賃貸住宅管理業法79賃貸住宅管理業法(サブリース規制)

賃管士 賃貸住宅管理業法 問79:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)

令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10

サブリース(マスターリース)契約における借地借家法の適用に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。

  • 特定転貸事業者がマスターリース契約を途中で終了させようとする場合、賃貸人(オーナー)には解約拒絶の正当事由(借地借家法第28条)を主張する必要があるが、空室率の上昇は正当事由を構成しない。
  • 特定転貸事業者は、経済事情の変動や近傍比準賃料の下落を理由として、借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をオーナーに対して行うことができる。正答
  • マスターリース契約は特定転貸事業者が事業者として締結する契約であるため、借地借家法の適用が全面的に排除される。
  • 借地借家法第28条の正当事由は、賃貸人(オーナー)からの更新拒絶についてのみ適用され、賃借人(サブリース業者)からの解約申入れには適用されない。
  • サブリース契約における定期建物賃貸借(定期借家)で「不増額特約」を設けた場合、特定転貸事業者からの賃料増額請求は完全に封じられる一方、賃料減額請求も同様に排除される。
正答:特定転貸事業者は、経済事情の変動や近傍比準賃料の下落を理由として、借地借家法第32条第1項に基づく賃料の減額請求をオーナーに対して行うことができる。

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正答はイです。

最高裁平成15年10月21日判決により、マスターリース契約においても借地借家法第32条の賃料減額請求権はサブリース業者から行使できることが確立しています。経済事情の変動・近傍賃料の下落があれば、特定転貸事業者はオーナーに賃料減額を請求できます。

ウは明確に誤りです。マスターリース契約も建物賃貸借であり、借地借家法は原則として適用されます

エは誤りです。借地借家法第28条の正当事由は賃貸人からの更新拒絶・解約申入れに適用されますが、賃借人(サブリース業者)側からの解約申入れには異なるルールが適用されます(設問の記述はア・エの関係で混乱しやすい箇所です)。

オは誤りです。不増額特約は賃料増額請求を封じますが、賃料減額請求の排除は強行規定に反して無効です。

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借地借家法とサブリース契約の関係:

| 論点 | 結論 | 根拠 |

|---|---|---|

| 借地借家法の適用 | 原則適用あり | マスターリースは建物賃貸借(借地借家法1条) |

| 賃料減額請求 | 特定転貸事業者から行使可能 | 最判H15.10.21 |

| 賃料増額特約(不減額特約) | 強行規定として無効 | 借地借家法第32条1項但書(減額方向)は除外 |

| 不増額特約 | 有効(賃料増額を封じる) | 借地借家法第32条1項但書 |

| 正当事由(第28条) | 賃貸人の更新拒絶に適用 | 借地借家法第28条 |

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 特定転貸事業者からの中途解約・更新拒絶には借地借家法第28条の正当事由は要求されません(第28条は賃貸人側からの拒絶に適用)。設問は「空室率の上昇が正当事由を構成しない」という後半部分が誤誘導しています。
  • イ(正): 最判H15.10.21の判示どおり。最高裁は「サブリース業者も第32条1項に基づく賃料減額請求ができる」と判示しました。正答です。
  • ウ(誤): マスターリース契約も建物の賃貸借(借地借家法1条の「建物の賃貸借」)に当たり、借地借家法の適用は排除されません。事業者間の取引であっても同様です。
  • エ(誤): 借地借家法第28条の正当事由は「賃貸人が更新を拒絶」する場面に適用されます。サブリース業者(賃借人)から解約申入れをする場合は第28条の問題ではありません。ただし、賃貸人(オーナー)の側から解約拒絶するにあたっては別途の対応が必要となります。
  • オ(誤): 借地借家法第32条1項但書は「一定の期間賃料を増額しない旨の特約(不増額特約)」を有効と規定していますが、これは増額請求を封じるものです。減額請求については特約で排除することは強行規定に反し無効です(最判H15.10.21が確認)。
上級誤答論破・根拠条文・通達まで深掘り

