賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 賃貸住宅管理業法 問80|30年一括借上の落とし穴——家賃改定条項・解約条項の実態

問題

賃管士 | 賃貸住宅管理業法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

いわゆる「30年一括借上」のサブリース契約に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。

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答え合わせ

正解は ウ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答(誤っているもの)はウです。

借地借家法第28条の正当事由は、「賃貸人」(オーナー)側からの更新拒絶・解約申入れに適用されるものです。賃借人(サブリース業者)から解約申入れをする場合は第28条の問題ではありません。

賃借人(サブリース業者)が解約を申し入れる場合は、期間の定めがある契約なら中途解約の特約の定めにより、期間の定めがない契約なら民法第617条(建物は申入れから3か月)によります(借地借家法第27条の「6か月」は賃貸人からの申入れの規定です)。「賃借人からの解約に正当事由が要る」という記述は誤りです。

ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。

借地借家法の解約・更新拒絶における正当事由の適用場面:

場面正当事由の要否根拠
賃貸人からの更新拒絶・解約申入れ必要借地借家法第28条(賃貸人の解約申入れは申入れから6か月で終了=第27条)
賃借人からの解約申入れ不要期間の定めなし=民法第617条(建物は3か月)/期間の定めあり=中途解約特約による
合意解除不要民法の合意解除

各選択肢の解説:

  • ア(正): 最判H15.10.21のとおり。「家賃保証」があっても賃料減額請求は可。正しい記述です。
  • イ(正): 家賃改定条項・解約条項を伏せた「30年一括借上」広告は、第28条の「著しく有利と誤認させる表示」として誇大広告に該当するおそれがあります。国交省ガイドラインも明記しています。正しい記述です。
  • ウ(誤・正答): 賃借人(サブリース業者)からの解約申入れには借地借家法第28条の正当事由は要求されません。賃借人は契約書の中途解約条項(期間の定めがない場合は民法第617条)に従って解約できます。正当事由が必要なのは賃貸人側からの更新拒絶・解約申入れのみです。これが正答(誤っているもの)です。
  • エ(正): オーナーには協議に応じる法的義務はありませんが、協議不成立の場合、サブリース業者は裁判所に調停(民事調停)を申し立て、最終的には賃料減額請求訴訟を提起することができます。借地借家法第32条の賃料増減請求は調停前置主義が適用されます(民事調停法第24条の2)。正しい記述です。
  • オ(正): 賃借人(サブリース業者)が賃貸人の承諾なく中途解約できるとする条項は、賃借人に有利な特約です。借地借家法第30条が無効とするのは「建物の賃借人に不利な」特約なので、原則として有効です。ただし実務では解約予告期間・違約金等の設定が問題になります。正しい記述です。

【「30年一括借上」の法的実態・解約条項の構造・家賃改定交渉の実務・業法規制との連動・被害の背景】

「30年一括借上」の法的実態:

「30年一括借上」「家賃保証30年」という表現が社会問題化した背景を理解することが、業法の立法趣旨の理解につながります。

法的には「30年間の賃料保証」は次の2点で実態と乖離しています:

1. 借地借家法第32条の強行規定: 普通建物賃貸借では、賃料を当事者の合意で「減額できないよう固定」することはできない(最判H15.10.21)。経済事情が変動すれば減額請求が可能。

2. 解約条項の内包: 多くの「30年一括借上」契約には、サブリース業者側からの解約条項(「サブリース業者が経営上必要と判断した場合に解約できる」等)が含まれている。

解約条項の類型と法的効力:

解約条項の類型法的効力
「サブリース業者から〇か月前通知で解約可」有効(賃借人に有利な特約。借地借家法第30条は賃借人に不利な特約だけを無効とする)
「オーナーから解約する場合は〇か月前通知+正当事由要」賃貸人の解約申入れには第28条の正当事由が必要で、申入れから6か月を下回る予告期間は賃借人に不利な特約として無効(第27条・第30条)
「期間中は双方とも中途解約できない」期間の定めのある賃貸借では、解約する権利を留保(中途解約の特約)した場合に限り期間内の解約申入れができる(民法第618条)

家賃改定交渉の実務フロー:

```

サブリース業者が家賃減額を申し入れ

↓

オーナーが協議 or 拒否

↓(協議不成立の場合)

サブリース業者が民事調停を申立て(調停前置主義・民調法24条の2)

↓(調停不成立の場合)

訴訟(賃料減額確認訴訟)

↓

裁判確定まで:請求を受けたオーナーは「相当と認める額」の支払を請求できる(借地借家法第32条第3項本文)

裁判確定後:オーナーが受け取った額が確定額を超えていれば、超過額に年1割の利息を付して返還(同項ただし書)

```

減額請求では、裁判が確定するまでの間の賃料額を決めるのは請求を受けた側(オーナー)であり、サブリース業者が一方的に減額した額を払えばよいわけではありません。

業法規制との連動:

被害の局面業法の対応規制
契約前の「家賃保証」誇大広告第28条(誇大広告禁止)
家賃改定リスクの隠蔽・不説明第29条(不当勧誘禁止・故意の不告知)
重説での家賃変動リスクの未記載第30条(特定賃貸借契約重説義務)
解約条項の不明瞭な記載第31条(契約成立時書面の記載義務)
違反業者への処分第33条(指示)・第34条(業務停止命令等)

オーナーが契約前に確認すべき「落とし穴チェックリスト」(実務応用):

1. 家賃改定条項の有無・改定の周期と基準(「市場賃料比較で適宜改定」等は注意)

2. サブリース業者からの中途解約条項の有無・予告期間

3. 修繕費用の負担(大規模修繕をオーナーに負担させる条項)

4. 空室時の費用負担(設備費用の肩代わり)

5. 違約金条項(オーナー側から解約した場合の高額違約金)

6. 契約期間満了時の更新拒絶要件

これらを業法第30条の重説書面で確認し、不明点を解消してから署名することが「30年一括借上の落とし穴」を回避する実践的な方法です。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第28条・第30条・第32条・民法第617条・民事調停法第24条の2・最高裁平成15年10月21日判決・賃貸住宅管理業法第28条〜第29条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 国土交通省 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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