問題
サブリース(マスターリース)契約を締結したオーナーの税務上の取扱いに関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はウです。
消費税において、住宅家賃の受取は消費税の非課税取引です(消費税法第6条・別表第一)。したがってオーナーが受け取るマスターリース賃料(住居用)は非課税売上に算入されます。しかし「消費税の納税義務を生じない」という記述は不正確です。
消費税の納税義務の有無は課税売上高(基準期間の課税売上高1,000万円超か否か)によって判定されます。オーナーが事業用物件の賃料等の課税売上が一定額を超えれば、住宅家賃が非課税でも消費税の課税事業者となります。ウの「納税義務を生じない」という絶対的な記述が誤りです。
ア・イ・エ・オはいずれも正しい記述です。
サブリース契約とオーナーの税務処理の整理:
| 税目 | 内容 | オーナーへの影響 |
|---|---|---|
| 所得税(不動産所得) | マスターリース賃料収入 - 必要経費 = 不動産所得 | 年間確定申告が必要(青色申告可) |
| 消費税(住宅家賃) | 住居用家賃は非課税 | 非課税売上。ただし課税事業者かどうかは基準期間の課税売上で判定 |
| 固定資産税 | 建物・土地に課税(オーナー所有の場合) | サブリース中も変わらずオーナーが負担 |
| 減価償却 | 建物の耐用年数に基づく償却 | 賃料水準の変動に関わらず取得価額基準で計算 |
各選択肢の解説:
- ア(正): 所得税法第26条の不動産所得の定義に「不動産の貸付け(サブリース賃料含む)による収入金額」が含まれます。正しい記述です。
- イ(正): 管理手数料・修繕費・固定資産税・減価償却費等は不動産所得の必要経費として認められます(所得税法第37条)。正しい記述です。
- ウ(誤・正答): 住宅家賃は消費税の非課税売上ですが、「消費税の納税義務を生じない」は誤りです。納税義務者かどうかは、基準期間(前々年)の課税売上高が1,000万円を超えるかどうかで決まります(消費税法第9条)。複数物件を保有するオーナーや事業売上が別途ある場合は、消費税課税事業者として消費税申告義務が生じることがあります。
- エ(正): 減価償却費は建物の取得価額・法定耐用年数に基づいて計算され、実際の賃料水準の変化は減価償却の計算には影響しません(所得税法第49条)。正しい記述です。
- オ(正): 固定資産税は「固定資産の所有者」(地方税法第343条)に課税されます。サブリース契約中もオーナーが所有者であるため、固定資産税の負担は変わりません。正しい記述です。
【サブリース・オーナーの税務全体像・不動産所得の計算の詳細・消費税の課税判定・青色申告の活用・税務署の対応・法人化の選択肢】
不動産所得の計算の詳細(所得税法第26条):
サブリース契約下での不動産所得の計算式:
```
不動産所得 = 収入金額(マスターリース賃料)
- 必要経費(以下の合計)
必要経費の内訳:
1. 固定資産税・都市計画税
2. 建物の減価償却費(法定耐用年数に基づく定額法・定率法)
3. 修繕費(資本的支出は資産計上→償却対象、修繕費は全額即時経費)
4. 管理手数料・サブリース業者への委託費用(マスターリース契約で定める管理費等)
5. 火災保険料・地震保険料(保険期間に応じた期間対応分)
6. 借入金利息(土地取得に係る部分は除く)
7. 減価償却費(建物附属設備・構築物等の附属資産含む)
```
消費税の課税事業者判定の詳細:
| 基準期間(前々年) | 課税売上高 | 消費税の取扱い |
|---|---|---|
| 1,000万円超 | 課税事業者 | 消費税申告・納税義務あり |
| 1,000万円以下 | 原則免税事業者 | 消費税納税義務なし |
住宅家賃は消費税の非課税売上であるため、「住宅家賃のみ」のオーナーは課税売上ゼロとなり、消費税の課税事業者には(原則として)なりません。
ただし以下の場合は注意が必要です:
1. 事業用物件(店舗・オフィス)の家賃は消費税の課税売上
2. 礼金・更新料・保証金(債務不履行時の損害賠償充当分を除く)の一部は課税売上
3. 仲介手数料・広告費用受取等が課税売上に該当する場合
インボイス制度(令和5年10月施行)の影響:
令和5年10月1日から施行の適格請求書等保存方式(インボイス制度)において、住宅家賃は非課税取引のためインボイスの発行は不要です。ただし管理業者・サブリース業者へ支払う管理手数料については、相手方がインボイス発行事業者かどうかを確認する必要があります(仕入税額控除に関わる問題)。
青色申告の活用:
不動産所得のあるオーナーは、青色申告の承認を受けると青色申告特別控除などの特典を受けられる場合があります。控除額や要件(記帳方法・申告方法、事業的規模かどうか等)で扱いが変わるため、国税庁の案内で確認して判断します。
「損益通算」の制限:
不動産所得の赤字(必要経費が収入を上回る場合)は、原則として他の所得(給与所得等)と損益通算できます(所得税法第69条)。ただし、土地等を取得するために要した負債の利子に相当する部分の損失は損益通算の対象から除かれる特例(租税特別措置法第41条の4「不動産所得に係る損益通算の特例」)に注意が必要です。
法人化(不動産管理法人)の検討:
規模が大きくなったオーナーは法人化による節税効果を検討することがあります。法人化すれば:
- 所得税の累進税率ではなく法人税率が適用され、所得水準によっては有利な場合がある
- 役員報酬による所得分散が可能
- 相続税対策(自社株評価の引き下げ)
ただし法人化には設立・維持コスト、社会保険加入義務等のデメリットもあり、税理士への相談が必要です。
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 所得税法第26条・消費税法第6条・別表第一・固定資産税(地方税法第341条〜) 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 国税庁 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

