問題
特定賃貸借契約(マスターリース契約)の重要事項説明書において家賃の変動に関する事項を説明する義務に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はウです。
施行規則第45条は、特定賃貸借契約の重要事項説明の事項として「家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項」(第3号)と「借地借家法その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要」(第14号)を定めています。「家賃保証」と称していても、家賃が変動(減額)することがあることを書面に記載して説明しなければなりません。ウが正しい記述です。
アは誤りです。広告に「家賃保証」と記載していても、重説での変動リスク説明義務は免除されません(むしろ広告と実態の齟齬があれば第29条違反にもなりえます)。
イは誤りです。普通借家の「賃料固定」特約は減額請求を排除できず(最判H15.10.21)、特約があっても法令に関する事項の概要(第14号)等の説明は省略できません。
エは誤りです。書面への記載と口頭説明の両方が必要です。
オは誤りです。説明義務は契約締結前に果たすべきもので、結果として家賃が変わらなかった・損害がなかったことで違反が消えるわけではありません。
家賃変動リスクの重説記載義務の根拠と内容:
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 根拠 | 業法第30条・施行規則第45条第3号・第14号 |
| 記載必須事項 | 家賃の額等の賃貸の条件とその変更に関する事項、借地借家法(第32条の借賃増減請求権を含む)等の法令に関する事項の概要 |
| 口頭説明の要否 | 必要(書面を交付して説明する義務) |
| 不記載・不説明の効果 | 業法第30条違反(指示・業務停止の対象。記載事項を欠く書面の交付は第43条の罰則)・故意に告げなければ第29条第1号の問題 |
| 広告の「家賃保証」との関係 | 広告と矛盾しても重説で変動リスクを正確に説明する義務あり |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 「家賃保証」という広告表示があっても、借地借家法第32条に基づく賃料減額請求権は存在し、その説明義務は免除されません。むしろ広告と重説内容が齟齬する場合は第28条(誇大広告)または第29条(故意の不告知)の問題が生じます。
- イ(誤): 普通建物賃貸借の「賃料固定特約」は、借地借家法第32条第1項(強行法規)により減額請求を排除できません(最判H15.10.21)。定期建物賃貸借で借賃改定特約がある場合(同法第38条第9項)でも、その特約の内容を含めて施行規則第45条第3号・第14号の事項を説明する義務はなくなりません。特約を理由に記載を省略することはできません。
- ウ(正): 施行規則第45条第3号が家賃等の賃貸の条件の「変更に関する事項」を、同第14号が借地借家法等の法令に関する事項の概要を重要事項としているため、家賃が変動することがある旨を書面に記載して説明する必要があります。正答です。
- エ(誤): 重要事項説明は書面交付+口頭説明が原則(業法第30条)。書面記載のみで口頭説明を省略することは認められません(電磁的方法でのIT重説も、説明行為自体は省略不可)。
- オ(誤): 第30条は「当該特定賃貸借契約を締結するまでに」書面を交付して説明することを義務づけており、「結果として変動しなかった」「損害がなかった」という事後的な事実は、事前の説明義務違反を消しません。なお民事上の損害賠償については、損害の有無が別途問題になります。
【家賃変動リスク説明義務の詳細・ガイドラインの具体的要求・最判H15.10.21との連動・違反した場合の法的責任・実務での重説書面の書き方】
施行規則第45条が求める記載の詳細:
施行規則第45条第3号は「特定賃貸借契約の相手方に支払う家賃の額、支払期日及び支払方法等の賃貸の条件並びにその変更に関する事項」を、第14号は「借地借家法(平成三年法律第九十号)その他特定賃貸借契約に係る法令に関する事項の概要」を説明事項としています。
この2つを満たすには、少なくとも次の内容を書面に盛り込むことになります(下の1・2は規則の文言から導かれる内容、3は実務上の工夫です):
1. 借地借家法第32条の説明: 経済事情の変動等により、賃料の増減を請求できる場合があること
2. 契約上の家賃改定条項の説明: 契約書に定める改定条項(「契約から〇年経過後に協議の上改定」等)の内容
3. 減額された場合の影響: 減額時の収支の変化をオーナーが具体的に想像できる説明
なぜ口頭説明も必要か(書面だけでは不十分な理由):
書面の記載だけでは、相手方(オーナー)が内容を読んでいなかった・理解していなかったという状況が生じやすいです。業法第30条が「書面を交付して説明」を義務付けているのは、書面の交付と説明の両方が揃って初めて「重要事項の説明義務」を履行したと評価されるからです。
実務では「書面を交付した。確認のサインをもらった」だけでは説明義務の履行として不十分とされるケースがあり、「どのような説明をしたか」の記録(説明会の議事録・録音・チェックリストへのサイン等)を残すことが重要です。
説明義務違反の法的責任:
特定転貸事業者が家賃変動リスクを説明しなかった(または不十分な説明をした)場合の法的責任:
| 責任の種類 | 内容 |
|---|---|
| 行政上の責任 | 業法第30条違反として指示(第33条)・業務停止命令等(第34条)の対象 |
| 民事上の責任① 不法行為 | 民法第709条。説明義務違反による損害の賠償(損害の立証が必要) |
| 民事上の責任② 取消 | オーナーが消費者に当たる場合、消費者契約法第4条(不利益事実の不告知等)による契約取消しの可能性 |
| 刑事上の責任 | 記載事項を欠く書面・虚偽記載の書面の交付等は第43条(50万円以下の罰金)、故意の不告知・不実告知は第42条第2号、業務停止命令違反は第42条第3号 |
特に「家賃保証を謳いながら家賃変動リスクを一切説明しなかった」場合は、第30条違反にとどまらず、故意であれば第29条第1号(故意の不告知)にも当たりえます。
実務での重説書面の記載例:
```
【賃料の変動に関する事項】
本契約において定める初期賃料は月額○○円ですが、以下の事項をあらかじめご確認ください。
1. 借地借家法第32条に基づく賃料増減額請求
本契約の賃料は、経済情勢の変動、近傍類似物件の賃料水準の変化、その他の理由により、
借地借家法第32条に基づき、当社(賃借人)またはオーナー様(賃貸人)からの増減額請求
が認められる場合があります。
2. 契約上の賃料改定条項
本契約第○条に定めるとおり、契約締結から○年を経過した後、双方の協議の上で賃料を
改定することがあります。
3. 家賃保証について
本契約における家賃保証は現在の賃料水準を保証するものではありません。
上記①②の賃料変動が生じる場合があることをご了承ください。
```
この記載例は、「家賃保証という文言があっても変動しうること」を明示することで、第28条・第29条の違反リスクを最小化します。
- 借地借家法第32条e-Govで原文を読む
- 民法第709条e-Govで原文を読む
- 消費者契約法第4条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第30条・施行規則第45条第3号・第14号・借地借家法第32条 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 / 国土交通省 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

