問題
いわゆる「30年一括借上」のサブリース契約に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はウです。
借地借家法第28条の正当事由は、「賃貸人」(オーナー)側からの更新拒絶・解約申入れに適用されるものです。賃借人(サブリース業者)から解約申入れをする場合は第28条の問題ではありません。
賃借人(サブリース業者)が解約を申し入れる場合は、期間の定めがある契約なら中途解約の特約の定めにより、期間の定めがない契約なら民法第617条(建物は申入れから3か月)によります(借地借家法第27条の「6か月」は賃貸人からの申入れの規定です)。「賃借人からの解約に正当事由が要る」という記述は誤りです。
ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。
借地借家法の解約・更新拒絶における正当事由の適用場面:
| 場面 | 正当事由の要否 | 根拠 |
|---|---|---|
| 賃貸人からの更新拒絶・解約申入れ | 必要 | 借地借家法第28条(賃貸人の解約申入れは申入れから6か月で終了=第27条) |
| 賃借人からの解約申入れ | 不要 | 期間の定めなし=民法第617条(建物は3か月)/期間の定めあり=中途解約特約による |
| 合意解除 | 不要 | 民法の合意解除 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 最判H15.10.21のとおり。「家賃保証」があっても賃料減額請求は可。正しい記述です。
- イ(正): 家賃改定条項・解約条項を伏せた「30年一括借上」広告は、第28条の「著しく有利と誤認させる表示」として誇大広告に該当するおそれがあります。国交省ガイドラインも明記しています。正しい記述です。
- ウ(誤・正答): 賃借人(サブリース業者)からの解約申入れには借地借家法第28条の正当事由は要求されません。賃借人は契約書の中途解約条項(期間の定めがない場合は民法第617条)に従って解約できます。正当事由が必要なのは賃貸人側からの更新拒絶・解約申入れのみです。これが正答(誤っているもの)です。
- エ(正): オーナーには協議に応じる法的義務はありませんが、協議不成立の場合、サブリース業者は裁判所に調停(民事調停)を申し立て、最終的には賃料減額請求訴訟を提起することができます。借地借家法第32条の賃料増減請求は調停前置主義が適用されます(民事調停法第24条の2)。正しい記述です。
- オ(正): 賃借人(サブリース業者)が賃貸人の承諾なく中途解約できるとする条項は、賃借人に有利な特約です。借地借家法第30条が無効とするのは「建物の賃借人に不利な」特約なので、原則として有効です。ただし実務では解約予告期間・違約金等の設定が問題になります。正しい記述です。
【「30年一括借上」の法的実態・解約条項の構造・家賃改定交渉の実務・業法規制との連動・被害の背景】
「30年一括借上」の法的実態:
「30年一括借上」「家賃保証30年」という表現が社会問題化した背景を理解することが、業法の立法趣旨の理解につながります。
法的には「30年間の賃料保証」は次の2点で実態と乖離しています:
1. 借地借家法第32条の強行規定: 普通建物賃貸借では、賃料を当事者の合意で「減額できないよう固定」することはできない(最判H15.10.21)。経済事情が変動すれば減額請求が可能。
2. 解約条項の内包: 多くの「30年一括借上」契約には、サブリース業者側からの解約条項(「サブリース業者が経営上必要と判断した場合に解約できる」等)が含まれている。
解約条項の類型と法的効力:
| 解約条項の類型 | 法的効力 |
|---|---|
| 「サブリース業者から〇か月前通知で解約可」 | 有効(賃借人に有利な特約。借地借家法第30条は賃借人に不利な特約だけを無効とする) |
| 「オーナーから解約する場合は〇か月前通知+正当事由要」 | 賃貸人の解約申入れには第28条の正当事由が必要で、申入れから6か月を下回る予告期間は賃借人に不利な特約として無効(第27条・第30条) |
| 「期間中は双方とも中途解約できない」 | 期間の定めのある賃貸借では、解約する権利を留保(中途解約の特約)した場合に限り期間内の解約申入れができる(民法第618条) |
家賃改定交渉の実務フロー:
```
サブリース業者が家賃減額を申し入れ
↓
オーナーが協議 or 拒否
↓(協議不成立の場合)
サブリース業者が民事調停を申立て(調停前置主義・民調法24条の2)
↓(調停不成立の場合)
訴訟(賃料減額確認訴訟)
↓
裁判確定まで:請求を受けたオーナーは「相当と認める額」の支払を請求できる(借地借家法第32条第3項本文)
裁判確定後:オーナーが受け取った額が確定額を超えていれば、超過額に年1割の利息を付して返還(同項ただし書)
```
減額請求では、裁判が確定するまでの間の賃料額を決めるのは請求を受けた側(オーナー)であり、サブリース業者が一方的に減額した額を払えばよいわけではありません。
業法規制との連動:
| 被害の局面 | 業法の対応規制 |
|---|---|
| 契約前の「家賃保証」誇大広告 | 第28条(誇大広告禁止) |
| 家賃改定リスクの隠蔽・不説明 | 第29条(不当勧誘禁止・故意の不告知) |
| 重説での家賃変動リスクの未記載 | 第30条(特定賃貸借契約重説義務) |
| 解約条項の不明瞭な記載 | 第31条(契約成立時書面の記載義務) |
| 違反業者への処分 | 第33条(指示)・第34条(業務停止命令等) |
オーナーが契約前に確認すべき「落とし穴チェックリスト」(実務応用):
1. 家賃改定条項の有無・改定の周期と基準(「市場賃料比較で適宜改定」等は注意)
2. サブリース業者からの中途解約条項の有無・予告期間
3. 修繕費用の負担(大規模修繕をオーナーに負担させる条項)
4. 空室時の費用負担(設備費用の肩代わり)
5. 違約金条項(オーナー側から解約した場合の高額違約金)
6. 契約期間満了時の更新拒絶要件
これらを業法第30条の重説書面で確認し、不明点を解消してから署名することが「30年一括借上の落とし穴」を回避する実践的な方法です。
- 借地借家法第32条・第28条・第27条・第30条e-Govで原文を読む
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第28条e-Govで原文を読む
- 民法第617条・第618条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第28条・第30条・第32条・民法第617条・民事調停法第24条の2・最高裁平成15年10月21日判決・賃貸住宅管理業法第28条〜第29条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 国土交通省 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