【借地借家法の強行規定性・最判H15.10.21の全体像・不増額特約・正当事由の実際・賃管士試験での出題パターン】

借地借家法第32条の強行規定性:

借地借家法第32条(賃料増減請求権)は強行規定であり、当事者の合意によって排除することはできません(最判H15.10.21以前から通説・判例)。

「強行規定」とは当事者の合意によって排除・変更できない法律の規定のことで、民法の「任意規定」とは対照的です。借地借家法の多くの規定は賃借人保護の観点から強行規定とされています。

第32条が強行規定である理由:

  • 経済事情の大幅な変動(物価下落・景気後退等)で賃料水準が著しく乖離した際に、旧来の合意賃料に縛られ続けることは不公正
  • 賃貸借契約の継続性を維持しつつも賃料調整の機会を双方に保障することが公正
  • 「不変動特約」を全面的に有効と解すると、長期契約において市場実態から乖離した賃料が固定化される弊害が大きい

最判H15.10.21(民集57巻9号1213頁)の全体像:

| 判示事項 | 内容 |

|---|---|

| 事案 | サブリース業者がオーナーに賃料減額請求→オーナーが「家賃保証契約により拒否できる」と主張 |

| 判示① | マスターリース契約も借地借家法の適用対象となる建物賃貸借である |

| 判示② | 第32条第1項の賃料減額請求権は強行規定として当事者の合意で排除できない |

| 判示③ | 「家賃保証」「固定家賃」等の合意は第32条の適用を排除しない |

| 判示④ | サブリース業者は経済事情の変動・近傍比準賃料の下落を理由に減額請求できる |

| 射程 | 全ての賃料保証型マスターリース契約に適用 |

この判決の実務的な影響は甚大で、「30年一括借上=30年間家賃固定」という認識が根本的に誤りであることが最高裁レベルで確定しました。

不増額特約・不減額特約の効力の差:

| 特約の種類 | 効力 | 根拠 |

|---|---|---|

| 不増額特約(「一定期間は賃料を増額しない」) | 有効 | 借地借家法第32条1項但書(賃貸人から増額請求できない期間を設定可) |

| 不減額特約(「いかなる理由があっても賃料を減額しない」) | 無効(強行規定違反) | 最判H15.10.21 |

| 固定賃料特約(「30年間○○円固定」) | 不増額特約としては有効だが、不減額効果は無効 | 最判H15.10.21の射程 |

不増額と不減額の非対称性が重要な試験論点です。増額請求の封じ込め(賃借人有利)は認められますが、減額請求の封じ込め(賃借人不利)は強行規定として排除されます。

正当事由(第28条)の実際:

借地借家法第28条の正当事由は「建物の賃貸人が賃貸借の更新の拒絶または解約の申入れをする場合」に要求されます。これは賃貸人(オーナー)側からの拒絶・申入れについての要件です。

サブリース契約でオーナーが契約終了を望む場面では:

1. オーナーからの更新拒絶:正当事由(自己使用・老朽化建替等)が必要

2. サブリース業者からの解約申入れ:第28条の問題ではなく、第27条(解約申入れ後6か月で終了)の問題

3. サブリース業者からの更新拒絶:業者側の更新拒絶は正当事由不要(第28条は賃貸人側にのみ課している)

「空室率の上昇」が正当事由を構成するかという論点については、正当事由は「建物の使用を必要とする事情」が中心であり、サブリース業者の経営事情(空室率上昇による収益悪化)は正当事由の主要な構成要素にはなりにくいとされています。ただし経済的事情は立退料の算定において考慮されます。

<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 最高裁平成15年10月21日判決(民集57巻9号1213頁)・借地借家法第28条・第32条1項・1項但書 e-Gov・最高裁ウェブサイト突合済。強行規定性・不増額特約有効・不減額特約無効・正当事由の適用場面確認。基準日2026-04-01以内。正答イ維持。 -->

出典・根拠について

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第28条・第32条・最高裁平成15年10月21日判決(民集57巻9号1213頁) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 最高裁判所ウェブサイト 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。

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