問題
契約上の地位の移転(民法第539条の2)に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。なお、サブリース業者(特定転貸事業者)が、オーナーとの特定賃貸借契約における賃借人たる地位を、第三者(新しいサブリース業者)に譲渡しようとする場面を想定する。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
民法第539条の2は「契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において、その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは、契約上の地位は、その第三者に移転する」と定めます。サブリース業者がオーナーとの契約上の地位(賃借人の立場)を新しい業者に譲る場合も、オーナーの承諾が必要です。ウが正しい記述です。
アは誤りで、相手方の承諾がなければ移転しません。イは誤りで、承諾の方式について条文に定めはありません。エは誤りで、賃貸借にも一般則として適用されます。オは誤りで、譲渡人と第三者の合意が要件です。
民法第539条の2(契約上の地位の移転)の要件:
| 要件 | 内容 |
|---|---|
| ① 譲渡の合意 | 契約の当事者の一方(譲渡人)と第三者(譲受人)との間の、契約上の地位を譲渡する旨の合意 |
| ② 相手方の承諾 | 契約の相手方が①の譲渡を承諾すること |
| 効果 | ①②がそろったとき、契約上の地位が第三者に移転する |
| 承諾の方式 | 条文に定めはない |
サブリース業者交代への当てはめ:
サブリース業者はオーナーとの特定賃貸借契約(マスターリース)の賃借人です。その地位を新しい業者に譲るには、①旧業者・新業者間の譲渡の合意に加え、②契約の相手方であるオーナーの承諾が必要です。賃借権の譲渡に賃貸人の承諾を求める民法第612条第1項とも結論が一致します。
各選択肢の整理:
- ア(誤): 相手方の承諾が要件です。
- イ(誤): 承諾を書面に限る定めはありません。
- ウ(正): 第539条の2の当てはめどおりです。
- エ(誤): 第605条の2・第605条の3は賃貸人側の地位についての特則で、第539条の2の適用を全面的に排除するものではありません。
- オ(誤): 合意の当事者は「契約の当事者の一方」と「第三者」です。
【539条の2の一般則・賃貸人側の特則(605条の2・605条の3)との違い・賃借人側の地位の移転】
契約上の地位の移転(539条の2)の性格:
第539条の2は、契約当事者が持つ権利義務をひとまとめにした「契約上の地位」を第三者に移す一般則です。個々の債権の譲渡や債務の引受けとは違い、契約関係そのものを引き継がせます。要件は、①譲渡人と譲受人の合意、②契約の相手方の承諾、の2つです。
賃貸人側の特則——相手方(賃借人)の承諾が要らない場面:
不動産の賃貸借では、賃貸人の地位について2つの特則があります。
| 条文 | 場面 | 賃借人の承諾 |
|---|---|---|
| 第605条の2第1項 | 対抗要件を備えた賃貸借の不動産が譲渡されたとき、賃貸人たる地位は譲受人に移転する | 要件になっていない(譲渡により当然に移転) |
| 第605条の3 | 不動産の譲渡人が賃貸人であるとき、譲渡人と譲受人の合意で賃貸人たる地位を移転させることができる | 「賃借人の承諾を要しないで」と明記 |
第539条の2が「相手方の承諾」を要件としているのに対し、第605条の3は賃貸人たる地位の移転について「賃借人の承諾を要しないで」と明文で定めています。
賃借人側の地位の移転——承諾が必要:
本問の場面は、サブリース業者が賃借人として持つ地位の移転です。賃貸人側の特則(第605条の2・第605条の3)の対象ではないため、一般則の第539条の2により、相手方であるオーナーの承諾が必要です。さらに、賃借権の譲渡について民法第612条第1項は「賃借人は、賃貸人の承諾を得なければ、その賃借権を譲り渡し……ることができない」と定め、同条第2項は承諾なく第三者に使用収益させたときの解除を認めています。どちらの条文から見ても、オーナーの承諾なしに業者を交代させることはできません。
サブリース実務での意味:
オーナーからみれば、マスターリースの相手方が誰かは、家賃の支払能力や維持保全の実施体制に直結します。承諾を要件とすることで、オーナーは新しい業者の信用力などを確かめたうえで承諾するかどうかを判断できます。
確認日: 2026-09-30。出典: 民法第539条の2・第605条の2・第605条の3・第612条(e-Gov 法令API v2)。
- 民法第539条の2・第605条の2・第612条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 民法第539条の2・第605条の2・第605条の3・第612条 確認日: 2026-09-30 出典: e-Gov 法令検索(法令API v2・法令ID 129AC0000000089) 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
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執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

