問題
賃貸住宅管理業法第36条による特定転貸事業者等に対する報告徴収・立入検査に関する次のア〜オの記述のうち、正しいものはどれか。
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答え合わせ
- ア
- イ
- ウ
- エ
- オ
自信の3択
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解説
正答はイです。
業法第36条第1項は、国土交通大臣が職員に「特定転貸事業者等の営業所、事務所その他の施設に立ち入り、その業務の状況若しくは設備、帳簿書類その他の物件を検査させ」ることができると規定しています。イが正しい記述です。
アは誤りです。報告を求める相手は「特定転貸事業者等」(特定転貸事業者と勧誘者)で、勧誘者にも報告を求めることができます。
ウは明確に誤りです。立入検査は行政機関(国交大臣)が行う行政調査であり、司法警察権とは異なります。
エは誤りです。立入検査を拒否した場合には業法第44条第13号の罰則(30万円以下の罰金)の対象となります。
オは誤りです。国交大臣の立入検査は行政調査であり、国税犯則調査権限(犯則事件の強制捜索)とは全く別物です。
報告徴収・立入検査の条文構造(業法第36条):
| 権限 | 根拠条文 | 内容 |
|---|---|---|
| 報告徴収 | 第36条第1項 | 特定転貸事業者等(特定転貸事業者・勧誘者)に業務に関する報告を求める |
| 立入検査・質問 | 第36条第1項 | 営業所・事務所その他の施設への立入、業務の状況・設備・帳簿書類等の検査、関係者への質問 |
| 身分証明書 | 第36条第2項・第3項 | 職員は証明書を携帯・提示。犯罪捜査のための権限ではない |
| 検査忌避等の罰則 | 第44条第13号 | 報告拒否・虚偽報告・検査拒否・質問への不答弁等→30万円以下の罰金 |
| 法的性格 | — | 行政調査(司法捜査とは別。任意検査だが拒否は罰則対象) |
各選択肢の解説:
- ア(誤): 業法第36条第1項は「特定転貸事業者等」(第28条で特定転貸事業者と勧誘者をあわせた呼び方)に報告を求めることができると規定しており、特定転貸事業者のみが対象ではありません。
- イ(正): 業法第36条第1項のとおり。国交大臣(第38条により権限の一部は地方整備局長等に委任できる)が立入検査を行う権限を持ちます。正答です。
- ウ(誤): 立入検査は行政調査であり、第36条第3項も「犯罪捜査のために認められたものと解してはならない」と定めています。国交大臣は行政上の権限として立入検査ができます。
- エ(誤): 立入検査を拒否・妨害した場合、業法第44条第13号により30万円以下の罰金が科されます。虚偽の報告をした場合も同様です。
- オ(誤): 国税犯則調査権限(国税犯則調査手続法・強制捜索)は税務当局の権限であり、国交大臣は持ちません。国交大臣の立入検査は「任意検査(拒否に罰則あり)」の性格であり、物理的に強制して立ち入る権限(令状に基づく強制捜索)とは異なります。
【行政調査の法的性格・任意性と罰則による担保・立入検査の手続・司法捜査との連続性・実務での対応指針】
行政調査(立入検査)の法的性格:
国交大臣の立入検査(業法第36条)は「行政調査」であり、民主主義国家における三権分立の観点から、刑事捜査(司法警察権)とは明確に区別されます。
| 区分 | 行政調査(立入検査) | 刑事捜査(強制捜索) |
|---|---|---|
| 実施主体 | 国交大臣(行政庁) | 司法警察員(令状取得)・検察 |
| 法的根拠 | 業法第36条(行政法規) | 刑事訴訟法第218条(令状主義) |
| 強制力 | 任意性が原則(拒否に罰則で間接担保) | 令状があれば物理的強制可 |
| 目的 | 業法遵守状況の確認・行政処分の準備 | 犯罪事実の捜査・立証 |
