問題
賃貸住宅管理業法第31条の特定賃貸借契約の契約成立時書面に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はエです。
特定賃貸借契約の契約成立時書面(業法第31条)の記載事項には、相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項(第31条第1項第2号)があり、賃料の支払時期及び方法はこれに含まれます。エは正しい記述です。
ア・ウは誤りです。契約成立時書面(業法第31条書面)の交付時期は「契約締結に先立ち」ではなく契約成立後、遅滞なくです。契約締結前に交付するのは重要事項説明書(業法第30条書面)であり、両者の時系列を混同してはいけません(ア)。求めがなくても交付義務があります(ウ)。
イは誤りです。契約成立時書面と重要事項説明書は別々の書面です。重説書面は契約締結前の説明用・成立時書面は締結後の交付義務という時系列の違いがあります。
オは誤りです。更新の際に契約内容を変更する場合は、変更のあった事項について書面を交付する必要があります(国交省「解釈・運用の考え方」)。更新だから一律に適用外、ということはありません。
特定賃貸借契約の契約成立時書面(業法第31条)の概要:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠条文 | 業法第31条・施行規則第47条 |
| 交付時期 | 契約を締結したとき、遅滞なく |
| 交付相手 | 特定賃貸借契約の相手方(賃貸人) |
| 任意省略 | 不可(求めなくても必須) |
| 変更を伴う更新 | 変更のあった事項について書面を交付(解釈・運用の考え方) |
第31条第1項の記載事項(施行規則第47条で追加される事項を含む):
1. 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅(第1号)
2. 相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項(第2号・エが正しい理由)
3. 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法(第3号)
4. 契約期間に関する事項(第4号)
5. 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項(第5号)
6. 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容(第6号)
7. その他国土交通省令で定める事項(第7号→施行規則第47条:特定転貸事業者の商号等及び住所、維持保全の費用分担、損害賠償額の予定又は違約金 等)
各選択肢の解説:
- ア(誤): 業法第31条の契約成立時書面の交付時期は「契約の締結に先立ち」ではなく「契約が成立したとき遅滞なく」です。「締結に先立ち」交付するのは重要事項説明書(業法第30条)であり、両条文の時系列を混同した記述です。
- イ(誤): 重要事項説明書(第30条)と契約成立時書面(第31条)は別々の書面です。目的・時期・記載事項が異なります。
- ウ(誤): 契約成立時書面の交付は賃貸人の求めを要件としていません。遅滞なく交付することが義務です。
- エ(正): 第31条第1項第2号の「特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項」に、賃料の支払時期・方法が含まれます。正答です。
- オ(誤): 国交省の「解釈・運用の考え方」は、特定賃貸借契約を変更する場合には変更のあった事項について書面を交付すれば足りるとしています。更新時に内容が変わるなら書面交付が必要で、「更新時には適用されない」とは言えません。
【契約成立時書面の制度的意義・管理受託成立時書面との対比・電磁的方法・更新時の取扱い・実務上の活用】
「契約成立時書面」制度の位置づけ:
賃貸住宅管理業法は「重要事項説明(事前告知)→ 契約成立時書面(事後確認)」という二段構造で、契約内容の透明化と後日の紛争防止を図っています。この構造は宅建業法の「重説→37条書面」と機能的に類似しており、賃貸住宅分野のオーナー保護を強化する観点から設けられました。
契約成立時書面と重要事項説明書の比較(同一特定転貸事業者が兼業の場合も含む):
| 比較項目 | 重要事項説明書(第30条) | 契約成立時書面(第31条) |
|---|---|---|
| 交付時期 | 契約締結前 | 契約成立後、遅滞なく |
| 目的 | 賃貸人の判断材料提供 | 合意内容の確認・証拠化 |
| 説明義務 | あり(書面交付+説明) | 書面交付のみ(口頭説明の義務規定なし) |
| 省略 | 不可 | 不可(求めなくても必須) |
| 電磁的方法 | 要件充足で可 | 要件充足で可 |
| 記載事項の根拠 | 施行規則第45条(14号) | 第31条第1項各号・施行規則第47条 |
| 変更・更新時 | 変更事項について書面交付・説明(契約期間のみの延長など形式的な変更は不要) | 変更事項について書面交付 |
更新時の書面交付義務の解釈:
条文にも施行規則にも「同一条件での更新なら省略できる」という規定はありません。国交省の「解釈・運用の考え方」(令和5年3月31日施行版)は、重説(第30条)について、契約の同一性を保ったまま契約期間のみを延長するなど形式的な変更と認められる場合は説明を行わないこととして差し支えないとし、締結時書面(第31条)については、変更契約の場合は変更のあった事項について書面を交付すれば足りるとしています。
実務的には、更新時にも契約書を取り交わすことが一般的です。考え方は、第31条第1項各号と施行規則の定める事項が記載された契約書であれば、その契約書をもってこの書面とすることができるとしています。
電磁的方法による書面交付の要件:
業法第31条の契約成立時書面も、相手方の承諾を得て電磁的方法(PDF等)での交付が認められます(第31条第2項で第30条第2項を準用。法律の制定時からある規定です)。手続は施行令第3条によります。
- あらかじめ、用いる電磁的方法の種類及び内容を相手方に示すこと
- 書面等で相手方の承諾を得ること
- 相手方から電磁的方法による提供を受けない旨の申出があれば、電磁的方法で提供しないこと
第31条第1項・施行規則第47条の全記載事項:
| 根拠 | 記載事項 |
|---|---|
| 法第1号 | 特定賃貸借契約の対象となる賃貸住宅 |
| 法第2号 | 相手方に支払う家賃その他賃貸の条件に関する事項(試験頻出) |
| 法第3号 | 特定転貸事業者が行う賃貸住宅の維持保全の実施方法 |
| 法第4号 | 契約期間に関する事項 |
| 法第5号 | 転借人の資格その他の転貸の条件に関する事項 |
| 法第6号 | 契約の更新又は解除に関する定めがあるときは、その内容 |
| 規則第47条第1号 | 特定転貸事業者の商号、名称又は氏名及び住所 |
| 規則第47条第2号 | 維持保全に要する費用の分担に関する事項 |
| 規則第47条第3号 | 相手方に対する維持保全の実施状況の報告に関する事項 |
| 規則第47条第4号 | 損害賠償額の予定又は違約金に関する定めがあるときは、その内容 |
| 規則第47条第5号 | 責任及び免責に関する定めがあるときは、その内容 |
| 規則第47条第6号 | 転借人に対する維持保全の実施方法の周知に関する事項 |
| 規則第47条第7号 | 特定賃貸借契約が終了した場合の特定転貸事業者の権利義務の承継に関する事項 |
実務上の活用ポイント:
特定転貸事業者が書面を交付する際の実務チェックリストとしては以下が有効です。
1. 施行規則第47条の全記載事項が漏れなく記載されているか
2. 賃料変動条項(借地借家法第32条による減額可能性)が明示されているか
3. 解約条件(予告期間・違約金等)が具体的に記載されているか
4. 電磁的方法を使用する場合、相手方の承諾記録があるか
これらが整備されていれば、後日「聞いていなかった」「説明を受けていない」という主張への対抗力が強まり、第29条(不当勧誘)の故意の不告知を理由とする責任追及を回避できます。
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第31条e-Govで原文を読む
- 宅地建物取引業法e-Govで原文を読む
- 借地借家法第32条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第31条・施行規則第47条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

