賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 賃貸住宅管理業法 問82|オーナーチェンジ時の賃貸人たる地位の移転——民法605条の2の要件・留保・登記・承継債務

問題

賃管士 | 賃貸住宅管理業法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

不動産の賃貸人たる地位の移転(民法第605条の2)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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正解は エ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はエです。

賃貸物件が譲渡され、対抗要件を備えていた賃借人がいる場合、賃貸人たる地位は原則として譲受人(新オーナー)に移転します。このとき、旧オーナーが負っていた費用の償還債務(賃借人が支出した必要費・有益費を返す義務)と敷金の返還債務は、新オーナーが引き継ぎます(民法605条の2第4項)。

アは誤りです。対抗要件を備えた賃貸借の不動産が譲渡されれば、地位移転の合意がなくても賃貸人たる地位は譲受人に移転します(第1項)。イも誤りで、留保の合意に賃借人の承諾は不要です。ウは誤りで、対抗には所有権移転登記が必要です。オも誤りで、留保後に旧オーナーと新オーナーの賃貸借が終了すれば地位は移転します。

民法605条の2(不動産の賃貸人たる地位の移転)の構造:

項内容
第1項対抗要件(借地借家法上の引渡し等)を備えた賃貸借の目的不動産が譲渡されたとき、賃貸人たる地位は譲受人に移転する
第2項譲渡人・譲受人の合意のみで地位を譲渡人に留保できる(賃借人の承諾は不要)。留保後に譲渡人・譲受人間の賃貸借が終了したときは、留保されていた地位は譲受人(又はその承継人)に移転する
第3項地位の移転(第1項・第2項後段)を賃借人に対抗するには、所有権移転登記が必要
第4項地位が移転したとき、費用償還債務(608条)及び敷金返還債務(622条の2第1項)を譲受人が承継する

各選択肢の整理:

  • ア(誤): 第1項は、不動産の譲渡があれば地位が譲受人に移転すると定め、地位移転の合意を要件にしていません(合意による移転は第605条の3の別の規定です)。
  • イ(誤): 留保の合意に賃借人の承諾は不要(第2項)です。
  • ウ(誤): 対抗には所有権移転登記が必要(第3項)で、引渡しでは足りません。
  • エ(正): 第4項どおりです。
  • オ(誤): 留保後の賃貸借終了時は、地位が譲受人に移転します(第2項後段)。

【賃貸人たる地位の移転の要件・留保の実務・承継債務の範囲】

対抗要件(第1項)の具体的内容:

第605条の2第1項は「前条、借地借家法第10条又は第31条その他の法令の規定による賃貸借の対抗要件を備えた場合」と定めます。建物賃貸借であれば借地借家法31条の引渡しが典型的な対抗要件であり、必ずしも賃借権の登記(民法605条)を要しません。賃借人が入居して建物の引渡しを受けていれば、対抗要件は備わっています。

留保の合意(第2項)の要件と効果:

留保が成立するのは、譲渡人・譲受人の間で①賃貸人たる地位を譲渡人に留保する旨、②譲受人が当該不動産を譲渡人に賃貸する旨、の2つの合意があった場合です。これはオーナーチェンジ後も旧オーナーが引き続き賃貸業務を行う(新オーナーは旧オーナーへの賃貸人となる=転貸類似の関係)実務上のニーズに対応する規定で、条文の要件は譲渡人・譲受人の合意だけであり、賃借人の承諾は要件になっていません。留保後に譲渡人・譲受人間の賃貸借(又はその承継人との賃貸借)が終了したときは、留保されていた賃貸人たる地位は自動的に譲受人(又はその承継人)に移転します(第2項後段)。

対抗要件としての登記(第3項):

第1項・第2項後段による地位の移転は、不動産について所有権の移転の登記をしなければ賃借人に対抗できません。賃借人が対抗要件(引渡し等)を備えていることと、新オーナーが賃借人に地位移転を対抗できることは別の問題であり、後者には登記が要件になります。賃借人からみれば、登記のない譲受人からの賃料請求には応じる必要がない、という保護になります。

承継債務の範囲(第4項)——「損害賠償債務」ではない点に注意:

第4項が明記する承継債務は、①第608条の費用償還債務(賃借人が賃借物について必要費・有益費を支出した場合に賃貸人が償還する義務)と、②第622条の2第1項の敷金返還債務の2つに限られます。損害賠償債務についての承継規定は605条の2にはありません。サブリース実務では、賃借人(サブリース業者)が旧オーナーに差し入れた保証金は敷金の性質を持つ限りで②の敷金返還債務として新オーナーに承継されると整理されます。

特定賃貸借契約(サブリース)実務への示唆:

特定転貸事業者は、オーナーチェンジが生じた場合に備え、契約成立時書面(業法第31条)で転貸条件・解除に関する事項を明確にし、新旧オーナー間の敷金精算・登記手続の完了状況を確認する実務対応が求められます。

確認日: 2026-09-30。出典: 民法第605条の2(e-Gov 法令API v2)。

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第605条の2 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2・法令ID 129AC0000000089) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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