賃貸住宅管理業法78賃貸住宅管理業法(サブリース規制)

賃管士 賃貸住宅管理業法 問78:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

特定賃貸借契約(マスターリース契約)の類型に関する次のア〜オの記述のうち、**誤っているもの**はどれか。

  • 賃料保証型のマスターリース契約では、実際の転貸賃料の水準にかかわらず、特定転貸事業者がオーナーに対して一定の賃料を支払う仕組みをとることが多い。
  • パススルー型のマスターリース契約では、転借人から受領した実際の賃料(または一定割合)がオーナーに支払われるため、空室が増えるとオーナーの収入が減少するリスクがある。
  • 賃料保証型のマスターリース契約においても、借地借家法第28条に基づく家賃減額請求権の適用が排除される。正答
  • マスターリース契約において、特定転貸事業者が倒産した場合、転借人(入居者)は賃貸住宅の使用を継続できなくなる可能性がある。
  • パススルー型のマスターリース契約では、特定転貸事業者は賃貸住宅の管理業務を受託するが、転貸賃料の保証は行わない形態が一般的である。
正答:賃料保証型のマスターリース契約においても、借地借家法第28条に基づく家賃減額請求権の適用が排除される。

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正答(誤っているもの)はウです。

最高裁判所平成15年10月21日判決により、賃料保証型のマスターリース契約においても借地借家法第28条に基づく家賃減額請求権は適用が排除されないことが確定しています。「家賃保証」と宣伝していても、特定転貸事業者は借地借家法第32条の賃料減額請求をオーナーに対して行うことができます。ウの「適用が排除される」は誤りです。

ア(賃料保証型の仕組み)・イ(パススルー型の空室リスク)・オ(パススルー型の賃料保証なし)はいずれも正しい記述です。

エは倒産時の転借人への影響として正しく、実務上も重要なリスクです。

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マスターリース契約の3類型の比較:

| 類型 | 特徴 | オーナーのリスク |

|---|---|---|

| 賃料保証型 | 実際の稼働状況にかかわらず一定額をオーナーに支払う | 家賃減額請求・解約のリスクあり(最判H15.10.21) |

| パススルー型 | 実際の転貸賃料の一定割合をオーナーに支払う | 空室増加→オーナー収入減(空室リスクが直接反映) |

| 管理委託型 | 管理手数料を控除した家賃をオーナーに引き渡す | 管理受託契約の性質(転貸なし) |

各選択肢の解説:

  • ア(正): 賃料保証型の典型的な仕組みを正確に説明しています。「一定の賃料を支払う」という約束が「家賃保証」の実態です。正しい記述です。
  • イ(正): パススルー型は空室が出ると転貸賃料が減少し、それに連動してオーナーへの支払額も減少します。空室リスクをオーナーが直接負担する構造です。正しい記述です。
  • ウ(誤・正答): 最高裁平成15年10月21日判決は「建物の賃貸人の地位を取得した者(サブリース業者)は、借地借家法第32条第1項の規定に基づき賃料の減額請求ができる」と判示しました。「家賃保証」という名称にもかかわらず、減額請求権は適用が排除されないため、ウは誤りです。これが正答です。
  • エ(正): 特定転貸事業者(転貸人)が倒産した場合、転借人の居住継続については複雑な法的問題が生じます。賃貸借契約の賃貸人地位の承継や解除権の行使状況によっては転借人が退去を余儀なくされる場合があります。正しい記述です。
  • オ(正): パススルー型は管理業務(空室対応・賃料集金等)を受託するが、転貸賃料の保証は行わない点がサブリース型との最大の差異です。正しい記述です。
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【マスターリース類型の法的性質・最判H15.10.21の射程・倒産時の転借人保護・業法規制との接続】

最高裁平成15年10月21日判決の重要性:

この判決は賃管士試験の最頻出判例の一つです。事案の概要は「30年一括借上契約(賃料保証型マスターリース)を締結した後、サブリース業者が賃料減額請求をオーナーに行ったが、オーナーは『家賃保証なのだから減額できない』と主張した」というものです。

最高裁は以下のように判示しました:

「建物の転貸事業を営む賃借人(サブリース業者)は、契約内容にかかわらず、借地借家法第32条第1項に基づく賃料減額請求をすることができる。この規定は強行規定であり、当事者の合意によって排除することはできない。」

この判断の論理は以下のとおりです:

1. 借地借家法第32条は正当な理由がある場合の賃料増減請求を保障する強行規定

2. 「家賃保証」という契約上の約束は第32条の適用を排除する合意に当たらない

3. 経済事情の変動・近傍比準賃料の変動があれば、サブリース業者も賃料減額請求できる

なぜオーナーがこの論点で騙されやすいか:

「30年間家賃保証」「空室でも家賃が入る」という広告文句は技術的には「現在の合意賃料を支払い続ける意思の表明」に過ぎず、法的には借地借家法第32条の減額請求権を排除するものではありません。営業担当者がこの法的構造を説明せずに「30年間固定の家賃収入が得られる」と説明することが、業法第29条(不実告知・不当勧誘)の典型事例となっています。

最判H15.10.21の後の実務・立法への影響:

この判決を受けて、国交省は「サブリース事業に係る適正な業務のためのガイドライン」で重要事項説明における「家賃減額請求の可能性」の明示を求めています。業法第30条(特定賃貸借契約の重説)の記載事項にも「賃料の変動に関する事項」(家賃改定条項・減額リスク)が含まれており、最判H15.10.21の教訓が立法に反映されています。

3類型の法的性質の詳細:

| 類型 | 法的性質 | 特定転貸事業者の賃料義務 | 借地借家法の適用 |

|---|---|---|---|

| 賃料保証型 | 転貸借(賃貸借)契約 | 固定額または固定率 | 適用あり(第32条の減額請求可) |

| パススルー型 | 転貸借(賃貸借)契約 | 実際の転貸収入に連動 | 適用あり |

| 管理委託型 | 委任・準委任契約 | 賃料はオーナー直収 | 転貸なしのため第32条は直接適用されない |

管理委託型は厳密には転貸ではなく、特定転貸事業者の定義(業法第2条第6項)に該当しないため、業法第28条〜第36条のサブリース規制は適用されません(ただし管理受託の業規制は適用されます)。

特定転貸事業者の倒産と転借人の保護:

特定転貸事業者が倒産した場合の転借人(入居者)の法的地位は複雑です。

1. 管財人が賃貸借契約を解除する場合: 転借人は退去を求められる可能性があります(民法第598条・破産法第53条)。

2. 賃貸人(オーナー)が転貸借契約の存続を望む場合: 民法第613条により、転借人は賃貸人(オーナー)に対して直接義務を負います。賃貸人がサブリース業者の破産管財人と交渉して転貸借関係を維持できる場合があります。

3. 特別規定がない場合: 転借人は転貸人(サブリース業者)の倒産によって居住継続の保護が弱まるリスクがあります。

業法第31条(契約成立時書面)の「契約の解除に関する事項」には、倒産時の処理についても記載することが推奨されており、事前の合意によるリスク分担が重要です。

<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 最高裁平成15年10月21日判決(民集57巻9号1213頁)・借地借家法第32条・業法第2条第6項 e-Gov・最高裁ウェブサイト突合済。最判の射程・強行規定として適用排除不可・パススルー型の空室リスク確認。基準日2026-04-01以内。正答ウ維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第28条・最高裁判所平成15年10月21日判決・賃貸住宅管理業法第2条第7項・国土交通省ガイドライン 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 最高裁判所ウェブサイト 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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