賃管士
法令の確認日 2026年9月13日e-Govと照合済み

賃管士 賃貸住宅管理業法 問83|不実告知・故意不告知の取消権——消費者契約法とのクロス論点

問題

賃管士 | 賃貸住宅管理業法 | 令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-10-12

特定賃貸借契約の勧誘における「不実告知」「故意の不告知」と取消権に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。

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答え合わせ

正解は オ
  • ア
  • イ
  • ウ
  • エ
  • オ

自信の3択

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解説

正答はオです。

不実告知・故意の不告知があった場合でも、取消しがなされない限り、その契約は有効として扱われます。取消権は行使されて初めて遡及的に無効となる(取消しの効果は遡及)ものであり、取消し前は有効な契約として機能します。オが正しい記述です。

アは誤りです。業法第29条は行政規制であり、それ自体から取消権が発生するわけではありません。取消権は消費者契約法(第4条)または民法(第95条・第96条)に基づきます。

イは誤りです。消費者契約法の取消権の行使期間は「追認できる時から1年間」および「契約締結から5年間」です(消費者契約法第7条)。

エは誤りです。不実告知による取消権は、契約締結の時から5年を経過すると時効消滅します(消費者契約法第7条第1項)。「10年」は霊感等による知見を用いた告知(第4条第3項第8号)に係る取消権の期間です。

不実告知・故意の不告知に基づく取消権の整理:

根拠法令取消権を行使できる者取消権の発生要件行使期間
消費者契約法第4条消費者(事業として又は事業のために契約する場合を除く個人)不実告知・断定的判断・不利益事実の不告知・困惑行為追認できる時から1年間 or 契約締結から5年間(霊感等の類型は3年・10年)
民法第95条(錯誤)全ての契約当事者意思表示の錯誤(重要要素・相手方起因)取消権自体(民法126条):追認できる時から5年 or 行為から20年
民法第96条(詐欺)全ての契約当事者相手方の詐欺による意思表示同上(5年/20年)

各選択肢の解説:

  • ア(誤): 業法第29条(不当勧誘禁止)は行政規制であり、違反があっても直接の民事的取消権は発生しません。取消権は消費者契約法・民法の問題です。業法違反の効果は行政上の監督処分(指示=業法第33条、業務停止=第34条)と、第29条第1号違反の刑事罰(第42条第2号)です。
  • イ(誤): 消費者契約法第7条の取消権の行使期間は「追認できる時から1年間」と「契約締結から5年間」の短い方が適用されます。「5年間」のみ記述されている点が不正確です。
  • ウ(誤): 故意の不告知は消費者契約法第4条第2項(不利益事実の不告知)の適用要件を満たす可能性があります。「最終的に契約を締結した」という事実は取消権の発生を妨げません(動機の錯誤・故意の不告知は契約締結の「原因」となるため)。
  • エ(誤): 消費者契約法第7条第1項は、第4条第1項〜第4項の取消権について、追認をすることができる時から1年間行わないとき、又は契約締結の時から5年を経過したときに時効消滅すると定めています。「10年」は第4条第3項第8号(霊感等による知見を用いた告知)に係る取消権だけの期間で、不実告知には当てはまりません。
  • オ(正): 取消権が行使されて初めて契約は遡及的に無効となります(取消しの遡及効・民法第121条)。取消し前は有効な契約として機能します。正答です。

【不実告知・故意不告知の法的構造・消費者契約法第4条各項の詳細・行使期間の計算・業法との関係・実務上の取消権行使のポイント】

消費者契約法第4条の取消権の主な類型:

類型条文要件特記事項
不実告知第4条第1項第1号重要事項について事実と異なる告知消費者が誤認して契約締結
断定的判断の提供第4条第1項第2号不確実な事項について確実と告げる消費者が誤認して締結
不利益事実の不告知第4条第2項利益となる旨を告げ、かつ不利益となる事実を故意又は重大な過失によって告げない重大な過失による不告知も対象
困惑(不退去・退去妨害)第4条第3項消費者が困惑して締結退去命令後も居座る等

第4条第3項には不退去・退去妨害のほかにも困惑による取消しの類型が列挙されており、霊感等による知見を用いた告知(同項第8号)に係る取消権は行使期間が3年・10年と長く定められています(第7条第1項)。高齢オーナーへの不当なサブリース勧誘も、態様によってはこれらの類型に該当する可能性があります。

「追認できる時から1年間」の具体的な計算:

「追認できる時」とは、取消原因(不実告知等)を知った時から起算されます。不実告知の場合:

  • 「家賃が一定額保証される」という告知が事実と異なると知った時(例:家賃減額通知を受けた時)から1年以内に取消しを行使しなければなりません。
  • 一方で契約締結から5年を過ぎると、1年の短期消滅時効が満了していなくても取消権は消滅します(消費者契約法第7条第1項)。

実務上は「最初の家賃減額交渉を受けた時」が「不実告知を知った時」と評価されやすく、その時点から1年間が実質的な取消権行使の窓口です。

業法第29条(不当勧誘禁止)と消費者契約法第4条の関係:

比較業法第29条消費者契約法第4条
性格行政規制(公法)民事規定(私法)
効果指示・業務停止命令等の監督処分(第33条・第34条)・刑事罰(第1号違反は第42条第2号)民事的取消権の発生
立証責任行政が立証消費者が取消原因を主張
適用対象全てのオーナー(事業者でも可)消費者(個人)のみ
違反の効果(直接)取消権は発生しない取消権発生

業法第29条は「行政規制の根拠」、消費者契約法は「民事取消権の根拠」と機能が分かれており、両者が並行して機能します。業法違反があっても自動的に契約が取り消されるわけではなく、消費者オーナーが積極的に取消権を行使する必要があります。

取消権行使後の効果(遡及的無効):

取消権が行使されると契約は遡及的に無効(最初から無効であったとみなす)となります(民法第121条)。これにより:

1. 双方は原状回復義務を負う(民法第121条の2)

2. 既払賃料・差入保証金の返還問題

3. 転借人(入居者)との法律関係はどうなるか(第三者保護の問題)

特にサブリース契約が取り消された場合の転借人(入居者)の地位は、取消しの遡及効と第三者保護の関係で複雑な問題を生じさせます。裁判実務では事案ごとの衡量が行われており、確定した法理はありません。

賃管士としての実務対応:

賃管士資格保持者がサブリース契約の管理に携わる場合、不実告知・故意不告知があった(またはそのリスクがある)契約に気づいた場合は:

1. 直ちにオーナー(賃貸人)にリスクを説明する義務

2. 取消権の行使期間(追認できる時から1年)を逃さないよう助言

3. 消費者契約法の適用可能性(オーナーが個人か事業者か)を確認

4. 必要に応じて弁護士・行政書士等への紹介

この問題の根拠条番号はe-Govの本文と機械で照合しています(2026-09-13)。照合の方法
訂正の記録この問題の訂正はありません(サイト全体の記録)
出典と作り方

本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 消費者契約法第4条・第7条・賃貸住宅管理業法第29条・民法第95条・第96条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。

本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。

執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

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