| 結果の扱い | 行政処分(指示・業務停止等)の根拠 | 刑事訴追(起訴・不起訴)の判断材料 |
任意性と罰則による担保の組み合わせ:
業法第36条の立入検査は「任意検査」ですが、拒否した場合は業法第44条第13号により30万円以下の罰金が科されます。これは「直接強制(令状なしに物理的強制力で立ち入る)」ではなく「間接強制(罰則で担保する)」の手法です。
日本の行政調査の多くはこの「間接強制型」を採用しており、業法でも賃貸住宅管理業者への立入検査(第26条→拒否は第44条第9号)と特定転貸事業者等への立入検査(第36条→拒否は第44条第13号)が同じ構造になっています。
一方で犯則事件(脱税・業法違反が刑事事件化する場合等)には、捜査機関が令状を取得して強制捜索することが可能です。この「行政調査から刑事捜査への移行」が実務上の重要な論点です。
立入検査から行政処分・刑事告発への連続性:
監督・処分の流れ(条文に基づく整理。実際の運用は事案ごとに異なります):
```
①オーナー等からの苦情・告発
↓
②報告徴収(業法第36条)→特定転貸事業者等に報告を求める
↓
③立入検査(業法第36条)→帳簿・書類・説明資料等を確認
↓
④業法違反の確認
↓(行政処分)
⑤指示(第33条)→業務停止命令(第34条)。いずれも公表が義務(第33条第3項・第34条第3項)
↓(刑事事件化)
⑤' 検察告発(業法第42条〜第44条等の刑事罰の対象案件)→捜査機関へ
```
特定転貸事業者が立入検査に際して注意すべき事項:
1. 虚偽報告の禁止: 報告を求められた際に虚偽の内容を報告することは業法第44条第13号の罰則の対象。正直な報告を行うことが法的義務。
2. 帳簿・書類の保管: 業法・施行規則の定める帳簿(成立時書面・重説書面の写し等)を適切に保管しておくことで、立入検査への対応が可能になる。
3. 弁護士の同席: 立入検査において弁護士の同席を求めることは法的に可能(拒否する根拠なし)。ただし検査を妨害することは罰則対象。
4. 検査結果の記録: 検査で提示した書類の写し・検査官の指摘事項を記録。後日の行政処分通知に備える。
賃管士の実務での注意:
賃管士が所属する管理会社・特定転貸事業者に対して立入検査が実施された場合:
1. 国交大臣(地方整備局等)からの立入通知が届いたら直ちに法務部門・顧問弁護士に連絡
2. 検査に必要な帳簿・書類を整理して提示(隠蔽・改ざんは厳禁)
3. 検査結果(業法違反の指摘)があれば、速やかに是正し、指示(第33条)を受けた場合はそれに従う
4. 改善指導に従い業務を是正する(継続的違反は業務停止命令へ)
- 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第36条e-Govで原文を読む
- 刑事訴訟法第218条e-Govで原文を読む
出典と作り方
本問は合格ナビが作成したオリジナル問題です(本試験問題の転載ではありません)。 根拠・出典:根拠: 賃貸住宅の管理業務等の適正化に関する法律第28条(特定転貸事業者等の定義)・第36条(報告徴収及び立入検査)・第44条第13号 確認日: 2026-06-10 出典: e-Gov 法令検索 各根拠条文は「e-Gov法令検索」(https://elaws.e-gov.go.jp/)で原文を確認できます。令和8年度(2026年度)試験基準日時点で施行されている法令の数値を反映(数値確認日 2026-10-12)。
本問・解説は試験対策のための学習コンテンツです。法令・通達・ガイドラインは改正されることがあるため、最新の内容は一般社団法人 賃貸不動産経営管理士協議会・国土交通省の公式情報をご確認ください。本サイトは協議会と一切関係ありません。
執筆・監修:合格ナビ運営事務局(運営者情報)。賃貸住宅管理業法・サブリース新法・国土交通省ガイドラインの出題範囲分析に基づき、オリジナル問題と段差のある3段階の解説を作成しています。

