賃管士 賃貸住宅管理業法 問89:賃貸住宅管理業法(サブリース規制)
(令和8年度(2026年度)試験対応・数値確認日 2026-06-10)
サブリース業者(特定転貸事業者)が経営破綻し、破産手続が開始された場合に関する次のア〜オの記述のうち、**正しいもの**はどれか。
- アサブリース業者に対して破産手続が開始された場合、マスターリース契約(特定賃貸借契約)は当然に終了し、オーナーは直ちに物件の返還を受けることができる。
- イ破産管財人は、マスターリース契約が双務契約であり破産者(サブリース業者)が未履行である場合、破産法第53条に基づいてその契約を解除または履行の選択をすることができる。正答
- ウサブリース業者の破産後も転借人(入居者)は、賃貸人(オーナー)に対して直接借家権(対抗権)を主張することができ、オーナーから退去を求められることは一切ない。
- エオーナーがサブリース業者から受け取っていた保証金(差入担保金)について、破産手続開始後はオーナーはその保証金をサブリース業者の破産財団に対して全額返還しなければならない。
- オサブリース業者が破産した場合、新しい管理業者またはサブリース業者を選定してオーナーが契約を継続させるためには、既存の転借人(入居者)の同意が必要である。
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正答はイです。
破産法第53条は、双務契約において破産者と相手方の双方が未履行の場合、破産管財人は契約を解除するか履行を選択できると規定しています。マスターリース契約(双務契約)が継続中の状態で破産手続が開始された場合、管財人はこの権限を持ちます。イが正しい記述です。
アは誤りです。破産手続開始によってマスターリース契約が当然に終了するわけではありません。管財人が契約を解除するか継続するかを選択します。
ウは誤りです。転借人の保護は無制限ではなく、サブリース業者の破産後の契約解除によって退去を求められる場面があります。
エは誤りです。破産開始前にオーナーが受け取った保証金の扱いは複雑であり、一概に「全額返還」とは言えません。
オは誤りです。新管理業者への移行には転借人(入居者)の同意が一般的に必要ではなく、賃貸借関係の変更手続きとして進めることができます。
破産法第53条(双務契約の解除・履行選択)のサブリースへの適用:
| 条件 | 内容 |
|---|---|
| 適用要件 | 双務契約で双方が未履行(または一方が未履行)の場合 |
| 管財人の選択 | ① 契約を解除するか、② 履行して相手方に請求するか を選択 |
| 解除の効果 | 解除後は相手方は原状回復・損害賠償請求(破産財団に対する財団債権・一般破産債権) |
| 継続の効果 | 管財人が引き続き賃料を支払い、マスターリース契約を維持 |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 破産手続開始によりマスターリース契約が「当然に終了」する規定はありません(借地借家法は破産を自動終了事由としていない)。管財人が第53条の選択権を行使するまで、契約は存続します。
- イ(正): 破産法第53条のとおり。管財人はマスターリース契約が双務契約かつ未履行部分がある場合、解除か履行かを選択できます。正答です。
- ウ(誤): 民法第613条により転借人はオーナーに直接賃料支払義務を負いますが、その保護の範囲は有限です。管財人がマスターリースを解除し、オーナーが転借人に対して明渡しを求めることが可能になる場合があります(最判昭36.12.21等参照)。
- エ(誤): 破産手続開始前にオーナーが受領した保証金は、マスターリース契約上の債務の担保です。破産手続開始後の処理は契約内容・相殺の可否等によって複雑であり、「全額即時返還」という単純な義務はありません。
- オ(誤): 新たな管理業者またはサブリース業者との契約は、オーナーと新業者の間の新たな契約です。転借人(入居者)の同意は原則として不要ですが、転借人の権利に影響する場合は別途考慮が必要です。
【破産法第53条の詳細・転借人保護の限界・サブリース業者破産後の実務フロー・オーナーへの影響・リスク回避策】
破産法第53条の双務契約の解除・履行選択権の詳細:
破産法第53条第1項は「双務契約について破産者及びその相手方が破産手続開始の時において共にまだその履行を完了していないときは、破産管財人は、契約の解除をし、又は破産者の債務を履行して相手方の債務の履行を請求することができる」と規定しています。
マスターリース契約は双務契約(サブリース業者の賃料支払義務・オーナーの目的物使用収益させる義務)であり、原則として第53条の適用を受けます。
管財人の選択肢とその結果:
| 選択 | 内容 | 転借人への影響 |
|---|---|---|
| 解除を選択 | マスターリースが解除される。オーナーは物件返還を求められる。 | オーナーが転借人との関係を直接引き継ぐか、明渡し請求となるか |
| 履行継続を選択 | 管財人が賃料を継続支払い。マスターリースを破産財団の資産として維持 | 転借人への影響なし(契約継続) |
実務では、管財人は「転借人への転貸賃料収入がマスターリース賃料を上回る(利益が出る)」場合は履行継続を選択し、「損失になる」場合は解除を選択する傾向があります。
転借人保護の限界:
転借人(入居者)の法的地位は、マスターリースの終了局面で最も脆弱になります。
判例(最判昭36.12.21)は「賃借人が適法に賃借物を転貸した場合において、賃貸人が賃貸借を解除したときは、賃貸人は転借人に対してその意思を通知した後、転借人に対して明渡しを求めることができる」旨を判示しています(詳細は事案による)。
したがってウの選択肢「転借人は一切退去を求められない」は誤りであり、条件によっては転借人が退去を求められる場面があります。
オーナーへの実際の影響:
1. 賃料収入の停止: サブリース業者破産後、管財人が即座に解除を選択した場合、賃料が得られなくなる。
2. 入居者との直接関係: オーナーが直接入居者と賃貸借関係に立つか、新管理業者を選定する必要がある。
3. 保証金の扱い: オーナーが差し入れた敷金・保証金は破産財団の一部として処理される可能性があり、全額回収できない場合がある。
4. 修繕費の精算: 破産管財人との間で未処理の修繕費・費用分担の精算が必要。
リスク回避策(事前対応):
オーナーがサブリース契約を締結する際に取れるリスク回避策:
1. 信用調査: サブリース業者の財務健全性・業務停止処分歴の確認
2. 転貸条件の明記: 業者破産時の入居者保護条項を成立時書面に明記
3. 保証金の少額化: 差し入れる保証金を最小化し、破産リスクを限定
4. 定期的な業績確認: 業者の財務状況の変化を定期的にモニタリング
5. 解除条項の設計: 業者の財務悪化・業務停止命令を解除事由とする条項
業法第31条(契約成立時書面)の「契約の解除に関する事項」にこれらを盛り込むことで、事前にリスクを文書化することが可能です。
<!-- 監修確定 2026-06-10(legal-reviser): 破産法第53条・第54条・民法第613条・借地借家法(自動終了事由としての破産なし)e-Gov・法務省サイト突合済。管財人の選択権・転借人保護の限界・保証金の扱い確認。基準日2026-04-01以内。正答イ維持。 -->
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 破産法第53条・民法第613条・第604条・第605条の2・借地借家法 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 法務省 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-06-10)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:Zawa Lab(合格ナビ運営者情報) / 賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づきオリジナル問題と段差性のあるAI解説を作成しています。