問題
サブリース(マスターリース)契約の解約後の賃料精算および返還に関する次のア〜オの記述のうち、誤っているものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答(誤っているもの)はオです。
サブリース業者が賃料債務等の担保として差し入れた保証金は、名目を問わず民法上の敷金に当たり(民法第622条の2第1項)、賃貸借が終了して物件の返還を受けたときは、未払賃料等を控除した残額をサブリース業者に返還しなければなりません。「当然に消滅しオーナーの返還義務が発生しない」という記述は誤りです。
ア(未払賃料の請求)は正しく、イ・ウ・エも借地借家法第32条第3項の精算の仕組みに照らして正しい記述です。
賃料減額請求の裁判確定前後の精算ルール(借地借家法第32条):
| 時系列 | 規定・内容 |
|---|---|
| 減額請求・確定前(第32条3項本文) | 請求を受けたオーナーは、減額を正当とする裁判が確定するまで「相当と認める額」の支払を請求できる |
| 減額請求・確定後(第32条3項ただし書) | オーナーが受け取った額が確定額を超えるときは、超過額に受領の時からの年1割の利息を付して返還 |
| 増額請求(第32条2項) | 請求を受けた賃借人は確定まで「相当と認める額」を支払えば足り、確定額に不足があれば不足額に支払期後の年1割の利息を付して支払う |
各選択肢の解説:
- ア(正): 未払賃料は金銭債務の不履行として請求可。遅延損害金の請求も可能(民法第419条)。正しい記述です。
- イ(正): 減額請求中でも、賃借人が支払うべき額を一方的に決められるわけではありません(第32条第3項は、請求を受けた賃貸人が相当と認める額の支払を請求できるとしています)。自ら低い額しか支払っていなかった場合、確定した賃料との差額は未払賃料として支払う必要があります。正しい記述です。
- ウ(正): 実際に受け取った賃料が裁判で確定した賃料を上回る場合、オーナーはその超過額を返還しなければなりません(第32条第3項ただし書)。正しい記述です。
- エ(正): 借地借家法第32条第3項ただし書は「既に支払を受けた額が正当とされた建物の借賃の額を超えるときは、その超過額に年一割の割合による受領の時からの利息を付してこれを返還しなければならない」と規定しています。年1割という、民法第404条の法定利率より高い利率である点が重要です。正しい記述です。
- オ(誤・正答): サブリース業者がオーナーに差し入れた保証金は、名目を問わず賃料債務等を担保する金銭として敷金に当たり(民法第622条の2第1項)、契約が終了し物件の返還を受けたときは、債務を控除した残額の返還義務が生じます。「当然に消滅する」という記述は誤りです。
【借地借家法第32条第2・3項の精算ルール・年1割の意味・保証金の返還・不当利得の要件・サブリース解約後の精算実務】
借地借家法第32条の精算ルールの詳細:
借地借家法第32条は、建物賃貸借における賃料増減請求の手続きと裁判前後の精算方法を定めています。
第32条第1項:賃料増減請求権(本体)
第32条第2項:増額請求を受けた賃借人は、確定まで「相当と認める額」を支払えば足りる。確定額に不足があれば、不足額に支払期後の年1割の利息を付して支払う
第32条第3項:減額請求を受けた賃貸人は、確定まで「相当と認める額」の支払を請求できる。受け取った額が確定額を超えれば、超過額に受領の時からの年1割の利息を付して返還する
サブリース事案での適用(数値は説明用の例):
```
サブリース業者がオーナーに賃料減額を請求(当初賃料10万円→業者は7万円を主張)
↓
協議が調わない間、オーナーは自らが相当と認める額(例:10万円)の支払を請求できる
↓
裁判確定(例:裁判所が8万円と認定)
↓
精算:オーナーは受け取った超過分(10万円-8万円=2万円/月)×月数に年1割の利息を付けて返還
```
「年1割の利息」の意味と重要性:
借地借家法第32条の精算では「年1割(10%)」という、民法第404条の法定利率より高い利率が定められています。増額請求の場面(第2項)では賃借人の不足額に、減額請求の場面(第3項)では賃貸人の超過受領額に付く、という向きの違いを押さえてください。
この「年1割」は借地借家法固有の特別規定です。試験での頻出ポイントです。
保証金の返還と不当利得の関係:
保証金(差入担保金)の返還に関する法律構成:
1. 契約上の返還規定がある場合: 契約書の定めに従って返還
2. 民法の原則:
- 名目を問わず、賃料債務等を担保する目的で交付された金銭は敷金(民法第622条の2第1項)
- 賃貸借が終了し、かつ賃貸物の返還を受けたときは、債務の額を控除した残額を返還する(同項第1号)
- 同条によらない場合でも、法律上の原因のない利得は不当利得(民法第703条)の問題となる
不当利得返還請求(民法第703条)の要件:
1. 他人の財産・労務によって利益を得たこと
2. その利益が法律上の原因がないこと
3. これにより他人が損失を被ったこと
4. 利益・損失の因果関係
保証金の場合、「担保目的消滅後も返還しない」のは「法律上の原因なき利益の保有」に当たります。
サブリース解約後の精算チェックリスト(実務):
| 確認事項 | 内容 |
|---|---|
| 未払賃料の有無 | 解約日までの賃料は全額精算されているか |
| 保証金・差入担保金の扱い | 充当すべき債務(未払賃料・修繕費等)を控除した残余の返還 |
| 裁判中の精算(第32条第3項) | 受け取った賃料と確定賃料との差(超過額)・受領時からの年1割利息の計算 |
| 修繕費の精算 | 管理期間中の修繕費の費用分担(契約書の定め確認) |
| 鍵・書類の引渡し | 鍵・管理書類・入居者台帳等の引渡し |
| 入居者への通知 | 賃料の支払先変更(オーナーへ直払い等)の通知 |
賃管士が解約後の引継ぎに関与する場合、これらの精算を漏れなく確認し、書面化(精算合意書等)することがトラブル防止の基本です。
- 借地借家法第32条e-Govで原文を読む
- 民法第622条の2・第419条・第404条・第703条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 借地借家法第32条第2項・第3項・民法第703条(不当利得)・民法第622条の2 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

