅管理業法29条 | 消費者契約法4条 |
|---|---|---|
| 適用主体 | 特定転貸事業者 | 事業者 |
| 相手方 | 賃貸人(事業者でも可) | 消費者のみ |
| 効果 | 行政規制(監督処分の根拠) | 民事的取消権の発生 |
| 取消権 | 直接規定なし | 取消権あり |
業法第29条は行政規制であり、違反した場合の直接の効果は業務停止命令等の監督処分(第35条)です。しかし、賃貸人が「消費者」に該当する場合(個人オーナー等)は消費者契約法が並行適用され、不実告知・断定的判断提供に基づく取消権(消費者契約法第4条)を行使できます。取消権の行使期間は不実告知を知った時から1年間・契約締結から5年間です(消費者契約法第7条)。
実務上の重要ポイント:
1. 重要事項説明書(業法第30条)との連動: 勧誘段階での不当行為と、重要事項説明での記載内容に齟齬があると二重の違反が成立しうる。重説書面で正確に説明することは不当勧誘リスクの低減にもなる。
2. 勧誘記録の保管: 相手方が「不要」の意思を示した記録(録音・メール等)を保管することで、困惑行為の該当性を事後的に争うことが可能となる。
3. 外部委託先の管理: 勧誘を外部の営業代行に委託する場合も、特定転貸事業者が責任を負う(業法上の義務は委託先の行為についても及ぶ)。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 業法第29条各号・第35条・消費者契約法第4条・第7条、国交省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」e-Gov・国交省サイト突合済。4類型の内容・取消権発生の有無・行政規制の性格確認。基準日2026-04-01以内。正答ア維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第29条・国土交通省「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 国土交通省 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。